都政改革本部会議(第12回)議事録

平成29年11月28日(火曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

10時00分開会

 1.開会
○事務局(榎本) ただいまより、第12回都政改革本部会議を開催いたします。
 本日の会議はインターネット中継を行うとともに、タブレット端末を使用して、ペーパーレスで進行してまいります。会議中、端末に不具合が発生した場合には、職員までお申しつけください。
 また、本日の会議出席者は、座席表の配付をもってかえさせていただきます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、知事より御挨拶をいただきたいと思います。
 知事、よろしくお願いいたします。

 2.知事挨拶
○小池知事 おはようございます。この都政改革本部も2年目に入っておりまして、今日で数えること12回目となります。これまで、「しごと改革」「見える化改革」、そして「仕組み改革」、この三つからなる「2020改革」に取り組んでまいりました。
 そして、今日は、その三つの改革のうち、各局が主体となって取り組んでいただく「見える化改革」について、水道局、交通局、教育庁、東京消防庁など計八つの局から御報告をいただくこととなっております。各局、自律改革に取り組んでいただいておりますけれども、「見える化改革」というのは各局の主要事業について、「都民ファースト」「情報公開」「賢い支出」、この三原則に基づいて点検・評価を行うものであります。そして経営戦略レベルの改革につなげていくという意味で、非常に重要な取組となっております。
 これまで局内で議論を重ねてきました。そして、また特別顧問や参与などからも助言をいただきながら、それぞれ内容を練り上げていただいたものと思います。限られた時間ではございますけれども、それぞれ担当の局長からの報告を受けまして、有意義な意見交換ができ、そのことが都民にとってのプラスにつながるような会議にしていきたいと思っております。引き続きの御協力、よろしくお願いいたします。

3.議題
○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入ります。まず、「2020改革」等の活動状況についてでございます。事務局から報告をさせていただきます。

○事務局(小笠原) それでは、資料1をごらんください。
 「2020改革」の活動状況でございます。まず、本部会議の予定議題でございますけれども、本日と来月は、「見える化改革」の報告を中心に行わせていただきます。「2020改革」における、その他の改革についてですけれども、「しごと改革」につきましては、現在都庁BPRの三つのレス、ペーパーレス、キャッシュレス、事務処理の中間処理のレスについて、調査・分析を行っているところでございます。
 例えばペーパーレスでは、先月ペーパーレスの強化月間を設けまして、各局にペーパーレス会議の導入等に取り組んでいただいたところです。現在、実施した中で見えてきた課題や今後の進め方について、各局と私ども事務局とで意見交換を行っているところでございます。また、キャッシュレスにつきましても全庁的に調査をかけまして、現金取扱いの実態を確認しているところでございます。こうした取組の状況と今後の方向性について、来月の本部会議で報告をさせていただきます。
 来月の本部会議では、入札契約制度の改革についても試行状況を報告させていただく予定です。また、年明けの本部会議では、監理団体改革の検討状況や2020改革プランについて報告をさせていただく予定となっております。
 次のページをごらんください。
 「見える化改革」の進捗状況の一覧表でございます。丸がついている8つの事業ユニットにつきまして、本日報告をさせていただきます。ひし形のマークがついているユニット、これが6つございますけれども、これらにつきまして、12月の本部会議で報告をさせていただきます。その後につきましては、残りの全てのユニットについて現状分析に着手をいたしまして、年度内を目途といたしまして施策やアウトカム、アウトプットの指標の体系ですとか現状の分析などについて取り組んでまいります。
 事務局からは以上でございます。

○事務局(榎本) 続きまして、二つ目の議題、「見える化改革」についてでございます。本日は合計8局から報告をいただきますが、2局の報告が終わるごとに意見交換の時間を挟んでいきたいと思っております。
 それでは、まず水道局から工業用水道の事業ユニットについて、「見える化改革」の報告をお願いいたします。

○中嶋水道局長 それでは、水道局から御説明いたします。
 水道局は、水道事業(上水道の事業)と、工業用水道事業の二つの事業を所管しております。このうち工業用水道事業につきましては、1964年の東京オリンピックの年に給水開始をしましてから50年以上が経過しておりまして、現在さまざまな課題に直面しております。本日は、この工業用水道事業の現状と課題、あと今後の進め方につきまして、いろいろと事業分析をしながら御説明していきたいと思います。詳しくは、次ページ以降をごらんください。
 まず、事業の概要でございます。工業用水道事業の給水区域と、施設の概要の資料ですけれども、都の工業用水道事業は、地盤沈下を抑制するため、行政施策といたしまして、また当時の産業振興策の一環として始められたものでございます。現在も工業用水法で指定されております都内の東部8区及び練馬区の一部、かなり広範な区域を給水区域として供給を行っております。
 この、供給するためのインフラでございますが、配水管の延長は約340キロ、1日の平均配水量は、現在約2万8,000立方メートル、2万8,000トンということでございます。
 次のページをごらんください。
 工業用水道というのは、これは飲料、飲むということを前提としておりませんので、浄水の過程は一般の上水道よりも簡略化しております。例えば高度浄水処理を行っていないですとか、異なった過程でございますので、上水道の処理過程と工業用水道の処理過程は、区別されて行っているところでございます。
 次をごらんください。
 こうした形を50年以上、工業用水道事業を今現在行っているのですが、当初の目的でございました地盤沈下の状況でございます。このグラフの赤色の棒で示しておりますように、1970年代にはほぼ鎮静化しておりまして、現在に至るまで同様の状況でございますので、ほぼ所期の目的は達成されたという判断でございます。
 次のページをごらんください。
 次に、この工業用水をお使いいただいているお客様、ここでは説明でユーザーと言わせていただきますが、このユーザーの状況でございます。現在、全てのユーザーが、約539件の方がいらっしゃいます。そのうちの185件が、実際の事業用ということで工業用水をお使いになっております。この方の多くは、当時の地下水の揚水規制に伴いまして、井戸から転換されたユーザーです。
 また、右下の円グラフにございますように、その工業用水のユーザーのうち8割が中小企業という中で、その中でも皮革や化学の業種が多いというのが特徴でございます。
 次のページをごらんください。
 ここからは、その事業の分析に入ります。
 次のページをごらんください。
 まず、現在、ユーザーと契約しています、この水量、どれだけ水を供給しているかというグラフでございますが、これも一目瞭然でございますけども、当時の発足当初から比べまして、かなり激減しております。これはユーザー件数が減少しているということによりまして、ピーク時が1974年度、日量で約35万立方メートルでございましたが、現在、その約17分の1ということで、約2万立方メートルまで減少しております。
 次をごらんください。
 こうした背景としまして、一つの要因としましては、都内の工場の立地がかなり規制されてきたということが、一つ言えると思います。特に、都の特別区を含む首都圏におきましては、表のように早い時期から制限を受けておりまして、順次強化されてまいりました。
 次をごらんください。
 そういった状況と先ほどのグラフを重ね合わせますと、これも、この工水の区域の工場数全体の数と工業用水のユーザーの数ということで比較した折れ線でございますが、工場数の減少とともに、工業用水のユーザーも減ってきているということがわかると思います。
 次をごらんください。
 工業用水道事業は独立会計で行っておりますので、利用者の方の利用料金で賄っております。したがいまして、こうした状況を考えまして当局としましても、かなりの経営努力といいますか経営改善に取り組んでまいりました。大きく三つございます。一つは、コストの削減と、業務の見直しと、それと職員の削減と、こうしたコストの削減と、あと収入の確保という点でございます。具体的に、ちょっと見させていただきます。
 次をごらんください。
 まず、業務の見直しですけれども、工業用水道の需要減少に伴いまして、ピーク時最大4か所ございました工業用水の浄水場、これを三園浄水場に一元化いたしました。また、その結果、配水施設能力を最大時、これは日量73万立方メートルでございましたが、現在は約18万立方メートルまで縮減しております。
 次のページをごらんください。
 また、従事職員数でございますが、これもピーク時が約200名程度おりましたが、現在では委託を進めまして、7名の職員で運営してございます。
 次をごらんください。
 こうした支出の削減に取り組んでまいりましたが、当然、収入の確保という点も、これまで随時行ってまいりました。一つは、料金改定でございます。これも政策的な事業でございますので、国の上限価格が決まっております。この上限を超えない形で、過去4回ほど増額改定を行ってまいりました。
 また、浄水場の縮小に伴いまして、不要となりました工業用水道用の浄水場用地を上水道の会計のほうに有償所管替えするということで、一時的に収入の増を、これまで図ってまいりました。また、事業用の工業用水のほかに、例えばトイレの排水ですとか、そういった雑用水にお使いいただくということを目的に、これまでユーザーの拡大を図ってまいりました。
 次をごらんください。
 こうした結果で、他都市との比較での現在の状況でございますが、この表は主要都市と東京都の、ユーザー1件当たりの料金収入でございますけれども、これは、東京都は、他都市に比べまして非常に少ないというのが現状でございます。
 次のページをごらんください。一方、1立方メートル当たりの配水管、水道管の長さ、これは割り返したものですが、これは逆に、他都市に比べまして、東京都が圧倒的に長いということでございます。これは何を意味しますかと言いますと、収入が低い割に、この配水管を含めましたインフラの維持管理が相当かかるということで、かなり非効率な経営構造になっているということがわかると思います。
 その結果ということでございますけども、次のページをごらんください。
他都市と比較しました純損益でございますけれども、他都市がおおむね黒字ということで行っているのに対しまして、東京都は約5億円程度の支出超過ということでございますので、毎年、一般会計から補助をして運営しているという状況でございます。かなりの経営努力をしてまいりましたので、この赤字幅もかなり狭まってまいりましたが、やはり5億円程度の赤字というのは今後とも続くという状況だと考えております。
 こうした状況を踏まえまして、今後の課題でございますけれども、大きく2点ございます。1点目は、今後も工業用水をお使いいただく需要の見通しです。これも、これまでの経緯ということを考えますと、過去30年間の実績が今後とも続くということで仮定した場合ですけれども、需要が、ごらんのように基本水量、また給水件数ともに減少の見通しとなっております。
 次をごらんください。
一方で、このインフラの部分、一番上の固定資産の9割以上を占めます配水管の状況ですが、これは高度成長期に一斉に布設いたしましたので、かなり老朽化しております。50年以上がたっておりますので、多くの配水管が現在更新期を迎えております。このグラフは、布設年度が古く漏水の危険性が高いとされます配水小管、配水本管の延長を示しております。この配水本管といいますのは、ある地域にどどっと大量の水を流していくという本管でございまして、配水小管というのは、また細かくエリアに、そこから分離して水を供給していく管でございますけれども、これをごらんいただきますと、この青いほうが配水小管、赤いほうが配水本管の耐久年数をあらわしておりますが、早いもので、配水小管につきましては2020年から相当な更新時期を迎えます。トータルいたしますと、2020年度からの約6年間で、配水小管につきましては全体の約3割、配水の本管につきましては2029年度から4年間で全体の6割が、かなり漏水の危険率が高い状態に入ってくるという状況でございます。
 次のページをごらんください。
 以上を踏まえまして、今後の方向性を含めました、まとめということで、次ページ以降をごらんいただきたいと思います。
 これまでの経緯でございますけれども、先ほど御説明したとおりでございますが、東京都の工業用水道事業は、地盤沈下の防止という行政目的を果たすために開始をしてまいりました。ただ、ユーザー1件当たりの料金収入が少ない一方、広範囲に小口のユーザーが点在しているという、経営的に、かなり非効率な状況になっております。そのため、契約水量の1立方メートル当たりの配水管延長が長いという効率の悪い経営構造になっておりまして、また、今後につきましても、ユーザー件数や使用水量の減少によりまして、下の青いグラフで示しましたように、料金収入は1983年度をピークに減少の一途、減少傾向をたどってございます。
 これまで施設の統廃合や業務の委託化、また経営合理化と、当局としても進めてまいりましたが、グラフで赤字を示しましたように、現在におきましても、一般会計から一定の補助金がなければ、収支は赤字という状況が続いております。
 こうした現状を踏まえまして、今後の方向性ということで、次のページでございますけれども、選択肢として二つ御用意しております。課題としまして、工業用水の需要が今後も減少する見通しということと、それと事業開始から50年以上が経過しているということから、施設の延命化につきます対策は、これ、限界を迎えてございます。当局としましても、日常の維持管理におきまして、部分部分で更新をかなり行いまして、漏水の危険を防止しておりますが、この耐用年数が、かなり近づくにつれまして、そういったものも限界に近づいているという状況でございます。
 仮に、この事業継続を選択した場合は、老朽化した施設の更新費用が必要になりますが、現在、トータルで、約2,300億円の経費を見積もってございます。一方、事業廃止を選択した場合は、配水管の撤去費用としまして、約900億円の経費が必要と考えております。ただ、この撤去に当たりましては、再利用ということも当然考えなければいけません。また、再利用できないものにつきましては、水が通らなくなりますと空洞になりますので、道路の陥没を防ぐために早急に管内にセメントを充填しまして、安全対策を施します。そうした中で、耐用年数が経過したものから順次撤去ということになってまいりますので、かなり長期間にわたる作業と考えております。したがいまして、直ちに、この900億円とか、こういった大規模な費用が必要になるということではございません。
 また、撤去に当たりましては、なるべく効率的に、他の工事とあわせて行うというような工夫も施しながら考えていく必要があろうかと思っております。また、廃止の場合、ユーザーが上水道に切りかえるということを考えますと、かなり負担が増加をいたします。このユーザーへの支援策、これをきっちりと考えていくということが、どっちの事業を選択するかということにつきましては、大きな鍵となってくると考えております。
 したがいまして、結論でございますけれども、こうした状況を踏まえまして、事業の継続と廃止の、二つの選択肢を踏まえた抜本的な経営改革につきまして、今後も関係各局と連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 なお、ほかの分析データにつきましては、別ファイルでとじてございますので、後ほど御参照いただければと思います。
 当局からの説明は以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 引き続き、交通局から発電ユニットについて、報告をお願いいたします。

