都政改革本部会議(第11回)議事録

平成29年9月6日(水曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

13時47分開会

 1.開会
○事務局(榎本) ただいまより、第11回都政改革本部会議を開催いたします。
 本日の会議はインターネット中継を行うとともに、タブレット端末を使用して、ペーパーレスで進行してまいります。会議中、端末に不具合が発生した場合は、お声かけください。
 また、本日の会議出席者は、座席表の配付をもってかえさせていただきます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、知事より御挨拶をいただきたいと思います。
 知事、よろしくお願いいたします。

 2.知事挨拶
○小池知事 第11回の都政改革本部会議となりました。あっという間にもう11回重ねてきたのだなということでありますが、この間も、内部統制、自律改革といった改革の土台となる取組、もちろん情報公開がベースにありますけれども、これがかなり土台づくりとして進んできたのではないかと思います。
 それから、入札監視委員会の体制の拡充も先月、図ったところであります。内部統制プロジェクトチームが取り組んだ入札契約制度改革の一環であり、委員も増員ということになります。都発注工事の契約手続が適正か、チェック体制を強化していくということで、改革の実効性を担保していきたいと、このように考えています。
 それから、9月1日からは、例の公金支出情報の公開が始まりました。これはどこの都市よりも件数が多いのが東京でありますので、それの作業に当たった皆様も御苦労様でございました。しかし、こうやって一歩一歩、都政の透明化を進めることが、内部的にもいろいろな緊張感を呼び、そして、都民のお金が有効に使われるという方向につながっていくと期待をしているところでございます。
 皆さん、それぞれこれまで取り組んできたのと少しというか、大いに切り口を変えて、改めてみずからを見直してみて、そして自律改革と申し上げているように、みずからで変えていくという流れが定着をしてきたと思いますが、これからがまさしく本番に入っていこうということかと思います。
 ぜひ、都民ファーストの目線で、そしてまた時代も大きく変わって、これまで必要だった予算であるとか、これまで当たり前に確保されてきた制度などがいつの間にか、振り返って見ると、もはや時代遅れというか、時代のほうが先に行っているといったような場合もございます。むしろ、議会も変わりましたし、大きなチャンスだということから、ぜひ、改めて見直しを進めて、そして、真の意味のある改革へとつなげていただきたいと思います。
 今日の会議は、「2020改革」などの活動状況を報告してもらうこと。それから、都庁のライフ・ワーク・バランス実現PTの報告。事業ユニット分析の報告。それから、監理団体改革の検討。これはヒアリングを精力的にしていただいているということでございます。この4本立てでいきたいと思います。
 時間も限られておりますので、早速、中身に入っていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

3.議題
○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入ります。
 一つ目の議題は、「2020改革」等の活動状況についてです。
 事務局から報告させていただきます。

○事務局(小笠原) それでは、事務局から、「2020改革」等の活動状況について、報告をさせていただきます。
 資料1をご覧いただきたいと思います。
 最初に、都政改革本部会議の今後の予定でございます。本日9月6日でございますが、10月以降も月1回のペースで開催をしていきたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。
 「2020改革」の三つのテーマでございますけれども、「しごと改革」の関連で、前回の会議で課題を報告させていただきました、ライフ・ワーク・バランスのPTに関しまして、本日新たな取組を含めまして、この後、御報告をさせていただきます。
 今後につきましては、新たな取組の中で、また随時、その取組の状況を御報告させていただきたいと考えております。
 「見える化改革」につきましては、本日、事業ユニット分析の最初の報告といたしまして、視察船について報告をさせていただきます。10月以降の会議では毎回、複数ユニットを報告していきたいと考えているところでございます。
 「仕組み改革」につきましても、前回、監理団体の検討状況につきまして、課題の抽出を行っております。今、各団体からヒアリングを行っているところでございますが、本日の議論も踏まえまして、次回以降、引き続いて議論を行っていければと思っております。
 その他、昨年度からのフォローアップのテーマにつきましては、事務局で今後、年度後半に向けまして、中間状況の進行管理をしていきたいと考えておりまして、随時御報告をさせていただきます。
 事務局からは以上でございます。

○事務局(榎本) 続きまして、本日の議題の二つ目、「しごと改革」についてでございます。
 事務局から都庁ライフ・ワーク・バランス実現PTの報告について、説明をさせていただきます。

