第9回市場問題プロジェクトチーム議事録

平成29年5月24日(水曜)
都庁第一庁舎7階大会議室

14時01分開会

 1.開会
○事務局 ただいまより第9回市場問題プロジェクトチーム会議を開催いたします。
 本日の会議の議事進行を務めさせていただきます市場問題プロジェクトチーム事務局の池上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は多くのプレスの方々にいらしていただいておりますが、本日の会議の様子は最初から最後まで公開しますとともに、あわせてインターネット中継を行っております。
 なお、本日の会議はタブレット端末を使用して進行してまいります。会議資料につきましては、お手元の端末内に御用意しておりますタブレット端末をごらんください。
 議題に入る前に、端末の動作確認をいたしたいと思います。
 トップ画面として資料1の1枚目、「第9回市場問題プロジェクトチーム」が表示されております。
 今から会議資料の2枚目、3枚目を表示いたしますので、画面が動き、2枚目、3枚目の資料が画面上映るかどうか御確認ください。
 1枚目の画面から動かないという方がいらっしゃいましたら、挙手をお願いいたします。
 また、会議中、端末に不具合が生じた場合には、周りにおります職員がサポートいたしますので、お声かけください。
 何か不足等がございましたら、事務局までお声がけください。

 2.あいさつ
○事務局 それでは、議題に入ります前に、プロジェクトチームのメンバーを御紹介いたします。
 順に御紹介いたしますので、その場で御起立の上、一礼のほどお願いいたします。
 まず、座長の小島敏郎専門委員でございます。

○小島座長 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、竹内昌義専門委員でございます。

○竹内氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、菊森淳文専門委員でございます。

○菊森氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、梶田晋吾専門委員でございます。

○梶田氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、井上千弘専門委員でございます。

○井上氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、時松孝次専門委員でございます。

○時松氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、佐藤尚巳専門委員でございます。

○佐藤氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、森高英夫専門委員でございます。

○森高氏 よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、森山高至専門委員でございます。

○森山氏 よろしくお願いします。

○事務局 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題に入ってまいりますが、以降の進行は小島座長にお願いしたいと思います。
 座長、よろしくお願いいたします。

 3.議題
 (1)市場問題プロジェクトチーム第1次報告書案について
 (2)その他
○小島座長 小島でございます。
 本日、議題に取り上げますのは、第1次報告書案の案でございます。
 まず、今回ですが、報告書案の審議ということでございますが、前回の市場問題プロジェクトチームの次の日に、市場のあり方戦略本部が開催されて、多くの資料が提出されました。
 この資料に関し、また、これまで明確でなかった事項について、市場当局などに質問したり、あるいは資料の提供をお願いしてきました。
 しかし、回答をいただくのに非常に時間がかかって、また、まだ回答をいただいていないものもございます。
 よって、報告書案の作成が直前までかかっておりまして、今日御出席の皆様方が熟読、吟味される時間が十分でなかったということをまずお断りしておきます。
 市場からの回答は、多分、五月雨的に皆様のところにも行っていたかと思いますが、全体像がよくつかめないということもあったかと思います。
 そういうことでございますので、何点かお断りしておきたいと思いますが、まず、誤字脱字などがまだございます。
 それから、記述が重複している部分があって読みにくいところがございます。これも申し訳ないと思っております。
 それから、3点目は、議論していない事項がございまして、PTの中でですね、それもそのまま掲載をしております。
 さらに、修正ができていない部分があります。4点目ですが、全部が修正できておりません。特に土壌汚染対策について、「都議会」という表現が何カ所か残っておりますが、それは削除いたします。削除してください。
 理由は、この市場問題PTは、知事に報告するということが役割ですので、知事の権限の範囲内のことを報告書に盛り込むというのがお仕事であります。
 それから、責任というようなことが出てまいりますが、責任は、端的には損害賠償責任。その責任は、行政の執行機関が負うというものでございますので、以上から、その修正が今日時点でできていないというようなことがございます。
 というような事情でございますので、第1次報告書、今日の議論を踏まえ、それから、もっと整理した上で、6月5日に再度PT会議を開催して取りまとめたいというふうに考えております。
 これが、本日のPT会議に至る経緯と、次回6月5日に再度PT会議を開催するということの事情の説明でございます。
 2点目は、市場会計への影響につきまして、いわゆる財務諸表を読む専門家である公認会計士の意見を求めたいということで、その作業を行っております。御報告をしておきます。
 以上でございまして、早速本題に入っていきたいと思います。
 限られた時間の審議でございます。
 かなり、151ページと、いろんな事柄を全部盛り込んでおりますので厚くなっております。
 最終報告書はもっとスリムになるのではないかと思いますが、ポイントを幾つか絞って議論してまいりたいと思います。
 確認できるところは確認し、確認できないところは、どういう理由で確認できないのかという、相違点を明らかにした上で、議論を次に進めていくということにしたいと思います。
 たくさん論点がございますが、まず、報告書の中の、絞ってまいりたいと思いますが、
(10ページ)
 まず第1の論点です。
 これまで市場跡地の売却という議論をしてきました。
 例えば豊洲市場は、もし築地に残る場合に、豊洲市場は幾らで売れるのかという議論がある。あるいは、豊洲に移ったときに築地市場は幾らで売れるのか、そういう議論をしてきました。
 今回、市場から提出いただきました過去の事例、神田市場の売却3,700億円というのは一体どういうものであったのかということでございます。
 この文書、文書というと変なんですが、この市場からいただきました回答からすると、確かに神田市場を廃止したときに、一般会計から3,700億円を市場に入れていただきましたということが書いてあります。
 じゃあ、実際に東京都が民間に売った額は幾らだったのかということでございますが、400億円です。その差額は3,300億ですね。
 なぜ、そんなことが起こるのか。今まで、市場が幾らで売れるのかという議論をしてきたのは一体何だったんだろうという、非常に重要なfactsでございます。
 容積率をアップすると高くなりますよねというような議論もしてきました。秋葉原の今の状況を見ていただくと容積率はアップしています。
 しかし、400億円です。
 このことについて、今まで一生懸命作業していただきました菊森先生から、ちょっとコメントをいただきたいというふうに思います。

○菊森氏 10ページの図にありますように、財務局と市場との取引、それから、財務局と民間との取引。
 通常、「売却」という場合は、民間への売却を想定することが多いのですが、時点が違う、すなわち、昭和63年と平成14年との間の、この時点、バブルの崩壊後、大きく不動産市場が変わってしまったということを背景にして、これだけの金額の差があらわれているという面はあるかと思います。
 ただし、私も土地区画整理審議会の会長を務めてきた人間として、換地というものがある程度行われたとしても、これだけの価格差というのは、通常はなかなかできにくいのではないかと思っております。
 タイミングが、たまたまこういうタイミングになって、こういう数字になったという御説明でございましょうが、この辺は、より細かく調査したほうがいいのではないかというふうに感じております。

○小島座長 前回か前々回で、私は、この絵を描いて、この絵の中で、最後には民間に売却したお金と、市場に財務局から行ったお金が調整されるのでないかというふうに書いておりました。
 結局、その調整はなされないわけですから、そういう意味では、市場はいい商売をした。要するに400億円でしか売れなかったわけですから、非常にいい商売をしたと、こういうことになるかもしれませんが、これが当たり前だということであれば、どういうふうに豊洲の跡地を処分するのかとか、築地の跡地を処分するのかという、根本的な議論を整理しなきゃいけないんじゃないかというふうに思いましたが、梶田先生も作業していただいていたので、お願いしたいと思います。

○梶田氏 実は今後の議論の中で、この事例については非常にいろんな示唆に富んでいるのかなと思っています。
 数字の多寡、違いがということもあるんですが、いわゆる市場を建てかえる、あるいは移転する、あるいは、そういった再整備をしていく、そういった事業を一くくりで、いわゆる経営として、どういう考え方でどう進めるのかということになると、恐らく、どこまでをちゃんと見通すかということの説明がどうしても必要になってきます。
 それをどこまで整理する、明示していくのかということに多分つながりますので、神田のこのモデルを参考にするという考え方で今後の見通しを整理するのか、今後の見通しについては、今の社会情勢を踏まえて、どこまで精度を上げて整理するのか、そういったことが必要になってくるのではないかなというふうに思います。

○森山氏 今の10ページの絵を見る限りですが、これは特定企業に対する払い下げというふうにも見えるのですが、通常でしたら、9割引で特定企業に対して払い下げるということで、これはきちんと入札されたケースなんですかね。

○小島座長 いただいた資料は、そのまま載せてありますので、そのプロセスについてどうかという質問はしておりません。これ届いて至急入れたものですから、まだこの段階でとまっております。
 それと、残りの1万1,000平米はどうなったんですかということも質問しておりますが、その答えは返ってきておりません。
 減歩率がこれだけということになると、かなり大きな減歩率ですので、一体どういうふうに全体像がなっているのか。
 神田市場は2万7,000平米もあります。払い下げをしたというと、払い下げというか、売却をしたのが、そのうちの1万6,000平米です。
 区画整理とか換地をやりますので、ある程度の減歩が出てきますよね。道路を通さなきゃいけない。
 以前、築地の売却益は幾らかということで、単価かける築地の面積、そんなことはないでしょう、中に道路を通すでしょう、だから、その道路分は差し引いて計算することになるんじゃないですかというお話をしたことがあります。
 まさに神田市場はそうなんですが、それでも道路なり換地の減歩率が非常に大き過ぎるというのが、まだこの段階では疑問として残っているので、引き続き回答いただけるものというふうに考えております。

○森山氏 これは公の財産を著しく毀損しているのではないかという印象を受けています。

○小島座長 それは、データが出てきてから、またということになりますが、その追求は我々の仕事ではないので、いわゆる市場会計を考える際に、東京都全体のお金の話と市場会計が、差し引きだけで言えば3,300億儲かったということですよね。売却価格から言えば。
 そういうことです。ここも誤りがありまして、直っていないのですが、黒い丸の四つ目で、一般会計から市場会計への繰入額が3,400と書いてありますが、3,700ですね。
 いろいろありますので、次に移りたいと思います。
 このことについて御意見は。

○井上氏 非常にびっくりした数字というか、事柄であったんですが、もう少し確認しておかないといけないことがあるかと思いまして、例えば建屋の解体費用ですとか、そういったものはどこに含まれてくるのかということ。
 それ以上に、築地市場の売却をもし考える場合には、土壌汚染ということも想定されるかと思いますが、この仕組みからいってしまうと、多分、その費用というのは、市場は全く関係ないというようなことになってしまうのではないかと思うのですが、本当にそれでいいのかというような議論も出てくるかと思いますので、その辺、今のこの仕組みで、これでいくのかどうかの議論を含めてだとは思いますが、もしこれでこの後も考えるのであれば、その点のところも議論していく必要があるのかというふうに思います。

○小島座長 ありがとうございます。
 今の御指摘は非常にまた重要なことで、土壌汚染対策費を市場会計はかぶらないという仕組みになっている。それは一般会計がかぶるという仕組みになる。
 自己使用する場合には、別に自分の判断でできるわけですが、売買のときは、法律上対策しなくてもいいところでも、実際上は掘削除去をやっているのがほとんどです。これが商慣習ですね。
 それをやらないと瑕疵担保責任を問われるという可能性があるというのが、実際の汚染土壌がある土地の売買取引なので、もし民間に売るとすれば、その費用を、今度は一般会計がかぶることになると、そういうことですね。
 そのほかはいかがでしょうか。

○佐藤氏 今の点についてですが、土壌汚染対策費は、豊洲の場合は今、市場会計の中でひっくるめて6,000億という話をしているのですが、本来はそうじゃないという認識なんでしょうか。

○小島座長 それが今、住民訴訟で争われている事柄ですね。いわゆる売買の瑕疵担保責任を放棄したのではないか。
 いわゆる瑕疵担保責任は売り主の責任ですから、売り主が土壌汚染対策費用を負担しなきゃいけないというのが民法の考え方です。
 ですから、その考え方によれば、売り主である東京都がその費用を負わなければならないということです。
 だから、今おっしゃったような、この仕組みだと、一般会計に移された後に売るということになると、財務局、つまり一般会計が土壌汚染対策をした上で売るということになりますね。
 もしそれを、そうでなければ、買い主から瑕疵担保責任を追及されることがあると、そういうことです。それが売買の慣行ですね。
 よろしいでしょうか。