○山手交通局長 それでは、交通局から発電ユニットについて報告をさせていただきます。
 最初のチャートをご覧ください。第1章、電気事業の現状でございますが、交通局は多摩川の水を活用した水力発電所を、3か所所有しております。水道局が所管いたします、小河内貯水池のダムのたもとに多摩川第一発電所がございまして、さらに7、8キロメートル下流にあります白丸調整池、これは発電用の水を取り入れるダムでありまして、そこでせきとめた水を約5キロメートルの導水管を通して落下させ発電する、多摩川第三発電所がございます。また、白丸調整池のダムのたもとにも、河川維持のための流水を活用した白丸発電所がございます。最大出力は合計で3万6,500キロワット、およそ一般家庭3万5,000世帯の電力使用量に相当する電力を生み出しているということでございます。
 次のページをご覧ください。
 水力発電は環境に優しいクリーンエネルギーということで、発電に伴ってCO2はほとんど排出しておりません。具体的には、交通局の水力発電は、2015年度の年間発電量ベースで、火力と比較いたしまして、CO2排出量を7万2,000トン抑制してございます。これは当局の大江戸線と浅草線が1年間に排出するCO2排出量に相当しておりまして、つまり当局の水力発電は、その分のCO2を抑制しているということになります。
 次のページをご覧ください。
 次に、電気事業会計の収支状況をお示ししております。2015年度における電気事業の収入は、15億7,000万円、支出を差し引いた経常利益は、5億9,000万円となっておりまして、売上高経常利益率は39%ということになっております。なお、1959年度以降は黒字を継続しているところでございます。
 次のページをご覧ください。
 次に、これまでの、効率化の取組についての説明であります。表にあります青色の破線の折れ線グラフは年度末人員の推移を示しておりまして、赤い実線の折れ線グラフは経常利益を、棒グラフは販売電力量を示しております。
 人員については、2005年以降、業務体制の見直し、あるいは委託などによりまして業務の効率化を進め、人員数の削減を図ってまいりました。また、収支につきましては、2013年から売電事業者の公募をいたしました結果、高い単価で契約することができまして、経常利益が大きく増加しているところであります。2015年に、この表からすると経常利益が下がっておりますが、これは、白丸調整池の抜水点検、水を抜いた点検によりまして、多摩川第三発電所、白丸発電所を一定期間停止させたことによるものでございます。
 次のページをご覧ください。
 次に、第2章、他団体との比較ということであります。今回調査をいたしまして、最初に公営電気事業者の一覧を示しております。地方公営企業法によりまして、水力発電事業を運営しているのは、全国で25団体ございます。うち、水力発電のみ運営しているのは、都を含めて11団体ということになっておりますが、東京都は、左の表の最大出力で見ると下から5番目ということになっておりますが、右の表の売電単価では、先ほど御説明申し上げましたように、新潟県と同じく競争入札を実施していることから、高い水準となってございます。
 次のページをご覧ください。
 次に、これまでの、発電所を民間に譲渡した、他の都市の状況であります。過去に電力自由化による事業運営の先行き不安などを理由といたしまして、2002年度以降9団体が、発電所施設を大手電力会社またはその子会社に民間譲渡をしております。売却は、いずれも簿価を下回る価格となっております。
 次のページをご覧ください。
 次に、経営状況を比較いたしました。最初に経常収支比率であります。水力発電のみを実施している11団体の平均と、経営規模が最大の宮崎県及び東京都と同様に三つの発電所を所有しております福岡県と比較いたしました。2013年から、競争入札により売電事業者を決定してからは、東京都の電気事業における経常収支比率は、他団体と比較して、高い水準にあるということでございます。
 次のページをご覧ください。
 これは企業債残高の比較であります。表の一番右手、北海道の79億円を筆頭に、各団体とも企業債残高がございますが、東京都の企業債残高はゼロということで、無借金経営となっているということでございます。
 次のページをご覧ください。
 次に、この「見える化改革」を契機に、全国の状況を調査しました他団体の地域貢献の取組であります。他団体におきましては、施設・設備の更新等に活用する積立金などの他に、この表にありますように「再生可能エネルギー事業」、あるいは「環境保全に関する事業」、「その他の地域貢献事業」など、さまざまな使途に利益剰余金を活用しておりまして、電気事業の利益を地域に還元しているところもございます。
 東京都におきましても、これまで河川環境の維持や観光振興への貢献等に取り組んでまいりましたが、今後、他団体のように利益剰余金を地域貢献へ活用可能かどうか、これについても収支分析をしながら検討していく必要があると考えてございます。
 次のページをご覧ください。
 次に、第3章、事業を取り巻く環境と今後の経営の方向性でございます。
 初めに、発電施設の大規模更新について御説明いたします。東京都交通局の発電施設・設備は、その多くが運用開始から60年程度を経過している状況になっております。今後多摩川第一発電所、多摩川第三発電所につきまして、施設・設備の老朽化がどの程度進んでいるか、これを健全度と言いますが、この健全度を把握した上で更新計画を策定していく必要がございます。
 なお、現在、多摩川第一発電所の詳細調査を実施しているところでありまして、調査には2年以上を要することになりますが、その後、多摩川第三発電所も含めて更新計画を策定する予定になっております。
 次のページをご覧ください。
 次に、売電単価が上昇したというお話をさせていただきましたが、売電単価の市場動向でございます。他団体につきましては、販売電力単価が低減傾向にあるということではありますが、再生可能エネルギーによる電力の付加価値に着目した動き、単価上昇の動きも見られるところであります。具体的には、現在、国において再生可能エネルギーに着目したマーケットの創設の検討が進められておりまして、これは非化石価値を電気そのものの価値から分離をいたしまして、その価値を証書化して売買するマーケット、市場を想定しております。
 現在は、電力の固定価格買取制度、いわゆるFITと呼ばれるものでございますが、この電気のみについては市場を開設する準備が行われており、交通局の水力発電のような非化石電源全体につきましても、2019年度から取引が開始される予定となっております。
 また、各電力会社においても、CO2を排出しない水力発電による電気のみを企業向け、あるいは家庭向け両方に販売するプランも設定されておりまして、契約した企業は、高めの電気料金を支払う代わりに、CO2排出削減量に上乗せできる制度となってございます。
 次のページをご覧ください。
 次に、今後の経営の方向性にかかる検討であります。これまでやってまいりました調査・検討を踏まえまして、直営の継続、そして施設の所有権を保持したまま運営権の売却により対価を得る方式でありますコンセッション方式、それから民間譲渡の三つの選択肢を比較・検討しております。
 また、比較・検討に当たっての課題としては、交通局の水力発電は、特に飲料水となる、水道局の水運用に従属しているなど、水の利用に関する制約が多いこと、また白丸調整池の管理を行う必要があること、電力の固定価格買取制度、いわゆるFITを想定していないということなどが挙げられます。
 次のページをご覧ください。
 これは直営を継続した場合の長期収支を示しております。いくつか想定をしてまいりましたが、中間の規模が、このケース2というものでございます。棒グラフが累積資金残を、折れ線グラフが経常収支を示しております。現在、大規模更新については詳細調査を進めている段階でありまして、改修規模、あるいは金額の確定はこれからということになりますが、一部設備を更新せず、改修で対応した場合には、収支は黒字基調と、資金については現状規模を維持できる見通しとなっております。
 いろんなケースを想定して見通しを立てましたけども、最大限の投資規模を見込んだ場合でも累積資金残は確保できる見通しでございます。
 次のページをご覧ください。
 今後の経営体制について、示しております。これまでも、先ほども申し上げましたように、業務委託等の効率化を進めて、直営組織のスリム化を図ってきました。しかしながら、経営の効率化に向けた努力は不断に取り組むべき課題だと考えております。
 既に、電気事業に従事しております職員のそれぞれの担当業務についての見直しに着手をしておりまして、2018年度、来年度から実行できるよう、2017年度末を目途に、見直しの方向性について結論を出していきたいと考えております。
 さらに、その後、コンセッション方式の導入や民間譲渡の実施可能性調査等の進捗状況を踏まえまして、適宜、さらなる体制の見直しを検討・実施してまいりたいと思います。
 次のページをご覧ください。
 分析のまとめでございます。今後は、直営継続については、さらなる事業安定化に向けた検討を行ってまいります。また、コンセッション方式の導入、民間譲渡につきましては、色々な課題がございますが、まずは実現可能性の検討を深度化していくことが必要と考えております。
 民間事業者との予備的対話(サウンディング)を進めながら、さまざまな情報を収集するなどして、検討を深度化いたしまして、発電施設・設備の更新計画策定後に、望ましい方向性を比較・検討してまいりたいと思っております。
 次のページをご覧ください。
 最後に、今後の想定のスケジュールでございます。今後、現行体制のさらなる効率化の検討を進めながら、発電施設・設備の詳細調査と並行して、先ほどの、民間企業との予備的対話の準備を進めてまいります。
 なお、2020年度以降のFIT制度、非化石価値取引市場の創設の動向、また、鳥取県が行っておりますコンセッション方式の導入可能性調査の進捗状況等については、予備的対話等に影響を及ぼす可能性がございますため、これも注視していかなければならないと思っております。
 これらも踏まえ、2020年代半ばまでに経営の方向性を判断できるよう、検討を深度化していきたいと考えております。
 報告は以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ただいま2局から報告がございましたが、それに関しまして、特別顧問からコメントがございましたら、お願いいたします。
 上山顧問、お願いします。