○事務局(小笠原) それでは、資料2をご覧ください。
 1ページは、前回の振り返りになります。職員アンケートを3月に実施をし、約4,000人の職員から回答をいただいているわけでございますが、この改善の件数でいいますと、5,587件の改善意見をいただいております。これらにつきまして分析して、それぞれ課題を抽出して取り組んでいることをこの後、御報告をさせていただきます。
 2ページをご覧ください。
 職員アンケートの分析でございます。アンケートの中では、大きくは四つ設問を設けているのですけれども、仕事と職場の設問につきまして、困っていること、改善策ということで、自由記述をしていただいております。今回、自由記述でそれぞれ書いていただいた文章を分析いたしまして、頻出ワードとその頻度、出てきた回数などを拾って分析したのが主な問題提起のところでございます。
 例えば、仕事と職場の困っていることという設問につきましては、超過勤務というのが断トツで多いわけなのですけれども、改善策の方をご覧いただきますと、会議・打ち合わせ、資料、ペーパーレスとか、業務改善などとなっておりまして、こうしたところに改善の余地が大いにあるということが頻出のワードから伺えるところです。
 具体的な改善の意見については、右側の改善意見のところに主な意見を掲載しております。
 例えば、会議については、一定の時間以降、会議を原則禁止してはどうかとか、あるいは効率化するために、事前に資料を送ってはどうかとか、ペーパーレス、あるいは電子決裁の活用などで効率化を図ってはどうかと、資料を簡素化してはどうかというような意見をいただいております。
 また、改善意見の一番下のところにございますように、総務的な業務につきましては、集約して、外部委託に出してはどうか、そういった業務改善についての意見もいただいているところでございます。
 3ページをご覧ください。
 意識・職場風土につきましては、これは非常にわかりやすい御意見になっているのですけれども、困っていることとしては休暇制度やあるいは取りやすさ、取りにくさといったことで意見をいただいているのですけれども、改善策としては、管理職・上司というのが一番多くなっておりまして、やはり管理職・上司の意識改革が、意識や職場風土の改善を図る上では重要だということが伺える内容になっております。
 能力開発でございますけれども、能力開発では、主に研修や人材育成についての御意見をいただいております。
 改善意見のところにございますように、これはテレワークとも関係する意見なのですけれども、研修が終わった後で、研修所から職場に戻ることによって残業が発生してしまう場合があるということで、サテライトオフィスを研修所に設けたらどうかというような意見ですとか、あるいは異動の工夫や外部との人事交流などを一層図って人材育成をしていってはどうかという意見をいただいております。
 4ページをご覧ください。
 4ページは多様で柔軟な働き方に関する意見でございます。実施したのが3月ということもございまして、テレワークの試行を控えていた時期ということで、それに期待する意見を多くいただいております。改善策の方では、テレワークやフレックスというワードが多く出ております。
 テレワークについては、既に試行を進めているわけでございますけれども、柔軟に活用できるようにしてほしいなどの意見をいただいております。
 また、休暇制度については、さまざまな意見をいただいておりまして、例えば、時間休の取得をしやすいようにしてほしいなどの意見をいただいているところでございます。
 こうしたさまざまな意見をいただきまして、5ページをご覧いただきたいのですけれども、前回の本部会議で御説明をさせていただいたような形で、右側にある、大きく六つの課題を整理させていただいたところでございます。
 この六つの課題につきまして、さらに整理した説明を6ページでさせていただきたいと思います。
 六つの課題につきまして、大きく意識改革、働き方改革、業務改革というフェーズに分けて整理をしてみました。また、それぞれ全庁的な取組と各局の取組がございますが、これまで昨年度以降、意識改革、働き方改革については、既にさまざまな取組を進めてきているところでございます。
 今後は、加えて、業務そのものを変えていきたいということを、アンケートを踏まえて改めて考えております。そこを新たな取組として今後やってまいりたいと考えております。
 これらの取組につきまして、各局で取り組めるものは、既に昨年来、自律改革として取り組んでございます。
 また、全庁的な取組のところでは、それぞれ既にいただいたアンケートを踏まえまして、制度所管で検討していただいていたり、既に実施をしていただいている部分がございます。
 現在検討中のものにつきましては、別紙の3として、17ページ以降に整理をさせていただいておりますので、後ほどお時間があるときにご覧いただければと思います。
 本日は、全庁的な取組の中で、業務改革について、これは都庁BPRという名称をつけさせていただきましたけれども、これを新しくやっていきたいということで、御説明をさせていただきたいと思います。
 BPRは、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングの略でございまして、業務プロセス自体を再構築して、仕事のやり方から変えていきたいという取組でございます。
 その説明、7ページをご覧ください。
 都庁BPRにつきまして、速やかに着手する取組と中期的な取組として検討していきたい取組と大きく分けておりますけれども、まず、速やかに3つの「レス」に取り組んでいきたいと考えております。
 一つは、現在、総務事務、下にございますが、人事給与とか、福利厚生、会計・契約・物品などの総務的な業務につきまして、各階層ごとの取りまとめやチェックなどが入っているものについて、一層の効率化が図れないかということでの中間処理レスでございます。また、ペーパーレスとキャッシュレス、この間、自律改革として、各局で取り組んでいただいている部分もあるのですけれども、これは全庁の取組としてやっていきたいと考えておりまして、この3つのレスの取組をまず年度内、しっかりやってまいります。
 そして、これらの取組を土台としまして、さらに業務の集約化とか、ICTの活用などを考えた上で、総務事務改革を進めていきたい、これを第2弾の取組として考えております。
 「中間処理レス」につきまして、8ページをご覧ください。
 人事・給与ですとか、会計などの事務につきまして、右上に階層、中間処理のイメージを書かせていただきました。課で取りまとめて、また部で取りまとめて、チェックをしてという形で、間でいろいろと処理が入っているような業務につきまして、今回、一度業務を調査、点検していきたいと考えております。
 図はかなり簡単に書いておりますけれども、既にこの間も、さまざまな改革をしておりますので、一人の人が総務事務だけをずっとやっているということは、現状では実際にはないのですけれども、さまざまなコア業務をやりながら、その仕事の合間に総務事務をやったりしているので、企画的な業務に充てる時間が割かれていたりとか、関与者が多かったりとか、あとこうした業務について、紙やハンコの事務処理が残っていたりというところを点検してまいりたいと考えています。
 点検にあたっては、総務局を中心としてチームをつくりまして、各制度所管部署と協議をしながら進めていく体制を考えております。
 9ページ目は、中間処理レスのイメージの概要を非常に簡単に図にしたものでございます。
 例えば、職員手当などの申請の段階で、紙の書類で行っているようなものにつきまして、現在、各課で取りまとめて内容を確認したり、それをまた部に上げて、システム入力して、それがまた局に上がって制度所管にいくというようなものにつきまして、例えば、システムを活用することで発生源入力を行って、当然、一定の確認・審査について担保していかなくてはいけないわけですけれども、効率化が図れる部分があるのではないかと考えております。
 続いて、10ページをご覧ください。
 「ペーパーレス」でございますけれども、各局の自律改革の中で、既にペーパーレスに取り組んでいただいている局も多くございます。
 今回、9月いっぱいかけまして、各局の会議室につきまして、ネットワーク環境を整備するための工事をやっております。そうした環境が整ったところにつきまして、10月を使いまして、ペーパーレスを全体としてやっていきたいと、ペーパーレス強化月間と位置づけてやっていきたいと考えております。
 環境が整ったところにつきましては、原則ペーパーレスで、会議をやっていただくということを考えております。その中で当然、紙でやらざるを得ない場合が出てくると思いますので、そうしたものについて分析をして、11月以降に各局で目標を設定して取り組んでいきたいと考えております。
 11ページが「キャッシュレス」でございます。
 主な現金の取扱事例については、点線で囲ったところに掲載をしておりますけれども、現在、かなりキャッシュレス化は進んできてはいるのですけれども、一部の出張旅費等について、現金の事務が残っております。こうした業務につきまして、一度実態を調査していきたいと考えております。その上で、口座振替への移行とか、電子決済の活用を考えていきたいと考えております。
 特に収入の関係につきましては、業務の効率化というだけではなくて、利用者の利便性ということもございますので、そうした観点も加味して、電子決済を活用できるものは使っていきたいと考えております。
 下に参考で例を書かせていただきましたけれども、現在、都立の文化施設につきましては、年度内に電子マネーを導入する、これは昨年度からの自律改革の中で、そうした取組を進めているところでございます。
 続いて、12ページでございます。
 以上、御説明をさせていただいたように、アンケートをもとにしまして、それぞれ制度所管、あるいは総務局で取組を進めているところなのですけれども、取りこぼしがないかどうか、もう一度いただいたアンケート全てで5,587件になりますけれども、これらについて、トリアージを行ってまいります。赤、青、黄色に選別をして、取りこぼしがないようにもう一度全体をチェックして、特に黄色のものにつきましては、しっかり進行管理をして、所管局で対応の可否を検討していただこうと考えております。
 以上の取組全体をスケジュールとして整理をいたしましたのが、13ページでございます。
 各制度所管局で検討していただいている、意識改革、働き方改革についての取組につきましては、もし、今年度内に解決できないものがあれば、引き続き来年度以降も検討していただきます。
 また、業務改革・改善につきましては、先ほど申し上げたように、年度内にBPRの取組をしっかり全庁的にやってまいりたいと考えておりまして、その後、次年度以降、総務事務改革として、継続していきたいと考えております。
 また、そうした取組を進めていく中で、各局の自律改革に反映していくべきものについては、自律改革の方でも取り組んでいただきたいと考えています。また並行して、事務局におきまして、改善意見のトリアージもやっていきたいと考えております。
 14ページ以降は別紙でございまして、どのような資料をつけているかだけ、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 14ページ目が、これまでのPTの検討経過でございます。
 15ページで、都庁としてこれまで進めてまいりましたライフ・ワーク・バランスの取組を一覧表で整理をしております。
 16ページは、現行の職員向けの両立支援制度を参考でつけさせていただきました。
 17ページから20ページにかけまして、現在、アンケートを踏まえまして、各制度所管局で検討していただいている課題と、その検討の状況を一覧表にして掲載をさせていただきました。
 事務局からの報告は以上でございます。