○時松氏 今の差額の件なんですが、上に書いてあるように、近傍の公示価格が両者の売買の間で100%から20%、5分の1になっているというので、その差額が出たということで、必ずしも、今後これと同じようなことが起こるかどうかというのはわからないんじゃないかなと。

○小島座長 まだお答え、市場から来ていないのが、いわゆる減歩率の話と、それから、土地の価格は路線価格とか近傍価格とか、いろんな算定方法がありますので、それがどういうふうに行われたかということの資料をいただかないと、これが適切であったかどうかがわからないということだと思いますね。
 森山委員がおっしゃったように、それは不適切であるということになると、いや、払い下げが適切ではないと。いわゆる払い下げというと変なんですけど、お役所みたいな。
 これはまた、もしそういうケースであると、それは違うチームで担当していただくことになるということですけど、何せ古い話なものですから、もはや刑事責任も民事責任も問えないだろうというふうには思いますが、適正であったかどうかというのは、ただ適正だったというだけではわからないので、資料・材料をいただかないと判断できない。あまりにも価格の違いが大き過ぎるというのは、一見して、これなんだろうねというのは印象ですが、具体的なエビデンスに基づいて判断をしないといけないということだと思います。
 よろしいですか。

○竹内氏 今の話でいくと、2割程度になっているものであれば、3,700億も2割でやったら800億ぐらいにはなるので。
 面積が小さいですからね。なので、僕は、この議論をずっとするよりは、違う議論をしたほうがいいかなと思います。

○小島座長 それでは、次のポイントですが、
(11ページ、12ページ)
になりますが、前回、豊洲市場が成功するということは、全体の市場の取扱量が減少している。その中で、水産物が4割、豊洲市場はアップ、青果は3割アップと、こういうことです。
 青果は小さいですから、ですが、水産物については、特に図体が大きいので、そこで規模が大きい。そこで4割アップということになると、ほかの市場がほぼ壊滅状態になっていくんじゃないかと。縮小していく。
 つまり、豊洲市場がうまくいくということは、市場の再編を加速化するという結果になるだろうと。その場合、再編の方策として、青果・水産・食肉という、この三つの分野に分けて規模の利益を追求するという方法があるという議論をいたしました。実際に東京の中央卸売市場の中で成功しているというのは大田市場です。
 大田市場は、全体の取扱量が減少し、築地市場も減少している中で、唯一、取扱量を増やしているという市場です。大田市場は別にコールドチェーンが完璧であるわけでもありません。
 そういうところから、市場が成功するというポイントは一体何なんだろうかということについての検証も必要なのではないか。そういう観点から、規模の利益と交通アクセスということなんではないかという、一つの仮説が導き出されると思います。これは11ページ、12ページに書いてありますが。
 この点について御意見をいただきたいと思います。
 梶田先生、よろしくお願いします。

○梶田氏 この点に関しては、前回、そういった、例えばの例ということで御紹介する必要があったのかと思います。
 ただ、今、市場のあり方という報告書の最初の章の中で、色濃くというか、強くメッセージとして出ているのは、経営の考え方。民間の経営というものの考え方を参考にして、どういうふうに、この市場をこれから取り組んでいくのか、経営していくのか、運営していくのか。そういう目線、あるいは捉え方、視点、こういったものを、今までにないものも含めてということになると思います。
 その一つとして、例えば民間で言うと、事業部制のような、事業部門ごとにということで、どのようなマーケットで、どのような課題を持っていて、どんなふうに取り組んでいく必要があるのか。こういったことを例えば市場の再編の部門ごと、青果であるとか、水産であるとか、食肉と、こういった切り口できちっと整理をして見ていく。そういうのが多分必要だと思います。
 それと同じように、実は11市場をまとめて見るだけではなくて、市場一つ一つがどうなっているのかと。これも一つの切り口だというふうに思っています。こういったいろんな切り口を多用して、それで分析をしたり、あるいはそれによってどういうふうに取り組んでいくのかということを明確にしていく、こういうことが必要なのじゃないかなということだというふうに思っています。

○小島座長 菊森先生、組織の話もありますので、よろしくお願いします。

○菊森氏 まず、東京都の人口が今後どのぐらいに減っていくのかというところが、一番の原点になるかなと思っています。
 2020年の1,335万人から、2100年には713万人まで減少するという推計が公式に出されています。
 こういう長いスパンを考えると、何らかの形で人口減少、それから食料品の取扱額の減少、放っておくと、自然体でいくと、そうなってしまう可能性がある。
 そのときには、東京都の、GRPといいますが、成長もそんなに高い時代ではもはやないと。2%を当然切って、1%ぐらいの成長になってしまうかもわからないというように考えています。
 そういう中にあって、取扱額が非常に減少しているという、既に、この扱い額は減少しているんですが、それを何らかの形で維持していくためには、市場の再編というのは同時並行的に考えていかなきゃいかんだろうと私は思っています。
 そのときに、ペーパーに書かれておりますように、規模の利益の追求と集約化です、何らかの形で。というのを長い目で見て準備をしていく必要があるというのが1点。それから、アクセスのよさをどう生かして市場を開発していくのか、再編を進めていくのかということも含めて、どこかの時点で具体的に検討する必要があるだろうと。もう待ったなしかなというふうに私は思っています。
 経営組織については、11ページにありますように、これは、そもそもガバナンスの問題ということで、誰がこの市場というのを経営していくのかというのは、もう言うまでもないんですが、中央卸売市場法という法律では、「卸売市場とは地方公共団体が農林水産大臣の認可を受けて開設される卸売市場のことである」ということから、主語は地方公共団体であります。
 ただ、それを補佐する組織として、今、中央卸売市場の下には附属機関として二つ、審議会と運営協議会、それから連絡調整会議、それから専門家会議というものが置かれているということで、業界の意見も十分に聞きながら、こういった運営を進めていくということが必要かと思います。
 ただ、ガバナンスという場合に何がポイントかというと、まず運営・実行の部分、それから内部統制、それから監査、内部監査・外部監査を含めてです。
 こういった機能を兼ね備える必要があるという点から、私は市場経営戦略委員会と市場監査委員会の二つを設置するという組織がいいと思っています。
 以上です。

○小島座長 市場の運営について、いわゆる市場の機能別の話とか、市場のガバナンスについて、ほかに御意見はございますか。
 森山さん、どうぞ。

○森山氏 本来、このPTで議論するかどうかという課題かもしれませんが、現状の市場の中で行われている運営というのは、ほとんど明文化されていない、いい意味で伝統、悪い意味で因習的な部分がかなりあって、意思決定機構が、必ずしも中で働いている方々の全体の意思を反映しているのかどうなのかということに直面する事態が、この委員になってからもそうですし、それ以前からもそうですけど、目にしておりまして、実際には、お店の、先ほどの鑑札という権利みたいなものが、実際には売買をされている。
 ところが、これがきちんと資産としては見られていないので、表に上がってこないみたいなことも例えばありますが、そういったことも含めて、明文化されていないものをきちんと明文化していくことで、その次の新しい運営というのもできるんじゃないかと思っていますので、この機会に、そういった明文化されていないものが一体何であるか、その中に、いい意味で伝統もあるでしょうし、目利きの力というのもあるでしょうし、例えば新規参入の方をもっと増やしていくためには、全てがOJTというわけにいかないでしょうから、そういったことまで考えていく機会にするべきだと思っています。
○小島座長 明文化されていない慣習というのは、エビデンスをつかんでいないのでわからないのですが、市場のあり方戦略本部に提出された資料でしたかね、仲卸の数が減っているが、売場面積は減っていないというグラフがあります。
(36ページ)
 築地市場へ行けばわかりますが、使用禁止の立て札が仲卸の店にいっぱいあります。使用禁止ということは、許可をおろしているのか、おろしていないのか、そこから使用料を取っているのか、取っていないのか。
 統計によれば全部使っていることになっているので、当然、使用許可をおろし、使用料を取っているのだろうと思いますが、しかし、現場に行ってみると、使用禁止の東京都の札がかかっています。
 一体これはどういうことになっているのかという質問を今投げております。その答えはまだ来ておりません、もう2週間たちますが。
 そういうこともあって、いわゆる新規参入というものが、それだけやめていけば、その許認可がなくなるわけですから、東京都において新しく許認可ができるはずということです。ですから、そこはどういうふうに運営されているのかということを今聞いているというところですね。
 新規参入についてはどうでしょうか。

○菊森氏 私は、卸売市場以外に、ある程度、組合組織とか、あるいは業界団体、自主的な組織、運営組織を持っている団体がどのように対応してきているかということを考えたときに、市場が衰退しようとしているときに、イギリスのギルド的な組織もそうだったんですが、新規参入を入れていくというところで、何らかの形で門戸を開放していかざるを得ないという時代がどこかで来ると思うんです。
 これは今はすぐにということではございませんが、市場経営を考えたときに、一定のルールのもとに、そういった新規参入、場合によっては、対外的といいますか、外国人のもともとの籍を持つようなところが、日本の法人として参入するということも、金融の世界とか、ほかの世界では結構もう既に進んできたことであります。
 したがって、ある程度緩やかに導入する必要はありますけど、私は現実的な路線として新規参入もどこかの時点で認めていくことも必要ではないかというふうに思います。

○小島座長 この点について。
 森高さん、どうぞ。

○森高氏 お伺いしたいんですが、経営組織の革新で、市場経営の合理化、これは賛成です。それから、東京都のガバナンスの確立というのも賛成なんですが、ここに書かれています、
(11ページ)
例えば、経営戦略を企画立案決定する外部有識者も構成員とする「市場経営戦略委員会(仮称)」と、もう一つは、それを監査する「市場監査委員会(仮称)」と書いていますが、これだけを見て、市場の関係者は全くぴんとこなくて、具体的に、どういう組織で、どんな構成になっているかというのも、この報告書の中に提案しないとだめかなと私は思いますけど、いかがでしょうか。

○菊森氏 今の段階では、こういった機能が必要だということは言う必要があると思いますが、具体化していく過程で業界との対話が必ず必要になると思いますし、それから、もちろん東京都庁の中でも議論が必要になると思いますので、私は、弁護士等の意見も聞きながら、これは、今後詳しくこれを詰めていけばいいのかなというふうに考えております。

○小島座長 いわゆる設置者である東京都の組織をどうするかということと、それから、そこで働く業界、いわゆる許認可から言えば、許可を与える者と許可を受ける者という、この区別をまずしっかりつけていただく、これが行政の基本。
 許可を与えるほうが、同時に市場の運営責任を担っていますから、その市場の運営責任を担っている側の、いわゆる経営戦略、それから、その監査というのが必要。
 それから、テナントは、テナントとしての使いやすさをどういうふうに大家さんに求めていくか。そういうふうに整理していかないといけないのではないかというふうに思います。

○竹内氏 経営のことに関しては専門外なのですが、都民目線として、ちゃんとしたガバナンス、ちゃんとした経営をしてもらって、自立的にやっておいてもらわないと困るなというのが実際のところかなと思います。
 それぞれの市場でそれぞれがどういうふうに行われていくのかというのは、経営の御専門の方がきちっとおやりになればいいと思うんですが、こういったものを、ほかに都でやることはいっぱいあるはずなのに、一つの業界だけに、そこにそんなにお金をかけていいのか、市場って何なんだろうというのは都民としても考えなきゃいけないんじゃないかなというような印象を持ちます。
 以上です。

○小島座長 よろしいでしょうか。
 じゃあ、次のポイントでございますが、
(38ページ)
 築地市場の価値。特徴と課題の中の、築地市場の価値というものをどういうふうに見るか。
 今まで、陰に日向に出てまいりました築地市場というブランド力ですね。
 一般に、会社の名前、具体的に言ってもあれですが、例えばトヨタはトヨタのブランド力がある。いわゆるのれん代みたいなものですね。
 そういう、ブランドにはブランドの経済的な価値があるわけですが、この築地市場というのは、世界にも非常に有名な市場ですし、国内も、あちらこちらに「築地直送」というものが商売になるというぐらいのブランドを持っています。
 このブランドの価値というものをどういうふうに考えるかということです。
 ブランドは一朝一夕にはなかなか形成できないものですが、その価値というものを、この問題に当たってどう考えるかということで、立地、歴史、それから観光拠点、こういうような点から、ここに記述しております。
 この点について御意見をお願いします。
 菊森先生、お願いします。

