第2回政策評価分科会



箇条書き名簿(PDF:81KB


箇条書き座席表(PDF:152KB)












箇条書き資料6(政策評価制度の改善に向けた論点)(PDF:950KB)



議事録

令和元年9月26日(木曜日)
都庁第一本庁舎42階特別会議室D

14時00分 開会

 1.開会
○糸賀総務局行政改革推進部都政改革担当課長 お待たせしました。それでは、定刻でございますので、ただいまより第2回都政改革アドバイザリー会議の政策評価分科会を開催いたします。本日は、皆様、大変御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、本分科会の事務局を務めます、総務局行政改革推進部都政改革担当課長の糸賀でございます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、会議の公開について御説明いたします。本日の会議は公開で開催いたします。また、会議資料につきましては本日、議事概要につきましては後日、ホームページ上に公開させていただきます。
 なお、会議はタブレット端末を使用して進行してまいります。会議中、端末に不都合が生じた場合は、職員までお声かけください。
 また、本日は前回に引き続きまして、会議中に出ましたそれぞれの御意見につきまして、キーワードを中心に事務局で入力させていただきまして、モニターが2カ所ございますけれども、あちらに映し出すことを考えてございます。たくさんの御意見を頂戴することになるかと思いますので、御参考までに必要に応じて閲覧いただければと思います。
 また、本日の会議出席者につきましては、お手元の座席表の配付をもって代えさせていただきます。
 なお、本日は水町雅子構成員より途中からの御出席を、また、山田英司専門調査員より欠席の御連絡を頂戴してございます。
 会議時間につきましては、16時までを予定してございます。
 それでは、開会に当たりまして、総務局次長の野間より一言御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

2.総務局次長挨拶
○野間総務局次長 次長の野間でございます。
 本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 前回6月24日に第1回分科会を開かせていただきまして、その後、7月にヒアリングを長時間にわたり行っていただきまして、重ねて御礼申し上げます。各局の受け止めとしても、かなり御意見が参考になったということで、今日、色々とまた説明があると思いますが、指標の設定の仕方等につきまして、最初の評価書にお示ししたものから何歩か進んだかなと感じております。
 また、ご覧いただいているとおり、例えば省エネですとか、高齢者住宅、それから救急活動、治安対策、無電柱化、人権という、施策の性格というかレベルというのがかなりばらばらと申しますか、それは地方自治体でいろいろなことをやっておりますので当然こういうことになるのですが、こういうものの評価に対して、先生方に意見、助言をいただくということで、少しでもいいものに仕上げていきたいと我々も考えております。今、2040年代を目指した長期戦略などもつくっていまして、都政をどんどん前に進めていこうということでスピードアップを図り、知事を筆頭にやっているところでございますので、そういった都政をこの評価でよりよいものにしていくものとしていきたいと考えております。本日は、忌憚のない御意見をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○糸賀総務局行政改革推進部都政改革担当課長 それでは、今後の議事進行につきましては、石田会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

3.議題
○石田会長 では、着座のままで失礼いたします。
 構成員等の皆様、こんにちは。7月下旬の4日間、大変暑い中、ヒアリングに御参加いただき、ありがとうございました。かなりハードな日程だったと思います。私からも深く御礼申し上げます。
 本分科会は、真の意味で機能する政策評価制度を構築できるよう意見・提言を行ってまいりたいと思います。引き続き、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題ですが、まずは「今年度の取組スケジュールについて」、「成果指標・目標の設定状況等について」、事務局より、それぞれの報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 都政改革担当課長の内藤でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、一つ目の議題「今年度の取組スケジュールについて」、資料1により御説明いたします。
 今年度の政策評価の取組につきまして、分科会の皆様には、7月下旬に各局とのヒアリングによる意見交換に御出席いただき、主に成果指標・目標の設定や評価書の分かりやすい記載等に関しまして、各局に対する意見・助言を実施していただきました。
 その後、各局におきまして、分科会の意見・助言を踏まえ、成果指標等の追加・修正などの検討・対応を行ったところであり、本日、その状況につきまして御報告いたします。
 今回の報告をもちまして、今年度の成果指標・目標の設定につきましては、一区切りということになります。
 こうした今年度の取組状況も踏まえまして、本日の分科会以降では、政策評価の制度上の改善点に関する議論に入らせていただき、来年度に向けて、制度のブラッシュアップを進めてまいります。
 本分科会での議論の状況につきましては、取りまとめの上、11月下旬に開催予定の都政改革アドバイザリー会議における御報告を予定しております。
 次に、二つ目の議題、「成果指標・目標の設定状況等について」御報告いたします。
 資料2をご覧ください。分科会の意見・助言を踏まえました、各局における対応の具体例をピックアップしてまとめたものでございます。
 まず、1ページから2ページにかけまして、成果指標・目標を再検討した二つの事例を御紹介しております。
 1ページ目でございますけども、産業労働局の「農林水産業対策」ユニット、「農業の担い手の確保・育成と力強い農業経営の展開」施策では、当初案として、成果指標に単位面積当たり農業産出額を設定してございました。
 分科会の意見としまして、東京の農業の特徴や施策のターゲット層等を踏まえ、農業の生産性などを図ることができる指標を再考できないかという御意見をいただきました。
 これを受けまして、下の対応後のところでございますけれども、施策の主な対象である販売農家の生産性等を測るため、農家1戸当たりの産出額を新たに指標とし、目標値を東京農業振興プラン、こちらにおいて農業の広がりを支える経営モデルとして示している農業所得を基に算出して設定してございます。
 次に2ページをご覧ください。教育庁の「社会教育・生涯学習」ユニット、「都立図書館の運営」施策でございます。
 当初案における成果指標、都立図書館の認知度に加えまして、図書館の特色を示す指標の設定につきまして、分科会から御意見をいただいたところでございます。
 これに対しまして、下の対応後のところでございますけれども、都立図書館の役割である都民の学習活動や調査研究活動への支援といったことを踏まえ、蔵書の豊富さやインターネット検索を含む資料の探しやすさに関する満足度を成果指標として追加いたしました。
 続きまして、3ページ、4ページは、今回、評価書の具体的な修正等には至りませんでしたけれども、今後の施策展開につながる検討ということで、3事例を挙げてございます。
 まず、3ページ目、都市整備局の「防災まちづくり」ユニット、「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」施策でございます。
 分科会の御意見としまして、沿道建築物の耐震化率に加えまして、震災時に道路の閉塞を防ぎ、広域的な道路ネットワーク機能を確保するという施策の目標の実現に向けた進捗状況が分かりやすく伝わるような指標を設定できないかというものでございました。
 この御意見に対しまして、下の対応方針のところでございますけれども、本年度、学識経験者の方々などで構成する検討委員会、こちらを設置しまして、特定緊急輸送道路の通行機能確保の観点から、これまでの取組の達成状況等を検証しており、それを踏まえまして、本年度末改定予定の東京都耐震改修促進計画において、新たな指標の追加を検討するというものでございます。
 最後に、4ページ目をご覧ください。総務局の「人権啓発」ユニットでは、分科会から、東京の国際性を考慮したグローバルな視点で国際機関の人権関係指標などを参考に検討してはどうかという御意見をいただきました。
 また、下の港湾局の「東京港整備・管理」ユニットでは、「港湾利用に係るアンケート評価」を基に、今後、成果指標を検討することとしていますが、分科会から、港湾利用者の目線に立った検討を進めてほしいという御意見をいただいたところでございます。
 それぞれの局におきまして、対応方針のところに記載しておりますように、分科会の御意見を踏まえながら今後の検討につなげていくというものでございます。
 続きまして、資料3をご覧ください。こちらは、各局それぞれの事業ユニットにつきまして、左側に分科会の意見・助言を、右側に意見・助言に対する各局の対応方針を一覧として整理したものでございます。
 次に、資料4をご覧ください。こちらは成果指標・目標の追加・修正を反映した一覧となってございます。
 参考資料1は、前回の分科会でお示しした成果指標・目標の当初案をまとめた一覧でございますので、あわせて御参照いただければと思います。
 最後に、お手元の緑色のフラットファイル、資料5でございますけれども、修正後の評価書でございます。こちらは分科会の意見・助言を踏まえまして、各局において、成果指標等の追加・修正や都民目線で分かりやすい記載等に改めた評価書となってございます。後程、御確認いただければと考えてございます。
 事務局からの説明は以上になります。

○石田会長 御報告、ありがとうございました。
 それでは、意見交換に移ります。今回は、特に説明のあったとおり、7月に分科会ヒアリングを行いまして、各局は分科会からの意見・助言を踏まえて成果指標・目標の修正・追加等を行うなどの検討・対応したとのことでございます。これについて、皆様から御意見や御感想をいただければと思います。ヒアリングで各局の施策所管と直接議論した感想、各局の対応に対する感想など何でも結構です。忌憚のない意見交換ができればと考えています。お一人ずつ3分程度で御意見をお願いいたします。
 では、最初に、今日御欠席の山田専門調査員から事前に意見をいただいているということですので、事務局、代読をお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 事前に山田専門調査員から意見をいただいてございます。
 2点ほどいただいてございまして、まず、1点目、「政策評価を制度として確立するためには、各局に制度の趣旨を理解させた上で、組織にとってプラスの影響を与えるモチベーションを誘発するためのインセンティブを考慮する必要がある。例えば、部局を横断する施策を政策評価の対象とすることが当該部局間の連携が進める動機づけやインセンティブになる可能性がある。」というものでございます。
 2点目でございますけども、「各担当者が主体的に評価に取り組むためには、各種の情報収集と分析、課題の構造化から指標に展開する思考プロセスが大切な要素となる。一部資料や議論についての練り込まれていない部分は、この部分の訓練不足に起因すると思われる。研修等でこのような基礎的なトレーニングを根付かせることも必要と思われる。」という御意見でございました。
 以上でございます。