○事務局(榎本) ただいまの報告に関しまして、多羅尾総務局長、何か御発言ございますでしょうか。

○多羅尾総務局長 今回の職員アンケートで、困っているということにつきましては、何と50%が勤務時間と休暇に関することでございました。また、ICTなど、基盤整備、職場における意識改革についても多様な御意見をいただきました。制度所管局といたしまして、しっかり改善に取り組んでいきたいと思っております。
 また、今回、都庁のBPRとして、3つのレスということで総務事務改革に取り組んでいくことになっておりますけれども、総務局といたしましては、各局ともしっかり連携いたしまして、特にペーパーレスなどは、グローバル企業と比較すると相当おくれているということでございますので、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
 また、総務事務改革においては、事務の効率化を進める上では、民間企業におけるAIなど、最先端のICTの活用事例などについても十分研究しながら進めてまいりたいと思っております。
 これらの取組によりまして、個々の職員の業務の効率性が一段と向上いたしまして、超過勤務の縮減など、職員のライフの充実をも図るとともに、都庁の生産性をさらに向上していくということで頑張ってまいりたいと思っております。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 それでは、PTの座長であります川澄副知事、何かございますでしょうか。

○川澄副知事 それでは、座長として何点かお話しさせていただきたいと思います。
 今回、5,587件という改善意見で、今まであまりこういう大規模なアンケートをしたことはないのだろうと思いますけれども、私もかなり個別にアンケートに目を通させていただきました。
 印象としまして、建設的な意見や、提案がかなり入っているのかなというのと、もう一つは、一方で以前から言われてきている問題といいますか、課題が改めて出てきているという印象を持っております。
 そういう意味では、今、多羅尾局長からも制度所管として検討していくということですけれども、従来の延長線上ということではなくて、やはり新しい視点、新たな発想で取り組んでいただければと思います。
 いずれにしましても、介護とか、育児についてはかなり切実、あるいは具体的な現状、それから提案なども出てきておりますので、そういった意味では、大規模で、直接職員の生の声を聞くことができたということでは、このアンケート、かなり価値があったのかなと思っております。
 それから、せっかくの意見でございますので、大切にするということで、トリアージをするということでございます。なかなか大変な作業ではありますけれども、取りこぼしがないように、しっかり取り組んでいただければと思いますし、やはりこういう職員の皆様の思いを、私どもとしてもしっかり受けとめていかなければならないと思っております。
 それから、意識改革、働き方改革、業務改革、これらの取組は自律改革がベースになるのだろうと思いますので、各局それぞれが改革を進めていただきたいと思っております。
 こうした取組で何を目指すかということになりますけれども、やはりライフとワークのバランスが図られることで、心と体に余裕ができる。そして、結果として質の高い仕事につながっていくと、こういうことなのだろうと思っておりますので、全庁一丸となって改革に取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いします。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 ほかに何か、御意見、御質問等ございますでしょうか。

○上山特別顧問 今、副知事も言及されたトリアージですが、12ページをちょっと見ていただきたい。トリアージの手法は、2000年に福岡市役所が初めて導入して、非常にうまくいったのです。そのときのポイントは、簡単に赤にしないということです。所管局にそのまま投げてしまうと、これは無理だと、担当レベルで多くが赤になってしまう。しかし、もっと上に上げて、全庁的視点で、例えば、都庁の場合、副知事などがごらんになると、もうそろそろこういうのは見直したほうがいいとなるものもある。
 ですから、担当部局で簡単に、今の制度はこうだからと赤をつけてしまわないことを強くお願いしたい。
 それから、赤ではない場合は黄色になるのですが、今回の場合、年度内にということで、おしりが切られていますけれども、時間切れで終わってしまうとまずい。黄色になったものは例えば2か月以内にどうするか結論をはっきり出す。おしりを切って、黄色の扱いを黄色のままにしないことが非常に大事です。
 それから、赤になるものもいっぱいあるはずです。法律上無理とか、予算がないからすぐできないとか、それはきちんと職員にコミュニケーションをする。黄色のまま放置すると、改革への信頼感も揺らいでくる。できないものはできないときっちり早く回答は出すようにお願いしたい。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの報告等を受けまして、知事より御発言を頂戴したいと思います。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 ライフ・ワーク・バランスのPT、川澄副知事がトップとなって取りまとめていただきました。御苦労様でございました。
 5,587件ってすごい。これを見るだけでも大変。仕事、残業がふえたのではないかと思いますけれども、でも、これだけ、仕事のやり方を変えたいという思いが、この数字なのだろうと思います。また、都庁から「隗より始めよ」で、ライフ・ワーク・バランスを変えていくというのは、私はいい模範になれるのではないかと思います。
 前にドイツの大統領が来られたときに、我が都庁では、夜8時には完全に帰るようにしましたと、本当は言いたかったのですけれども、まだ夜の8時ですかと、話にならないと思いましたので、その話題は出しませんでした。ちょうどそのころはいろいろやっていたのですけれども。
 だから、世界で見ても、行政がこんなに夜遅くまで働くなんて、霞が関もそうですけれども、ほかはやっていないですよね。それで国力はどうかといったら、ほかの残業していない国の国力が落ちたとは余り聞いていないどころか、我が国は、残業ばかりやっているけれども、これでこの後、大丈夫かというようなことも考えれば、舌をかみそうですけれども、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、BPRですか、これはやはり徹底して見直すチャンスにしてほしいと思っております。
 働き方も、テレワークという言葉も定着し、ペーパーレスもこの1年間でかなり認識が進み、かつインフラが整いつつあるということだと思いますが、それは結局、キャッシュレスにつながったり、中間処理レスになったりと、この3つのレスにつながっていくのだろうと、こう思います。
 みんながいきいきと仕事をしていくことが、都民に向けての一番のメッセージにもつながってくると思っておりますので、引き続き、トリアージも含めて、取り組んでいただきたいと思っております。
 それから、いろいろな工夫も、それぞれの局でやっていただいて、若手からもいろいろなアイデアが出ているかと思います。この機運を、ぜひこれからも引き続き高めて、そしてみんなが言ったことが実現して、「すごいじゃない」という流れをぜひつくっていただきたい。このように思っております。
 御苦労様でございました。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の議題の三つ目になります。見える化改革について、まず事務局から、事業ユニット分析の進捗状況について、説明をさせていただきます。