○菊森氏 一般的にブランドといいますのは、中身の保証がある、ある程度、裏切らない、内容に確実なものがある、きちんとつくられているというものを、生産の場面では特にブランドというふうに呼んでいますが、私は、地域あるいは流通にもブランド力というのがあるというふうに思っています。
 そういう意味では、きちんと築地を経由した水産品にしても青果品にしても、大きな間違いはない、安心して買っていくこともできるということかなというふうに思っています。
 そういったときに大事になるのは、品質保証に近いものを流通の世界でも確保していくということで、ここでは世界的に有名、あるいは国内でも知名度が高いということも大事ですが、やはり取引されるものがきちんとした商品であるということとか、あるいはアクセスが非常によくて、観光的な価値もあるんだというところで、「築地ブランド」というものを何らかの形で保持していって、これから仮に豊洲に移転することになっても、そういったブランド力、「豊洲ブランド」をつくっていく必要があるんだろうと私は思います。
 築地の非常に大きなメリットというのは、38ページの下から3行目に書かれていますように、特に仲卸さんと料理店との関係で、銀座・赤坂・青山と近いということ、今までから、そういう食通が支えてきた築地のブランドということを、外食産業と流通産業が一体となってつくり上げてきたというところが大きなブランド力として、今日もそうだし、今後も、私は、東京オリンピックに向けて、ますます重要になるブランドではないかなというふうに感じております。

○小島座長 後ろに同心円の地図を載っけております。
(42ページ)
グーグルマップなんですが、築地から豊洲へ行く、2.5キロぐらい、二、三キロなんですが、これを反対側に延ばすと、霞が関・虎ノ門・赤坂、そこら辺までの距離になるんですね。かなり築地というのはいい場所にあるということが、このマップからは言える。
 この円がずれていくということで、立地というのは、かなり買い出し人にとっては大きな要素かなと。こういう絵を描いてみると、なぜ築地が料理屋と密接な関係を持っていたかという地理的な条件がわかるということであります。
 竹内さん、何かありましたか。
(38ページ)
○竹内氏 二つあります。
 僕は建築家としてですが、非常に歴史的に大事な建物だというふうに考えています。
 まず、後藤新平が関東大震災の後に築地というのを開場して、鉄道の線路を引き込みながら、その形がそのまま建物の形になって、やっている。その歴史的な建物としての築地、DOCOMOMOという、建築の保存活動にも入っている部分もあります。
 それからあと、もう一つ、観光といいますか、食の拠点としての築地というのは、非常に大きなブランドではないかなというふうに思います。
 近年、世界のいろいろなところで非常に賑わっているところというのに、スペインのサン・セバスチャンという、凄く田舎なんですが、非常においしい料理が小さなレストランである、みたいなところがあります。世界のどこへでも、それを食べに行くというのが、今、非常に最先端の観光の仕方になっていますが、築地は、それが都内の一等地にあるというところで、非常に胃袋のことを、海外の人も見に来られるし、日本人も物凄い勢いで行っている。
 その築地というもののブランド価値というのは、そう簡単につくり出せないのではないかなという点で、築地は非常に大事な場所ではないかなというふうに思います。

○小島座長 建物の歴史的な価値というのは、何か御意見ございますか。
 はい、じゃあ森山さん。

○森山氏 建物の価値ももちろんなんですが、それは後ほどまたお話しするとして、実は築地というのは、市場の建物だけが重要ではなくて、築地というまちが非常に重要なわけです。
 これは、場内と場外を含めた環境もそうです。
 一見、場内だけで取引が成立しているように思っている方もいらっしゃるんですが、実は場外市場で商品を買って、場内で買って、帰られる専門の方もいらっしゃるし、場内と場外の取引もあるということで、僕は、この専門委員になって築地のことをより知るために、近くに引っ越して、各時間を全部見ているんですけど、周辺も。
 だから、そうなると、市場の建物だけの話ではなくて、築地という周辺のまちも含めた関係が、一つのこのブランド力をつくり出しているということを一つ指摘しておきたいと思います。
 建物に関して言いますと、この築地の建物というのは、当時、鉄骨の建物が日本でほぼ採用された最初のころの建物で、そういった意味でいうと、当時の技術を残すものとしての、そういった博物的な価値は当然ある。
 それだけではなくて、当時、列車の引き込みを前提にした形状というのが、今は列車じゃなくなっているのではないですかというお話もあるんですけど、結局、線路が通っていたところがうまく今のトラック流通に切りかわれば、これをもっと生かせたと思うんですけど、今のところ、何度かこのPTでも指摘があったように、いろんな仮設建築物がスムーズな流通を邪魔してしまって、かえって、オープンしたころよりも、今は機能的に損なわれている面もあるのかなと思っています。
 そういったことも含めて、もう一度、既存の築地の建築的な評価というのは、やり直してみてもいいかなと思いますけど。

○竹内氏 僕は建物のことばっかり言っているわけではなくて、市場って何だろうと考えたときの市場が一番大事なことというのは、そこで働く人と買いに来る人との交流であったり、ノウハウの伝達であったり、そういったことなのかなと。
 それは、相対というか、フェース・ツー・フェースだったりとか、そのノウハウをずっと持っていらっしゃる小規模な人たちのノウハウというのが、非常に大事なのではないか。そこに魅力を感じて、みんなが見に来るので、そういう食の文化というか、そういうところも含めての建物の話なので、建物の話だけを言っているわけではないということで、付け加えさせてください。

○小島座長 ありがとうございます。
 じゃあ、次に移ります。
(57ページ)
 豊洲市場の移転案のほうに移ります。
 豊洲市場移転案の課題について、一番大きな課題といいますか、たくさん課題があるんですが、いわゆる経営の問題ですね。
 57ページですが、「豊洲市場開場による市場会計への影響は極めて大きい」ということです。
 この間の議論は、市場会計の健全性、持続性って一体何なのだろうかという、まず、物差しの話です。評価基準の話。
 今の、東京都の市場のホームページをごらんになるとわかりますが、物凄く真っ当なことを言っている。つまり、市場の健全性を示す物差しは、いわゆる本業収支なんです。これが、今、赤字だから、もっと頑張らなきゃいけない、というふうにホームページに書いてあります。
 本業収支を黒字にするって、なかなか難しいが、せめて経常収支なんじゃないんですかということを今まで議論してきました。
 ところが、豊洲を開場した場合には、経常収支の黒字などというのは到底望めない。大幅な赤字になる。これは、もう誰が見てもそう。それでは市場の健全性、持続性をどう判断するか。それなら物差しを変えてしまえばいい。評価基準を変えてしまえばいい。
 この変えてしまえばいいと言った先の物差しは、減価償却費を含まない経常収支ということで、市場は、あと10年もつとか、20年もつとかという持続性の話があります。
 それでも、大規模改修の費用、あるいは設備更新の費用は、一体どこから持ってくるのかという問題は、全く、その解決方策は示されていないというのが現状です。
 その解決方策へ行く前に、その物差しを変えてしまう、だから大丈夫だという、こういう物の考え方は一体どうなんだろうか。
 これは、農水省や総務省、旧自治省が、経営戦略を立てて頑張れと言っていることとの関係で、そもそも評価の物差しを変えてしまうということは何を意味しているのかということについて、ちょっと御意見をお願いしたいと思います。
 菊森さんから行きますか。

○菊森氏 この問題は、このプロジェクトが始まって以降、12月以降、皆さん方の前で私もプレゼンをさせていただいたりしたテーマでございます。それで、基本的に、財務会計ベースの数値というのが、市場会計を見る場合に、真っ先に議論されなきゃいけないことだというのは、繰り返し申し上げてきたとおりでございます。
 それが、年間に、豊洲開場後、98億円ぐらいの赤字になってしまうということが、今、わかっているというところまで、市場の方々と私共プロジェクトチームとで試算してみた結果でありました。
 その尺度を変えるというのは、そういう意味では、議論の対象を、矛先を変えていくということを意味するんだと思うんですが、じゃあ、その減価償却をどうするのか。どう会計上扱うのかといったときに、これは水道会計でもそうなんですが、内部留保という形で、次の投資に回せるようなお金としてプールしていくという意味であれば、これは、将来に向かって生かせる可能性もあると思うんですが、今のところ、これだけの大きな投資をしてしまっておりまして、減価償却がこれだけ大きくなって、それをキャッシュフロー的にきちんと確保できるかと言われたら、今のところ、非常に難しいのではないかと私は思います。
 当然、水道会計などでも、この財務会計ベースの赤字というのをできるだけ回避するために、あるいは、もし単年度、あるいは2年度あたりになったとしても、それを急速に解決するための方策をとるというのが通常でありまして、これは全国の市レベルの水道を見ても、修復を即座にするという形でないと議会はなかなか通りにくいという現状があったからなんですね。
 そういう意味で見ていくと、この尺度を変えていくということは、あり得ない話ではないかもしれませんが、財務的に、今後の東京都の財政が永遠に大きな黒字で続くというのならば別ですが、いかなる財政状況になるかわからない状況下で、市場会計の尺度を変えていくというのは、そういう意味では問題があるのではないかというふうに私は思います。
 それと、これに加えてもう一点、正味運転資本という、これは具体的に、回していくお金がなくなってしまうのではないか。貸借対照表上の流動資産から流通負債を引いたものを正味運転資本と言いますが、これがマイナスになる可能性がないかと言われたら、実は、相当程度にあります。それは内々に、私どもも試算してみました。
 何によって違ってくるかというと、築地の処分収入です。
 これが、今、想定されている金額程度であれば、そんなに簡単に正味運転資本がマイナスになるということはないんですが、この金額が、例えば3,000億円程度になった場合に、そんなに遠くない時期に、この正味運転資本がマイナスに転じるということは、もう内々の試算では出ているとおりでありますので、具体的な数値はここでは差し控えさせていただきますが、そういったキャッシュが回る形の運営というものをしていくというのが、私は、基本であるというふうに考えます。

○小島座長 ありがとうございます。
 さっきの神田市場の処分の経過を見てみると、減歩率が凄く高いんです。もしあれが減歩だとすると。1万平米ぐらいは。
 そうすると、築地は、全然減歩率を考えてなくて23ヘクタールをかけているんです。
 当初から、何をつくるかというのにもよるわけですが、売却をする段階では物凄い高い減歩率になっていて、その割を食っているのは一般会計になっているわけですよね。一体、築地を売って幾ら入るか。減歩部分も計算して、一般会計から市場会計に入るという、こういうトリックになっているわけですよね。トリックと言っちゃいけないが、現実にはそうならない。
 だから、本当にそれが適正なのかどうか。
 要するに、げたを履かせているんじゃないですか。最初からそんなふうにならないことがわかっている。土地区画整理をやれば減歩されるのはわかっているはずなんですよね。これが神田市場の例です。
 だから、本当にそうなのかというのは、一般会計がどれだけの損を負担するのかということ、要するにお金の移しかえということなわけですよ、減歩部分については。
 そこら辺も整理をちゃんと明らかにしておかないと、もし売却する場合には、前から言っているように、区画整理というのは真ん中に道路を通したりすることがあるでしょうということの議論が必要なんだろうと思いますね。
 ちょっとずれちゃいましたけど、経営戦略を立てていくというとき、この評価基準で経営戦略を立てるということはどういうことになるのかということを、梶田先生に御意見を聞いておきたいと思います。

○梶田氏 いろんな切り口があるので、雑駁にならないように、例えばというか、典型的な話で整理したいのですが、評価基準をどういうふうに見るのかというのは、これは決め方の問題だと思うんですが、それによって、必ず大丈夫だ、うまくいくという、そういう結論だけでいいというものではないのだと思います。
 経営的に言うと逆でして、そうでも、いろんな変動要素とか、異なったこととか、予想外のこととか、いろんなぶれる要素が出てきたときに、それでもきちっと継続して進めていけるということを、どこまで見通しておくのかと。これが必ずついて回るというか、必要になってくると思います。
 実は、このぶれというのが、いわゆる事業をやるときのリスクなんです。リスクは、決して危険とか、そういう意味ではなくて、どのくらい確実に、あるいは継続して事業を進めていくかということを整理する、捉まえる、そのときの、いわゆる一つの変数、要素と、こうやって考えるんだと思います。
 実は、その場合、先ほどの神田の話と、この評価基準を変えるというのは、両方とも、こういった変化の要素をどういうふうにきちっと捉えて説明するのかということが、いわゆる特殊というか、この場合だけに限った話にならないように、そういうふうな整理と見通しの検討の仕方というのが必ず必要になるというふうに思っています。
 実は、これがもう一つ、それを考えて整理して、取り組む関係者、当事者、この人たちの物の捉え方とか見方、説明の仕方、そういったことをどこまで捉まえ直すか、許容していくのかと、こういう議論にもつながります。
 それが先ほどのガバナンスのあり方ということにも通じることになると思いますので、実はこういったことがどういうふうになるのかということの適正性といいますか、そういったことをきちっと確認したり、検証したりしていくという仕組みも、当然、必要じゃないかというふうに思っています。