○石田会長 ありがとうございます。
 それでは、西村先生から順によろしくお願いいたします。

○西村構成員 まず、分科会ヒアリングの感想といいますか、感触から話させていただきますと、一番思ったのは、東京都というのは非常に大きい組織なのだなと。部局によって、リアクションが全然違うのだなというのが第一印象でございました。要は、こちら構成員等側からの意見・質問等に対して非常に積極的に対応いただけるところと、もう最初から、何といいますか、ガードが固いといいますか、守備体制で臨まれる部局というところの両極端だったかなと。それが一概に良いとか悪いとかではなく、評価の仕組みになじみやすい事業をやっているところは、やはり良い評価書にしていきたいといいますか、積極的な制度構築をしていきたいという形で、こういうふうな指標はどうですかとか、こうしたらどうですかということについて、非常に肯定的といいますか、意欲的に取り入れていこうという部局もあったかと思います。この評価になじまないと思われているのかどうか、やはりなかなかアウトカム指標を出しづらいですとか、そういう事情を抱えていらっしゃる部局については、どうしても守備的な答弁が多かったかなと。「こうしたらどうですか」ということに対しても、「なかなか難しい」と。大変広い分野で東京都はやっていますので温度差が出るというのは当然のことだとは思うのですけれども、やはりそういった温度差が出るということを前提に考えていかなければいけないと思った次第です。
 これはまた後のところで話すべきなのかもしれませんけれども、今回、見える化のユニットという単位でやりましたが、それがうまくはまっている政策等ですね、あまりこのユニットでうまくはまっていないところがあったのかなと。これはまた後の評価対象のところで詳しく話したほうがいいのかと思いますけれども、初めに感想というところで言いますと、評価制度等がうまくはまりそうなところとそうでなさそうなところと。恐らく今後の課題としては、後者をどうしていくかということなのかと思います。もちろん、はまらないからやらなくていいという話にはすぐにはならないと思いますので、どのようにやっていくのがいいのか、今後もう少し詰めていく必要があるのかなと思います。
 以上でございます。

○出島専門調査員 出島です。よろしくお願いします。
 全体として、いろいろと懸念している部分はあったのですが、ヒアリングさせていただいて、思っていたようなネガティブな反応は少ないなと感じました。逆にもっと議論してもいいとか、時間切れになったとか、そういうものもあったのかなと思っています。積極的に発言というか議論に参加いただいたような印象も受けました。議論自体も建設的だったと思っています。せっかく準備に時間をかけていただいた部分については、その話す時間がもっとあったときに、それでは、その事業課・部局の方々がそれをすごく負担に思うかと言われると、そんなこともないかなと。そういうところももしかしたらあるかもしれないのですが、感想として言うことで許していただければ、そういう印象を受けました。
 また、今回のヒアリングを通じて良いなと思ったのが、良いなというのは、そもそも課題だと思ったのが、意外と指標がない政策分野が結構あったのだなということが分かりました。今回のこのヒアリング、政策評価の仕組みを機に指標を設定したという話もちらほらありましたので、それは非常に良かったかなと思っています。こういう仕組みが入ったが、新しいことを何もやることがなかったということではなく、この仕組みが入ったことに対する一定の成果があったと感じました。
 さらに、情報公開のところでまた話になるかもしれないのですけれども、全体の話を聞いていて、私も10年ぐらい都民をやっていたのですが、知らないことが結構多いというか、認知されていない取組が結構あるなと思っています。その中で認知度を目標に設定している政策分野もあったと思うのですが、そうしたものは積極的にその施策を周知することを目標に掲げても、少々具体的になってしまうのですけど、というところはあるかなと思いました。したがいまして、なかなか評価になじみづらい政策分野についても、その施策を都民の人に知ってもらうという部分については、成果として、指標として設定できるのかなという感想、印象を受けました。
 取り急ぎ感想は以上です。

○石田会長 では、大川専門調査員、お願いします。

○大川専門調査員 大川でございます。よろしくお願いします。
 感想ということで申しますと、繰り返しになってしまいますが、非常に多くのユニットに関わられている方とお話しさせていただきました。皆さん、紳士的といいますか、ある種こういった施策、議論というのは、自分たちで立てた指標を否定されるのではないかとネガティブにとられることも多いのですけども、仕事をしている中でそういった場面にもよく出くわすのですが、皆さん、そういった姿勢をあまり出すことはなく、きちんと議論に向き合っていただけたのかなというところは非常に良いと思いました。分科会の立場でなく、都民としても、こういった方たちが都政を担ってくださっているのだということがわかったのは私個人として学びでもありましたし、良かった点でもあったと思っております。
 非常に多様だったところが、良い点もあったのですけが、目標といいますか、指標を、各ユニット、いろいろなものを出されていました。当初から分かってはいたことでしたが、非常にばらつきがあったというのがなかなか難しいところだったと思っています。ばらつきというのは数もそうですし、一個一個の粒度、重さというのも違いました。また、指標というのは目標ですので、その質ですね、目標としての完成度といいますか、妥当性、ここにも大きなばらつきがありました。
 もう少々具体的に言うと、一般的にはこのSMARTということで、具体性とか測定可能性、達成可能、あとは経営目標に関係した、経営ではなく都庁なので都政の目標ということになると思うのですが、あとはタイムアウト、時間が決まっているということですね。これを全部満たせていたら良いだろうなと思うのですけども、一部のものは、これ達成不可能だと、担当しておられる方も認識されていると。そういった目標に向けて何か努力していこうというのは、なかなか難しいモチベーションになってしまうのかなとも思いますので、要件をきちんと満たせたものというように、少々レベルを底上げしてあげることが必要だったのかなと思いました。
 それを40分間で全部に対してやっていくということ自体がかなり難しい部分があったと思います。非常にエキサイティングで楽しい時間ではあったのですけども。完成した目標の前に、生煮えの段階で一緒に考えさせていただくとか、そういうことができれば、もう少しよかったのかなとか、もっとスコープを絞った上でもう少し時間をとるとか、そういう形の方が良かったのかなと感じた部分がありました。
 また、最後に、政策評価ということで取り組ませていただきましたが、この話をしていく中で、当然といえば当然ですが、予算の審査が別にあったと認識しております。そうしたときに、評価される方から見ると、同じようなことをここでもまたやっているとお感じになることも、やはりあったのではないかと途中で気づきました。したがいまして、取組自体の目標の位置づけをいま一度明らかにして、各部局、事務局、我々も認識しておく必要がある、目線を合わせておく必要があると、このように思っております。
 少々長くなってしまいました。ありがとうございます。

○中川専門調査員 2点申し上げたいと思うのですが、まず、一点は、今回、指標の見直しがあった一覧を御提示いただきまして、意見を受けこれだけ多くの変更があり、また、具体例として幾つか、先ほど御説明いただきましたけれども、非常にいい指標に変わっていると思います。今回のヒアリングは、一定の成果があったと感じております。
 また、もう一点は、ヒアリングの時間なのですけれども、各局40分では、短いと感じました。各局からの説明はなく、資料を見て、こちらから意見を述べるという形式でしたが、こちらが、各局の書いたものだけを読んでの意見なので、もっといろいろな背景とか、紙に書き切れないようないろんな情報が恐らくあると思うのですが、紙に書いてあることだけで判断することに非常に難しさを感じました。特に、私自身、東京都在住ではないものですから、そのお仕事の内容を、皆様ほどよく知らない部分が多々ありまして、本当に私が不勉強なだけなのですが、そういう普段のお仕事の内容であるとか、どういう目標を持って普段のお仕事を進められているのかとか、そういう大きな方針やお仕事の内容を聞いた上で、「その背景があってこの指標なのです」と説明していただくと、「そうであれば、もっとこういう指標のほうがいいのではないですか」というような提案もできたかなと思うのですが、情報が限られた中で提案するというのは難しかったなと。できれば、もう少し時間をとっていただいて、いろんな方針等についてもう少し広く説明していただいた上で意見交換ができると、より有意義だったのではないかと思いました。