○事務局(小笠原) それでは、最初に私から全体の進捗状況を御説明させていただきます。
 資料の3-1をご覧いただきたいと思います。1ページが毎回御説明をさせていただいておりますけれども、事業ユニットの全体像でございます。随時柔軟にユニットを統合したり、追加したりということを局と相談しながらさせていただいております。また、優先順位なども変えたりさせていただいておりまして、今現在はこちらの全73ユニットとなっております。このうち網掛けの部分の16ユニットについて、現在分析を行っております。その16ユニットにつきまして、2ページで色分けをしまして進捗状況を説明させていただいております。
 分析につきましては、事業自体そのものの見える化ということで、現状整理と分析を中心に行うフェーズ、そして、さらに分析を掘り下げまして、課題を抽出していくフェーズ、最後に、そこで課題が抽出されましたら、それについての解決策を考えていくフェーズ、というような手順で分析を進めております。
 例えばデータがそろっていても、分析を行う段階で、他団体や民間との比較、あるいはコスト構造を分解して分析をしたりというところで、手法をいろいろと模索して時間がかかったりとか、また、資料化していく上で時間がかかったりとか、この段階で時間をとられているユニットが多いというのが実態としてございます。
 今日第1弾として、港湾局の事業を御説明させていただくのですけれども、先行事例を参考にしながら、今後、各局の取組についても、スピードアップを図ってまいりたいと考えております。
 また、左下のところで注として書かせていただきましたが、現在、一時中断しているものについても注で書かせていただいております。これらについても、他の業務や他のユニットとの関係で、また局と相談しながら作業を再開していきたいと考えております。
 それでは、引き続きまして、港湾局さんからの御報告をよろしくお願いいたします。