○小島座長 ありがとうございます。
 この点については、ほかにございませんか。
 菊森先生、どうぞ。

○菊森氏 経営の基本だと思うんですけど、いろんな日本の経営者の方にお会いしていると、もちろん、経営は人という面はあるんですけど、もう一つ、経営は数字なんですね。多くの方がおっしゃるのは。
 客観的な会計数値に基づく個別の市場管理をしていかなきゃいけないということになって、それが、なるべく隠そうとしないで、できるだけオープンにしていく必要があると私が思うのは、数字がさまざまな経営努力とか、経営課題を反映してくる。よくなれば数字もよくなる。課題を解決していけば、数字もプラスが大きくなってくるというふうにして、問題解決の第一歩となるからであって、一つのリトマス試験紙のようなもので、これをまずごまかさないで、きちんと捉えて、それを経営に生かしていくという、こちらが私は大事だなと思います。

○小島座長 ありがとうございます。
 じゃ、次のポイントに。

○竹内氏 一個だけいいですか。

○小島座長 どうぞ。

○竹内氏 私は、建物の経費がどのくらいかかるかということで、この委員会にも呼んでいただいているというふうに認識しているんですけど、その具体的な計算方法がきちっとやられている割には、資料が出てこないというのが、非常に不満です。
 ですので、まだ、今、豊洲市場の76億5,800万円というものに関して、水光熱費が入っているんですが、本当にそうなのかという検証がまだできていないということを、ここで申し添えておきたいと思います。
 以上です。

○小島座長 ありがとうございます。一応、回答は来ているんですが、その回答でいいのかどうかという、これもぎりぎりに来ているので、皆さんの検証をまだ経ていない。一方的にいただいているという状態ですから。

○竹内氏 「やっています」としか聞いてなくて、計算していますよという話なので、計算を見せてくださいというところでとまっているところです。

○小島座長 次が、6番目のポイントですが、
(60ページ、61ページ)
これは、築地市場跡地の最もよい活用策は、築地市場であるという、ブランドを生かした築地市場であるというのが、60ページの2)で、それと対をなして、豊洲市場の最も優れた進化形は、市場の競争相手がやっている、流通がやっている、ITを活用した物の流れと金の流れを分離した物流センターであるという、こういう議論ですが、これについて、竹内さんと菊森さん、お願いしたいと思います。

○竹内氏 先ほど来お話をしているとおり、市場の市場たるは何かという部分を考えていくと、アマゾンのような物流倉庫ではなくて、人を介した仲卸であったり、そういった商売のダイナミズムではないかなというふうに思いますので、豊洲を先鋭化させて、こういった物流センターにすることの可能性もあるというふうに思いますが、その場合には、果たしてそれが、市場というものが目指すべきものなのかどうかというところの評価を、「市場って何」というところをきちっと把握した上で、行くべきことなのではないかなというふうに思います。
 以上です。

○小島座長 じゃあ、菊森さん、お願いします。

○菊森氏 このIT化を突き詰めていくとどうなるかということなんですが、例えば魚の尻尾のところにタグをつけて、数量管理、魚種から始まって、コード番号で全部管理していくというようなことが、いつかはできるようになる。関サバの管理みたいに、そういうふうにやっていくということができるかわかりませんけど、今は少なくともそうではない。
 ただ、豊洲市場の持つ意味というのも極めて大きくて、それは市場機能といいますか、物流機能と並んで市場機能がきちんとあるからだと。
 そのときに、水産品を扱っていらっしゃる地方卸売市場、あるいは中央卸売市場の方々に聞くと、水産品ってなかなか目利きの世界がまだ重要だと。だから、そういった人の目を介してきちんと取引をしていくと。それによって、色艶とか、大きさは計測できると思うんですが、いろんな意味で、その商品の価値を見定めていくということは、まだ人間の目を通して行われることが結構多いというふうに聞いております。
 そういう意味では、今の段階で、将来像のところにありますような、IT化された物流センター化というのは、水産物に関しては、すぐにはなかなか達成しないんではないかなと思います。
 ただ、今のITの使い方は、東京都側と業者さん側とでそれぞれに開発されて、必ずしもこれがリンクしていない。本当の意味での完成されたITシステムを導入するとしたら、もっと効率的にできる可能性があるので、今後、豊洲市場ということになった場合でも、ぜひこれは、さらに検討をしていただきたいと私は思います。
 物流センター化というのも決して、非常にわからない話ではなくて、むしろそっちのほうを指向していくという道もあるかなと思います。

○小島座長 梶田先生、いかがですか。

○梶田氏 今、二人の先生方が言った観点かなと思います。
 これが正しいということではなくて、どういう姿、どういうものになっていくのかという、一つのイメージだと思うんです。
 結局、これに向かっていくというふうになったら、そのために誰が何をするのかということに多分つながるんだと思うんですが、そのイメージがまず共有できないと、どういう役割や、どういうことを果たしていくのかということも整わないわけですから、まずは、まさにこういうイメージということを共有していくという話になる例じゃないかなというふうに思います。

○小島座長 すなわち、市場を経営する東京都と、それから、そこで働く業者さんたちというのが、ITを、とにかく我が物にして、ちゃんと連携をとりながら、本当に機能的に物が動く、後で出てきますが、場内待ち時間ゼロ分だとか、そういう格好でトラックもうまく入ってくる。
 これが最初に書かれたものですよね。場内待ち時間ゼロ分の市場をつくりますと。
 だから、物の流れが、新幹線のようにコントロールされて、車もそういうふうにコントロールされて、物がうまく入ってきて、さっさと捌ける。
 そういう意味では、いわゆる市場外取引が得意にしているIT取引とか、物とお金が別々に動いていくという、そういう競合他社のいいところを取ってきてしまう。取ってきてしまうと、だんだん自分が競合他社になってしまうという、市場でなくなるという、そういう自家撞着みたいなのがある。
 ただ、競争の中に置かれている市場は、どうやって生き残っていくかというのは、一つの競合他社が持っているメリットを取り入れていくというのは、また、これは当然のことなので、どこら辺までバランスをとっていくかというのが一つのポイントなのかもしれない、そういうことですよね。
 それに、ちゃんと組織側が対応できるか。今の状態では対応できない。変わらなきゃいけないということですよね。
 じゃあ、森山さん、どうぞ。

○森山氏 今のお話の中に出ている、この61ページの表の、この卸売市場の根本の意味とかから考えていきたいんですが、そもそも卸売市場というのは、公設市場というのは、米騒動のときに、食糧に対して投機的取引を防ぐということが前提としてあって、競りを介した仲卸の取引によって、そういう価格を安定化させようというのが、正規にというか、一定の範囲内でというのが目的だと思うんですけど、だんだん、今は相対取引ですとか、ほかのところの転配送というのが増えているという事実は、もちろん、築地でも起きていることは知っております。
 そもそも、そのことのために、公的な場所を提供するということが、果たしていいのかなという、それを僕は疑問に思っています。
 ここに書いてある、61ページの図のように、そういったものも取り込んでいくんだということになってくると、そこの位置づけというか、そもそも、今の市場法では、市場というのは、先ほどお話がありましたけど、大家さん業ですよね、言ってみれば。テナント家賃で運営している。
 それでいくと、こういったところも、どういう形で、例えば料金を徴収するのかを決めておかないと、公共サービスというのは、ある程度民間で不採算性、なかなか採算に乗らないが、もっと公の利益が長期にわたってある事業が、公共サービスとして運営されてきている根本だと思うんですけど、そういう意味でいうと、将来像として描かれている内容と、本来の公共サービスという意味とのバランスをきちんととっておかないと、なぜか、ある種の民間企業に対して公のお金で、何でその舞台までつくってあげて、面倒を見てあげるのかという話になっちゃうとは思います。

○小島座長 前も書きましたが、市場の使用料は30坪7万5,000円ぐらいですよね。都心で、30坪7万5000円なんてないですよ。
 そういう意味では、公の機能があるということで、格安の使用料ということになっているので、公の役割がない、要するに、競合他社と同じようなビジネスであれば、30万円ぐらいにしたらいいんじゃないかという市場価格ですよね。そういう議論は出てくるのかもしれませんね。
 公が設置して、30坪7万5,000円というのは、プライベートの会社がやっているものとは違う役割を果たしている。だから、なかなか、そこが自家撞着になって、競合他社を取り入れていくと、だんだんパブリックな部分がなくなってきて、おっしゃったような話になってくる。でも、そうしないと生き残れないかもしれないという、そういう中にあるということですね。
 梶田先生、コメントを最後にお願いします。この問題を。

○梶田氏 恐らく、一番大きなところは、時間の経過とともに、どういう点が変化してきたかということを、ちゃんと当事者の人がまず認識する。当然、必ずそれを全部認識できないのであれば、周りの人も気づかせてあげる。多分、その気づきがいるのだろうと思うのです。
 それがかなり大きな変化になってきているので、それをどこまで問題意識なり、これからを見据えるときの変化の要素として考えるのかということかなと。
 これを裏返して言うと、森山先生から御指摘ありましたように、民間と競争すればするほどという、そういう経営の効率化、経営という観点からすると、民間との競争という要素がある。でも、公共としての役割というもの、そのバランス、その変化を、どう当事者の人たちが認識していくのかという、その議論にもつなげていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

○小島座長 はい。森高さん。

○森高氏 ちょっとピントがずれているかもしれませんけど、今の議論を聞いていると、そもそも市場のビジネスというか、商売のあり方を議論されていて、今、築地でビジネスをするときというのは、今までと同じ伝統的なやり方でずっと続けましょうというふうに聞こえるんですよね。
 豊洲の場合は、これから市場の新しい姿を追求していきましょうというふうな捉え方もありますよね。時代も変わっていきますし、今は技術革新もあって、変革がどんな分野でも求められていますが、築地も、じゃあ今までと同じような形で残っていくのか、変革していくのかという議論も必要だと思いますが、そのあたりはいかがですか。
 そういうふうに聞こえてきたんです。

○小島座長 菊森さん、どうぞ。

○菊森氏 61ページに、「豊洲市場の将来像」というタイトルでまとめておられるので、そういう形の説明になっているのかなと思うんですが、これは、築地市場の将来像という形で、もし、築地市場を改修して新たな市場とするという結論に、仮になったとしても、この点というのは、いろいろと考えなきゃいけないだろうと。
 だから、今の築地市場の取引のやり方とかというのは、必ずしも全部そのままというわけでもないのかなと私は思いますので、それは、そのときに検討をきちんとしないといかないだろうと思います。