○石田会長 ありがとうございました。
 それでは、最後に私のほうからも。先ほど、大川専門調査員、それから野間次長の方からもありましたが、全体的に各成果指標・目標に質的なばらつきが多くあるように感じました。施策の成果指標・目標というより、事業のアウトプット、アウトカム目標に近いものが多く掲げられているように思います。
 具体的に、例えば資料4がありますが、資料4の1ページ、「都民安全推進本部の交通安全対策」の指標1「区市町村等の交通安全教育にかかる研修会や講習会、イベントキャンペーンの参加人数」は、施策のアウトカム目標というより事業のアウトプット目標ですし、同じページの総務局の「外国人の人権問題(ヘイトスピーチ)」の指標1「ヘイトスピーチ解消を訴える啓発映像の視聴者数」も、初期アウトカムとは言えると思いますが、施策の最終アウトカムではないと思います。最終アウトカムは「ヘイトスピーチの根絶」であって、指標1はそれを達成する事業の目標のように感じます。
 同様に、指標2の「啓発プログラムの参加人数増加率」や指標3の「プログラム参加者のうち、関心・理解が深まったと考える人の割合」も、啓発プログラム事業のアウトプット、アウトカム目標だと思います。
 また、2ページの生活文化局の「消費者被害の未然防止と拡大防止」施策の究極のアウトカムは、施策名のとおり「未然防止と拡大防止」だと思いますが、指標1、2の「ホームページのアクセス数」や「SNSのフォロワー数」は、消費トラブルや消費生活センターの認知度を上げる事業の目標です。
 今の段階で具体的な指標を挙げることが困難であったとしても、各施策の究極のアウトカムを定性的にでも明らかにしないと、事業のアウトプット、初期アウトカムの達成に注力し、手段が目的化する危険があると思いました。
 3ページの住宅政策本部の「高齢者の住居対策」の指標、「サービス付き高齢者向け住宅等の供給戸数」も事業アウトプットです。最終アウトカムを、もし「安心して暮らしていると考える高齢者の割合」としたら、サービス付き高齢者向け住宅以外のほかの事業が考えられるかもしれません。
 また一方で、6ページの建設局の「無電柱化」は、施策そのものが事業アウトプットを求めるものなので目標はアウトプットにならざるを得ないと思います。
 いずれにせよ、施策の成果とは何なのか、アウトカム、アウトプットの定義について整理して、各現場に示した方が混乱が少ないのではないかと感じました。
 私からは以上です。
 では、次の議題です。続いて、「政策評価の制度上の改善点について」、事務局より説明をお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 それでは、資料6により御説明いたします。
 1ページをご覧ください。左側のローマ数字のⅠからⅣまでのテーマで今年度の政策評価のスキームを一覧として整理したものでございます。来年度からの制度改善に向けまして、四つのテーマそれぞれにつきまして、御議論の参考として、事務局から幾つかの論点を挙げさせていただいております。
 2ページをご覧ください。テーマⅠ、評価対象でございます。今年度のスキームでは、見える化改革の事業ユニットにおいて各局が設定しました「施策」ということで、おおむね施策レベルを対象としてございます。
 また、全55ユニットを所管する21の局が、それぞれ一つずつユニットを選定の上、そのユニットの全て又は、一部の施策を評価対象として選ぶこととしております。
 下の四角の囲みで論点として、評価対象とすべき施策について、3点挙げさせていただきました。
 一つ目でございますけども、全ての施策を評価対象とすべきか、一定の基準により重要な施策を評価対象に絞るべきかというものでございます。
 絞り込みに当たっての基準の例としましては、こちらにありますとおり、全庁的な実施計画である2020年に向けた実行プランですとか、この実行プランに掲げる政策のブラッシュアップや、次年度の予算編成を進めるに当たって、政策展開の大きな方向性などを毎年度示している重点政策方針のほか、局ごとに重点的に取り組むべき課題を選定するというようなものもあろうかと思います。
 次に、二つ目、テーマⅣとも関係しますけれども、施策の性質等を勘案して、政策評価の対象外とすべき施策があるのではないかという点、三つ目として、皆様方、ヒアリングでもお感じになられたかと思いますけれども、局間・事業ユニット間で異なる「施策」のレベル感をそろえる必要があるのかという点でございます。
 3ページ目では、テーマⅡ、評価手法でございます。今年度のスキームでは、当年度、施策ごとに、成果指標と目標を設定することとしており、原則として定量的なアウトカム指標としております。
 翌年度、こちら①から③までございますけど、成果指標の実績を基に施策の進捗状況を把握して、施策の分析を踏まえた上で今後の方向性を提示するという流れで評価を実施します。
 この①の成果指標の実績と施策の進捗状況の把握に当たっては、現在の評価書の様式ですと、各成果指標と施策全体で評語を設定するような形になってございます。
 具体的には、お手元の評価書、資料5ですけども、こちらをご覧いただきたいのですが、2ページをお開きいただきまして、政策評価シート、こちらは「治安対策」施策に関するものですけれども、四つの成果指標ごとに一番右側の「達成状況」の欄がございます。こちらに、シートの一番下のところに記載してありますとおり、目標の達成状況をaからcまでの評語で設定するようになってございます。
 そして、5ページをお開きください。施策の評価の欄でございますが、一番上の「施策全体の進捗状況」の「区分」の欄です。先ほどの四つの成果指標の達成状況を踏まえまして、施策全体として目標に向けて順調に進んでいるのかどうかという点で、AからCまでの3区分で設定するようになっております。
 資料6にお戻りいただきまして、3ページ目の今年度のスキームのところ、3点目でございますけども、評価は各局の自己評価としております。外部有識者、本分科会の関与でございますが、当年度の成果指標・目標の妥当性、翌年度の自己評価の妥当性に関する意見・助言の実施でございます。
 論点としては、大きく4点、挙げさせていただきました。
 まず、一つ目でございますけども、「施策」の性質について、例示もしておりますが、性質の異なる施策を評価対象とする中において、一律の手法や周期・サイクルで評価を実施することが適切かどうかという点でございます。
 次に、成果指標・目標の設定について、今年度のスキームによる設定方法で問題ないかという点でございます。
 三つ目、評価のあり方といたしまして、施策全体で評語を設定することは妥当なのかどうか。また、評価結果が適切に施策の改善につながるようにするためにはどうすべきかという点でございます。
 四つ目、外部有識者の関与の仕方につきましては、今年度のスキームでよいかどうかという点になります。
 続きまして、4ページをご覧ください。テーマⅢ、評価書・情報公開でございます。今年度のスキームにつきましては記載のとおりでございまして、評価書は全てホームページ上で公表しているところでございます。
 論点としましては、今年度の評価書をベースとして、サマリーを作成すべきか、評価書自体を簡素化すべきかというものでございます。
 最後に、テーマⅣ、既存の制度・仕組みとの関係でございます。今年度のスキームでは、成果指標の約半数以上が各局の行政計画等と重複しており、政策評価と類似のPDCAサイクルの制度や仕組みもあるところでございます。論点としまして、こうした既存の制度・仕組みとの関係をどのように考えるかという点を挙げさせていただきました。
 事務局からの説明は以上でございます。

○石田会長 御説明、ありがとうございました。
 それでは、再び意見交換に移ります。来年度からの改善点について、四つのテーマ別に事務局から論点が示されました。これら、テーマごとに御意見をいただき、議論したいと思います。最終的には、分科会での議論を踏まえ、都の制度構築に生かしていただくものでございます。本日は、皆様のさまざまなお考えをお聞かせいただきながら濶達な意見交換ができればと考えております。全体で約85分しかありませんので、テーマ四つ、テーマごとにお一人、また3分程度ずつ御意見をいただきたいと思います。
 では最初に、御欠席の山田専門調査員から意見があるということですので、事務局、代読をお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 テーマⅠ、評価対象に関しまして、二つ御意見をいただいてございます。
 1点目でございます。「現在の評価対象は局別及び事業ユニット別になっているが、政策的に局や事業ユニットを跨ぐテーマこそが重要である場合が多い。また、政策が複雑化するにつれて、その内容も各局を横断するものになる傾向があると思われる。局や事業ユニットの中で完結する施策については、従来の事業評価や予算要求プロセスと重複する部分も多いために、将来的には局別、事業ユニット別という縦割りの構造から脱却できるよう、部局を横断する施策を評価対象として特化することも検討したらどうか。」という意見でございます。
 2点目でございますけども、「どのような形でもアウトカムの指標設定は粒度も含めてばらつきが出てしまうのは必然であるため、あらゆる施策を一律ルール等で評価するものではなく、施策のタイプごとにグルーピングすることが必要ではないか。さらに、一定のカテゴライズから外れたものは評価対象から除外することも選択肢である。」という意見でございます。

○石田会長 ありがとうございました。
 ではまた、西村先生からお願いします。

○西村構成員 まず、評価対象ということで言いますと、今の山田専門調査員の意見とも少々近いところはあるのですが、ユニットで見たときに、ばちっとはまっているケースはいいのですけれども、そうでない場合、やはり何か別のことを考える必要がもしかしたらあるのかなと思います。具体的に何を言っているのかと申しますと、例えば、オリパラ準備局で多様な主体との連携という施策があるわけですが、多様な主体と連携すること自体は、実は施策としての目標なのかというと、それはおそらく違うのだろうと思います。その中を見ていきますと、指標が東京都スポーツ推進企業のような形で何社と連携したか、そして、そのほかにアスリート数がどれぐらい増えたか、障害がある方のスポーツ実施率はどれぐらい増えたかです。中を見てみると、全然違うことがアウトカムで同居してしまっています。本来、政策をチェックするという形で言うならば、そもそもその部局のミッションがあって、ミッションの中で幾つか達成すべき目標があって、その目標に対して事業があって、それが適切に目標の達成につながっているかどうかきちんと見ていけるかどうかというのが評価の基本的なつくりだと思います。ユニットによっては、一つの施策の中に幾つか、まだ施策のようなものが入ってしまい、同居してしまっていて、同時進行で複数の施策をチェックする形になってしまっているものもあったのかなと。そうではなくて、一つのユニットの中の目標がかなり先鋭化していて、幾つかアウトカムの目標が複数あったとしても、結果的に方向は同じところを見ているというようになっていれば、個別の事業が行われた結果、うまく目標達成につながっていますねと言えるケースも相当あったとは思うのですけれども、この場では課題に感じたところを言ったほうがいいと思いましたので、まず、その評価対象というところでは、見える化のユニットというのは、見える化のときにはよかったかもしれないのですが、評価のときには不適切な場合もあるかもしれないという点は、少し今後見たほうがいいのかなと。
 また、同じく、単年度できちんと、かなり丁寧な評価をするべき施策もあれば、先ほどの人権啓発ではないですけれども、1年で何か成果が上がるというような性質ではない場合には、やはり一定期間の、5年なら5年の目標期間を与え、その中で中長期的にどれぐらい成果が上がるかと。もちろん単年度ごとに、それがきちんと、中間的にチェックしていきますというのはあるべきだとは思うのですが、毎年度、毎年度、最終評価のような形でやっていくというのはあまり適切でない施策もあるのかなと思います。むしろそういった長期的にきちんと測っていくということであれば、人権啓発のような非常に難しい、単年度でアウトカムをつかんでいくのは難しいことでも、5年、これだけやって、こんなに成果が上がってすごいねなのか、5年やってこんなに変わらないのだったらやり方を大きく変えたらいいのではないですかということになるのかと。もちろんやり続けることに意味があるという部分もあるとは思うのですが、毎年度全く同じ形で全事業をやる、全施策をやるというよりは、少し中長期で見るものと毎年度見るものと、あるいはそのユニットの単位も現状でいくものと少し組みかえを考えるものというのは、もう一工夫あるとよりよくなるのではないかというのが評価対象についての私の意見でございます。