○斎藤港湾局長 港湾局の視察船事業につきましての見える化改革の御報告を差し上げます。次ページをお願いいたします。
 港湾局では、これまで視察船、「新東京丸」を活用しまして、行政関係者や港湾事業者の視察、また都民等の見学を行ってまいりましたが、現在、新東京丸の老朽化を機に、「都民ファースト」、「ワイズスペンディング」の観点から、視察船事業の意義、また費用対効果などにつきまして、総点検を行ったところでございます。
 次ページをお願いします。
 事業の概要、それと分析評価、現行の視察船事業の改善、新造船の有効活用というプロセスで検討を進めてまいりました。次ページお願いします。
 まず、第1章、事業の概要でございますが、視察船事業の意義、利用方法、運航経路、事業の運営体制等について、このページでは確認を行っております。具体的には次ページ以降で御説明いたします。
 次ページお願いします。
 視察船事業の意義でございますが、臨海副都心に代表される都市機能、また東京港の港湾機能などにつきまして、行政関係者、港湾関係のさまざまな事業者、さらには一般都民の方々に理解を深めていただき、臨海副都心への来訪を促す、また、政策にも活用するという目的で、従来から実施をしてきております。
 具体的には、視察と都民の見学というものは分けまして、それぞれ記載のとおりの効果を狙って、これまで実施してきてまいりました。次ページお願いします。
 運航経路はこの地図に記載のとおりでございまして、係留可能桟橋、今、つけられる桟橋が竹芝と青海の2か所ということになってございます。
 次ページお願いします。
 こちらは都民等の見学の場合の利用方法でございます。対象者は、15歳以上の団体若しくは個人、船には実席数75席、最低運航人員は20名としてございます。運航日と時間につきましては、月曜日午前中1回、火曜から金曜につきましては、午前、午後の2回という形で、予約はインターネット等で受付をしております。
次ページをお願いいたします。
 具体的な運営につきまして、視察船の利用案内、申し込みの受付などは、私ども港湾局で行っております。事業実施に当たりまして、運航業務、案内業務、定期修繕、この三つを委託により実施をしておりまして、年間の委託費用は、1億3,500万円となってございます。
 なお、赤字で書いてありますように、運航業務、定期修繕につきましては競争入札、案内業務は特命契約で、これまでは実施してきてまいりました。
 次ページ、お願いいたします。
 経費の内訳でございますけれども、これは29年度、予算ベースになります。運航業務の委託が約7,400万円、修繕費が5,600万円となっておりまして、この二つで経費全体の93%を占めております。次ページお願いいたします。
 ここからが事業の分析と評価になります。運航実績、利用者数の推移、それから都民の皆さんの見学に当たって、アンケートをいただいておりますので、これらの内容の分析などをこの章で進めてまいりました。
 次ページをお願いいたします。
 運航実績の推移でございまして、10年間の数字を掲げております。左側のグラフが運航回数と利用者数、棒グラフとなっておりまして、10年前と比べまして、運航回数は約32%の増、利用者数は35%の増加でございまして、平成28年度は1万2,500人の利用がございました。
 右側のグラフですが、1回当たりの乗船人員です。満杯ですと75席になるのですけれども、50ないし59名の乗船者になった回が一番多いということで、比較的稼働率は高いものと理解をしてございます。
 次ページをお願いします。
 棒グラフは前のページと同じでございますけれども、こちらでは視察と見学の分けを記載しております。運航回数は増加傾向にある中で、回数別の内訳としまして、行政視察が4割、都民等の見学が6割となってございます。これを乗船者数で見ますと、視察と見学が3対7ということで、9,000人超の方々が見学で利用していただいているという実態でございます。
 次ページお願いします。
 行政視察の利用者の推移を掲げております。この3年間で見てまいりますと、行政視察の利用者数は年々増加傾向にございまして、特に内訳を見ますと、行政関係者の中で、例えばオリンピック・パラリンピック関係の視察、あるいは海外の関係者の方々の利用が増加しているということで、2020年に向けまして注目度が上がっておりますので、これらの視察の需要というのも、これからも見込めるものと考えております。
 次ページをお願いします。
 ここからが見学に来られた利用者の方々へのアンケート結果になります。
 まず、26~28年度の3年間で合計約1万4,000件、56%の回収率でアンケートを実施いたしました。これだけ回収件数、率も高いので、利用者の方々の御意見というのがそれなりに把握できていると理解をしております。
 右側の黄色とピンクのグラフですけれども、乗船後は、東京港の各機能について理解が促進されたという結果が出ておりますけれども、特に「廃棄物処分場の整備」ですとか、防災護岸の工事などの御案内のために、「防災機能」についての理解が深まったという結果が出ております。
 次ページをお願いします。
 個別の感想をピックアップしますと、左側にございますように、利用者の満足度は非常に高いものと理解をしております。
 なお、居住地につきましては、都内が46%、都内と都外がほぼ半々ということになってございます。
 次のページをお願いします。
 こちらは、いい御意見もいただいているのですけれども、アンケート結果から読み取れる課題ということで、一つは左側の円グラフですが、60代、70代の方を合わせますと4分の3ということで、平日運航が基本なので、かなり高齢者の方々に偏った利用実態になっているということは一つ大きな課題であろうと思います。
 それから、右側の感想の欄に、ホームページですとか、それから予約システムがわかりにくいというような御意見が多数寄せられておりまして、スマートフォンで対応できないという御意見もございました。これらのアクセス等につきましては、改善が必要なものと考えております。
 次ページをお願いします。
 これらに使っております経費の10年間の比較になります。老朽化等の影響によりまして、緑のスケール、定期修繕費がこのところ経費を押し上げているという状況でございまして、27年度は突発的な修繕も発生したということもございます。
 利用者数も増加しておりますので、利用者一人当たりのコストというのは、右側のグラフにありますように約1万2,000円台ということで、ほぼ横ばいでございますけれども、押し下げるほどの効果はないということでございます。
 なお、ここの一人当たりのコストの分子にはイニシャルコスト、かつての建造費も含めた数字を用いております。
 次ページをお願いいたします。
 以上の分析評価を踏まえまして、現行の視察船事業の改善案について、検討をしてまいりました。
 大きく二つの改善の視点を掲げております。一つは、「都民ファーストの視点」という意味での、事業運営の改善。それから、「ワイズスペンディングの視点」という意味での事業経費についての改善を掲げてございます。
 合わせて四つの課題を掲げておりますが、一つは高齢者層に偏った利用。これは若い層、ファミリー層への利用者層の拡大等を図っていく必要がございます。それから、ホームページ・予約システム等については改善が必要と考えております。
 3点目としまして、視察船の活用ニーズ、年々利用者が増えているということもございますので、目的も含めまして、幾つかのさまざまな他局事業との連携などによりまして、視察船の有効活用を図っていく余地がまだあるのではないかと、そういった課題もございます。
 4点目に経費節減の取組としまして、例えば、案内業務等の特命随意契約を競争入札に見直すこと。それから、修繕業務を精査することなどにも取り組んでいく必要がございまして、これとあわせて利用者拡大を図ることによりまして、一人当たりのコストを縮減していくということを今後検討していかなければならないと考えております。
 次ページをお願いします。
 具体策としまして、事業運営面につきましては、二つの方向性を考えておりまして、一つは運用の見直しによる量的といいますか、利用者の拡大でございます。
 現在15歳以上としておりまして、ファミリー層の参加というのは非常に見込みにくい状況になっておりますので、これを小学生以上までに拡大すること。それから、土曜運航、あるいは現在休んでおりますお盆の運休を廃止して、回数を増やすこと。それとホームページ・予約システム等の改善を図ることなどによりまして、量的な拡大を図っていきたいということが一つ。
 それから、青いベクトルですけれども、目的や視点、普通の見学だけではなくて、目的を広げた、あるいは限った取組というのも進めていきたいと思っております。
 現状、四つほど例が出ておりますが、区と連携しましたシティプロモーション事業ですとか、大学の教育といいますか、調査・研究等に船を運航するということは、現在でも幾つか実績がございますので、こういったことを今後拡大していく余地があるのではないか。この辺に努力を傾けていきたいと思っております。
 この中で、左下にございます児童養護施設向け、それから養育家庭向けにつきましては、3年ほど前から実施をしてきておりまして、それを次のページで御紹介をさせていただいておりますが、先月の『東京新聞』で、こういった記事で紹介されたところでございます。御参考でございます。
 次ページをお願いします。
 ホームページ改善の例を掲げてございまして、改善前、利用案内に、これだけいろいろな文言がありましたものを、右のほうの簡単な形に集約をします。この部分につきましては、既に改善ができているということでございまして、スマートフォン対応等につきましては、今後、順次進めてまいります。
 このホームページにつきましても、我々、自分で言うのも何なんですが、やればできるかなという気もしております。
 次ページをお願いいたします。
 これらの対策などを打つことに加えまして、経費の改善を進めてまいるわけですけれども、経費につきましては、定期修繕等の業務、案内業務とございます。定期修繕等につきましては、現在の船は数年後に廃船となりますので、必要最小限の修繕に抑制する、あるいは案内業務については競争入札方式にする、などをしまして、経費の縮減も図ってまいります。
 経費の縮減と運航回数、乗船者数の増をあわせまして、真ん中の黄色いグラフになりますが、1利用者当たりのコストにつきましては、昨年実績の1万1,000円台からほぼ9,600円ぐらいに、約17%の減をしていくということを、今年度以降、現行の視察船事業の改善目標として取り組んでいきたいと考えてございます。
 次ページをお願いします。
 次からは新造船の有効活用ということで、事業の必要性、船の調達方法、利用の拡大等について検討を進めてまいりました。
 次ページをお願いします。
 まず事業の必要性でございますが、過去10年間の実績を見ますと、直近と比較しまして、運航回数、利用者数、いずれも3割増となっており、増加しております。それから、運航回数1回当たりの乗船者数は50名台が多く、稼働率が高いこと。また、利用者アンケート等によりますと、満足度も高く、理解も促進されており、学習効果が高いというように評価をしてございます。方向性としましては、今後も将来の東京港の計画等もございますし、行政視察は引き続き重要であろうと考えておりますのと、ニーズが高いことを踏まえて、都民等の見学も継続する意義があると考えております。
 そういう前提に立ちながら、視察船事業を継続いたしますけれども、「都民ファースト」、「ワイズスペンディング」の観点から、船の調達方法等を含めて、幾つかの検討を進めてまいりました。
 次ページをお願いいたします。
 まず、船の調達方法でございますが、三つの手法について、比較、検討をいたしました。その前提としまして、現状の70名程度乗船できる船であること。※の1にありますが、現行の事業規模、約300回の出航を可能とすることを前提として検討をいたしました。
 都度傭船、通年傭船、新造船の建造、この三つの中でコスト的に一番安いのは、都度傭船でございますが、運用上は、希望日時に沿った船の確保ですとか、都度傭船で年間300回ということは、なかなか難しいという運用上大きな課題がございます。
 通年傭船と新造船の建造につきましては、船舶の確保等々の対応は十分可能でありますけれども、コストで比較をいたしますと、通年傭船が最もコストが高い。これは傭船元の人件費、維持費等が、我々のカスタマイズと合わないものですから、聞き取りによりましてそういった結果が出ておりまして、新造船の建造で見ますと、イニシャルコスト、これは※の2になりますけれども、このイニシャル5,800万円も含めて、1億8,500万円程度という結果になってございます。
 なお、他都市の状況を参考までに右下に書いてございますが、大阪、神戸等では、自己所有から傭船等に切りかえていますけれども、切りかえ後、いずれも利用者数がかなり減少したという情報もございます。
 次のページをお願いいたします。
 新造船の有効活用という中で、現行の船の取組に加えまして、さらに新造船の機能を活かした量的な拡大、あるいは目的・視点の更なる拡大というものを考えております。
 新造船につきましては、上の右にございますように、夜間航行ができる。喫水が低くなりますので、可動域が広がるというメリットがございます。そういう想定のもとで、夕刻、または夜間運航の実施が恐らく可能であろうと。これによって、回数をさらに増やすことができる。あるいは浅場の運航などが可能になりますので、運航ルートの拡大も可能であると考えております。
 加えまして、これまで実施していたものに加えまして、羽田への寄港ですとか、さまざまな文化イベントとのコラボレーション、あるいは災害時の利用など、機動性が高まりますので、活用目的も広げていくことができるであろうと考えてございます。
 次ページをお願いします。 
運航ルートの拡大ですけれども、先ほど申しましたとおり、現在、係留できるのは竹芝と青海だけと申しましたけれども、それ以外に浜離宮、お台場、有明、羽田などにも係留することができまして、可動域が広がるということになります。
 次ページをお願いいたします。
 最後のページになりますが、こういった努力も重ねながら、経費の縮減といたしましては、資料の中ほどに四角い箱二つございますけれども、乗船者数につきましては1日2回を3回運航に増加することによりまして、28年度の約1万2,000人から2万人強に増やす、改善するということを目指してまいります。
 それから、右側のさらなる事業運営コストの削減につきましては、定期修繕の削減、運航コースや時間等の工夫によりまして、1運航当たりのコスト増の抑制というのを念頭に計算をいたしました。その結果、同じく黄色のグラフになりますが、1運航当たりの経費は8,700円ということで、イニシャルコストはその右側の点々の吹き出しで、5,800万円ということですので、古い船よりもかなり上がっておりますけれども、それを飲み込んで、この経費で実施をしていきたい。
 あわせて今後の課題ですけれども、民間事業者への船の貸付等の収入確保策、これ以外の確保策についても、検討をしてまいりたいと思います。
 こういった観点から、今後も改善の視点を持ちながら、今申しましたような検討内容を一つ一つ具体化しまして、視察船のより一層の有効活用に取り組んでまいります。
 ユニット分析、視察船事業については、御説明は以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告に関しまして、御意見、御質問等があったらお願いいたします。
 宇田特別顧問、お願いいたします。