○森高氏 築地ブランドの話を、先ほど話しされていましたが、それを踏まえて、今、質問をしたんです。

○小島座長 よろしいですか。
 最初の段階、1、2の段階は、いずれにしても、今、卸売市場が置かれている状況と、それから卸売市場のガバナンス、経営戦略をつくらなきゃいけない。これは、今ある11の市場全部について言えること。
 そういう意味では、11の市場それぞれについて、経営戦略を立て、ガバナンスを確保し、東京都と業者の関係をきちんと整理してくださいというのは、今ある11市場に対してもお願いしていることですよね。
 これ自身は、総務省からも言われていることだし、農林水産省からも言われている経営戦略を確立することだから、別に豊洲、築地とは関係がなく、全て必要だということです。
 その上で、それぞれの市場の特徴というものを、どういうふうにつくっていくか。それぞれ個別の卸売市場の経営戦略は、それぞれであっていいわけだし、食肉、水産、青果というふうに分ける方法もあるし、それぞれの戦略をつくっていけばいいと、こういう話ですよね。
 築地の話はまた次に出てくるわけですが、築地を改修するというのは、どういう目的で改修をしていくのかということになるわけですが、今、豊洲の市場はもうできていて、豊洲のコンセプトというのは、当初のは近代的なITを活用して、物流システムをやる。そうすると、そのコンセプトを今の競争条件の中で確立して、将来像を考えてみると、こういうことになるのではないですか。これは一つの考え方。
 つまり、豊洲の箱、豊洲の持っている機能というものを突き詰めていって、競争に打ち勝っていくということを考えると、それは一つの方向だということですよね。
 ですから、築地がどういうふうに打ち勝っていくかというのは、また別の経営戦略を立てればいいということだと思います。
 次に移りたいと思いますが、土壌汚染ですね。
(65ページ) 
まだ専門家会議の議論をしているところなので、専門家会議の結論を踏まえての議論というところには至っていませんが、この間の議論を踏まえて見ますと、豊洲に移っていく、豊洲市場に移転するという場合の条件です。
 安全・安心という議論があるわけですが、前から申し上げていますが、豊洲市場は安全です、これは土壌汚染対策法上、安全です。
 つまり、「形質変更時要届出区域」というのは、地下水を飲まない、汚染土壌に触れない、公共用水域に流れ出ていない、だから健康被害のおそれがない区域というふうに法律に書いてあるので、東京都が860億をかけて土壌汚染対策をする前から、実際にそれをする前から安全なんですね。
 それにもかかわらず、なぜ、現在、860億をかけ、さらに五十数億をかけて、900億ぐらいになろうとしますが、それだけのお金をかけて土壌汚染対策をしたのか、あるいは、するのかというのは、豊洲自体の経緯があって、都議会の付帯決議の無害化された状態での開場、これを可能とすること。
 そのことに対して、市場長が答えた三つの条件ですね。技術会議が定めた対策は全部やる。それから、操業由来の汚染土壌は全て取り除く。地下水は環境基準。
 これは非常に合理的にできていて、汚染土壌を全て取り除くという目的で、土壌汚染対策工事をやり、その効果をモニターするために、2年間のモニタリングをすると、こういう構造になっているんですね、三つの条件というのは。
 2年間のモニタリングをやって、環境基準が達成されれば、形質変更時要届出区域、一般管理区域、これは操業由来の汚染土壌があるという区域から、形質変更時要届出区域の自然由来特例区域、すなわち、操業由来のものはみんな取り除いたという区域に変更されるか、もしくは、区域指定が解除されるか、こういう行政的な効果がある。だから、2年間のモニタリングをしていたわけです。
 だから、そういう意味では、この三つの条件というのは、極めて有機的な関係があって、合理的なものなんですね。
 ところが、今の段階で、汚染土壌は全て取り除けないです、それから、地下水の環境基準は達成できないです。これは一体のものですね、モニタリングですから。
 という中で、豊洲移転をするという、その汚染土壌関係の新しい安全・安心の基準というのは何か。つまり、豊洲においては、曖昧なものではなくて極めて明確だった。だからお金が使われたということなんです。
 今、市場のほうに求めておりますが、「無害化3条件」ができないのであれば、それにかわる安全・安心の基準は一体何ですか。
 そのことは、これまで860億円を支出して、さらに追加対策をしようという、その費用支出を正当化するものでなければなりませんね。そうでなければ、無駄遣いだったということになります。その責任というのは執行機関にあるわけですから、それを決めた都知事ないし、当時の職員にあるということになる。こういう話になってくるわけです。
 この「無害化3条件」というのは、同時に、業者への説明をした内容ですから、それは説明するんですか、しないんですかという、そういう点があります。
 後ろにある「都議会の議決の変更」というのは、これはこのPTの範囲外ですので、最初に申し上げました都議会関係のものは全て削除でございます。
 議会の付帯決議は、国会の例しか私は知りませんが、行政機関を拘束するものではありませんが、それを尊重して、法案のときにつけられた付帯決議に対しては、それに基づいて講じた措置というのを定期的に行政府が国会に説明をすると、そういう慣行になっていますので、行政府にとってはそういうものかと思っています。
 この三つのことについて、市場当局の明快な回答がないので、ここは問題の指摘ということにとめておきたいというふうに思いますが、井上先生、御意見をお願いします。

○井上氏 この無害化3条件ですが、現実に実現できていないで、当初の対策工事前の汚染の状況を見た専門家の判断として、完全にこの状態が実現できるということは、多分、誰もそれは保障していなかったはずで、前回の専門家会議の最終的な答申の中でも、そこを、その方向は目指すが、非常に小規模な汚染は残置されるであろうと。
 そういったものについて、想定されている操業由来の汚染物質は、ベンゼン、シアン、揮発性の物質で、それが揮発した場合の対策として、専門家会議は盛り土という提案をしていたと思いますし、あるいはそれに同等のものというのが適切な対策であろうと、そういうことだったと思います。
 そこから、それが多分、平成19年か20年くらいに専門家会議の答申が出て、その後、この23年になりますか、この都議会での議決、あるいは市場長の議会答弁というようなところになって、そこの過程で、なぜそこのハードルが非常に上がったのかというところの検証というのは、これはしっかりやるべきではないかというふうに思います。
 じゃあ今、こういった状況に、昨今の報道のとおり基準の100倍くらいのベンゼンが現地地下水に出ているという状況ですが、じゃあ、これが未来永劫続くのかというと、それはないだろうと。
 汚染物質総量に対してはかなりの部分が撤去されており、残置されているものは当初に比べて非常に少なくなっている。
 それとあと、ベンゼンにしてもシアンにしても、生物が分解して無害化できるもので、土壌の中にはそういった能力を持つ微生物が少なからずは存在している。ただし、それが行う反応というのはそれほど早くない。あと、地下水管理システムで汲み上げて除かれるものも出てくるだろうと。
 非常に長い時間をかければ、これは、いずれは地下水の基準以下までは下げられるということは、定性的には言えますが、ただ、じゃあ現状でそれが例えば何年でということは、恐らく、今はそれだけのデータもありませんし、その予測を立てるには相当の知見を重ねないと言えませんし、それが出たとしても、はっきり言い切れません。10年とか20年とか、そんなスパンの話になってしまう。そんなような状況だろうと思います。
 以上です。

○小島座長 ありがとうございます。
 専門家の、ほかにもいろんな方が聞いていて、最初から申し上げていますが、最初は30メートル、30メートルの中で土壌を調べるわけですね。90坪ですよ。
 90坪のところでボーリングをやるわけですよね。それで、ぽんと振って、これでないと。それはひどいでしょうというので、10メートル、10メートルで30坪ですよね。30坪のところでやるわけですよね。当たったところはきれいにします、わかったから。
 だけど、最初は90坪でやっていて、それはひどいでしょうと。次は30坪でやりますということをやって、当たったところは取るが、当たっていないところに汚染土壌があるというのは、それは当然のことだから想定されるので、地下水で見ていく。
 だから、専門家として全部取り切るという今の土対法のシステムの中で、これは保障できないという専門家の意見と、いや、取るんですといってお金をかけているというところのギャップをどういうふうに整理するかということですよね。
 そこのところが曖昧なまま、なし崩し的にどうするのかがわからないまま議論されているので、そこははっきりしてもらいたい。
 専門家は専門家だし、いわゆる当初、お金を使って土壌汚染対策をするという決断をしたのは当時の人たちですから、当時は五百数十億ですよね。
 財政支出をすることの責任というのをはっきりさせていただかないと、かなりの土壌汚染対策技術のショーウインドーみたいなところですから、そこの議論を整理してもらわないと、なかなか次のところに行けないんじゃないかと思うんですが。別にいいとか悪いとかではなくて、ものの考え方を整理してほしいというふうに求めているところです。回答はなかなか返ってきません。
 よろしいですかね。じゃあ次に行きます。
 構造安全性ですね、
(73ページ)
 構造安全性のところは、もうそのまま書いてありますが、二つあります。
 市場に対する質問の、最初、豊洲市場において積載荷重700kg/平米を設定したときにフォークリフトを使用することを想定していたか。
 この答えは次に書いてあるとおりで、
(74ページ)
それに対する、直にその答えじゃないのかもしれませんね。来たのはこれだけなので、ここに書きましたが、これは竹内さんの質問ですね。お願いします。

○竹内氏 どういうふうにして積載荷重を設定したかという話と、その構造の妥当性とどこで使用されるものがそうなのかというところの前提でのお話だというふうに思っています。
 森高さんからは、どういう使われ方をするのかをきちっと判断した上で精査すべきだというお話をいただいたので、市場のほうに、それなりの重量物である2トンフォークとトラック、ターレがどこでどう棲み分けをされているのかというのを私から聞いている最中だというところです。

○小島座長 じゃあ、これは市場当局からデータが来て、それを判断すればいいということで、よろしいですか。今ここで議論してもしようがないという。

○竹内氏 僕は必要ないというふうに思っていますけど、森高さんとの。

○森高氏 いや。74ページの、これは竹内さんの質問かもしれませんが、下から5行目の①の質問で。

○小島座長 そっちのほうに移りますか。

○森高氏 これも2.5トンフォークの話で。

○小島座長 これも関係しますか。

○竹内氏 いいです、お話を。

○小島座長 じゃあその次の議論の、杭の話もやりますか。

○竹内氏 杭はやらないです。

○小島座長 やらないですか

○竹内氏 はい。

○森高氏 確認したかったのは、積載荷重平米700kgという話と、2.5トンフォークが使えるという話がごっちゃになっていませんかとお聞きしているんです。
 ①の質問を見ていると、そういうふうにも受けとめられますし、今まで竹内さんがおっしゃっているのも、そこが何か曖昧なままで話をされているので、全然議論がかみ合わないんですが。

○小島座長 どうですか。

○竹内氏 いや、どうですかと言われても、僕はどちらかというと使用者の立場に立って、フォークリフトが安全に使えるのかどうかという確認をしたいだけです。

○森高氏 それはわかるんですが、設計上の積載荷重というのは、設計者が発注者と協議して具体的な使われ方に即して積載荷重の数値を設定しているんですよね。

○竹内氏 はい。そうですね。

○森高氏 そうですよね。
 フォークリフトの話は第2回PTのときに出てきましたし、1.5トンフォークリフトは平米700キロの積載荷重で対応できますという回答がございました。
 その次に、今度は2.5トンフォークはどうなのと言ったときに、700キロで設定している場所で2.5トンフォークを使うんですかとお聞きしたが、竹内さんは、それは築地で調べますと言っておられましたよね。
 どこでどういう形で使われているんですかとお聞きしたんですけど。

○竹内氏 僕が調べたところによると、水産で何台、何台というのがあって、仲卸の人に聞くと、「仲卸のどんなところまでも入っていきます、これは」という言い方をされていたので、そこが使えるかどうかという話と。

○森高氏 それって事実と違うんじゃないですか。だって、仲卸の通路の狭いところに2.5トンフォークは走っているんですか、見ていないけど。

○小島座長 森山さん、どうぞ。

○森山氏 仲卸のフォークについては、現況の築地を見る限りは、どうしても卸さんと仲卸さんの間でフォークリフトは登場しています。

○竹内氏 登場している。

○森山氏 登場している。
 森高先生がおっしゃっている、各仲卸さんの店舗のすきまの通路、ここには、基本的には、狭いところにはターレしか入れない通路がほぼですよね。

○森高氏 いやだから、それを。

○森山氏 違うんですよ。
 6街区の中は、その小さい通路だけのエリアじゃなんです。周辺に荷捌き的な広いスペースがあるんです。そこには当然ながら、恐らくフォークリフトは登場するんです。
 その範囲は、実際に、もし積載荷重が不足している可能性があるならば、補強の可能性もありますよねということじゃないですか。

○竹内氏 いや、だからそれは使用の問題だと森高さんから伺ったので、どこでどれを使うんですかという図示を求めているというところです。

○森高氏 そうです。周りで聞いておられる方も全くわからなくて、例えば、
(70ページ)
施設内の物流動線イメージとありますよね。見ていただいたらわかると思いますけど。
 あれは左側が卸ですよね。要するに、大きな魚を運んできて、捌くところですよね。
 右側が、これは仲卸ですよね。小さくピースに分けたものを取り扱っていて、仲卸の6街区については、1階が売場ですよね。2階は機械室ですが、3階、4階は、これは積込場になっているんですよね。あるいは小口買出人積込場になっていますよね。
 ここに大きな荷物を抱えたフォークリフトが上まで上がっていくかどうかというのは、私もわからないし、それを多分、竹内さんは、市場に質問されているのかと思っていたのです。そうじゃないんですか。