○出島専門調査員 先ほど、石田会長が言われた点と、今、西村先生が言われた、単年度、短期的な話と中長期的な話というところはそのとおりだと感じています。何を言っているかというと、今回の政策評価、対象というよりは政策評価そのものなのですが、初期アウトカムの話と中長期アウトカムの話が結構ごっちゃになって議論していたなという反省がありまして。釈迦に説法になるのですが、大川専門調査員にも。ロジックモデルというものが政策評価の分野にあって、アウトプットがあって、初期アウトカムがあって、中長期アウトカムがあって、社会インパクトが出るという、こういうロジックがあるのです。企業だと、何か施策を打つと、それが経済的に、売り上げ・利益につながるという単純なのですが、行政だと、その施策の効果が、時間が経って発現するということがあるので、そういった形で分けて整理することがありますと。先ほどの消費生活センターの例でいくと、アウトプットは消費生活センターというのを、窓口も設置しますというのがあって、個人的には、その認知度が上がるとか、そういうことが知られるということに対して、きちんと指標が設定されたことに対して、これはすばらしいことだと思いました。
 一方で、それでは、それが本当に消費者被害ですか、それが下がっているかという、その中長期アウトカムはきちんと押さえなければいけないという議論ができているのかと言われると、それはやはり課題になるので、この何か初期的なアウトカムと中長期的なアウトカムが、きちんとこの評価の中でカバーできるような、そして、それができると社会的インパクトとして安心な暮らしとかということになっていくのだと思うのですが、そうしたロジックをきちんと整理するというのを各分野について実施していくことに対して、この評価制度は価値があるのかなと思います。
 そして、対象についてですが、そうした各施策のやること、アウトプットがあって、初期のアウトカムがあって、中長期でアウトカムが出てくることに対しては、どの施策もそれはあるべきだと思います。したがいまして、何らかの形で自己評価なのか、各部局でそれはやられておくべきかと。それは実際にきちんと行われているかということに対して横串でチェックをすることが必要なのではないかと考えます。きちんと行われているかどうかのチェックという、そのプロセスのチェックを全部局横断で一つやらなければいけないのかなと。
 もう一つ、先ほど、西村先生や山田専門調査員も言われたような、部局を跨いだりとか、少々課題が難しかったり、あるいは、中長期的に重要度が高いものについては、特出しで政策評価を行うといったこともあってもいいのではないかと思います。イメージになるのですが、全体を網羅してきちんとそのプロセスが回っているかをチェックする守りの政策評価のようなイメージと、あとは、部局もまたぐし、都庁として力を入れていかなければいけない、攻めていくような、ハンズオンというか、アクティブに入っていくような、そうした対象に分かれてもいいのではないかという、二段になるようにと申しますか、そうしたものもあってもいいのかなと感じました。
 以上です。

○大川専門調査員 評価対象ですが、先ほども申し上げましたが、この政策評価というものの位置づけもありきで、話が変わってきてしまうのではないかと思っています。先ほどの事務局案の論点にもありましたが、ほかにもPDCAサイクルを回していたり、予算の審査もある中で、この政策評価は何を目的にしているのかが、少々自分の中ではまだはっきりと、実は持てていないというのがあります。普通に考えれば、予算の審査やほかのPDCAがカバーできていないところを担うというのが無駄、重複感もなくて良いのだろうと思っています。そうしたときに、ここの位置づけというのは、都政として非常に重視すべき施策を蓋然性高く実行できるような仕組みであるということと、それを都民に広く知らしめて、都政に対する透明性、運営に対して都民からもきちんと評価してもらうと、このあたりなのではないかなと。全ての施策を網羅的に判断するものではないのではないかと考える目線で申し上げると、まず範囲というのはおのずと絞られてくると思います。山田専門調査員のところにもありましたが、たとえば、内部啓発系や、内部の改善、下水道やバス・電車といったPL、彼らの中でも経済指標をもって運営しているようなものなどが幾つかあったと思います。そういうもののPL、彼らの収益目標を持って運営しているようなものは、はっきりと分かるわけですし、そこの押さえるべき利益というところもおのずと明確になってきているので、こういったものは放っておいても失敗せずに運営されていくのではないかと思います。とすると、本施策で一生懸命評価するという対象からは、普通の運営であれば外れてくるのではないかなと。
 そうしたときに、都政として大きなことをなし得たいというプロジェクト的な、中期的に取り組み、達成できるようなもの、これをきちんと進むのだということ。これを達成したときに、どのようなアウトカムが都民にもたらされるのかと、ここをきちんと評価することが必要だと思っています。そのときのアウトカムというのが、先ほど出島専門調査員もおっしゃられていましたが、最終的な社会インパクトがいきなり出てくるわけではないと。少々違いますが、CO2削減量がそれに近かったのかなと思います。CO2の削減が目標ですが、一個一個の施策をやったらCO2の削減量が本当に下がりますというものでは直ちにはないので、その中間のアウトプットといいますかアウトカム、そちらをきちんと定義して評価していくことが大事なのかなと思います。
 まとめますと、全てに対して評価すべきではないのではないか、重要な施策に絞るべきであるということで、この重要な施策というのを策定するときに、どのように評価するのかもセットで施策を考えておくということが大事なのかなと。毎年毎年評価するもの、そうではなく、中間的なアウトカムを設定して評価すると、それかなじむもの。こういったことも合わせた上で施策を立てて、それを都庁としてきちんと進められるように評価すると、こういう形で評価対象を絞り込み、力点、フォーカスを当ててやっていくのが効果の面でも、効率の面でも良いのではないかと考えております。

○中川専門調査員 全施策を評価対象とすべきか、重要な施策を一定の基準のもと絞り込むべきかという点につきまして、私は、これは東京都として、その施策評価から何を得たいのかによって変わってくると思います。東京都として施策評価から、重点的な施策や計画の進捗状況、成果を知ることに重点を置くのか、あるいはそういう重点施策から浮かび上がってこないような非常に日常的といいますか、割と地味で普段目が届きにくいような仕事まで成果志向を浸透させることを目的とするのかで変わってくると思っています。前者の重点的な施策については、長期戦略にしても重点政策方針にしても、これはこれで、そういう成果指標とか目標が別途設けられるのではないかと思っていまして、もしそうであれば、どちらかというと後者の方をこの施策評価としては目指すのかなと私は思いました。ただ、そちらと重点的なものと2種類あって、それぞれ強弱をつけてやっていくという方法もあると思うのですが、私の意見としては、絶対こちらが良いですというよりは、東京都として、政策評価から何を得たいのかを重視して決めるべきではないかと思います。
 また、部局横断の話が構成員等の先生から出ましたけれども、これについては私もヒアリングをしていて非常に感じまして、まず、この政策評価を各局・ユニットごとで最初に切ってしまったことによって、横断的なものの評価が少し実施しづらかった点が幾つかあったと思います。恐らくそのように局から切って入ってしまうと、横断的なものが拾い切れていないおそれもあると思います。その場合は、選び方で、総合計画等から入っていくか、あるいは局でやっていく中でそういう共通のものが出れば、共通のものはまた別途評価しましょうという形で別出しにするかとか、そういうことを行わなければ、部局横断の評価というのは、今のままでは少し難しいといいますか、今のやり方にははまっていないと思いました。
 粒度については、これは確かに私もヒアリングをしていて感じていまして、部局の規模が小さければ、評価対象も非常に小さくなる傾向があると思います。こちらについては、あまりに小さなものを評価対象にするというのは、そもそも求めていないと思いますので、一定の予算規模とか人員規模のようななのを示されてもいいのかなと思いました。

○石田会長 では、私のほうから。全庁的に成果重視の都政運営を目指すのであれば、私は原則、全施策対象で良いと思います。ただ、ユニットによっては施策で分ける必要がないと思われるものもあるのではないかと感じました。例えば産業労働局の農林水産業対策の農業支援は3施策ありますが、複数施策が追求する最終アウトカムが同じなら一つにまとめたほうが良いように思います。
 また、先ほど大川専門調査員もおっしゃっていましたが、上下水道、病院、交通事業など、既に外部委員会が関与して策定した経営戦略計画等があって、成果重視の目標値があるものについては評価対象から外しても良いと思います。
 さらに、今回、試行ということで21ユニットで実施したわけですが、まだ制度が固まっていないので、これを来年度、全55ユニットに拡大するということはせず、もう少し精緻化を図った上で拡大された方が良いように思いました。
 それでは、次、テーマⅡ、評価手法について。また事務局から山田専門調査員の御意見の御紹介をお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 テーマⅡにつきましても、2点ほど御意見をいただいてございます。
 1点目でございます。「政策については中長期かつ複数年度で形成されているものも多数存在すると思われるため、評価手法も中長期・多年度で評価できるようなものが望ましい。それにより予算や一部の事業との違いが明確になると思われる。」
 2点目でございます。「中長期、複数年度の評価は、ともすれば硬直化・自己目的化しやすいので、併せて評価手法の有効性についても定期的に点検することが望ましい。」
 以上でございます。

○石田会長 では、西村先生、お願いします。

○西村構成員 それでは、評価手法ですが、全体に強く感じましたのは、まず、今年はスタートの年だったということもあり、施策の目標とその実現手段たる個別の事業の集合が、なぜこの事業が集まると、このアウトカムになるのだろうというのが、やはり幾つかあったかなと思います。つまり、目的と手段の連関の詰めが非常にまだ甘いといいますか、本当にこの事業をやるとこのアウトカムにつながるのかというものが幾つかあったかなと。うまい具合に説明がつく形でつながっているものも多かったと思うのですが、手法の改善点といいますと、やはり目標を設定する段階で、本当にこの目標の設定の仕方でよいのかというところを一度きちんと詰めていくことが必要なのかなと。あるいは、この制度が走り出しても、しばらくの間はそういった形で、この目標の設定の仕方はどうなのでしょうかと今回の試行実施でもやりましたが、そのような行ったり来たりが少しなければ、精度の高い目的、手段の連関がうまくつながっているというところまで行くには、少々まだ時間がかかるという気はいたしました。また、意識してそこはつなげていかなければ、何のために評価をやってるのかという話になってしまうと思いますので、そこは1点、課題だなと思っております。
 そのほか、大川専門調査員初め、様々な方から御指摘があるように、この評価制度で何を実現したいのか、この評価制度に何を期待するのか、評価制度自体の目標は何かというところは、やはり早晩詰める必要があると思います。目標による管理を徹底して、そのために評価制度を導入していくということであれば、そのように設計していくべきですし、そうではなくて、日常的な政策の改善だということであれば、また別の形で、例えば事業が過剰に重複していないかとか、そういったところだけまず重点的に見ていくなど。非常に多くの施策が都庁にはあるので、何のためにこの評価制度をやるのかをきちんとしないと、ぶれていってしまうのかなと。評価しやすいところへ、私のところはこう見てくださいという方向に流れていってしまって、評価自体はきれいだけれども、結局これは何の役に立っているのかという話になってしまうと非常にもったいないと思います。したがいまして、やはり早晩詰めていただくと。それに沿う形で最適な制度化とは何かというところに、進んでいかざるを得ないのかなと思います。
 また、いずれにしても、目的と手段の整合性はとれているかどうかは、この施策で見ていくときの肝だと思いますので、事業であれば、これだけこの事業にこのお金を費やしました、これだけアウトプット、アウトカムが出ましたと比較的単位が小さいので見やすいと思うのですが、施策の厄介なところは、事業の集合体として見ていきますので、その目的・手段の連関がきちんと詰まっているかどうかというのが一番気になったというか、一番肝になるところ、今後大事だと思っておるところでございます。
 以上でございます。