○上山特別顧問 水道局、交通局、2局とも初めての事業分析でしたが、非常に真摯に、熱心に取り組んでいただきました。事業の全貌と課題が、データで非常に明らかになったと思います。
 作業にあたっては、特別顧問と特別参与は、初期の段階からヒアリングや、発電については現地の視察もさせていただいて、事業の実態を第三者の目から見させていただきました。
 案をつくる過程でも一緒に議論をしてきましたが、今後、確実な改革の確保に向けてということで、今回の事業分析の報告書の附属資料的なものとして、顧問、参与の意見ペーパーをつけさせていただくことにしました。
 それが、今、画面に出ているものです。工業用水道はたまたま私が担当したので、私の名前もついておりますけれども、数か月後あるいは数年後、分析の趣旨が改革に生かされているかどうか振り返る参考ということで、それぞれにつけております。
 前回の視察船についても、当日の議事録をもとに、このペーパーをつけております。
 さて、工業用水道の事業分析について、内容は、さっき分析、説明していただいたとおりだと思います。
 この事業は、歴史を振り返ると大変に意義があったと思います。けれども、今後を考えたときに、果たして更新投資をするのか、重要な岐路に差しかかっていると思います。
 それで、ワイズスペンディングという、都民にとっての目線、あと、都民ファーストに照らした場合、やはりこの事業は本来独立採算であるところ、一般会計から補填をしないと成り立っていないという状況であると。しかも、一般水道でも安定的な供給が可能であると。さらに、更新でかなりのお金がかかるというようなことを重ね合わせると、将来どうするのかというのは、かなり真剣に、関係者を含め議論をしていただくべき時期に来ているのではないかと思います。
 次に、電力のほうですけれども、この事業は都民にとっても意外となじみのない事業だと思います。
小河内ダムの存在は水道で有名だと思うんですが、あそこに東京都が発電所を持っているというのは御存じない都民もおられると思います。クリーンエネルギーの時代ですので、小さな規模だけれども、持っているということ自体は、私は意味があると思います。
 しかし、設備更新ですね。これが二つの発電所を両方足すと80億にもなり得る可能性がある。電力の専門企業であれば、この程度の投資、あるいは2か所の水力というのは手なれたもので、それほど悩むことがないのかもしれません。しかし、都庁にとっては、これは数十年に一度の経験であり、今まで設備投資を頻繁にやってきたわけでもない。したがって、今後の投資判断は、コンセッションなどによって専門企業に委ねたほうが、成功確率がかなり高まると思います。
 民間に運営や、あるいは投資判断を委ねていくというのは、相手のある話なので、やってみないとわからないと思います。ですが、民間企業と対話をしていく中で、こちら側が気がつくこともあると思います。更新投資についても、今の計画では調査と計画だけで6年間もかけるというふうになっていますけれども、6年もかけて調査をしなくちゃいけないということ自体が、そもそもどうなのかと思います。
 なので、即刻専門企業に、現在の今回の事業分析の内容プラスアルファ、設備の状況などの詳細情報を公開して、予備的な市場対話をやってみるべきであると思います。
 最後、数字が折り合わなければ、話は前に進まないということもあるかもしれませんけれども、できるだけ民間のノウハウというものを借りて、都民にとっての投資リスクを最小限に抑える必要があると思います。
 先ほど、13ページの分析で、累積資金残は多分プラスのまま維持できるでしょうというお話がありました。けれども、電力価格は今後どうなるか、市況によってわからない。新しいエネルギー産業というのも、これから出てくる。都庁は現状、極めて小さな事業者であって、向こう50年先も見通したことを考えていきますと、小規模事業者があえて投資をするということについてはどうなのか。専門家も入れた議論を相当やる必要があると思います。
 2ページ目に行きます。今やっている事業としてどうなのかというのを、行政改革的視点からも見ました。都庁は発電所を三つ持っているのですが、あの間に実は東京発電も発電所を持っていまして、そこは無人で遠隔制御でやっている。一方、都庁のほうは現地に9人おられて、さらに監理団体の人も5人いる。
 もちろん遠隔ですから、東京発電はよその場所からコントロールされているんだろうと思いますけれども、現地に人を張りつけておくということ自体が、人手不足の折、どれだけ必然性があるのかというようなことも含めて、この人員については即刻合理化の可能性がないのかと。交通局は忙しいですので、電気職は特に引く手あまたでもあります。場合によってはほかの仕事を手伝うとか、あるいはピーク時にほかのセクションの人に応援してもらえば、ふだんから張りつけておく必要はないといったようなことを見直していただく必要があると思いました。
 最後に、この7番のところですけれども、この事業は交通局の事業ですけれども、上流のダムと水の管理は水道局がやっているということも考えますと、第三者的に見ると、歴史的経緯はさておき、本当はこれ水道局が全部やっていてもいいのではないかと思います。
 今回の設備投資の見直しの際には、そういった視点もあわせて考えていただいて、制度上は縦割りになっておりますけれども、総務局も入って、オール都庁として、クリーンエネルギーの、あそこの設備はどうするべきかと。持つべきか、それともほかの選択肢があるのか。持つにしても、民間に任せるべきではないかといったようなことを幅広く考えていただきたい。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ほかに何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
 川澄副知事、よろしくお願いします。

○川澄副知事 工業用水道ですが、これはかなり前からの課題で、今までもいろいろ検討してきたところではあるんですけれども、いよいよ老朽化のほうも切羽詰まってきているということで、この際、関係局としっかりと議論していただきたいと思うんです。ちょっと二つ、三つお願いといいますか。
 一つは、まずはコストですが、先ほども少し長期的な、2,300億のコスト、900億のコストというようなお話がありましたけれども、少し時間軸と合わせて、どういうお金のかかり方をするのかというのは検討していただきたい。それから、ユーザー自体は数がかなり少なくなってきているので、状況の把握についてはかなりできるのかなと思いますので、これは丁寧にユーザーの状況を把握していただきたい。
 それから、明確にしていただきたいのは揚水規制との関係で、これはあくまで揚水規制をどうこうということではなくて、現行の揚水規制を前提としての検討ということになると思いますので、そこは明確にした上での検討をしていただきたい。
 以上でございます。

○事務局(榎本) そのほか、御意見、御質問あるいはコメント等はございますでしょうか。
知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 工業用水、この問題は、もう、かねてからずっと指摘されてきたのが、一言で言うと先送り状態になっていたのですけれども、いよいよこの老朽化がさらに進んできて、対象となっているユーザーの数も減ってきているという状況での分析、御苦労さまでございました。
 そういう中で、これからのあり方ですけれども、利用者も現在いるわけで、そこをどう担保してケアしていくのかというのは重要なことです。
 それから、これからの調査ですけれども、あまり時間をかけてということもできないと思いますので、できるだけそこはスピードを上げつつ丁寧にということではないかと思います。
 随分時代を感じるような、かつての地盤沈下が叫ばれたころと大分様相が変わってきているなというのを改めて感じました。
 一言で、もう一度繰り返しますと、丁寧に、かつスピードを上げてということではないかと、こういう結論をいただいたのではないかと理解しております。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 水道局長、お願いいたします。

○中嶋水道局長 御指摘、ありがとうございます。
 顧問の御指摘、見える化改革で、今回いろいろと現状分析した中で、我々も見えてまいりまして、御指摘の論点が明らかになってきたかなと考えております。
 一方で、川澄副知事からもお話がありましたように、これをお使いいただいているユーザーの方、かなり減ってきておりますけれども、やはりそれぞれ経営に直結した状況がございますので、知事からもお話がありましたように、全体を個別に丁寧に、マンツーマンで把握できる規模でございますので、いいか悪いかわかりませんけれども、そういった規模でございますので、そういった支援策も含めて、今後、ユーザーの方にはいろいろと対話をしながら、丁寧に対応してまいりたいと思います。
 また、いずれにしましても、コストがかかる話ということでございますけれども、特に、撤去の場合のコストにつきましては、先ほど長期間にわたるということがございましたが、また再利用ということも含めまして、これは選択肢が明らかになった段階に本格的になると思いますけれども、検討を進めて、できるだけ圧縮していくということになると思います。
 また、産業振興策ですとか、あと、先ほどの地下水の環境対策ということとセットで、これは方向性を考える必要がありますので、環境局、産業労働局、総務局、あと財務局は当然でございますが、全庁的な視点から最終的な結論を出せるように、こちらとしても努力していきたいと考えております。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 山手局長、お願いいたします。