○竹内氏 いや、基本的に全部のところで使えるかどうかの話をしたいので。3階、4階に、僕はフォークが行く前提で話をしています。

○森高氏 3階、4階は平米700キロじゃなくて、ここは800キロから平米1トンまで見ていますよ。

○竹内氏 ああ、ごめんなさい。いやだからそういう。

○森高氏 それはだから前にもお話ししたが、そこが整理されていなくて質問されるから話がかみ合わないと言っているのです。

○竹内氏 そうではなくて、フォークリフトがどこまで行けるのかというのは、先ほどの仲卸のところの狭い通路でも僕は使う前提だというふうに考えていて。

○森高氏 いやだから、それはこれからの使い方じゃないかと思いますよ。

○竹内氏 だから、その使用の仕方を市場に聞いているというところです。
 そのときに、ターレとフォークというのを、まるで全然違うもののように扱いがちだと思うんですけど、基本的には、ターレに積み込むときにもフォークは必ず登場していて、全部、人力で上げているわけではないので、その部分に関してフォークを使う前提がきちっと考慮されているのかというのを確かめたいだけです。

○森高氏 厳密に言っているのは、フォークの容量です。1.5トンと2.5トンでは全く容量が違っていて、今、話題に上げられているのは、2.5トンフォークの使い方を、どこでどういうふうな形で使うんですかという話じゃないんですか。
 私も、それは、竹内さんに、整理して質問しないと話がこんがらがりますよということをお願いしているんですが。

○竹内氏 はい、全くそれでいいと思います。
 なので、市場の方から、どこまでどういうものが使われているかという話をいただければいいかなというふうに思っています。

○小島座長 森山さん、どうぞ。

○森山氏 今のお話というのは、豊洲で計画していたことと、実際に築地で運用していることの齟齬の話じゃないかと思っています。
 それを齟齬と見るか、豊洲ではそういう使い方をやめてほしいということで、例えば6街区の建物には基本的に2.5トンフォークは運用できないというふうなことははっきり市場側として言うのか言わないのかということではないですかね。
 積載荷重700キロというのは、そのフォークを想定していなければ足りているだろうという話があるんですけど、実際には、2回目か、4回目に聞いて、僕が指摘しましたけど、本来だったら、もう少し床版とすれば余裕があるはずなんだから、実際に築地で運用されている2.5トンフォークを使った場合でも大丈夫かどうかの構造計算を、例えばチェックだけでもしてもらったらどうですかと申し上げているのが、されていないというのが僕はずっと気になっています。

○森高氏 いや、だからそれをどこで使うかの話をしないと。

○森山氏 そうです。その話で言うと、今の70ページの。

○森高氏 仲卸の売場で使うんですかと聞いている。

○森山氏 はい、わかりましたから、築地をよく見ていますからわかっていますから。
 70ページの絵を見てください。
 森高先生がおっしゃっている、豊洲で計画している7街区と6街区の関係ですけど、1階の右側、6街区の下の、積み込みのステージがあるんですけど、ここに恐らくフォークリフトが登場してしまうだろうと僕は思っているんです。
 もう一つは、7街区と6街区の連絡通路、ここにフォークリフトの運用をしたいという声が上がるだろうと思っているんです。
 だから、その部分についてはやはり検討して、可能なのか、不可能なのかを示す必要があると思っているんです。
 なぜかというと、これは森高先生がおっしゃるように、この豊洲市場は非常に最適化設計されていると思うんです。いつも無駄がない設計だとおっしゃてるように、無駄がないというか、冗長性と言いまして、余裕がないのかなと僕は思っていて、そのあたりは確かめておかなきゃいけないんじゃないですかというのが一応僕の意見です。

○森高氏 第2回のときの積載荷重の設定のときに、なかなかわかりやすく絵を描かれていて、こんな使い方まで想定されない感じで設定されても、700キロには余裕があるとおっしゃっていましたよね。

○森山氏 あれは間違っていると思っています、日建設計のプレゼンが、実際の運用に比べて。豊洲ではこう考えていますというプレゼンのほうはわかります。だけど、本当に築地の運用を豊洲に持ってくるのであれば、もう少し踏み込まないと不足かなと僕は思っています。

○森高氏 僕はそこは理解できなくて、これから実際に豊洲で、どういう使われ方に即して考えていかなきゃならない話で、今ここで話をしても議論はあまり進まないと思うし。

○森山氏 だから、僕はここで使い方を話すのではなくて、余裕があるかどうかを示すべきだと言っているだけです。余裕がないなら、ないと言っておかないと、なぜかというと専門家会議の中で、土壌汚染の盛り土対策にかわる何かをしなきゃいけないという話が今出ているじゃないですか。それをやるためには、何らかの建築的な積載荷重に対する影響が出てくる可能性があるわけですよ。

○森高氏 どこに影響があるんですか。

○森山氏 それがやっぱり積載荷重でしょう。何かを、コンクリートを打設するなんて話も出ているんだけど、それはこれからですよ。今は、仮の話をしているわけですけど、そういうことがあり得る。
 あとは、築地のヒアリングのときに、大卸の、たしかホウスイの伊藤会長がおっしゃっていたんだけど、もしかしたら駐車場に屋根をつけてもらえないかという話をしたが、それも設計側では厳しいですという意見をもらったということであれば、実際に豊洲の建物の構造上の冗長性というのはどのぐらいあるかということは、僕は把握するべきじゃないかと思っていますけど。

○森高氏 膨大な構造計算書をチェックさせてもらいましたが、冗長性はあると私は判断しましたが、それはどうですか。

○森山氏 冗長性に関しての上部構造。

○森高氏 冗長性というか余裕ですね。

○森山氏 余裕ですよね。上部構造では1.25にしてあると言っているんですけど、これは本来だったら、災害時の、例えば大規模災害施設であれば、当然の数字なんですよね。当然の数字をクリアしているだけですから、あくまで余裕があるとは僕は思っていません。
 でも、2点目は、杭の検定率というのがありまして、これは専門的な話なんですけど、そこでも余裕がないんじゃないかという、そういう心配はしています。
 だから、もし何か追加工事をするならば、どこか減築するなりなんなりという可能性も考慮しなきゃいけないんじゃないかと思っているというのが一応僕の意見です。

○森高氏 今の話は、
(75ページ)
③からの話だと思います。
 私は建築の構造の専門家の立場でここに参画していまして、既に報告書もまとめています。その報告書の中にこういう話が入っていなくて、この話は最近いきなり来ましたよね。
 これの背景を知りたいのと、それからこれは、杭の設計は時松先生が御存じだと思いますが、地盤相手ですから、非常に安全側のモデルで、条件で、いろんなチェックをされているわけですね。ここに検定率ぎりぎりなんていうふうな表現があると、この人は本当に構造設計者かなというふうな思いもありまして、レベルが低いんじゃないのと言いたいぐらいです、この質問については。

○森山氏 わかりました。
 杭に関して言うと、たしか時松先生も杭の心配をされていて、どうですかと聞かれたときに、考えてあるという説明しか受けていないので、それも示してもらったほうがいいんじゃないですかということですね。
 あともう一つ、盛り土なしに対して対応するために何らかの工事の可能性があるというのは、専門家会議のほうで今示されつつあるので、それが実際にどうなるかに関しても、場合によっては補強の可能性があるんじゃないですかということを示しておくべきじゃないかということです。

○森高氏 それと、杭の話とは関係ないと思うけど。

○小島座長 今、時松先生のほうに振られましたが、いかがですか。

○時松氏 まず検定率という言葉がよくわかりません。
 専門家がきっちり判断したことなので、この言葉がどこから出てきたのか、その背景をまず教えていただきたいですね。

○森山氏 そうですね、今ここに出ている話というのは、あくまで先ほどから僕がお話ししているように、余裕って本当にあるのかということを言っているだけです。

○時松氏 余裕というのは、どういう荷重に対する余裕でしょうか。

○森山氏 例えば建物の積載に対する余裕です。
 積載荷重に対して、例えば、今、想定している積載荷重も、実際には2割くらいは余裕があるんだよとか、そういったことを示してもらえれば、この議論は終わるんじゃないかと僕は思っているということです。

○時松氏 設計指針とかを見ていただければ、どういう荷重に対して、どういう安全率をとっているかというのは、これはもうわかるわけで、それを改めて。

○森山氏 ですから、これは積載荷重表が700キロのままになっているから、この心配事が起きているわけじゃないですか。

○森高氏 森山さん。この積載荷重700キロっておっしゃるけど、これは1階の仲卸の売場の話ですよね。それは結構余裕を見て決められたと思いますが、そこだけを凄くこだわっておられる理由がよくわからない。

○森山氏 いや、それが、竹内先生がおっしゃっている、どこまではどうなのと、違いがあればという質問につながっているという話ですよ。

○竹内氏 いや、僕の質問は、構造のことを疑っているわけではないのです、まずは。
 何をどういうふうな荷重の設定と、使えるか使えないかというところを、市場の人が業者さんにどう説明しているかというところの、使い方がきちっとアナウンスされていないことによって、いろんな誤解が生じている。
 例えばですけど、「水槽の中に70センチしか水を入れないでくださいと言われたんだ」と言っている人たちがいたりするわけです。
 それがどういうことなのかというのは、僕は、全くよくわからない人は勝手にそういうことを言っているんだろうなと思うのです。
 ただ、そこのコミュニケーションが今回凄く悪いので、ここがこうなっていますよというお互いのコミュニケーションのなさをきちっとここでしておきたいなというのが一番のところです。
 だから、こういう状況でこういうふうに使うのを想定しているから、700キロでこれで大丈夫だと構造の専門家が言っている、それに対して、市場の人が、それをこういうふうに使うんだから大丈夫だと言ってこっちの人が納得している、そこの関連性が大分悪いなという印象があるので、僕は森高さんには何度も議論していただいたし、市場の人から、どう考えているのかという質問もさせていただいているという、そこです。
 なので、おっしゃっていることはよくわかるんです。
 森山さんがいいとか悪いとかではなく、都の市場の方と業者の方の間のコミュニケーションがどうなっているのか、そこがうまくいっていないので、いろんな床が抜ける抜けないみたいな話も含めて、話が大きくなっていたりすることがあったというふうに思っているということです。

○森高氏 床が抜けるって、僕もびっくりしましたが。まぁいいですけど。

○竹内氏 それは僕じゃないですよ。言っている人がいる。

○森高氏 びっくりしましたが。
 一般の専門外の方は、ちょっとしたことで凄く誤解されたり過剰反応されたりするというのはあるので、専門家が責任を持ってきちっと説明するのが本来の姿だと思いますし、今おっしゃっている豊洲のプランがありますよね。
 あのプランを見れば、どういうふうに使うか、発注者はどう考えているか、それから使うほうは、こういうふうに使いたい、そういう議論があったかなかったかというのは私は確認もできていませんし、まさにそういうことをおっしゃっているわけで、それは大事だと思います。

○竹内氏 そうです。そこをクリアにしておけば、前提がこうだからどうだという話も、専門家も入って話ができたら、もう少し使い方も、いろんなこともクリアになるんじゃないかなと。

○森高氏 だから、我々プロジェクトチームのミッションは、まずだからそういうコミュニケーションをやっていただいて、それが妥当かどうかを判断すればいいんじゃないでしょうか。

○竹内氏 そうだと思います。

○小島座長 時間の制約があります。
 これが、いつまでもぐずぐずしていたので、オープンにしてやっていただいたのですが。

○森高氏 あと、この報告書の中にこういう文言をPTの総意として入れるかどうかは、まだ案ですが、私は反対です。もう一度また座長と話をしたいと思います。

○小島座長 はい。この点は、そのまま質問を載せているので。

○時松氏 ちょっとよろしいですか。

○小島座長 どうぞ。

○時松氏 私も同意見ですが、構造に関する、ここのところに限れば、構造の専門家が納得できる文章にならない限りは、プロジェクトチームとしての意見として、報告書にはできないと思います。

○小島座長 はい。森山さん、よろしいですか。

○森山氏 僕も、だからそういう疑問がありますねと言っているだけですから。
 一つ確認したいのは、ただ、先日の会議の森高先生が、日建設計さんは、もし使い勝手に不具合があれば、それに対する補強設計でも何でもお考えですよとおっしゃっていたので、僕はそういう対応でいいと思っているんです、何かあったらですよ。
 だから、それのベースになるものを、例えばこういうものが出てくるかもしれないから冗長性がどれぐらいあるかは知りたいということです。