○出島専門調査員 もう構成員等の方々のおっしゃるとおりで、その評価を全庁的な成果意識の浸透とするかですね。あるいは、施策そのものをよくしていこうと、この評価を使ってというところで、私の言葉では、全体に浸透していこうというのは網羅的に、体系的に実施していきましょうとなるのですが、それであれば、評価手法はある程度プロセスのチェックのような、きちんとこういう分析をしていますか、初期アウトカムは設定できていますか、中長期的にはどうつながるのですかというような、そうしたプロセスを一個一個チェックしていくような、比較的手引のような。そして、それをできれば言語化、明文化していき手引ができてというようなことができていくことによって、全庁的にそういった意識を啓発していく仕掛けにもなろうかと思います。
 最初、もう一つの、よりこの評価を入り込んでやることによって、もっとこの評価指標は使えるだろうとか、この施策だったら、もっとこのような指標を使ったらいいのではないかとか、この目標では低過ぎるというのは、やはり今これだけ専門の先生が集まられても全部をおそらく網羅できるわけではないので、何らか、それに対して評価手法の工夫はあるのかなと思っています。何が言いたいかというと、私自身も産業労働とか教育のあたりを他の自治体で見ている関係で、そういうところだと、この指標は、もう少しこのようにできるでしょうという土地勘があるのですが、都市土木、建築土木とか、セーフティーネット系のところは私、あまりその議論に参加する機会がない。そうすると、なかなか土地勘がなくて良い助言ができていなかったかなと反省するものがありました。そうしたときに、そういうところについては、この分科会の中で外部の人をさらに呼んでくるのか、あるいは部局の方でそういった評価を入れ足すのかとあると思うのですが、すべてこの分科会の中で完結するのではなくて、さらに他の深掘りしていくリソースを活用するといった議論があってもいいのかなと思いました。
 また、最初に言い忘れたのですけれども、もう大川専門調査員、会長がおっしゃっていたのですが、既に外部有識者会議を全8回とか10回とか評価をやっている、そういう計画を立てている、そういうものについては、確かに対象から外すことによって、そういう意味では、既に深い議論ができていると、有識者はその分野で集めてやっているので、そこは対象から外した上で、それ以外のものについて網羅的にそういう評価の仕組みをしっかり、プロセスとして担保されているものかということと、やはりこれは重点的に、もう少し突っ込んで評価を入れるべきではないかということ。そして、もう少し突っ込んでやる部分については、さらにその外のリソースを活用するような部分があってもいいのではないかと思います。始まる段階で全ての分野でそうした知見、専門性が準備されているというのは少々過剰かと思うので、必要に応じて外のそうした知見も活用できるような仕組みがあっても良いのではないかと感じたところです。
 以上です。

○大川専門調査員 先ほど言ったことと重複してしまいますので、目的ありきで、それは評価の手法も変わってくるということはあると思います。
 先ほども申し上げましたし、皆さんもおっしゃっておられますが、既に散々ほかの手法によって、または明確な利益目標によって評価されているものは、政策評価を使って評価をしっかりと行う、査定をするという重要性は低いのではないかというのは、皆さんの御意見としてもあるのかなと思っています。残りやすいものというのは、おそらく、都民啓蒙系のものや事業者の方を啓蒙するようなものというのは、そこまで評価指標が構造的に明確化されているものでもないですし、外部の方を使っているものでもないのかなと思います。先ほど、ちょうど例に出ていた消費生活センターや、ヘイトスピーチの件数を、ヘイトスピーチを撲滅しましょうとか、こういったものはなかなか深掘りされていないのではないかなと思います。ただ、一方できちんとやらなくてはいけない施策なので、そういったものをきちんと有効に改善していきましょうという意味は確かにある程度あると思います。こういうことをやろうと、評価しようとしたときに、アウトプットとアウトカムをしっかり設定されていないと、やはり手段と目的が逆転するということが起きてしまうと。SNSの露出件数が目標だとしたときに、それをやったからといって本当に啓蒙によって社会がよくなるのかは、本当はわからないわけなので、やはりそれは効果がないねと。または、変な形でみんなに周知されてしまい、逆効果だったということになれば、手段として落とさなくてはいけない、変えていかなくてはいけないということが起こる分野だと思うわけです。したがいまして、この評価手法ということを言ったときに、かなり慎重にといいますか、手引をつくった上でこの施策のアウトカム、目標というのはこれだと認識した上で、ぶら下がる施策があって、指標があって評価するというふうにならないといけないのかなと。いろいろ何を言っているかと言うと、きちんとロジックを立てた上で評価することと、目的と手段が入れかわらないように注意をしていくと。それを徹底していく、周知することが、この政策評価の対象になるであろう事業においては、特に重要なのではないかと思っています。これをやるためには、やはり政策を立てる段階でこういった大目標を達成するためには、これをやる必要があるのではないかというロジックが立てられていないとだめで、もし、こんなことはないかもしれませんが、思いつきでSNSをやったらいいのではないのかと。それでたまたま予算が通ってしまったと。このような形でやっているとすると、容易に手段と目的が逆転しがちになるので、きちんと大目標から施策を立てていくということができているというのが、そもそも評価するための前提になる
と思っています。評価手法の話でしたけども、政策立案の手法と、これは表裏一体なのではないかなと思いますので、そこのあたりから少々立ち戻って評価についても考える必要があると思います。

○中川専門調査員 議題に上がっている二つ目の成果指標・目標の設定についてと、原則はアウトカムだが、設定が困難な場合は定量的なアウトプット指標も可能というところで、こちらについては、ヒアリングをしていて、全てアウトカム指標で、かつ定量的なものというのは少し難しいなという感じを受けました。もちろんアウトカム指標が設定できればしていただくといいと思うのですが、ヒアリングした中では環境局のCO2の削減とか、データがどうしても遅れるものがあります。会計管理局はキャッシュレス化の推進のお話がありまして、こちらも全体のキャッシュレス化すべき対象がどれだけあって、今、どれだけ進んでいるのか、そういう指標設定ができませんかというお話をしましたが、結局は、定量的なものではなくて、言葉で今後拡充していくという目標にされたと伺っています。できる限りキャッシュレス化を会計管理局は推進するミッションを持っているけれども、全てにおいて全部キャッシュレス化をしないといけない、そういう義務であるとか、そういう目標設定をしているかというとそうではないときに、無理やり定量的な指標を設定させるということは、やはり無理だと思いますので、目標としてはこういう書き方にならざるを得ないのかなと思いました。全てにおいて定量的なアウトプット、アウトカム指標を設定するというのは難しく、いたし方ないと思いました。
 2点目、その下の評価のあり方の評語というところで、AやB等をつけるかという点について、これは賛否が分かれると思うのですが、私はあったほうがいいと思います。結局、全体として達成できたのかできていないのかが、AからDで書くことによって一目でわかりますし、分かりやすさの面からは、私はあったほうがいいのかなと思います。もちろん局によって、そのつけ方の評価の仕方の差が出たりであるとか、あるいはよく見せようとしたりであるとか、いろいろな弊害はあるかもしれないですが、私はわかりやすさの面ではあったほうがいいかなと思いました。
 以上です。

○石田会長 では、私のほうからも意見を。今回、21局39施策で、当初、167ページの評価書になりました。これを全21局が全施策99あるのですが、実施した場合は424ページになります。さらに、全55ユニットに拡大した場合は、おそらく1,000ページを超えることになります。膨大過ぎて、今回の167ページでも膨大過ぎて、焦点がぼけ、都民への説明責任を果たしているとは言いがたいと思います。また、この手法で成果重視の都政運営を促進できるかについては、個人的には大いに疑問に思っています。アドバイザリー会議の親会のほうでは、「透明化、簡素化、分権化」ということが言われていますので、この三つをキーワードに、都民、それから都政の内外でわかりやすく説得性があり、現場が主体的に取り組むことができる、もう少し変えた仕組みにすることが必要だと考えています。
 個人的なアイデアとしては、事業1本ずつについては、もう既に財政課の事業評価があるので、もう評価書には記載しない。ここでやりたいのは、施策のアウトカムから見たぶら下がっている各事業の見直しとか再編とか優先順位づけだと考えます。したがって、A4判1枚で各局、各施策の現状と課題、それから、最終アウトカム、成果目標と実績、そして、主な事業2、3本と全体の予算額を示すにとどめて、アウトカム目標を達成した局と達成していない局で事務負担に差をつける。先ほど何度も、大川専門調査員、それから出島専門調査員も、プロセスとかロジックモデルの作成のほうが大事だと指摘されています。目標未達のところはきちんと詳細なロジックモデルを作成し、オープンにしてもらう。オープンにするということはきちんと作らなければいけないということです。さらに、未達の原因分析と今後の対策を明示させる。もしくは外部評価委員会のレビューを受ける。
 また、今の話と同じですけれども、評価書の作成だけではロジックモデルを作成したかどうかは私たちも見えないし、中の人たちもやるかどうかわからないですよね。また、単に「それをやりなさい」と言っても急にはできないので、これはロジックモデルの作成やほかのマネジメントツールでもいいのですが、きちんとした研修体制を構築する。それと同時に、やはり行政改革課が特定の局と共同で、それは普及啓発系、内部管理系ごとに、やはり優良なモデルを策定・運営・開示して、みんなに見せて横展開を図る。そのようなことをしなければ、ただ各部局に「やってね」と言っても難しいと思います。さらに、その分権化ということで言うと、1事業年度が終わってから振り返ると、次の予算や計画に反映させるのは1年以上遅れてしまいます。そのため、出島専門調査員のおやりになった広島県のように、やはり目標アウトカムは四半期や半期の目標をつくって、年度中に各事業の見直しができるよう、各局・ユニットに、施策の予算の枠内で事業の見直しができるような裁量権を与える。そのようなことをしないと、スピード感は出ないと思います。
 また、外部有識者の関与の仕方については、毎年、全施策を対象とするのではなく、ローリングしたり、あるいは先ほどのようにアウトカム未達の施策について重点的に行うなど、工夫した方が良いと考えました。
 では、テーマⅢ、評価書・情報公開について。また、これも山田専門調査員の意見を事務局、代読をお願いいたします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 それでは、山田専門調査員の御意見でございます。
 「評価書をサマライズするなど、分かりやすい内容であることは重要であるが、加えて、単に情報公開をするだけではなく、内容についてのフィードバックを得る機会を作ることも重要と思われる。どの政策について都民の関心が高いのかを把握することは、今後の政策を検討することについて有用であると思われる。」という御意見でございます。