○山手交通局長 それでは、交通局からでございますが、顧問には現地の視察もつぶさにしていただきまして、ありがとうございました。
 また、議論をさせていただく中で、アドバイスも頂戴いたしまして、ありがとうございました。
 顧問の御指摘も踏まえまして、経営の方向性について三つ挙げましたけれども、今後、民間との対話を始めさせていただきまして、多分、民間からはいろいろな提案もあると思いますので、それをよく聞きまして、また、いろんな、さまざまな情報を集めて、検討を深度化してまいりたいと思っております。
 それから、人員体制についても御意見を頂戴いたしました。
 我々としては、効率化に向けた努力というのはやってきたつもりでもあり、今回、分析をさせていただいた中で、ほかの事業者、他都市の事業者の平均を、人員数とか人件費で下回っているということがわかったわけですけれども、それでも、その、経営の効率化に向けた努力がまだまだ足りないというのは、顧問からの御指摘のあるとおりでございまして、不断に取り組んでいかないと、と考えております。
 先ほどの御説明の中でも申し上げましたけれども、2018年度から実行できるように、非常時の対応というのもございますけれども、事業の共通化とか、あるいは応援体制がどんなふうにできるかというような、そういう手だてによる見直しに今も着手しておりまして、2018年度から実行できるようにやってまいりたいと思っております。
 その後についても、適宜、さらなる体制の見直しを検討・実施してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 発電についてでありますけれども、いろいろ分析をしていただきました。
 そして、また、交通局で、この電気職というのが非常に重要な役割を果たしているということも、勘案すべきだとは思います。
 一方で、民間などとのコンセッションというお話が出てきておりますけれども、これもどういうやり方があるのか、市場との対話、これもスピード感を持って進めていっていただきたいと私は思いました。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 川澄副知事、お願いします。

○川澄副知事 発電の関係なんですけれども、顧問のほうからもありましたが、クリーンエネルギーという意義というのはあるのかなということで、私も、やはり他県に電力を依存している東京が、少ないですけれども、発電をして地産地消といいますか、こうやっているということは、交通局の事業というよりは、環境的な面でもいろいろとアピールにつながっていくのかなと思います。今後、経営形態等を検討するに当たっても、こういったところは失わないような形がいいのかなとも思いますので、そこら辺を十分踏まえた上で検討していただきたいと思います。

○事務局(榎本) 猪熊副知事、お願いいたします。

○猪熊副知事 発電なんですけれども、いろいろ現状とか課題が明確になって、これから三つの方向性について十分検討ということですが、老朽化に合わせた更新のところで、資料にもありましたが、それによって発電の効率がアップするとか、コストが変わる、量がふえるとかというような可能性については、ぜひ民間の知恵も含めて吸収していただきたい。それによって、またビジネスモデルが、極端に変わるかどうかわかりませんけれども、ぜひ老朽化に合わせた更新はマイナスのものではなくて、プラスになるようなものとして、少し踏まえて検討していただければと思います。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、教育庁から学校運営・支援ユニットについて、報告をお願いいたします。

○中井教育長 学校運営に対する支援ということでございますが、このテーマにつきましては、昨今、教員の多忙化がますます深刻になっているという状況で、教育の質をさらに向上させる、これは私どもにとって至上命題でありますので、この二つの課題をどう解決していくのかという観点を踏まえながら、公立学校の支援の現状、課題、そして今後の方向というものについて、検討をいたしました。
 1ページをごらんいただきたいと思います。
 公立学校が、国と区市町村で、どのような形で関係づけられているかということでございます。
 都立学校については、申すまでもなく都が設置者であり、したがいまして、支援の中心、主体となるのも都でございます。
 一方で、区市町村立学校につきましては、設置者が区市町村で、したがいまして、支援の主体も区市町村ということになって、東京都は補完的な支援をするという立場になっております。
 しかしながら、小・中・高、その初等中等教育には、ある程度の一貫性というものが必要であり、また、学校間に支援のばらつきがあるというのも問題の一つになるということで、そういったものをなくしていく、あるいは一貫性を確保するという点で、この自治体の二層制になっているということが、教育の面からは構造的な課題として常にあるという状況がございます。
 次に、2ページでございますが、この分析をするに当たっては、教育内容、教育環境、教員という三つの柱を立てまして、七つの構成要素と10項目の分類に基づいて、分析をしてまいりました。
 3ページでございます。
 都内の都立学校、区市町村立学校の全体像でございますが、下のグラフをごらんいただきたいと思いますが、教員数においては、区市町村が73.5%、児童・生徒数においては83.6%。そして、予算額、これは都の予算でございますが、都の予算のうち、区市町村関係が占めるものが都立の倍以上ということで、いずれの面においても区市町村立の学校のほうが大きな位置を占めているということでございます。
 こういった中で、4ページでございますが、現状の課題を4点にまとめさせていただいております。
 一つは、多忙化でございます。
 とりわけ区市町村のほうは、その多忙化は深刻であるということでございます。
 二つ目として、都立学校におきましては、平成18年に「学校経営支援センター」という組織を立ち上げまして、業務の集約化を行っております。これによって、一定の効果は出ておりますが、学校の多様な課題に対応するには、専門性といった面で不十分なところがあるというのが現状でございます。
 また、区市町村の小中学校におきましては、学校事務職員が原則一校一人配置という形になっておりますので、処理内容のノウハウの蓄積が十分ではない、効率性も十分ではない、チェック機能が働かない、そして、それぞれの学校で処理内容や方法が統一されていないといったような問題があります。こういったことが教員の多忙化の一因にもなっているというところがございます。
 そして、四つ目でございますが、さまざまな、新たな教育課題があるわけでございますが、それに対応するためには、教職員の資質能力の向上を図るとともに、外部人材の活用、いわば外部の関係機関との連携ということが重要でございますが、学校における教職員の多忙もあって、なかなか各学校で個別にこれらのことに対応することが難しい状況にあるということでございます。
 続きまして、ただいまお話ししました点について、多少詳細説明させていただきます。5ページでございます。
 まず、教員の多忙化でございます。
 1カ月当たりの時間外労働を見ておりますが、右の都の行政職や、あるいは民間の平均に比べて、これは在校時間から正規の勤務時間を差っ引いた、言ってみれば、教員の学校における残業ということになります。
 単純に比較はできませんが、総じて学校の教員の残業時間は長い。とりわけ、小中学校は長いということが見てとれるかと思います。
 次に、下段でございますが、学校に求められる教育課題の例をそこに挙げてございます。
 これらの事項は、教科書にも若干は書いてあるんですが、その教科書の程度のことではなくて、もっと深く、手厚く教育してほしいという要請が社会全般からある。そういった教育課題でございます。
 こういった教育課題は専門性が非常に高いということで、授業内容を立案するに当たっても、また、専門人材を外部から招聘するにしても、そのコーディネート準備に時間がかかるということで、多忙な、またノウハウが十分でない教員、学校では、十分な対応ができないという状況がございます。
 申すまでもないことですが、学校においては、不登校や中退、いじめ、暴力、発達障害児の対応、保護者対応、地域との連携等々、さまざまな取り組まなければいけない課題がたくさんございますので、こういったいろいろな、専門的な教育課題には、なかなか対応ができていないという状況がございます。
 次に、学校経営支援センターでございますが、6ページにありますとおり、東部、中部、西部に分けて、センター1所、支所1所、計6所を配置してございます。
 7ページをごらんいただきたいと思います。
 経営支援センターというのは、学校と本庁の間を取り持つ形になっていまして、経営支援センターは管理課と経営支援室、支所のほうは管理課がなくて経営支援室だけということでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、従前に比べて、かなり事務の集約化によって効率化が図られておりますが、やはり企画的支援、コーディネート的な支援が十分にできないという状況がございます。
 これについて、本庁がそれにかわって、各学校に対してそういったサポートが十分できているかというと、本庁も指導部等になるわけでございますが、常に都の平均残業を超える残業状態ということで、縮減は図っておりますが、上位ベストテンを行ったり来たりといったような状態で、なかなか、きめ細かな学校に対する支援ができていないという状況でございます。
 次に、8ページでございます。
 これは、都立学校について、ただいま申し上げた点を一覧にまとめたものでございます。
 若干補足的に、まだ説明していないことを申し上げたいと思いますが、先ほど外部人材を学校に招聘することが必要と申し上げましたが、外部人材を学校に招聘するのに、学校独力ではできないということで、現在、都教育委員会では人材バンクをつくって、紹介をする、人材を登録してもらうということをしておりますが、法令の制約があって、自治体においては対価を支払って行う労働についての職業紹介ができないということになっております。このため、現在、東京エリアというのはボランティアの紹介にとどまっているという状況でございます。
 それから、下段の研修センターのところでございますが、研修センター、教職員の基本的な資質・能力の向上ですとか、既存の教育課題に対する研修は十分できているかと思うんですが、新たな課題への対応、あるいは専門分野、こういったところについてはなかなか十分なノウハウの蓄積がない。体制的な余裕がないといったところで不十分なところがあるという状況でございます。
 こういったことから、今後の支援体制の課題としては、人材バンク機能の充実・強化をどう図るか。教職員研修の企画機能の充実・強化をどう図るか。学校教育支援業務の充実・強化をどう図るかということでございます。
 それから、一番下の学校事務・施設管理業務の効率化でございますが、ルーチンの業務は一応、従前より効率的にできるようになってはいるんですが、さらなる効率化の方策というのも、今後の課題として検討すべきことではないかということが言えます。
 次に、9ページでございます。
区市町村立学校のほうでございますが、ただいまの都立とほぼ同様な点があるわけでございますが、若干違う点が、まず真ん中の都教育委員会事務局の二つ目の三角をごらんいただきたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、設置者が異なるために、都教委としての支援は限定的、間接的にならざるを得ないということ。それから、3段目にある区市町村教育委員会のところにありますが、区市町村教育委員会も非常に複雑困難な課題を多数抱えておりますが、やはり自治体によっては財政力が弱い、人員体制が少ないといったことで、十分な対応ができないといったところも見受けられます。
 さらに、右の、支援体制の課題の一番下でございますが、学校事務の施設管理業務のセンター化につきましては、先ほども申し上げましたとおり、1学校1人職場が原則でございますので、都立学校以上に分散化していて、非効率であるということで、ここについてどうメスを入れるかというのも大きな課題でございます。
 以上のようなことをまとめたのが10ページでございまして、五つの支援業務の課題があると。これらの課題を解決するということが教育の質の向上になっていくし、学校の働き方改革の推進につながると。この二つが相乗作用を果たす中で好循環の発生へつながっていけばと考えているところでございます。
 11ページをごらんください。
こういった支援機能をどのような形で具体化するかということで4点の視点から分析をしております。一つは高度化、一つは効率化、そして地域拠点化という3点でございます。さらに、これらの3点について、区市町村に拡大をしていく場合にはどういった形が一番スムーズに実現可能なのかということでございまして、この、あわせて4点の視点から「都教育委員会が直接実施」する場合と、「民間委託を推進」する場合と「監理団体を活用」する場合、この三つの手法について分析・検討をしてございます。
それが12ページの一覧表でございます。
 まず、都教委が直接実施する場合でございますが、これまでに申し上げたとおり、それぞれの支援機能にそれぞれ直営の場合には課題がございます。とりわけ人材バンクの場合は、先ほど申し上げたとおり、法令上の制限があると。それから、学校教育支援業務につきましては、区市町村の教育委員会を飛び越えて直接区市町村立学校を支援するということは極めて難しいと。それから、教育委員会、地教委への支援でございますが、法令的には指導・助言にとどまって、それから補助制度を使う場合にも、やはり予算上の制約等々かなり限界があるということでございまして、都教委の直接実施には法令的、制度的な限界というのが、かなりあるというところでございます。
 それから、民間委託、これは、これまでも行ってきているわけでございます。そういう意味では、ある分野、ある事業については有効性はあると考えておりますが、一般的には、やはり競争入札ということになりますので、安定性、継続性という点では難があるということでございまして、単発の特化型事業に向いているというのが現状かと思います。
 次に、監理団体でございますが、まず人材バンクについては、対価を支払う労働についても監理団体であれば紹介は可能でございます。また、教職員研修につきましては、役所の定期異動というルールが影響を及ぼしませんので、要は長いこと経験を積んだ職員が十分なノウハウやネットワークのもとに専門的なサービスの提供ができるという面があろうかと思います。それから、学校教育支援業務の充実という面では、区市町村立学校への個別の直接の支援というものも可能になると。そして、先ほど申し上げたような、専門的な蓄積を持った職員が対応することによって、専門的なサービスの提供も可能というふうに考えられます。
 以上のようなことでございまして、監理団体は有効な方策と考えられるわけでございますが、しかし一方で、監理団体の設立には十分に慎重であるべきだというのも、またこれしかりでございまして、そういう面で、これら三つのどれをとるのかということにつきましては、三つの選択をオール・オア・ナッシングではなくて、お互いが補完し合うということが一番いいのではないかと思います。いずれにしても、どの選択肢を選ぶのかということにつきましては、多面的に今後も検討していく必要があろうかと思います。
 以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 引き続き、東京消防庁から、救急活動ユニットについて報告をお願いいたします。