○宇田特別顧問 どうもありがとうございました。
 今日ここで視察船事業を見える化分析の第一号として議論する一つの意義ということなのですけれども、これは検討のプロセス、あるいは思考の順番というものを明らかにすることによって、その妥当性、あるいは問題点をより明確にしていくということかなと思います。
 今の議論、最初に事業としての分析をやっていただいて、事業の課題を解決するために何が必要なのかという説明をいただき、その中で視察船としての新造船の活用という話が出てきて、新造船を導入すると結果的にどういうインパクトがあるか、こういう一種の思考過程を明らかにしていただいたと思うのですね。ここが大事なのであって、仮に個別の施策から入って、それがいいのか悪いのかという議論をすると、議論が発散して、おさまりがつかなくなる。今とろうとしている施策についての理由、判断基準、考え方を見える化していくことが、非常に重要なことなのではないかなと思いました。
 ですから、今後、ほかの見える化分析の発表についても、個別施策の是非とそれから全体の事業の課題分析というのは分けて議論していく。その中で何が必要で、目的は何だから、どういう課題を解決しなければいけなくて、そのための施策として何なのか。それは十分性が担保されているのか。そこの思考のプロセスを明らかにしていく。これからのほかの見える化分析も、ぜひそういう形で進めていただきたいと思います。
 今後新造船によって一人当たりの運送費がどう変わるのか、どれほど全体のキャパシティーがふえるのか、行ける場所、運航できる時間がどのぐらいふえるのかとか、こういうことがさらに具体的になってくるのだろうなと思います。それによって、フィージビリティを最終的に詰めていくと、こういうことかなと思っております。どうもありがとうございました。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 この新造船については、コストの問題、それから必然性の問題等々、課題もあり、よく客観的にいろいろと分析もしていただきました。ありがとうございます。
 これから舟運ということをもっと盛んにしていくという意味では、これを活用して、そして多くの人に見てもらうということで、そのように私は理解しているのですが、基本的に、都民のお金を使う観点から言えば、都民の利用が46%と書いてあるのですが、ここは何とかならないのですか。別に都民じゃないと乗せてあげないなんて、そういういじわるなことは言いませんが、何らかの都民に対してのある種のサービスであり、視察ということで学んでいただくということでありますが、若干工夫が必要かなと思います。いかがでしょうか。

○斎藤港湾局長 この先、利用人数を増やしていくという目標でございますので、都民以外が増えるよりは、都民が増えたほうがいいわけですので、別に他県の方を排除するわけではありませんけれども、都民向けに少し焦点を絞った、目的をはっきりさせた企画みたいなものを増やしていくと、結果的に誘引された都民が多いという形にもなるかもしれませんので、そういった、余り無理のない形で、実際には都民が増えるという企画も検討してまいりたいと思います。