○石田会長 ありがとうございました。
 では、西村先生、お願いします。

○西村構成員 評価書についてということでございますが、もう既に会長のほうからも御指摘がありましたが、私はまずA4判1枚でもぱっと見てわかる評価書というのは一つ重要だろうと思います。これは、誰に対するアカウンタビリティーなのかが重要だと思ってまして、やはり都民の方々、特に都庁に詳しくない都民の方でもその評価書を見て、これは何が書いてあるかわからないと思ってがっかりして、もう見るのやめようということではなく、少なくともこの部局はこういうことやっていて、それについてどれぐらい成果が上がっているのかというのがぱっと見てわかるようなものは一つ必要だろうとは思います。ただ、その評価の適正性の担保といいますか、客観性の担保という意味では、そこからさらにさかのぼって、その評価がどういうプロセスで実施されたのかというのを第三者が検証とまでいかなくとも、確認できるような仕組みが私は必要だと思っております。そうでなければ、逆に成績のいい部局については、これは何か隠してるのかといった、なぜいい成績なのかというのがわかるようにしてやらないと、かえってお手盛りなのではないのかという、余計な疑念を抱かれるおそれもなきにしもあらずかなと思います。
 さらに言えば、我々のような専門家に対するアカウンタビリティー、情報公開という点では、都庁ではこういう事業を行っていて、その結果、こういう評価があって、こういうような全体の成果が上がっていますというものを、やはりデータとして丁寧に出していただけるほうが、研究者の立場として非常にありがたいと思いますし、恐らくそれぞれの施策分野に深くかかわっている人々も、都庁に対して何か政策的な提言であるとか、さまざまな意見を上げていくというときに、都ではこういう取組をやっています、評価を見てくださいというような形できちんと都が取り組んでいることが詳しくもわかる。ただ、そうではなく、日常の生活を送っているサラリーマンの方々が、そこまで深く知りたいかというと、そうでもないだろうというところで言えば、やはり一枚紙のものが当然あるという形で、先ほど1,000ページに上る可能性があるというお話でしたが、今は紙で印刷しなくてもネットでダウンロードすれば、興味のある人はダウンロードできるので、別に私も印刷して個別に配布する必要があるとはあまり思ってはいませんけれども、繰り返しになりますが、その正確性ですとか客観性ですね、こういったものがきちんと担保されていますよということを示すためにも、あるいはその手続の適正性といったものをたどれる、トレーサビリティーのようなものを与えるためには、どういう手順で何を評価したのかがある程度さかのぼれるようにしておいたほうがいいと思います。ただ、そのこと自体が最終成果物になってしまうと非常に煩雑ですので、直感的にわかるような評価書をまずつくるということが重要なのかなというふうに思います。
 以上でございます。

○出島専門調査員 評価の情報公開という意味では、よほどのことがない限りは都庁の評価制度を一都民が積極的に見るということはあまりないのではないかと思います。どちらかというと、オープンデータのときもそうなのですが、情報がきちんと隠されずに出ていることは、非常に重要なことがあるのかなと。こういうところで個人的にはそういうふうに思います。ただ、網羅的に公開されているものについても見やすさというのがあるので、論文のデータベースがあるときにタイトルとエグゼクティブサマリーがあって、それをドリルダウン、クリックすると、さらに深い情報に入るというような、そうした見やすさの工夫のような部分については、あった方が良いかなと。ただ、その評価のデータベースというものがあって、これを無理に分かりやすくするというよりは、サマリーが並んでいて、クリックすればきちんと深く入るという体系的なものであったほうが私としては見やすいかなと思っています。
 一方で、必ずしも政策評価に限った話ではないのですが、施策をきちんと伝える、都民に伝えるという意味では、先ほど少々お話をしたのですが、認知度がきちんと初期アウトカムの中に入っていると、各施策レベルで情報発信を、無電柱化であればこのようになっています、このように実施していますというところは、その施策の情報公開、情報発信としてやっておくべきで、一般的な都民、市民については、そちらのほうが関心のあるところなのかなと個人的には感じているところです。そのため、政策評価の情報公開という意味では、網羅的データベースのようなもののがあって、それが検索しやすい形になっている、ユーザーフレンドリーな形になっているということで担保されていれば、個人的には十分ではないかなと思うことと、一方で、都政が取り組んでいることをもっと積極的に発信しなければいけないというところは、総務局と改革本部がやるよりは、各施策の事業者あるいはその広報部門が実施していかなければ、逆に様々なところから施策の情報発信を受けても、都民としても情報過多になるのではないかなと個人的には思っています。
 以上です。

○大川専門調査員 評価書・情報公開ということでは、追認といいますか、同じような話になりますけれども、きちんと評価しているという意味では、閲覧性があって、網羅性、少なくとも評価した範囲で網羅性があるという形でまとまっている必要があって、それが都民がリーチしやすいような形で公開されている必要はあるのかなと。その際に、当たり前のことではありますけれども、各局のフォーマットが違うとか、書いてある分量が、あるところでは1行しか書いていないけど、あるところでは膨大な何千枚にも、何千文字にもなっているとかというのは、おそらく見ているほうは同じものでも見にくいと思いますので、中身の粒度まで合わせたような形で、深く見ようと思えば見えるようになっていることは必要なのかなと。みんなで1,000枚見るというのは、やはり非現実的だと思いますので、サマリーがあるというのは大事だと思います。ただ、都政のマニアというか、そういうものをきちんとチェックしたいという使命感あふれる都民の方も当然おられると思いますので、そういった方が見る上では細分化された情報もあったほうがいいのかなと思います。
 紙でA4判1枚というのは基本としては必要なのかなと思いますが、さらにそれに加えて、昨今、動画、動画ということでいろいろ言われているので、30秒でサマリーをまとめた動画というのを例えば、皆さんでつくってみるとか、さらに詳細を知りたい方は各55ユニットそれぞれが30秒ぐらいで自分たちの評価を自分たちで説明するような動画をつくり、WEB上で公開するとか、そういった形で実施してみてもおもしろいのかなと。都民の目からよく見るということと、そのビュー数を振り返っていただいて、自分たちのところがどれだけ注目されているのか客観的に見てみるというのも事業の、都民に対してどういうところが興味を持たれているのかということだったりとか、開示の仕方、そういったところの改善にも役立つのかなと思いますので、所管だけではなくて、別のメディアでというものも公開の仕方として考えてみるのはおもしろいのではないかと思います。

○中川専門調査員 そうですね、公表資料としてですが、私は、今の評価書を公表用にわかりやすいものに変えるというよりは、これを総括する報告書のような形で出せば、それでいいと思います。今回の評価がこういうプロセスを経て出てきて、その結果、こうだったというようなサマリーがあればそれでいいかなと思います。したがいまして、ここの議題に上がっているサマリー作成に近いような形かなと思います。
 評価書自体の簡素化については、それは賛成でして、特に、ここにも書いていますが、「主な取組」以降のところでかなり詳しく事業であるとか指標も上がっています。しかし、今の既存の施策にぶら下がっている事業の情報にアクセスができれば、もうここはなくてもいいかなと思います。具体的には、その事業の評価書に飛ぶとか、事業の取組がわかるところに飛ぶとか、そういうことでもし簡素化ができるのであれば、簡素化してもいいかなと思います。外部向けにわかりやすくするために簡素化するというよりは、どちらかというと事務負担の軽減のための簡素化というように考えています。
 また、利用する側の立場から言いますと、私、包括外部監査などでこのような評価書は、関係するところについては必ず目を通します。その場合は情報が多いほうがやはりよく、あまり簡素化してしまっていると、結局欲しい情報が載っていないということもありますので、事務負担軽減のために「主な取組」の事業の記載をやめて既存の資料に飛ぶというような簡素化を除き、評価書自体はあまり簡素化しなくてもいいというのが個人的な意見です。

○水町構成員 別の会議が入っておりましたので、遅れまして申し訳ございませんでした。
 評価書・情報公開のあり方の点について、既にいろいろ御意見をいただいておりますので、私からは少々観点を変えて、自分が政策評価ではなく、別のPIAという評価書の様式をつくったときの経験をお話しできればと思います。
 特に簡素化の例の1ポツ目、2ポツ目に関わるところになるのですが、評価書の記載事項のみを明示して、原課の自由裁量により作成するというパターンで最初は評価書様式を作成しました。そのほうが、様式によっては業務ごとに当てはまらない部分とか、書きづらい部分とか、また、この業務であれば、ここは厚く書かなければいけないが、ここはあまり書かないでもいいとか、そういうものがありますので、そういう意味では、簡素化の1ポツの記載事項のみ明示して、あとはもう自由にやってくださいというほうがいいと私は最初、思いました。評価書様式を公表したら、行政機関も含めて各自治体から大変強い御批判を受けまして、何をどう書けばよいのかわからないと。具体的に書くべき内容をサンプルとともに示してくれなければ一切できませんという御批判が非常に強くて、結局、今の政策評価様式のように枠をつくって、ここにはこれを書きます、ここにはこれを書きますという記載要領もつくり、こういうのを書きましょうという様式にしました。それで案文で示したところ、そういう批判はなくなりました。何を書けばいいかわかりませんという批判はなくなったのですけれども、それでは、現実どうなったかといいますと、この政策評価は非常にボリュームが多いという御意見が多数出ておりますが、私がやったPIAは1事業が多いものは100ページになってしまいまして、基本的には読めません。私は読んでいますが、おそらく、日本で読んでいる人が数人とか10人とか。仕事の担当者ですらおそらく通読しているかなというぐらい。おそらく、担当者ですら通読していないのではないかなというレベルのものができ、それが継ぎはぎ、継ぎはぎで、全貌を把握できている担当者がいるのかなというぐらいになってしまったということがあります。これは難しいところで、1ポツの自由裁量により作成したほうがいいものはできるのですが、ただ、原課や実施する側にとってみると、何をどう書けばいいのかわからないし、それをまず政策評価として何を書かなければ、どういう意味で、こういう構成でとかいうものをきちんと自分で理解して、それを一回つくらないといけません。一回つくってサンプルがたまってくると1ポツのほうがうまくいくのですが、そこのハードルが高いので、評価書の様式としては結構批判が出るかなと。都はわかりませんが、そういう可能性があると。今みたいに評価書様式を示すと取っつきやすく、とりあえず埋めればいいということで、作業者の負担は減るのですが、少々読みづらかったり、事業ごとの特性に合わないものも出てしまう可能性があると。しかし、ここは非常に難しいところで、私ももう数年かけて考えまして、今、もし自分が評価書作成をやり直すとしたらというのに取り組んでいるのですが、これが政策評価に当てはまるかわかりませんけれども、今、私はサマリー作成のような形で各自治体に示しています。その評価書のここの欄にはこういうことを書きますといったものをパワーポイントで、ローマ数字Ⅰの部分はタイトルでこういうことを書きましょう、サンプルのような感じで、パワーポイントで10枚、20枚程度で書き、それを埋めていくという形でやっています。意外とサマリー作成と簡素化が一体的に、一緒にできる可能性というのもある。もちろんできない可能性もあるのですが。結局、何が言いたいかというと、都民がこれだと分かりづらいという御意見が多数ありましたけれども、作業する書く側にとっても難しい様式はやはり難しく、異動等もあるので、今やっている方は良いとしても、次の方がここに何を書くかというのがぱっとわかるような形でなければ、なかなか継続的にやっていく様式としては難しいので、作業する側にとっても書きやすい、ぱっと見てわかるような様式にしたほうがいいと思います。
 あとは、もう既存のありものの資料があるものは、それへのリンクでいいという形で。数字の転記とかも大変でしょうから、その作業負荷を軽減する方向でやったらいいのかなと思っています。
 以上です。