○村上消防総監 東京消防庁でございます。
 それでは、4ページを、まず、お開きいただきたいと思います。
救急事業というのは都民の命を守る事業でございますので、都民の生命を守る、どうして守るかというアプローチで分析をいたしました。いかに早く応急処置を実施して、適切な医療を受けられる病院に引き継ぐかという論点で、こちらの「組織の戦略」2点、「現場のパフォーマンス」4点の要素で整理をいたしまして、アウトカムといたしまして、都民の心肺停止傷病者の1か月の生存率というものをデータとして分析し、課題を整理し、対応策を取りまとめました。
 5ページをお願いいたします。
まず、救急の現状でございます。東京消防庁管内では、年間約78万件(1日当たり2,130件)の救急要請がございます。今年も前年比約1.6%の伸びで、昨日70万件に達したということで、79万件ぐらいが、今年の件数になるのではないかと、今予想しているところでございます。
 救急要請の特徴といたしまして、真ん中にあります3点が挙げられます。高齢者の救急搬送は全搬送の50%を占めております。これは地域包括ケアとか自宅での介護ということで、住宅とか高齢者施設にいらっしゃる方が増えているのが原因かと考えられます。また、軽症者の割合が約半数を占めていると。後ほど触れますが、これは全国の平均より、ちょっと高いということで、これも一つの課題になっております。また、病院間の転院搬送ということで、全搬送の6.3%ということになっております。
 下のグラフは、1963年からの救急の増加状況でございます。2006年に1回下降傾向になったんですけれども、この段階で東京消防庁に救急相談センターというのをつくりまして、救急を呼ぶべきか迷ったときには相談してくださいということで、1回減る傾向になったんですけれども、また2010年あたりから増加傾向になりまして、今、大体年間2%弱の伸びになっている状況でございます。都内253隊の救急で対応しているところでございます。
 次に、6ページをごらんいただきたいと思います。
救急活動の分析でございます。一番下のグラフ、左側でございますけれども、要請件数、人口10万人あたりですけども、大阪がちょっと図抜けて高いんで、大阪を除いた関東の他都市とは、ほぼ同じようなレベルになっております。右側が人口10万人あたりの救急隊数でございますが、やはり他の都市に比べれば、若干少ない状況になっているところでございます。
 次に、7ページをごらんいただきたいと思います。
救急活動の現状を他都市と比較したところでございます。一番最初アウトカムで言いました、心肺停止傷病者の1か月生存率、一番左のグラフでございますが、全国平均が13%に対して東京消防庁管内が11.9%、全国平均を下回っているところでございます。
 また、1カ月生存率と相関性が高いと考えているバイスタンダー、近くにいる人ですね。応急手当の実施率、これが、左から2番目の、③のグラフになっているんですけれども、これも全国平均が55.8%に対して、当庁管内が43.8%ということで、マイナス10ポイントということになってございます。
 続きまして、救急隊の現場到着時間、これは電話が入ってから現場に到達するまでの時間ですけれども、④のグラフをごらんいただきたいと思いますが、全国平均が8.6分なのに対して東京消防庁管内が10.7分ということで、こちらが長くなっていると。
 続きまして、現場到着時間、現場出発から医師引き継ぎ、お医者さんの管理下に置くまでというのが一番右の⑥のグラフになっておりますけども、これはちょっと全国平均がございませんが、他都市に比べて長いという状況になっております。
 続きまして、搬送先選定困難、ちょっと戻っていただいて、右から2番目のグラフになりますけれども、これについても、全国平均よりも高いということで、これは何かといいますと、現場でなかなか行く病院が決まらないということで、ほかの全救急件数に対する割合でございますが、それが全国平均よりも少し高くなっているというのが現状でございます。
 次に、8ページをごらんいただきたいと思います。
 以上の課題を4ページの6点の視点で整理したのが、この表になります。対応策の方向性を一番右の四つにまとめましたので、その説明をさせていただきたいと思います。
 次の9ページをごらんいただきたいと思います。
 取組の方向性のⅠは、高齢者に重点を置いた普及啓発やさらなる需要抑制策の検討でございます。先ほど申し上げたとおり、救急の搬送の高齢者率が非常に高いので、高齢者に重点を置いて救急相談センター「♯7119」、119番しないで「♯7119」にかけていただこうという広報を進めていこうと。実は、若い人たちは救急相談センターを積極的に使っていただいて、特にお子様をお持ちのお母様たちは非常によく使っていただくんですけども、高齢者の方はなかなか使っていただけないという現状があります。そこで、高齢者に絞った対象の広報策の展開と、やはり高齢者は知っていてもなかなかかけてくれないという状況がありますので、その辺どうやったら使ってもらえるのかとか、使いやすさについても、今後検討をしていきたいと思います。
 もう一点が、傷病者のビッグデータによる普及啓発の効率化ということでございますが、実は軽症者が全国平均に比べて10%高いということですが、今までどうして軽症者がそういうふうに多いのかという分析を行っていませんでしたので、今年から傷病者のビッグデータ分析、年間30何万件の軽傷者がいらっしゃいますので、それをきちんと分析して、何で軽傷者がふえているんだということを分析することによって、軽傷者を減らす取組を行っていく必要があると考えております。これらによりまして、一番最初に申し上げました、要素①の緊急性の低い救急要請を抑制していきたいと考えてございます。
 次の10ページをごらんいただきたいと思います。
 高齢者に重点を置いた普及啓発ということで、「♯7119救急相談センター」、119番をかける前に「♯7119」をかけていただこうということですけれども、認知率がまだまだ都民の半分強ぐらいでございますので、ぜひ2022年までには60%を目指して普及をしていきたいと考えてございます。
 続いて11ページをごらんください。
 取組の方向性のⅡは、救急隊の増隊・機動的運用でございます。実は、昨年から救急出場年間77万件のビッグデータ分析というのを始めまして、都内の要請が多いエリア、またどういう天気の日に多いのか、何曜日に多いのかとか、そういうことの分析を始めて、それのデータに基づきまして救急隊を配置できないかということを始めております。また、昨年から、昼間の救急出場が多い東京駅と、夜の救急出場が多い新宿駅周辺に、それぞれ救急隊が昼間いる場所と夜いる場所を変えるという機動的運用というのを導入して、かなり効果を上げているという実績もございます。さらに、このビッグデータ分析を進めて、救急隊の適切な増隊、それから適切な運用に進めていくことによって、救急隊が1分でも早く現場に着けるような体制を整えていきたいと思っております。
 12ページをごらんいただきたいと思います。
 2020年までに、今7.5分、これは救急隊が出場してから到着するまでの、先ほどの10分というのは電話がかかってから到着でございますので、とりあえず指標として、救急隊が出場してから到着するまでの時間をオリンピック等での説明で使っておりますので、それを2020年までに、7.5分を7分にするために頑張っていきたいと思っております。
 続いて、次のページをごらんいただきたいと思います。
13ページです。方向性の3つ目は、救命講習の受講促進と応急手当の実施率向上です。先ほど申し上げたとおり、現場にいらっしゃるバイスタンダーが倒れている方に手を差し伸べる率が、東京はそれほど高くないという状況がございます。ただ、応急手当の講習受講者数は多分全国一位となっているんですけれど、なかなか手を差し伸べていただけないということですので、そのあたりをきちんと分析して、どうやったら手を差し伸べていただけるのかという対象の分析を、これから進めていきたいと思います。また、どうしたらやる気になっていただくというところも必要でございますので、その動機づけについても考えていきたいと思います。
 応急手当の実施率の向上で、もう一つ私どもが実施しているのは、「心臓がとまっています、息をしていません」という119番通報をいただいたときには、1回119番を切った後に救急隊が再度電話をして、応急手当はこうやってやるんですよ、心臓の胸の真ん中あたりを押してくださいということを指導しているんですけれども、やはり1回電話を切ることによって実施率が下がっているのではないかという御指摘もありますので、今、年間100万件も119番がかかっていますので、そこで続けてやる体制が今できておりませんので、その体制を見直して、そのまま継続して指導できるようなことを、ぜひ考えていきたいと思います。
 15ページをごらんいただきたいと思います。
 公共の場における応急手当実施率が今64.3%ですけれども、2022年の目標として70%、手を差し伸べていただける方をふやすという対策を進めていきたいと思っております。
 次のページをごらんいただきたいと思います。
 取組の方向性Ⅳ、病院や関係局との連携強化に向けた取組の方向性でございます。まず一つは、一番最初に申し上げましたけれども、転院搬送が今6%を超えるということで、かなりの救急件数の割合を占めております。先月、福祉保健局が医師会と連携をいたしまして、転院搬送していい事案のガイドラインを実施したところでございますので、その内容を今検証しているところですので、この効果を確かめていって、不要な転院搬送の抑制に努めていきたいと考えております。
 搬送先選定の迅速化ですが、こちらはなかなか病院が決まらないということで、特に高齢者というのは、いろんな病気をお持ちでございますので、病院が決まらない傾向がございます。そこで、地域包括ケアなどの方々に、もう既に、事前に登録をしていただいておいて、行く病院を先に決めてもらうというような取組ができないかということを、来年度ぐらいから試行したいと考えております。また、救急医療に対する都民の理解や診療体制の充実についても、関係局と協力しながら進めていきたいと思っております。
 3番目の早い引き継ぎの働きかけでございますけれども、なかなか病院に着いてから医師の引き継ぎに時間がかかっているという実情がございますが、それが病院によって傾向が違います。その辺まだ、今まで分析をしていなかったので、都立病院さんとちょっと御協力いただきながら分析を進めて、できれば医師への早い引き継ぎのルールを将来的にはつくっていきたいと思っております。
 以上の3つで病院や関係局との連携強化を進めていきたいと思います。
 以上、4つの対応策で、最初のアウトカムの、都民の1か月の生存率の向上を図っていきたいと思っております。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ただいま2局の報告に関しまして、特別顧問からコメントございますでしょうか。