○事務局(榎本) 上山特別顧問、お願いします。

○上山特別顧問 今回は港湾局の皆さんは最初は戸惑いがあったのですが、非常によく頑張っていただいたと思います。
 戸惑いの一つの原因には、全国横並びの縮減型の行政改革の基準があったような気がします。つまり、新造船するのは悪いことではないかという思い込みがあったように思います。というのは、他都市はどんどん廃止しています。ただ、福岡市などは頑張って自前で持っていたり、伸び盛りの港は、これから積極的に使っていくというスタンスがある。
 しかし、全国的に、個人の生活もそうですけれども、車は自分で持たずに借りましょうとかのほうがデフレ経済のもとで先に立つ。どうしてもけちけち運動イコール改革だと、最初、担当者も我々も思っていたところがある。ですが、利用実態をちゃんと数字で押さえたり、東京港の今後の発展可能性を今回はみた。東京港は歴史がまだ、実は浅いわけですね、神戸とか横浜に比べて。そういう意味で、まだまだ投資すべき領域だということが今回は検証できた。しかも、実は一人当たりで、今よりも新造船にしたほうが安くつくということにもなった。そういう意味で、積極的に展開していけば、費用と効果と両取りができる非常にいい例になった。つまり、これは後でほかの監理団体改革とか行革の話も出てきますが、削るばかりが全てでなく、必要なものには投資して、その結果、効率性もよくなる典型的な例です。最初の見える化分析の事例なので、産みの苦しみも結構あったのですが、結果的にはとてもよかったと思います。どうも御苦労さまでした。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは続きまして、四つ目の議題でございます。仕組み改革についてでございます。
 総務局から監理団体改革の検討状況の説明をお願いします。

○小林総務局行政改革推進部長 それでは、資料4-1によりまして、監理団体改革の検討状況について御報告します。
 5月、7月の都政改革本部会議において、監理団体等に関わるこれまでの改革の振り返り、他の自治体との比較など、監理団体が現在置かれている状況、今後検討すべき課題等について報告を行ってまいりました。
 今回は、今後取り組むべき監理団体改革の大まかな方向性について、改革の基盤づくりとなる取組、3つの切り口による改革に向けた取組、そして今後のタイムラインなどについて報告をさせていただきます。
 1ページをご覧ください。
 こちらは5月の本部会議資料の抜粋でございます。検討すべき課題として、都と監理団体の関係性や都の関与のあり方、監理団体個々の経営のあり方について検討の仕組みをお示しさせていただいたものでございます。
 次、2ページをご覧ください。
 改革に向けた基盤づくりということでございまして、都と監理団体の位置づけを再整理したいということでございます。 
これまで都は、監理団体を行政運営の支援・補完機能を有する都政の重要なパートナーと位置づけておりまして、団体の積極的活用を図ってまいりました。その結果、現在、監理団体は文化や産業振興、上下水道など、さまざまな行政分野におきまして、いわば都政の現場として、都庁と一体となって、都民、事業者等に対して、多種多様なサービスを提供してまいりました。
 こうした状況を踏まえまして、従来の支援・補完という考え方から、今後は一歩前に進めて、監理団体を都が進める各施策の事業執行等を担う団体として、そしてまた、都庁と協同して政策実現を目指す都庁グループの一員として位置づけた上で、将来動向を見据えて、戦略的な活用を図ってまいりたいと考えております。
 下の囲みにございますけれども、また報告団体につきましても、現在の都政との関連度合いの濃淡に応じまして、仕分けや情報公開を実施していくとともに、その上で都政との関連性が高い団体につきましては、都の事業に協力・連携している団体として、位置づけを見直していくことを考えてございます。
 なお、具体的な定義や新たな名称等につきましては、今後引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 次、3ページをお願いします。
 今申し上げましたけれども、これまでの考え方を一歩進めて、都庁グループの一員というふうに監理団体を考えていくということなどを踏まえますと、これまで以上に、都民目線に立った団体の透明性向上に資する情報公開は欠かせないと考えております。都としての都民への説明責任や透明性向上の観点からも、団体の基礎情報等をより公開していく仕組みを検討した上で、実施に移していきたいと考えてございます。
 次、4ページをお願いします。
 今後、3つの切り口から改革に取り組んでいきたいと考えてございます。図の左側でございますが、現在の監理団体への指導監督の流れを示したものでございます。全庁的な指導監督内容などを定める総務局、団体に対して具体的な指導監督を行う所管局、各種事業等を行う監理団体の三者がいる図となってございます。
 その右側にまいりまして、今後の改革におきましては、点線で囲んでおりますが、三者がそれぞれの立場から改革を行うということでございまして、現場から各団体による改革、団体を所管する局による改革、そして制度所管であります総務局による改革、この3つの切り口から改革を進めてまいりたいと考えてございます。
 次、5ページをお願いします。
 5ページは、これも5月の本部会議資料の抜粋でございまして、先ほど申し上げました全庁的な総務局による指導監督の内容を示したものでございます。
 次、6ページをお願いします。
 申し上げました3つの切り口について、少し個別に記載したものでございます。
 まず、1つ目の切り口、団体による改革でございます。都庁グループの一員として、経営基盤の強化に向けた自律的な経営改革を促してまいりたいというふうに考えております。これまでも監理団体の経営目標評価制度などを通じて、団体の経営改善に向けた取組を促してまいりましたが、新たに現在実施している自己点検で見えてまいりました経営課題の解決に取り組む「経営改革プラン」、仮称でございますが、こういったものを全団体で作成していくことを考えてございます。

○事務局(榎本) 申しわけございません。説明の途中ではございますが、ただいま放送がかかっておりますとおり、14時55分からラジオ体操を実施したいと思います。
 皆様も御一緒によろしくお願いいたします。

(ラジオ体操)

○事務局(榎本) どうもありがとうございました。
 それでは、体もほぐれたところでございますので、先ほど途中になりましたが、引き続き監理団体改革の検討状況の説明を続けてお願いいたします。