○石田会長 では、私のほうから。先ほども申し上げましたが、今回の21局が全施策99を現行どおり実施した場合は約424ページ、全55ユニットに拡大した場合は1,000ページを超える可能性があります。要約版を新たに作成するのは追加の労力が必要です。元々の評価書自体を、やはりA4判1枚にする。トヨタもよくやっていますよね、トヨタはA3判ですけども。A4判1枚にして何が良いかというと、ほかのユニットとの比較がしやすくなるし、良い悪いがはっきり出てくる。さらに書く人もはっきり書けると思います。したがいまして、A4判1枚にするなど簡素化すべき。ただ、詳細については、例えばホームページでロジックモデル等はクリックすると出るとか。でも、かがみは1枚で。アウトカムを出して、それが達成したか、達成していないかというのに特化して簡素化したほうがいいだろうと。各局には評価書作成に労力を割いてほしくないので。むしろアウトカム達成のためにどう事業を組み立てて、展開していくかという戦略や戦術の策定に労力を割いてほしいと思います。
 また、先ほどの繰り返しになりますが、事業のアウトプットについては、もう事業評価でやっているので、評価しないと。現行の評価書を見ると、事業のアウトプット目標を達成しているのがほとんどです。そうすると、それがアウトカム目標未達の言いわけになってしまう。アウトカムは少々遠いが、きちんとアウトプットの目標は達成していますと言われると、こちらとしては、そうですねとなってしまいます。そうではなくて、今まではアウトプットだけ達成すればいいと思っていた事業のやり方を変えて、アウトカム目線でやってほしいということであれば、もう事業は書かない。書いても1、2本にする。やってほしいことは、何がアウトカムの達成につながる事業なのか、出島専門調査員の方がお詳しいと思いますが、仮説を立てて事業を回しながら見直しの検証をスピーディーに行うことが成果重視の都政運営だと思います。繰り返しますが、全事業を私は評価書に記載する必要はないと思っています。
 では、次、テーマⅣに行きます。既存の制度・仕組みとの関係ということで、また、山田専門調査員の意見を事務局、代読をお願いいたします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 こちらは1点、事前にお伺いしてございます。
 「当該政策評価制度が既存の制度・仕組みに対して可能な限り重複しないことは、各局担当者の負荷を軽減するだけではなく、各制度・仕組みでの評価結果の矛盾解消のための作業発生を回避することにつながる。その観点から考えると、対象を局横断の政策に絞り込むことや、評価手法を中長期、複数年度での評価に特化するなど、明確に違いを明らかにすることも検討すべきではと思われる。」という御意見でございます。

○西村構成員 私も今、山田専門調査員のお話にかなり近いところにあるなと思いますが、ヒアリングでわかったのは、現業ですとか公企業系の部門については、目標も具体的に立てられますし、アウトカムそのもの云々よりも、きちんと赤字を出さないで回していますとか、という形で、もう既に企業会計的な観点で事業の健全性についてはチェックが入っているだろうと思います。したがいまして、そこにさらに評価制度を上乗せしていくというのは、全く別の目的があって、この評価を入れるということでもない限りは、屋上屋を単に重ねることになるだけですので、やはりそこは避けたほうがいいのではないのかと。むしろ避けたほうが、つまり重複させないほうがいいというのが私の観点、思っているところです。
 それでは、あえて企業会計等を入れてそれぞれ回しているところに評価の制度を入れるとすれば、どういう目的があり得るのかというと、なかなか難しいのかなという気がいたします。つまり、都庁全体で見てこの事業、この施策というか、その部署のやっている施策といいますか、でも事業ですよね、公企業をやっているところは。都庁全体から見てどのように良いのか悪いのかというのを見る上では、確かにそれぞれの会計がどう回っているか、事業がどう回っているかだけでは見えてこないので、そういう意味では必要なのかと思うのですが、そこまでの評価制度を設計することが果たしてできるのかどうかというところがあって、やはりどっちつかずのものをやってしまうようなのであれば、むしろ今あるものをより先鋭的にきちんとやっていっていただくほうに注力していただいたほうが、あれやこれややって労力が分散し、どっちもどっちというようになってしまうよりはいいのかなと思っておるところです。
 そのほかの行政計画等がありますけれども、その辺との齟齬がないようにやっていくことは重要で、5カ年計画でやっているところであれば、それでは、その5カ年に合わせて評価を入れていきましょうというような工夫はあり得るのかなと思います。
 今のところ、以上でございます。

○出島専門調査員 今回のヒアリングをしての印象なのですが、おっしゃるように公企業系の、水道とか下水道の分だったと思うのですけれども、それらについては既存の計画と重複はあるかなと思いました。しかし、それ以外の分野はそれほど重複するところはないのかなと。事業評価との重複は、施策と事業は違うので、そこは別々にやるということはあっていいことだと。ただ、施策評価をやっていないところに入れるので最初は大分エネルギーがかかると思うのですが、施策は、毎年しょっちゅう変わるものではないので、産みの苦しみはありますが、一旦作ってしまえば、事業ですら今、終期5年で来ていると言われていましたけれども、事業も5年続くと。施策はおそらくもっと続くと思うので、最初にその仕組みを入れているというところは大変だとは思うのですが、それほど既存の制度とのコンフリクトなく導入ができるのではないかなと個人的に感じているところです。
 また、政策評価と行政計画の話がありますが、行政計画は、やはり計画として作るのですよね。スポーツ推進第何期、計画5年、10年プランというのは計画して作っているので、この計画と事務事業が必ずしもリンクしているかというところが整理できていないことがあるし、計画自体を必ずしも今走っている事業と全てひもづけてつくるかというと、そうではないこともあるので、そことの整合性は担保するとして、この政策評価の仕組みは、行政計画とは重複しているようで、必ずしも整合性をとらなければいけないのですが、その何か上につくるというよりは、これ自体は一つ制度としてあっていいかなと。一方で、公営企業の計画については、政策評価とかなり重なる部分があると思うので、そこは重なるので対象外にしてもいいのかなと思いました。
 以上です。

○大川専門調査員 既存制度・仕組みとの関係ということで言うと、これまでの発言の中でも少々ここについて触れてきてしまっておりますが、この政策評価の位置づけをはっきりさせた上で、予算でも行政計画評価、事業評価とも違う効用を施策にもたらすような内容にする、位置づけにすることが前提になると思いますので、そこの整理をしっかりとすることが、ぜひやっていただきたいことだと思っております。
 具体的に何かというとき、部分的に絞るのか、ユニットというか部局を絞るのか、全体でやるのかといったことは少々議論になっておりましたが、初めに対象は絞ったほうがいいのではないかというスタンスで発言もしましたが、ここは全体でやるとすれば、水道等の収支目標があるようなところについても、収支以外の仕事も必須だったりとか、あとは利益以外の達成目標というものも、企業も、民間企業もそういうものを掲げてやっていたりもしますので、当然、都政でもあるだろうと思います。そういったものをこの政策評価で見ていくというのは重複もしないと思いますので、収支以外の大きな目標を評価するという意味では、これは含めてもいいのかなと思っております。そういった意味では、全体に対して、全部の事業で何がしかの施策を評価するということはおそらくこれでできると思いますし、その中で全部ではなく、対象を絞った上で、あとは目的を絞った上でこの政策評価をうまく活用していって、より政策が効率的に行われるようにするという位置づけにしていくとよいかと思います。つまり、細かいものを一個一個全部やりますではなく、全体、全部の局に対してやるけども、ポイント、粒度、重要性といったところは絞った上で運用していくというのが一つのあり方かと思います。

○中川専門調査員 今回の施策・政策評価をやって、やりっ放しではなく、何か次のアクションにつながるようにしていく必要があるということを考えると、やはり各局の行動計画に反映したりであるとか、予算にそのまま直結するのはどちらかというともう少し下の事業評価のレベルの話なのかもしれないのですが、行く行くは予算に反映されるということが必要だと思います。政策・施策評価の前提としては、これらに反映させていくという方向性を打ち出したり、反映させていく、関連づけるような仕組みを考えていただく必要があると思います。評価書の最後に今後の方向性等を書く欄がありますけれども、ここで各局の何々計画に反映させますとか、こういうふうに方針を変えていきますとか、そのように書いてコミットさせるのが実務的といいますか、現実的なやり方かなと思います。
 また、事業評価との関連づけで、他の団体を見てみますと、政策・施策評価があり、事業評価があるという形で、その政策・施策評価に事業評価がきれいにぶら下がるような体系をつくられている団体が多いことを考えますと、やはり連動している方が分かりやすいのかなと思います。将来的、最終的にはそのような整理、きちんと体系立った整理が、私としてはあったらいいなと思います。