○上山特別顧問 学校の話ですけれども、これ全国どこでも問題だと思うんですが、東京都の場合、スケールメリットが生かせると思うんですね。狭い地域にたくさんの学校がある。文科省はどうも、個々の学校に事務員さんを置いて、個別の学校の中でいろんなことを処理するという原則のようですけれども、東京の場合、スケールメリットが生かせる。既に平成18年から都庁のほうで支援センターをつくられていますが、さらに、ぜひ区市町村まで広げていくのは非常に合理的な考え方だし、市町村も余裕のないところがふえてきているということ、教育の優先度の高さを考えると、今回の提案は非常にすばらしいと思います。一方で、事務処理とか教師の負担を下げるだけではなくて、学校の中ではできないこともふえていると思うんですね。プログラミング教育とか英語だとか、あるいは弁護士とか看護師とか、外のプロを呼んでくる。こういったようなことは、なかなか学校の中ではできないので、これを外側からサポートする。こういうことで、今回、場合によっては監理団体というふうな話も出てきていますけれども、機動的に地域の実態を見ながら動いていくという意味では、直営よりも民間あるいは監理団体のようなものを使っていくという時代に、入ってきていると思います。
 ただ、業務の中身、例えば不必要な手続がないのかとか、できるだけIT化して、そもそも人を使わずにできるのではないかとか、そういった根本的な業務改革の視点も入れながら、本当に必要な部分だけをうまく抜き出して外からの支援体制をつくる。こういう、もう少し細かい設計作業が今後は必要になると思います。
 次の救急ですけれども、これは私もなじみのない世界で、いろいろ現場も見させていただいて、いろいろ気がついた。消防庁の皆さん、救急の隊員も車も非常に効率的に回しておられる。工場の生産性改善と同じような、あるいはそれ以上の工夫をされているのが非常によくわかって感銘を受けました。一方で、そもそも不必要な電話がかかってこないようにする努力とか、あるいは救急車が行けないときのバイスタンダーの人たちへの働きかけ。この辺になると、いわゆるマーケティングといいますか、一般都民に対する営業のような作業が必要になる。そして、必ずしも救急隊の皆さんが得意としている作業ではない。それから、病院に入ってからの、早くお医者さんが出てきて患者さんの面倒を見てよというのも、これもお願いする側なんでなかなか強いことは言えない。いろんな事情があるということもわかりました。しかし、患者と向き合っているのはやはり消防庁ですので、消防庁が都庁を代表して、あるいは都民を代表して、患者の立場を代弁して、ベストを尽くすという意味で、ビフォー救急車とアフター救急車の二つの部分ですね。これはぜひ、知事、本庁の協力もいただきながら頑張っていただければと思います。
 数値目標が幾つか出ていまして、10ページ、12ページ、14ページには力強い数値目標が出てくる。22年には70%といった目標をきっちり定められているという点でも今回の作業は大変すばらしかったと思います。

○事務局(榎本) ありがとうございます。それでは、そのほかに何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 知事、お願いいたします。

○小池知事 いろいろ自律改革に向けての客観的な分析、御苦労さまでございました。教育、そして救急、どちらも極めて重要な課題でございます。
 教員の支援ということで、まさしく働き方改革の中で大変クローズアップされているのが、教職員の超過労働時間の問題であります。それをどのようにして解決していくかということで方策が大分見えてはきています。そこをどう今後スピード化して、そして改善をしていくか。改革の方向性であるとか必要性は、私はもうそのとおりだと思っておりますので、ぜひ、その一番の改善策というのを見つけていただいて、そして教育の質の向上にも努められるようにしていただきたい。そして、もちろん教職員の働き方について改善できるようにしていただきたいと思います。
 近年、学校に求められている教育課題として、法教育、憲法教育、主権者教育から、シティズンシップ教育、人権教育から、がん教育から、ありとあらゆる時代の流れを映すようなそういうサブジェクトといいましょうか、たくさん出ています。これを全部先生が学んでそしてカバーするというのはなかなか大変なことだと思いますので、私はできるだけ外部の方、例えばシルバーの方で、もう、その道の専門の方で時間をお持ちの方たくさんいらっしゃると思うんですよね。そういった方々を見つけ出して、そしてマッチングさせるという、その仕組みをどうしたらいいかという話ではないかと思っております。ぜひ、これについてはより深めて、そして答えを出していきたいと思います。
 消防庁の方もセーフシティーを標榜しておりますので、ぜひそれぞれ現場の声、大変だと思いますが、この救急の質を上げることによって命を救うという大きな使命のもとに向かって前進をしていただきたいと思っております。
 課題はかなり見えてきているかと思いますので、そこで解を見つけていきたいと思います。御苦労さまです。

○事務局(榎本) ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
 川澄副知事お願いします。

○川澄副知事 救急の件ですけれども、やはり病院の転院搬送に取り組んでいくというのは非常に効果的なのかなと思います。10月からやり始めたということで、やはり病院の数も限られていますので、ピンポイントでいろいろ働きかけていくと、非常に、ここの部分については効果があらわれやすいのかなと思いますので、ここは福祉保健局と一体となって、取り組んでいただければと思います。
 それから、教育のほうですが、都立学校の支援という話だと考えやすいんですけれども、区市町村への支援というと、例えば学校事務のセンター化みたいな話だと、どこまで東京都でやれるのか、やるべきなのかみたいなところも含めてちょっと検討しなくてはいけないのかなと思います。その辺のところは都立学校と区市町村、似たような支援ではあるとは思うんですけれども、まずは、峻別して、少し検討していただければなと思います。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
 猪熊副知事お願いします。

○猪熊副知事 学校運営の支援ですが、やはり事務的な支援の強化をしていかなければいけないこと、それから専門性とか高度化の教育といったニーズに対応した体制をつくっていかなければいけないことというのが非常に明らかになったなと思います。今後いろいろな方策の中で何をとっていくか、あるいはミックスしていくかというところでは、やはり直営部分で絶対に都として残さなくてはいけないものと、ほかに委託していったほうがいいものというのは、改めて、もう少しきめ細かに切り分けるのかなということが一つ。
 あと、今、川澄副知事からもお話がありましたが、区市町村支援にリーチを広げるというのは、新しい必要性ということかとは思いますが、設置者の判断によるところがあるというのは資料にも書いてあるとおりで、区市町村の自立性と、あと効率的、効果的な支援というところをきちんと見ていくというのは、さらに分析が必要かなと感じました。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 ほかに、いかがでしょうか。
 中井教育長、お願いします。

○中井教育長 ありがとうございました。
 まず、知事から御指摘のありましたシルバー人材の活用については、おっしゃるとおりだと思っております。団塊の世代も高齢世代になっていき、まだまだ持てる能力を社会に還元したいという方たちも多いと聞いております。まさにこれから、シルバー人材をいかに学校教育の現場に活用させていただくかということが、学校教育の、先ほどから申し上げている二つの課題を解決する大きなファクターではないかと私どもも考えているところでございます。これらのことについては、スピード感を持って、さらに詳細な検討を進めていきたいと思っております。
 上山顧問からICTの利用についてお話がございました。ICTの利用、公務の面でも、それから学習の面でも、これからもっともっと導入していかなければいけない、そのように考えておりますが、やはり子供の数、教員の数も多い中で、総量としては、相当ICT化には金がかかるというところも現実ございますので、これについては、安価な手法で効果的な手法、その2点をしっかりととらまえて、ベストな導入の仕方を引き続き追求してまいりたいと思っております。
 それから、副知事から区市町村への拡大についてのお話がございました。東京都と区市町村という行政レベルですと、先ほど御説明したとおり、指導助言、補助金という手法に限定されるわけでございますが、仮に監理団体という新たな手法がありますと、そこはノウハウを蓄積した監理団体が契約ベースでどうですかという形にアプローチができるということで、また別の切り口で、主体者である区市町村に判断を求めながら取り組んでいくということができるということかと思っているところでございます。
 以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 では、消防総監、お願いいたします。