○小島座長 今回、ここの部分は、最初に述べましたが、議論していないというと変ですが、その事項もそのまま載せているので、これが報告書というわけではないです。
 時松先生の御指摘にお答えしたいんですけど、ここはそのまま載せてある。
 市場のほうから回答されているのも、ここに載せてありますが、最終的にどういうふうにつくるかは、わざわざこういう生のものを載せるということは多分しないので、それは整理をしたいと思います。
 次のところですが、築地の改修案のほうへ参ります。
(118ページ、119ページ) 
 築地の改修案を選択し、甲案、乙案、乙-1、乙-2と、今まで議論されて、いろいろと整理しております。
 まず第一は経営戦略という、経営のほうから考えて、とにかく築地市場で自立をすると、お金が全部回っちゃう。そういうためには、築地で商売をするというと変なんですけど、この築地という敷地の中で商売をして稼いで回っていくというやり方があるのではないかと、これが甲案です。
 いろんな方々と言いますか、どうしてあんなに一等地にあるのに高度利用しないのかという方もおられます。
 そういう意味での経済的に自立した築地市場案というので、設計的にはツインタワーができると。もちろん取扱量は減っていくという、そういうコンパクトな見方でつくっていくわけですが、環状2号線の土地を提供しても、ツインタワーができる余地があるというのが甲案です。このことについては、深くまだ検討していなくて、アイデアということです。
 それから乙案です。これは今までのローリングで築地市場をつくっていく、コンパクトな築地市場をつくる。
 これについては、営業しつつローリングで築地市場を改修するという方法、乙-1と仮にしております。
 後のほうに書いてありますが、営業しつつローリングをするというのはリスクが多い。やるならば、一旦どこかに移って築地市場を改修するということではないですかというのが乙-2案ということです。
 期間的には、後で、環境アセスメントが築地改修に必要かどうかという議論がありますが、一旦どこかに移って築地を改修する場合には、築地市場を廃止して、また設置するということになるので、環境アセスメントが必要だろうと、条例上。それが賦課されるので期間はそれほど変わらないと言うことになるということだけあります。
 時間がないので、環境アセスメントのところはいけるかどうかわかりませんが、行政の恣意で義務づけられたり義務づけられなかったりするようなものは、そもそも法規ではありませんので、環境当局には、ちゃんとした法規の専門家に見てもらうことをお勧めしておきたいと思います。
 竹内さん、大分変わっていますので説明をお願いしたいと思います。
 まずコンセプトのところ。
(112ページ)
 時間がかなりオーバーしてしまいました。議長の不手際で申し訳ないんですけど。

○竹内氏 手短にいきたいと思います。
 先ほど来、職能、技、流通の拠点、こういうことを書くと怒られるかもしれませんが、今のブランド力を引き継ぎながら、テーマパークとしての築地市場というようなことをつくったらどうだろうと。
 築地が今現在持っているブランド力を最大限に生かす案を考えるべきではないかという案です。
 時間がないので省きますが、観光拠点としての考え方を、きちっと、ここの場所に持ち込んで、かつ、市場との動線を交差させないように、古い建物も生かしながら、新しい建物をつくっていったらどうかというふうに思っています。
 その中には、ここの委員会でやるべきかどうかというところもあるかと思いますが、かつてあった時計台の設置であるとか、浜離宮に対してのウォーターフロント、船とともに楽しめる水都東京ということで、隅田川とあわせたツーリズムというようなものも含めた案を考えました。
 また、その取扱量に関しては、現在、ピークより半分になっているということもあわせて、現在の面積をこの案では書いていますが、もっと小さくなることも考えられると思います。その中でできることをしていくということを考えました。
 それで、見にくかったので大分見やすくしております。
(114ページ)
 見ていただくと、それぞれの場所がどういった役割を持っているかということがわかります。外側のUの字のところには、観光や体験のゾーンがあって、水産部(茶屋)というふうな形で、最終的には今ある機能と同じような形をとりながら、茶屋の部分の2階に駐車場を設けております。
 青果に関しては、基本的に2階建ての部分で、駐車場のネットワークを考えています。
(115ページ) 
最初の絵を見ていただければと思いますが、これは主な搬入ルートと搬出ルートを考えておりますが、築地は出入り口がいっぱいあること自体が価値だと思っておりますので、これが混在するような形になるかと思いますが、その中でも非常に効率的な動きができるように考えました。
 いろいろな方から、築地を同じようにリノベーションをしたら、非常に大きな光熱費がかかるのではないかということに関してのお答えというか考え方を示したのが115ページです。
 115ページの、特にセリ場のところに関しては、きちっとした空調をしていきます。
 居住域冷房とよく言いまして、冷房なので冷たい空気が下におりてきますから、居住域だけを冷やしていく。仲卸とかに関しては、完全に外気と同じような形で換気を徹底してやっていくというようなことを考えています。
 HACCPの話もありますが、こういう状態であっても品質管理がきちんとできているのであればHACCPの認証も可能なことは築地でも既に実証済みです。
(116ページ) 
観光面をかなり強化し、隅田川、浜離宮、体感レストラン、食育とかそういった形の、いろいろなことができるようなものを盛り込みまして、食の拠点、食の観光拠点としての市場を演出したらどうか。もちろんその市場をやりながらという形での話ではあります。
 事務所とかが逆に内側のほうに移りますが、機能的には非常に近くなるかなということで、その下に、施設の空間イメージというのを載せていますが、骨格は現在の建物を踏襲しております。
 先ほど来、仮設のいろいろな建物があって邪魔という話が森山さんからも出ていましたが、
(117ページ)
河岸に対してのアメニティというのをきちっとつくってあげて、
上の段ですが、ウォーターフロントとしての築地の市場で、その右側にある河岸の建物からさらに船を使った東京湾の観光など、そういった市場を邪魔しない形での築地という場所での賑いを考えました。
 新大橋通り側は、新しく建物ができるんですけど、この下にあるのは、今の築地のコラージュになっています。今の築地を引き継ぎながら商業施設をつくっていけたらなというふうに思っています。
 先ほど、座長からも御説明がありましたが、空中権を使ってちゃんと収益を上げていこうということの案が、
(118ページ)
ツインタワー案です。これはこれで慎重にやっていかなければいけないので、特に積算等はしておりません。
 このツインタワーは、当初、築地の、1回挫折したときの案にもありましたので、そこは慎重にことを進めなければいけないというふうに思います。
 これがあるからいい、これがなくてはいいという、いろいろな形が考えられると思うので、それは今後の議論に委ねたいというふうに思います。
 そのような形を取っていくと、コールドチェーンが非常にきれいだという今の豊洲と、同じような形のものができるのではないかというふうに考えています。
 ただ、これにはリスクがさすがにあります。一番読めないのが文化財の埋蔵に関して、何らかの形が出てくれば工事がとまりますので、そこをどういうふうに考えるのかというのは、さすがに地中埋設物に関しては予想ができませんので、そういったリスクがあるということを申し添えておきます。
(122ページ~129ページ) 
どのような形でローリングを行い、今のものを常に活動しながら工事をしていけるのかということをわかりやすく示しております。
 以上です。

○小島座長 もう一つは、
(130ページ、131ページ)
工期は7年、それから経費が若干増えて852億ということで。

○竹内氏 そうですね、はい。

○小島座長 そこまでですね。
 じゃあ、佐藤さん。

○佐藤氏 前回から比べて内容を随分進化させてきていらっしゃるということは、まず評価できるかなというふうに思っています。
 特に、物流の動線と、それから見物客の動線を分けているというあたりは、よく整理されてきたなというふうに感じます。
 ただ、今お示しされた最新案と、それから、ローリングするときの種地をつくって移設していくときの、その機能の位置が今回違っていますよね。お茶屋さんの位置が違っているということで、その辺でそのローリングが本当に成立するのかというのは、もう一度ちゃんと検証していきたいということがございます。
 それから、本日、私が述べたい最大のポイントは、やはり工期とお金です。
 工期につきまして、先ほど、7年ということで相変わらず御説明されましたが、アセスとは関係なく、調査・基本計画立案のところで恐らく3年半から4年ぐらいかかるんじゃないかというふうに私は思っています。
 といいますのは、環状2号線の道路の線形を変更する。
 これは非常に大きな問題で、既に都市計画決定されている道路の位置を変えるということですから、警察の協議も必要ですし、関係各所の協議が必ず出てくる。それがたった1年やそこらでできるとは到底思えません。
 これは築地再生案がある程度見通しができて、それに基づいて道路の線形を変えるのか、あるいは、道路の線形をそのままにして築地改修をするというのであれば、まだまだその辺は余地があると思うんですけど、あくまで築地を優先して道路線形を変えるのであれば、相当な時間と交渉の難易性があるということを認識してなきゃいけない。
 ということで、始まるまでに恐らく1年半というのは、実際は3年半から4年かかるんじゃないかというふうに私は踏んでいます。
 それから、先ほど竹内委員からも御指摘があったように、地下埋設物、あるいは土壌汚染の調査をするということになりますと、ローリングをしながらということは、ある建物を解体して更地にした状態で初めて調査ができますので、更地にしてから調査開始すると、やはり1年やそこらはすぐそこで時間がかかってしまいます。
 そうしますと、このローリングは4工程が組まれているんですが、それぞれで最大1年見たとすると4年が余計にかかってしまうということで、トータルでやはり3年プラス4年ぐらいで7年ぐらい延びるじゃないかというのが私の感覚です。
 あくまでも、こういう計画を立てるときは楽観的な計画であるべきではないというふうに思います。
 といいますのは、楽観的で進めた結果、過去に大きな問題になったという事例といいますか、過去の移転問題ではそうだったと思います。ということで、最大のリスクを盛り込むと十四、五年を見るというのが私は適切だと思いますので、まずは、この工程表をそういう工程表につくりかえていただきたい。
 これは、もう大分前に、私から小島座長に文書でお願いしたことですが、その辺を反映していただけないのですよね。
 私どもの、そういう専門家としての意見を反映していただけないというのはどういうことなのかなというのは非常に疑問に感じています。
 一方、竹内さんの意見のほうは、どんどんどんどんこうやって取り入れていくというのは、何か見えない力が働いているというのを強く感じてしまいます。
 それからもう一つ、土壌汚染の調査なり、埋蔵物文化財の調査をするということは地面を掘るということです。
 地面を掘った上に、竹内委員の案では、1階の床はそこに直接スラブを設置するというやり方だというふうにおっしゃっていましたが、だから、ターレも走れる、フォークも走れるという御説明でしたが、そんな土壌を掘削した、あるいは、それをもとに戻した、土盛りをした上にスラブを直接、基礎なり何なりで設けるということが、構造上、私は適切だと思いませんので、それなりの構造でサポートするなり、基礎梁なりでサポートするようなことになると思いますので、出費に関してもそんな簡単な話ではない。
 それから、前から申し上げているように、排水溝を設けなければいけないという問題があります。
 これは100分の1勾配でやったとしても、100メートル流せば1メートルの勾配というか、深さが必要になってくるわけですね。で、そういうものが縦横無尽に市場には必要になるわけですから、直接、基礎というか、地盤面に直接スラブをつくるということよりは、ちゃんとスラブを基礎梁なりで支えるということ、あるいは地下ピットをつくるということがやはり適切ではないかなというふうに感じています。その辺でも工費が余計にかかるという問題があります。
 そういったようなところを、市場のあり方戦略会議でも、73ページのところで、九つの築地改修における課題というのがリストアップされています。
 それら一つ一つについて、やはり行政側というか、執行側としては、こういう問題があるというふうに認識しているわけですから、それについて丁寧に築地案も対応していかないと、後々、何だ、こんなことになっちゃったじゃないかと指摘されたときに、PTは何だ、いいかげんな案を出して結論はこれかというようなことにならないためにも、慎重に、あるいは最大限のリスクを盛り込んだ工期・工費ということで御提案いただきたいというふうに感じています。

○小島座長 ありがとうございます。
 佐藤委員がおっしゃっていたリスクは136ページ以降に書かれております。これはまだ議論をしなきゃいけないんですが、それから、市場のあり方本部が出された懸念について、ずっと質問しているわけですが、例えば、後ろの、法律的な問題の、そこは書いてないから向こうも困っているのかもしれませんが、仮設建築物を一体どうするんですか、今もありますよね。協議ってもう2か月もやっていますよね。
 さらに、いろんな対策をすると、もし移るとしても半年以上かかります、1年かかるかもしれない。
 じゃあ、築地の間ずっと協議しているんですか。おかしいでしょうって佐藤さんはおっしゃったんですよね。だから、今すぐに撤去してとめるべきだというのが佐藤さんのお考えですよね。市場はとまりますけど。