○水町構成員 既に出た御意見とほぼ同じなのですが、既存の制度・仕組みとの重複というのは、やはり極力避けたほうがよく、ただ、もしこれを今あるものに、さらに政策評価をやるとしたら、既存の仕組みが薄い部分は、この政策評価で重点的にやりましょうといった、すみ分けがきちんと整理できるといいかなと思います。
 例えば国だと、少々話は外れますが、法案の審査をするときに4省庁が関係します。内閣法制局がメーンで法案審査をするのですが、そのほかに法務省の罰則審査と予算関連法案の場合は財務省の審査と、規制関係だと総務省の審査が入るということで、4省がそれぞれ別個に実施します。これは本当に重複していて、私としてはよくないと思うのですが、国の場合は各省の権限というのがあるから、総務省と財務省がなしとか、そういうことはできないので、そういうことがあるわけですけれども、ただ、国のその重複の審査においても、例えば、内閣法制局の審査と法務省の罰則審査はそれぞれある意味、補完関係にもあり、罰則は法務省刑事局できちんとチェックすると。それをチェックしていることを前提に法制局のほうで全体的な法制のお作法や、そういったところを罰則で見ていくという形になっているので、そういう矛盾がないように仕組みのすみ分けができればいいかなと思います。例えば両方が言ってることが違ってしまったりして、刑事局はこう言ってるんだけど、法制局がこう直せと言って、それで、それのやりとりで時間を浪費するとかになってしまうとよくなくて、こういう政策評価でも、例えば政策評価の第三者点検ではこういうことを言われたけれども、また別の仕組みを第三者点検ではこういうことを言われて、それで、調整で時間がかかってとなってしまうと、やはりあまり意味がないので、そういった矛盾等が起こりづらいようにすみ分けを整理されたほうがいいかなと思いました。

○石田会長 では、私からも。ここのテーマは、既存の制度・仕組みとの関係をどのように考えるかということですが、それはもうまさに都側できちんと考えてくださいと言わざるを得ない。屋上屋は架さないでください。それでは、架さないようにするにはどうするかというと、それぞれ今ある既存の制度の目的をきちんと再定義して、政策評価制度の位置づけを明確にしてほしい。そうでなければ、現場はあっちもこっちもやってという納得感が得られないまま、また新しいものが入った感になってしまいます。重複しないように、屋上屋を架さないようにもう一度それぞれの制度の目的を明らかにして政策評価制度の位置づけを明確にしてほしい。その一方で、今回、評価書を見ましたが、その前に「見える化」というのがあって、「見える化」では相当精緻に現状の課題とか改善の方向性を書いている。それにも関わらず、今回の評価書ではそれがリンクしていない。どうつながるのかわからないようになっている。「見える化」と政策評価制度は、親和性が高いと思います。リンクするようにして現状と改善の方向性がわかるようにしてほしいと思いました。
 それでは、水町先生、遅れて来られましたので、最初に、成果指標・目標の設定状況等についてというので意見を一回りして、それから、テーマⅠとⅡをしましたので、その点について、まとめて、ぜひお願いいたします。

○水町構成員 先生方の御意見を伺えなかったので重複等あるかもしれませんが、意見を述べさせていただければと思います。
 意見を述べさせていただく点は、テーマⅠ、評価対象の施策の絞り込みの点です。いろいろな御意見があるとは思いますが、重要な施策の絞り込みで3点、基準例を挙げていただいているので、その点について述べたいと思います。
 長期戦略とか実行プランとか重点政策方針とか、そういう具体的にもう既にあるものに基づいて絞り込むというようにした場合は、絞り込み基準が非常に明確になって説明がしやすい。これはこういう基準で選びましたというのが説明しやすく、そういう意味ではいいとは思います。
 それに対して、局ごとに重点課題を選定ということになると、客観的な基準で絞り込むという意味では少々弱いかなとは思います。ただ、やはりこの政策評価、全部やらないとした場合、局が自分でわざわざこの課題を選んできたということは、それなりの意義があると考えます。というのも、全部やらない場合、幾つか選ぶ場合に、客観的な基準に基づいて選んだものだとやらされ感が出る一方で、自分で選んだものだと自分できちんと選んでいるということがあります。また、客観的基準で選ばれた事業があまりに政治的な状況であるとか、内部の状況であるとかによって、あまり歯切れのいい回答ができないような事業ということも場合によっては考えられます。加えて、もう直せないとか、その施策の特性として、政策評価で云々できるようなものではないものがこれに当たる可能性というのも客観的な基準で選んでいくとあるのですが、各局が選ぶと、そういうものは選ばないはずですから、きちんと政策評価に適したものを選んでくるだろうと。さらに、何か民間等で、例えば各部署に重点課題を選定させますといったら、おそらく、会社にもよると思いますが、一般論としてはやりやすい、簡単そうな、批判されなさそうなものを選ぶという、おそれが出てくるかとは思いますけれども、政策評価の場合は、なぜこれを選んだかという説明も第三者点検等を行えば、お手盛りの危険というものもリスクが低減できるかなと思います。また、局というのが民間の部署と違って、レベル感が違い、公的機関の局というのはかなり大きい存在で、局のことは局の中で責任を持てるというようにも思いますので、局ごとに重点課題を選定するのでもいいかなと思います。ただ、別にどちらがいいという問題ではなく、客観的な基準で選んでも、局に選ばせても、それはどちらでも、基準の客観性、説明できるというところに重きを置くのか、それとも局の主体性や、そういうものに重きを置くのかによって違うのかなと思いました。
 次に、テーマⅡ、評価手法の評語について意見を述べたいと思います。施策全体でA、B、Cなどのランクづけにする点についてなのですが、私は、これはやめたほうがいいのではないかと思っています。というのも、A、B、Cというランクがつくと、ぱっと見はすぐわかっていいとは思うのですが、やはり行政が、例えばCランクが何個か政策評価であると、それはかなり目立ち、新聞や議会などで、都政の停滞ではないかっと批判されると思います。もちろんそれが正しい批判ならば、どんどん行うべきなのですが、このA、B、Cのランクが結構曖昧で、目標を達成したかとか、近い実績かとか、近くないのかとか、近いって何というようになってきて、ある意味、達成できませんでしたとしてCランクを自分でつける人というのは真面目な人で、本当はもうBにつけてもいいかもしれないけれど、自己評価で、これは厳しく、いや、これはCランクだろうと思ってつけたかもしれないのに、それによって何々局はCが多過ぎるという批判をされる可能性もあります。客観的に何点などと出るものなら局の横並びで、ここの局はCが多いですねということは客観的に言えると思うのですが、A、B、Cのランクづけが結構ふんわりしておりますので、また、目標自体も、達成が簡単なものと、ほぼ難しいだろうというものと、あとは都の施策云々ではなく、外部要因が大き過ぎるものもございますので、それでA、B、Cランクをつけるということは、逆に何か、その政策評価の意義としては、そういう外部の要因でAランクとか、Cランクとか、そういうことをつけることが意義ではなく、やはりこの1年間の仕事を振り返り、どういう課題を達成できたか、来年はどうしようかということをきちんと考えていただくという意味では、あまりランクがひとり歩きしない方が良いのかなと。だから、残された課題とか、そういう書き方が良いのかなと思います。
 また、少々と長くなりましたが、私が携わったPIAという評価でも、このA、B、Cランクのようなものがありまして、最初は入れてなかったのですが、途中で入れたと。その結果どうなったかというと、それの場合はCをつける人はいないのです。大体AかBなのですが、A、B、どうやって選べばいいですかと、しょっちゅう聞かれます。Aというのは特に頑張りましたというもので、Bはまあ合格水準ですというものなのですが、特に頑張ったというのを結構入れてくる自治体と、日本人的にAって自分でつけるのは恥ずかしいからBのような、そういう自治体もあり、なかなか客観的なランクづけではないので、それをもってAなのか、Bなのかというのは、ぱっと見てもというところがありますので、あまりよくないのではないかなと思いました。
 以上です。

 4.閉会
○石田会長 ありがとうございました。
 それでは、ちょうど時間となりました。本日はここまでといたします。
 本日は構成員等の皆様から多くの貴重な御意見を頂戴しました。本日の御議論を踏まえ、引き続き次回以降の分科会で議論できればと思います。
 本日はお忙しいところ、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から連絡事項がございましたら、よろしくお願いします。

○勝見総務局都政改革担当部長 都政改革担当部長の勝見でございます。
 本日もお忙しい中、多面的な視点から御意見を賜りまして、ありがとうございました。
 まず、最初の今年度の各局の取組のところ、成果指標・目標の設定状況のところなのですが、本日の先生方の御意見も踏まえまして、一度、今年度の取組、成果指標の設定のところを総括させていただきたいと思っております。私自身といたしましては、やはり政策の立案の段階から少しロジック整理をしていくであるとか、目標設定のところが大事であるというところ、御意見をいただいたのですけれども、その最初の段階から先生方に入っていただいて、一定の情報公開、各局が情報公開しながら取り組んだというところは一つで、新たな指標設定等につながった部分もあるというところが一つ新しい部分であったのではないかと思っておりますが、本日の御意見も踏まえて、また、各局自身の状況も確認しながら一度整理をして、次の来年度に向けた制度の改善点等のところにつながるように一度整理をさせていただきたいと思います。来年度の制度に向けた、ブラッシュアップに向けた改善点等のところも、本日、様々な視点から御意見をいただきましたので、事務局で一度整理させていただいて、どうしていくのがいいのか、都として何を得たいのかというお話もありましたが、各局の施策の状況が様々な中において、都として何を一番中心にしながら制度として持っていくのがいいのかというのを、今一度、御意見を踏まえて考えてまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○糸賀総務局行政改革推進部都政改革担当課長 それでは、事務的な御連絡でございます。
 本日の議事録につきましては、改めて御確認させていただきたいと存じます。
 また、今後ですけれども、第3回以降の分科会につきましては、来月以降を予定してございます。改めて日程調整させていただければと存じます。よろしくお願いいたします。
 連絡事項は以上でございます。本日は、どうもありがとうございました。

16時03分 開会