○村上消防総監 東京消防庁でございます。
 今回の分析を通じまして、上山顧問から御指摘のあった質の中身、これまでは時間ばかりを追っていたんですけれども、救命率という中身を追いかけたほうがいいというお話をいただきまして、今までにない分析ができたと思います。
 知事からお話のあったとおり、救急の質を上げるということで、このような目標を立てさせていただきましたので、この目標達成に向けて、いろんな分析を行って、中身のある改革を行っていきたいと思います。
 また、川澄副知事からも御指摘のあった転院搬送につきましては、10月の1か月で500件ぐらい、昨年比で減っているという実績もございますので、このように効果的なものをもう少し見つけて、さらにその向上に取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 それでは、これから4局の報告をお願いしたいと思いますが、会議の予定時間が限られてきております。要旨の報告ということで、簡潔に報告をお願いしたいと思います。4局続けて報告していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、まず青少年・治安対策本部から、青少年・治安対策ユニットについて、報告をお願いいたします。

○大澤青少年・治安対策本部長 青少年・治安対策本部でございます。
 青少年・治安対策本部では、治安対策、青少年対策、交通安全対策という、この三つを柱に、警視庁を初めとします各関係機関と連携して事業を展開しておるところでございます。
 今回の改革あるいは報告につきまして、体系、予算等の見える化をした上で、1ページ目にありますように、以下の視点から分析を実施したところでございます。
 最初に、これまでの対策による成果でございますけれども、端的に申しますと、よく言われておりますように、都内の刑法犯認知件数、あるいは交通事故死者数、昨年は戦後最少を記録いたしますなど、犯罪や事故等の全体の件数は改善したところであります。また、ちょっと数値指標とは違うんですけれども、青少年対策につきましては、インターネット利用に起因するトラブル、被害への対応ということで、既存の施策の延長ではなく、その時々の環境変化を踏まえた施策を展開してきたところでございます。
 次に、最近の状況でございますけれども、子供や高齢者等の弱者が被害者となるような犯罪など、深刻な課題が依然として存在しておるところでございます。先ほど犯罪の総件数は減っておるということを申し上げましたけれども、その一方で、子供に対する犯罪の認知件数は依然として減っていないというようなことがございます。また、特殊詐欺などは高齢者が被害に遭う例が非常に多くを占めています。
 高齢者について言いますと、高齢運転者の事故が昨年大きな問題になりましたけれども、事故の件数自体は減少傾向にありますものの、事故全体の中で、高齢運転者によるものについては上昇傾向にあるというようなことが出ており、依然として深刻な課題が存在しておるところでございます。
 続きまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。
 一方で、これを都民の方々がどのように見ておられるか等についてでございます。ちょっと最初は都民とは違うんですが、訪都外国人のほうで、東京の魅力は何があるのかということをとったアンケートがありますが、そこでは「治安がよい」が3位になっているように、そういうところから見ると魅力的であると言われているんですけれども、都民生活の世論調査につきましては、治安対策への要望は毎年上位に上がっており、今年は2位ということでございますが、都民からの対策が求められている分野ということになっております。
 先ほど申し上げたように、総件数については改善している一方で、弱者を狙った犯罪などが起きているということで、対策の強化が必要であると考えております。もちろん警察機関が担います犯罪発生後の捜査、あるいは取り締まり等の分野は非常に大事なところではありますけれども、都民にとりましては、犯罪に遭わない、予防するということが、より重要であります。そのためには警察機関だけではなく、関係各局、区市町村、あるいは民間の方、ボランティア、こういった方々が一体となった取組、努力が必要不可欠ということでありまして、当本部では、これら関係機関等の結び目として施策を推進していきたいと考えております。
 今後でございますが、2のところに書いております、主なものを挙げております。例えば来年度に向けて対策強化いたしますのは、子供や高齢者等、弱者への対策であります。そこにありますような子供の危険予測・危機回避能力の向上、指導者といったこと、あるいは高齢者につきましては身体機能の低下等の特性を踏まえた普及啓発を考えております。
 また、新たな対策の検討の例としましては、再犯防止推進法が昨年12月に施行されました。地方公共団体の役割ということが出てまいりましたので、この辺の対策をとっていく必要があると考えております。
 また、さらに青少年の性被害の防止、非常に大きな課題でございます。自画撮り被害というものが非常に大きな問題となっております。4定で条例の改正案を提出いたしますほか、総合的な対策を講じる必要があると考えております。
 引き続き、先ほど申し上げましたように犯罪に遭ってからでは遅いので、犯罪に遭わないような対策、これをしっかりととっていきたいと考えております。
 青少年・治安対策本部からは以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 引き続き、都市整備局から、防災まちづくりユニットについて、お願いいたします。

○邊見東京都技監 横一枚の要旨で御説明させていただきます。
 「燃えない・燃え広がらない」、「倒れない」の2つについて、改めて点検を実施したものであります。これまで、この分野はさまざまな施策を展開し、改善も進めてきてございます。一方で、目標達成に向けては取組の一層の加速をする、世の中から見てわかりやすくする、こういったことが必要である。こういった分析、整理でございます。
 初めに、上半分、「燃えない・燃え広がらない」ですけれども、目標達成、不燃領域率の向上に向けて、一層の加速策として、資料の右側、今後の改革の進め方にありますように、3点を挙げてございます。
 1つ目は、区のサポート体制であります。区と都の間における人事交流、人がお互いに入れかわる、交流するのが大事でありまして、都にも区にも、それぞれ得手、不得手がありますが、ノウハウの蓄積、共有を進めていく。そういう考えでございます。
 それから、監理団体の活用であります。それぞれの区が事業やマターに応じてマンパワーを抱えるには限界がありますので、監理団体が持てる経験値を生かして一層の活用を図る、こういったことが効率的であると考えてございます。
 2つ目、積極的な情報公開についてであります。エリア別の進捗状況、整備プログラムというのを昨年度末から毎年更新ということを始めてございますけれども、これをしっかりとわかりやすい中身のポイント、効果、あるいは進捗推移がよく見えるように改善していく必要があると考えてございます。加えて、例えば危険なエリアなどが手軽に見えるように、スマホアプリを開発する予定でもございます。
 3つ目、地域特性に対応であります。いわゆる木密地域の「アンコ」について、規制や誘導策に加えて、昨年度から新たに事業として改善を進めようということで、防災生活道路を幅6メートル程度以上にするという整備を始めておりますが、これを加速する必要があります。
 それから、大規模な都有地、これを財産としてしっかり活用して、魅力的な移転先を確保する。特定整備路線などの代替地として、あるいは借家人の移転先となる賃貸住宅として整備する。あわせて、コミュニティーのある東京ならではのまちにつなげていきたいと考えてございます。これらによって、不燃化を一層加速していく考えであります。
 下半分、「倒れない」の加速策についてでありますが、緊急輸送道路の沿道、あるいは住宅の耐震化率を目標に向けて上げていくということで、右下、1つ目でありますが、耐震診断が条例によりまして、かなり、相当程度、97%程度進んできている状況があります。これを実際の設計、次のステップに結びつけていくことが大事でありまして、管理組合への戸別訪問ですとか、改修計画策定支援などを手厚く進めていくことが重要であります。
 2つ目、助成制度でありますが、住宅については区市町村の役割は大きいわけでありますが、都も助成制度の拡充を検討していくということであります。国にも助成割合の拡大を要求するなどして、費用負担の軽減、あるいは対象の拡大を図る取組を進めていきたいと考えてございます。
 今後も、この分野で取組を一層加速させていくことが重要でありまして、また、都に加えて地元の区市町村、都民、民間事業者が協力して事業を推進していくことが大切で、効率的であります。そのためにも、今回の分析あるいは進め方の延長線上で、さらなる取り組みを進めていきたいと考えてございます。
 報告は以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 続きまして、産業労働局から中小企業支援ユニットについて、お願いいたします。

○藤田産業労働局長 中小企業支援ユニットでございます。
 まず、見える化分析の手順でございますけれども、御指摘を頂戴いたしまして、統計データからいろいろ現状分析し、施策課題を洗い出しまして、見直しの方向性等を検討してございます。
 報告書にございますとおり、データから導かれる状況でございますけれども、都内の開業率はやや伸びてきておりますけれども、現在で6.0%ということで、依然として、欧米に比べて10%台というところには、まだまだ開きがあるという状況でございます。また、経営者の高齢化、あるいは規模の小さい会社の売り上げがやっぱり伸び悩んでいる、全体として景気は緩やかに回復しているといいながら、やはり小さいところは利益が伸び悩んでいるというようなことで、さまざまな課題に直面しております。
 都は、これまでも企業のライフステージに応じて、さまざまな施策を打ってきておりますけれども、こうした社会状況の変化を踏まえまして、次の4つの柱で分析しております。
 まず創業支援でございますけれども、各種事業を展開しておりまして、その主な事業実績は順調に伸びているところでございます。ただ、一方で、都はこれまで低廉なコストでインキュベーション施設を運営してきておりますけれども、これは近年では民間でもこういった取組が進んできておりますので、これにつきましては老朽化したインキュベーション施設を中心に見直しを行っていきたいと思っております。
 それから、2番目の経営基盤の強化でございますが、私どもは中小企業振興公社で総合的な相談窓口等々を設けたり、きめ細かな、それぞれの事業を実施しておりますけれども、こちらのほうも順調に伸びてはおります。今回、他県比較ということで、初めて我々はそういった形では認識してやりましたけれども、2万数千件という年間の支援数というのは、実数では大きいんですけれども、どうしてもやっぱり45万社弱ございます母数に対して、いかに利用してもらっているか、リーチ率というふうに言っているんですが、それからいたしますと、他県比較して必ずしも高くないということがございます。そういったことも含めて、今後情報発信、あるいは会社に出向いていって対応するとか、そういった現場力の強化をさらにやっていきたいと思っております。
 それから3番目の新技術サービスでは、都立の産業技術研究センターで技術相談、技術開発等々を行うほか、助成事業などの支援を行っておりますけれども、こちらのほうの事業も、その都度、都度の状況でいろいろ支援策を構築してきたつもりでございますけれども、やはり体系が複雑化していて利用者にわかりづらい面も出てきておりまして、また内容も類似している場合があるなどの課題が明らかになってまいりました。このため、情報公開をさらに進めるほか、事業体系を見直していきたいと考えております。
 4番目の販路開拓については、国内外の販路開拓を支援して、マッチング件数なども伸びてきておりますが、その一方で中小企業者が求めているのは、やっぱり経営力の支援、強化、マーケティングとか、より一層効果的な方策の支援を求められているところでございますので、そういったところにまたシフトしていきたいと思っております。
 これらを受けまして、今後の進め方でございますけれども、今回実施しました分析に基づきまして、30年度の予算要求を今行っているところでございます。
 また、事業の実績のほか、事業施策単位で事業評価をして、いわゆる棚卸しということで、ここで1回、業種別あるいは企業規模別にどんな支援を今まで実施して、どんなことが起きて、何が足りないのかというようなことを、一度ここできちっと整理いたしまして、検証していきたいと思っております。その上で、31年度以降の事業企画へも反映していきたいということで、施策目標の再設定等も含めて、あるいは、この取組を進めるに当たっては中小企業振興公社、こちらでは現場の生の情報ですとか、支援ノウハウを蓄積しておりますので、振興公社とともに実効性のある内容を検討していきたいと思っております。
 説明は以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 では、最後に、会計管理局から会計管理事務ユニットについて、お願いします。