○佐藤氏 必ずしもそうではない。

○小島座長 いや、前回そうおっしゃったから、そうかなと。

○佐藤氏 必ずしもそうではなくて。

○小島座長 そうじゃないんですか。

○佐藤氏 どちらかというと、手続論的にそういう違法建築があると、計画通知なりの手続に入れないんじゃないですかというのが私のポイントでございました。

○小島座長 その前に今どうするんだという、建築基準法的に使っていいですよというのであれば使えますよね。
 だから、今どうするんですかというのが先決問題ですよねというお話をして、今どうするんですかということを聞いているわけです。ところがまだ全然返ってこない。

○佐藤氏 返ってこないですね。

○小島座長 ですね。だからその先決問題が今の状態をどう理解するのかということが先決問題なので、まずはこの答えを待ちたい。早く来ないとだめでしょう、違法建築がずっと続いているんだから。ということをおっしゃったので、前々回に確認したんですよね。

○佐藤氏 それはそれで一つありますけど、最大のポイントはやはり計画が出せないという、そっちのほうが問題だというふうに思っています。

○竹内氏 いや、法律的には計画を出せますので。

○佐藤氏 いや、それがよく読んでいただきたいのですが、違法状態になっている仮設建築を除去しないで、その仮設建築に対して是正計画を受け入れた事例はないという回答なんです。
 つまり、今、一旦、違法状態になっちゃったものを再度認めてくださいといって、それを認めた事例はないというふうに言っているんですね行政は。ですから。

○竹内氏 そこは佐藤さんがいらっしゃらなかったときに議論があって、最終段階でどうなっているかという話に関しての、「最終段階」というイメージが僕と森高さんとの間で違ったんですよ。
 そこは今きちっとそういう機関のところにどういうことですかというのをもう一回確認しているので、ここで議論してもあまり意味がない。

○佐藤氏 そうかもしれません。ただ、問題があるということを。

○竹内氏 それから、二つお話ししておかなくてはいけないのですけど、排水溝とか地盤面とか、スラブにするのかどうするのかとかということも含めて、これから検討します。
 だから、そこに対して、僕がどっちですと言ったかどうかという話は一回置いておいていただいて、坪120万円という金額はそれを含み込んだものというふうに考えていただきたいというのが1点目です。
 それから、もう1点が、以前あったローリングのような楽観的なというふうなお話を今いただきましたが、以前のローリングの計画を、僕の目から見ると、これは楽観的だったねというふうに凄く思えます。
 機能とか関係なく、全部どこかへ行っちゃってよというようなふうに書いてあるようにも見えるようなローリング案と、今回考えているのは、市場の方にもヒアリングをしながら、機能と機能の隣接関係を変えない形でローリングの仕方をして、最後に前と違うのは茶屋をもとに戻していますけど、そのローリングの順番をやっているのもある程度のヒアリングをしているというところで、この平成2年当時の再整備とは全然違うというところだけ申し添えたいと思います。

○佐藤氏 最終報告で、もしこれを載せるんであれば、最終的な機能配置に見合ったローリング計画を、整合性のあるローリング計画をお出しいただきたいなと思います。

○竹内氏 わかりました。後でちゃんと整合させながら載せたいと思います。

○森高氏 1点だけよろしいですか。

○小島座長 どうぞ。

○森高氏 あまり時間があれですが。
 もう1点、工事実施における課題の中に、一つだけ付け加えていただきたいのは、地下に埋設するインフラの盛りかえですよね。これは多分、排水管とか、それから多分、ガス管もあるかもしれませんし、電気の配管もあるかもしれません。
 種地をつくったときに、必ずそれを盛りかえる必要があると思うんですが、これ結構大変だし、工期もかかると思いますが、これもそういう視点を入れておかないと、我々は実際にそれで凄く苦労しているわけですから、それも入れておいていただきたいなという話はあります。

○竹内氏 わかりました。

○時松氏 よろしいでしょうか。

○小島座長 はい。どうぞ。

○時松氏 井上先生とまとめた報告書の中に一応課題を全部リストアップ、今のも含めてリストアップしているんで、ぜひ加えていただければと思います。

○竹内氏 はい。わかりました。リスクはあるということと、それがどういうふうになっているのかというのは、ちゃんと盛り込みたいと思います。

○時松氏 もう1点、恐らくかなり掘削する必要があると思うんですよね、埋設管とか。その仮置きスペースというのは敷地内に確保できるんでしょうか。

○竹内氏 仮置きスペースまでは今さすがに、土壌の仮置きですよね。

○時松氏 要するに例えば基礎をつくるためにだとか、埋設管をつくるために掘削すると。

○竹内氏 その土の置き場ですよね。

○時松氏 廃土を廃棄物にして。

○竹内氏 そこも含めて考えていきたいと思います。

○小島座長 コメントをいろいろ出して、作業していただいたらいいかと思うんですよね。

○佐藤氏 そうですね。

○小島座長 それから、さっきの市場のあり方戦略本部の資料は、それが一体どういうことなのかということをずっと聞いています。
 回答をいただいたものは、かなり書いている部分、書いてない部分もあるんですけど、例えば、先ほどの違法建築について、じゃあ今どうなんですかと、市場当局は協議しているという答えしか書いてない。そのとおりですね。じゃあ、それも凄く時間がかかる。協議していれば、ずっと違法建築は使っていいのかということですよね、今聞いているのは。
 だから、今それを伺っている。建築基準法当局はどういうことなんですかということを聞いている。それは聞かないといけない。
(140ページ) 
それから、例えば環境アセスメントについて議論させていただいて、例えば、卸売市場は面積でしか書いてないんですけど、その中の建物を建てかえるときは、環境アセスメント条例の対象になるんですかと聞いたら、卸売市場に係るアセス要件は敷地面積だから、建物の建てかえの面積にかかわらず敷地面積が要件に該当すればアセスの対象となるとして解釈・運用を行っています。
 ああそうですかと。それじゃあ建物の一部の建てかえ、改修、増築というのは市場の設置に当たるんですかと聞きましたら、基本的には、建てかえが1棟であっても全面建てかえであっても環境アセスメントの対象になると。ただし環境に著しい影響を及ぼさないことが客観的に明白な場合には、環境アセスの趣旨に照らして対象にしないことがあり得る。
 では、環境に著しい影響を及ぼさないことが客観的に明白な場合にアセスの対象にしないとか、そうじゃないときにはするとか、一体、条例のどこに書いてあるんですか。それは書いてありません。それは条例に書いてないことを勝手に役人が恣意的に判断するんですか。こんなの条例じゃないですよね。法規じゃないですよねと言っているんですが、いや、私どもはそれで運用しています。それは、ただの行政指導じゃないですかというお話もしています。
 私は、環境影響評価法を4年間ずっとつくっていましたから、法制局とずっと議論していました。そんな法律に書いてないことを義務づけるなんてことはありません。
 環境アセスメントは費用とお金がかかります。で、そういうものに対して行政官が、これは要るとか要らないとか、法律に書いてないことをやるなんてことはありません。
 ということで、東京都には内閣法制局のようなものがあるかどうかわかりませんが、ちゃんと法規的に、条例に書いてなくても義務づけができるという説明をしてください。
 条例には面積要件しか書いてないんだけど、建物が1棟でも改修するならアセスの対象になるということの説明をしてくださいとお願いをしています。現在、太田市場では、プロセスセンターの工事をやっています、8,000平米です。これは環境に影響が軽微だから対象にならないと言われて説明をしています。8,000平米です。そんなものがどこに書いてあるんですか。どういう基準なんですかということを今伺っています。
 このことを敷衍すると、豊洲市場で青空駐車場に屋根をかける場合も環境影響評価条例の対象になるという話になります。
 そういう話をしておりますので、市場のあり方本部で報告をされたことの趣旨を一つ一つどういう意味ですかというふうに聞いております。少なくとも環境アセスメント条例の解釈・運用については、条例に書いてないことが義務だということは全く理解できませんというお話をしております。
 ですから、一つ一つ検証していかないといけないということです。

○佐藤氏 今のお話で、条例に書いてなくても担当局が指導という形でお願いして、市場局のほうが、じゃあやりましょうというふうに同意をした場合はやることになるんでしょうか。

○小島座長 それは、要するに行政指導なんじゃないんですか。
 つまり、必要であるというのは義務ですから、条例に基づく義務ですか義務じゃないんですかということをずっと聞いています。
 行政指導で、それに基づいてお金と費用をかけてやるというのはあります。民間企業だとなかなか難しいでしょうね、株主代表訴訟の対象になりますから。要するに、やらなくてもいいお金をかけるということになりますから、義務ではないのにやるというのは、かなりの必要性の説明をしないといけない。
 これ以上は言いませんが、行政指導も何でもやれるものではなくて、あまりにも行政指導が多くて民間の企業が困ったので、国では行政手続法をちゃんと決めて、なぜそれが必要なのかを説明し文書で残すという行政手続法をつくりました。あまりにも役人の恣意的な行政がはびこっていたからです。今の環境局の仕事はまさにそれです。というのが、今までずっと法律をつくってきた立場からの意見です。

○佐藤氏 もうプロの方の御意見ですから尊重したいと思います。
 最後に一個だけコメントを差し上げたいのですが、
(149ページ)
6番、築地市場改修案のまとめ・提言というところの、1)で「築地改修案が優れている」という表現があります。
 座長は以前、豊洲が優れているとか、築地が優れているという判断はしませんということをおっしゃっていたんですが、ここでは明らかにそうではないことが書かれております。
 報告書としては、それぞれの欠点・長所の問題点を挙げるのはいいんですが、こういう形は望ましくないんじゃないでしょうか。

○小島座長 白地で考えれば、今、豊洲はない。今、築地も改修案がないという前提なんですが、要するに、全くないという段階で、今、6,000億円をかけて豊洲市場をつくることが優れているのでしょうか。つまり、白地で考えるということなんですよ。

○佐藤氏 いや、既に、それはもう議論の立地点がおかしいんじゃないですか。豊洲はもう既にあるわけだし、築地改修案についても案としてこれから評価しようとしているわけですから、それは片方だけ優位だというふうに書いておくと、これを見た一般市民は、築地のほうが優れているというふうにとるし、報道機関の方はそういうふうに報道しちゃうんじゃないかと思うんですけど。

○小島座長 白地で考えられないということですか。

○佐藤氏 そうだと思います。もう既に豊洲は進んでいるからですね。

○小島座長 はい。佐藤さんの御意見はわかりました。
 大分時間が過ぎてしまいました。
 法律のところでは全く理解できなかったので少し時間をとってしまいました。申し訳ありませんでした。
 今回、非常に、佐藤さんがおっしゃったことも含めて、直ちにいろんな質問を投げております。1週間たっても10日たってもなかなか返事が来なくて、ぎりぎり月曜日までいただいたものを盛り込んだわけです。
 そういう意味では、なかなか完成してなくて、あるいは重複が多かったり、修正が十分できてなかったりということがあります。
 今日いろんな御議論をいただいて、次は6月5日ということで、皆さんの御都合を伺いました。
 ぜひ集約していきたいと思いますので、御意見をまた文書でいただいて、それから、とにかく市場からの回答をいただかないと、また同じようなことになってしまうので、市場のほうにも、あるいは関係部局のほうにも、早目に回答をいただくように強くお願いしたいと思います。
 また、直前に回答が来ると、こなし切れないし、皆さんに御議論いただく時間がまたなくなってしまうということですので、重ね重ね、私の能力の限界というものもあります、時間的な限界もありますが、菊森先生にもお願いしている作業もそうですけど、資料は同じものが来ないと作業ができないです。
 見解が、市場のあり方本部の方々と我々が違うというのはいいのですが、使う資料が同じでないと、それはフェアな検討にならない。例えば、今回初めて出てきた神田市場は、実はこうでしたというのは我々は全然知らなかったことなんです。これでは今までの検討って全然違うじゃないかという話になってしまうので、早目早目に資料を明らかにしてもらいたいなというふうに思っております。
 今日は時間がまた延びてしまいましたが、そのような事情でございますので、本当に討議らしい討議になってきたという、いつまでも討議しているわけにいかないので、ぜひ次はまとめられるように御協力をお願いしたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。
 それでは、事務方から。

○事務局 皆様どうもありがとうございました。本日の議題は以上となります。
 最後に、事務局より事務的な連絡をさせていただきます。
 本日の会議の議事録ですが、準備が整い次第、都庁のホームページに掲載いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 以上をもちまして第9回市場問題プロジェクトチーム会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。

16時26分閉会

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