○土渕会計管理局長 会計管理事務ですが、3つの切り口、会計事務と現金取扱い、また新公会計制度について、まず、それぞれの分析と問題点について、御説明いたします。
 まず、1番の会計事務ですが、私どもが定期検査に入って、いわゆる不適正と思われる、指摘する件数ですが、これは年々減少傾向にありまして、2016年度が693件ということで、5年前の3分の1まで減っています。ただ、これで十分ということではなくて、問題点にありますように、依然として背景には各局職員の知識、意識不足等の問題があり、これでも十分ではないというような認識を持っております。
 それから、2番目の現金取扱いですが、今回は全庁の調査をしまして、まだ速報値の段階なんですが、現金支出で取り扱っているのが、2016年度で約60億円という額になっております。なかなか他県でも同じような調査をしている例がないので、評価自体、難しいんですが、かなりまとまった金額になるのかなと思っていまして、問題点にありますように、当然ながら現金を扱う場合には事故リスクが高いということが言えるかと思います。
 3番目の新公会計制度ですが、自治体初の財務諸表作成をしたということで、全国をリードする取組をしてきたわけですが、導入からほぼ10年が経過しまして、次のステージといいますか、よりそれをミクロ面、個々の事業面での活用というところに課題があるのかなと認識しております。
 今後の改革の進め方、まず1番の会計事務の適正化ですが、しごと改革の中で会計事務フローの総点検を実施していきたいと思っております。大体、事務フローで行きますと500ぐらいの手続があるんですが、その一つ一つが法律に基づいたものなのか、また、場合によっては、もう必要ないものなのか、そういったことをしっかり点検して、ある面ですと、今まで外科的なというか、対策をとってきたわけですが、内科的というか、中に入り込んで、そういう意味では視点の方向性の転換を図って、ここにありますような検査体制の見直し、それから業務プロセスの改善、具体的には制度や運用が簡素化できないか。この中で例えば押印とか様式とか、そういうものが簡素化できないかという視点。それから最後にICTの活用ということで、システム化することによって人間のチェックから機械でチェックできないかと、そういった点検をしていきたいと考えております。
 2番目のキャッシュレス化の推進ですが、今、単純に調査して積み上げただけなんですけれども、恐らく実態としては福祉の現場とか教育の現場、建設の現場とかでも現金の取り扱い方は違うと思いますし、23区内と多摩、島しょでも当然これは違ってくると思いますので、まずはそういった細かい現場の調査、分析を行った上で、では代替手段は何なのか、恐らくカード等になってくると思うのですが、それの対応方針を決定して、原則キャッシュレスというものを目指して取組を進めたいと思っております。
 最後の新公会計制度ですが、先ほど言ったようなミクロ的な、それぞれの事業へどう活用するかということに関して、各局の支援、また自治体間の比較もこれからできるようになってくると思いますので、そういったことにも積極的に取り組んでまいりたい。このように考えているところでございます。
 説明は以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告につきまして、特別顧問からコメントがございましたらお願いします。
 宇田顧問、お願いします。

○宇田特別顧問 それでは、青少年・治安対策と、それから防災まちづくりについて、コメントをしておきたいと思います。
 青少年・治安対策につきましては、これまで警視庁の担当分野と都と連携しながら取り組みをしてきたと、理解いたしております。先ほどおっしゃった発生後、あるいはその前において、青少年・治安対策部門が積極的に活動されてきたと。数字から見ますと、実質件数が減少してきておりますので、その面においては成果があると見ております。ただ、先ほどありましたように、子供であり、それから高齢者というようなところは新しい分野として件数もふえてきていますので、この分野については一層の取組をよろしくお願いしたい。
 引き続きまして、防災まちづくりの今後についてでございますけれども、この分野は都民からしてみても、果たして東京は安全なのかというキークエスチョンをお持ちではないかなと思います。これに対して応えていかなければいけない。防災まちづくりというのはセーフシティーの根幹でもあり、極めて重要な施策であろうと思っております。先ほど御説明がありましたように、この分野は都庁だけではなくて市区町村あるいは民間、住民というものが一体になって取り組んでいく必要があるということです。
 今までソフト、ハード面においてはいろいろ、やられてきておりますけれども、今回の分析の中でわかったこととしては、目標と現実ということにおいてのギャップは、まだあるということです。不燃領域率というのをみずから決め、2020年までに70%の目標を設定とございますが、現状は62%。緊急輸送道路の沿道の建築物の耐震化率、2019年の90%という目標に対して、現状は83.6%。住宅耐震率についても、95%の目標に対して現状は83.8%。まだこれから年数はございますけれど、この目標に向かって本当に達成できるのか、ここはチャレンジになるかと思います。それから、これは都でございますので、パーセンテージは小さいように見えましても、戸数についてはかなり多いという部分もございます。
 5番にございますけれども、目標の設定に対して、これをスピードアップして実現していくためには、市区町村あるいは住民、関係者の理解がさらに必要になってくる。そういう意味で、今回見える化をし、そこで情報発信をしていく。自分たちの地域が果たして安全なのかというような都民からのクエスチョンに対してしっかり答えていくということが、ますます大事になる。情報公開の重要性というのは、特にこの分野においても重要なのではないかと思っております。
 6番目ですけれども、これを行っていく上で、いろいろ人材というのを最大限活用していかなければいけないということもございます。監理団体の活用とか、都市づくり公社というのもあるわけですけれども、これらを、木密事業に対してもっと活用するとか、具体的にいろいろな、今までの枠を取り払った対応が求められるのではないかと思いました。
 以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、特別顧問からいかがでしょうか。
 山梨顧問、お願いいたします。

○山梨特別顧問 それでは私のほうから、中小企業支援策について、コメントさせていただきます。
 丁寧な分析を、中小企業は非常に多岐にわたって、数も多い、またニーズも多様性に富んでいるところを分析いただいてありがとうございました。これで改革の基盤ができたなと判断しております。今後は改革をプランして実行していただくわけですが、3つの視点を忘れないで進めていただきたいなと考えております。
 1つ目は、もう既にお書きになっていただいているように、既存の事業それぞれについて、ダブりですとか、それからもうそろそろ、ちょっと賞味期限が切れているのではないかというようなこと、あるいは費用対効果がどうなのかという観点から見直しや改善を考えていただく。これは当然、進めていただけると期待しております。
 2つ目は、ちょっと立ちどまって、施策のほうではなくて、中小企業側を見ていただきたいと思います。全体感を持って、東京都というところに、中小企業はどういうタイプのものがどう存在して、どういうことで今御苦労されてニーズを持っているかということを、全体感で捉えていただきたいなということです。このときに、単に統計データだけではなくて、実際に日々、中小企業と向き合っていらっしゃる公社の方々のミクロな知見を十分に活用していただいて、ある意味では非常にビビッドな、生々しい全体感を持っていただいた上で、その中で東京都が、どういうタイプの中小企業の、どういうニーズに応えていくということが一番大事なのかということをお考えいただきたいと考えます。
 3番目は、GDP120兆円という大変大事な目標がございます。これに向けて、東京都の産業振興戦略というのを、もう一度考えていただく時期ではないかなと。そのとき大事な視点は、伝統的なものづくりのメーカーさんなどが、たくさんいらっしゃるんですが、必ずしも120兆円に貢献してくる企業というのは、そういう企業だけではないと思うんですね。東京都には、実は大変すぐれたポテンシャルを持っている中小企業という豊かな資産があるんだという視点を忘れないでいただいて、どんな企業がこれから東京の経済と雇用の発展に大きく貢献していくのかという、このあたりを見きわめていただいた上で、大きな絵を描いていただくことが重要ではないでしょうか。
 この3点の視点を忘れず進めていただければと思います。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、最後に知事から、おまとめの発言も含めまして、御発言を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○小池知事 皆さん、御苦労さまでございました。
8つの局から見える化改革ということで自己分析をしていただき、その報告を伺ったわけでございます。皆さんのさまざまな努力に対して、まず敬意を表したいと思います。
 冒頭申し上げましたように、見える化改革というのは非常に重要な入り口でございまして、かねてより申し上げている都民ファースト、そしてまた情報公開、賢い支出、この3つのテーマにどれも通用する、まさしく横串の部分の考え方であります。それをみずから、もう一度改めて見詰めていただいて、何を変えていかなければならないのか、何を強化していかなければならないのか、皆さん自身がなさっている、担当しておられる部署でありますから、そこを文字どおりの自律の改革を進めていっていただく、そのベースを今日見せていただいたと思います。
 そしてまた、それを進めるにおいては、さまざま分野によって方策は違うかと思いますけれども、最近はあまり使われなくなったかもしれませんが、「小さな政府」という言葉があります。やはり膨張するのは簡単ですけれど、やはりどうやってスリム化しつつ、かつ効率化するかという点を忘れないでいただきたいと思います。
 そして、例えば監理団体の話もちょっと出ましたけれども、監理団体の中でも時代とともに役目が変わってきているものもたくさんあろうかと思います。そういった意味で、スクラップ&ビルドという形で考えるというのも一つかと思っておりますので、いろんなツールを使って、いろんな生かし方で、そして都民にとって最大の利益が行われるという方向性をまた、今日12回目でありますけれども、都政改革本部で共有できたならばと思っております。そして皆さんには結果を出していただきたい、このように思っております。
 本当に御苦労さまでございました。今後ともよろしくお願いいたします。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 次回の会議は12月を予定しております。
 以上をもちまして、第12回都政改革本部会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。

○小池知事 御苦労さまでした。

12時01分閉会

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