○小林総務局行政改革推進部長 団体による改革という部分でございますが、今行っております自己点検を踏まえて、団体においては経営改革プランというものをつくることを目指していくということを申し上げました。このプランにつきましても、つくりっぱなしということではなく、PDCAサイクルの仕組みを検討・導入して、その状況についても都民に公開させていただくということを考えてございます。
 次、2つ目の切り口、団体所管局による改革でございますけれども、将来動向等を見据えた団体の戦略的な活用に向けまして、所管局によるガバナンスの強化の取組を促してまいりたいと考えております。具体的には、現在、今申し上げました自己点検とあわせまして、団体活用の考え方等についても、局の評価を行っているところでございます。今後、所管局ごとに局と団体の役割分担や、戦略的な活用に当たっての考え方、監理団体に対するミッションの提示などを取りまとめた「監理団体活用戦略」、これも仮称ですけれども、そういったものの策定を進めてまいりたいと考えてございます。
 この作成に当たりましては、2020改革の1つ、見える化改革で行っております事業ユニット分析などとも十分に連動・連携して、整理をしてまいりたいと考えております。
 最後に3つ目の切り口、総務局による改革でございますが、多様化・複雑化する行政ニーズに監理団体が迅速かつ的確に対応していけるよう、従来の一律的な関与手法から、団体の特性を踏まえたメリハリをきかした関与手法に見直しを図ってまいりたいと考えております。
 具体的には、現在行っております自己点検結果等の状況を加味しながら、各団体に求められる機能・役割に応じた団体のグループ分け、グループ化を検討し、関与手法を導入していきたいと考えております。
 あわせまして、各団体の役員構成、職員の構成、人材育成のあり方などの検証を進めますとともに、内部統制機能を高めていく観点から、監事・監査役の機能強化に向けた仕組みの検討などを進め、都庁グループ全体の執行力強化に向けた役職員構成などのベストミックス化を図ってまいりたいと考えております。
 次に最後、7ページ目をご覧ください。
 これまで申し上げてきた事柄のタイムラインとしてお示ししたものでございます。改革を3つのフェーズに区分しておりまして、団体の経営基盤強化や制度改正など、各種改革の取組を進めまして、都庁グループとして最適な執行体制の構築に向けて、スパイラルアップを図っていきたい、そういった図でございます。
 具体的には、今年度、監理団体の位置づけの見直しや、団体のグループ分け、経営改革プランの策定などを行ってまいりまして、来年度以降、グループ分けに応じた関与の見直しや団体ごとの役職員の構成の見直しを順次行っていく予定でございます。
 また、所管局によります団体の活用戦略の策定や、団体自らの策定した経営改革プランの進捗管理などを行いながら、団体の経営基盤を強化し、筋肉質な組織体制の確立を図ってまいりたいと考えております。
 これらの取組については、常に社会情勢の変化によりまして、定期的な検証は欠かせないと考えております。とりわけ2020年のオリンピック・パラリンピック終了後は、現在とは異なる社会情勢も予想されますことから、改めて検証を行い、都庁グループの最適な執行体制を構築してまいりたいと考えてございます。
 説明は以上でございます。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 次に、上山特別顧問から資料をいただいておりますので、上山特別顧問、お願いできますでしょうか。

○上山特別顧問 1枚目をおめくり下さい。
 今、御説明がありましたように、総務局、各局、それから各団体のそれぞれにおいて、監理団体のあり方を見直していただいています。その作業の一環で、各団体が自分の組織の将来のあり方を見直す作業をやっていただいております。
 その一環で、総務局、各局と、都政改革本部の特別顧問、特別参与が、団体の自己点検状況をヒアリングする作業を、先月からやってきております。全部で33団体あって、なかなか日数がかかっていたんですけれども、ほぼ9割方終わりました。それで、今後の都政改革を考える上でのヒントがたくさんありましたので、途中経過ですが、きょうの段階でわかったことを御紹介したいと思います。
 1枚おめくりいただいて、次のページです。これまで約30団体を手分けしてヒアリングしてわかってきたことです。まず、総じて都政の非常に大事な部分を任されていて、しかもかなり力を持った団体が多いとわかりました。
 例えば下水、水道、あと公園とか文化とか動物園。都政そのものといっていいような部分を任され、ちゃんとこなしていると。そういう団体が多いと確認できて、非常によかった。近年、特に委託の量と範囲が拡大して、それもちゃんとこなしている。
 OBが当然かなりおられるわけですけれども、加えて民間からのプロパー職員も採用している。特に中途採用で、非常に力のある、経験のある民間からの採用ができていて、これも非常によい。
 経営状況は、収支という意味で言いますと、おおむね健全かと。ただ、投資が若干足りない。お金はきっちり貯金しているんだけれども、ちゃんと投資していますかというと、やや疑問と。この辺は後から出てきます。
 また、収支が健全である背景には、優秀なOBの活躍や、都庁からもらうものをちゃんといただいていることがある。場合によっては特命随契だったりして、環境自体に恵まれている。一方で人件費抑制など、抑えるところは本庁も抑えているので、まあオッケーかなというのが経営状況ですね。
 よく話題になるのが、団体経由で、実際には外へ仕事を投げているだけじゃないかという再委託への批判、あるいはOBの天下り。一般には10年、20年前のイメージが世の中にはあるんですが、必ずしもそんなことはない。かなり抑えて管理されているとわかりました。ただ、OBのいわゆる天下りは少ないけれども、現役職員がかなり派遣されている。中身はさらに分析が必要ですけれども、手が足りないから助けているという部分もあるし、研修的な意味で、むしろ積極的に送り込んでいるという場合もあって、なかなか一律に言いにくい。しかし、数字で見ると、かなり現役の職員が向こう側にいる。
 もう一つの問題は、役員の数がそもそも足りなくて、いわゆる経営機能がちゃんと成り立っているかどうか、やや疑問です。役員が非常勤の人ばかりで、あとは派遣の都庁から行った人が頑張っている。しかも、中堅クラスと現場はいいとして、司令塔の機能がたった一人や二人では無理じゃないかと。こういう問題があります。
 総じて、いわゆる受託団体としてはかなり優秀だけれども、東京都の将来を担う団体という意味で言うと、物足りない。これだけの規模があり、技術、ノウハウも蓄積している。けれども、将来のことはあまり考えておられない。特に2020以降、オリンピック以降、さらに人口が減り始める東京の未来ということを考えると、相当将来のことを思い悩み、局をせっつくということをしなくちゃいけないんですが、どちらかというと言われることをやっているだけです。ヒアリングでも、目の前、今年、来年が大変ですというお返事が多くて、言われたことだけやるメンタリティになっている。それから、知識はあるんだけど、民間企業の先端事例とか、世の中の変化、技術に対する目配りも、実際に自分たちがやるものとして受けとめているかどうか、かなり疑問。
 原因の一つは、団体としての当事者意識があまり育っていないことがかなりある。OBや現役派遣の人が向こう側に行って、名詞だけ代えて仕事をしているわけですから、どうしても、都庁と同じ発想で考えてしまう。こういう問題点がある。総じて自律性とか戦略性がかなり乏しい状況になっている。
 課題ですけれども、次のページにいきまして、これは千差万別です。一部の団体については、いわゆる受託団体としてのメンタリティを捨てていただいたらどうかと。今後は人口が減ったり、都の税収もどうなるかわからない。潤沢な人とお金が都庁から来るものだという前提を捨てて、自分でもう自活していかなくてはいけないという将来展望を持っていただきたい。
 そうすると、少しでも収益性を上げるために、ノウハウを他の自治体に売るとか、海外に売るとか、都の外の事業も受託しに行くとなる。そういうことが十分にできる力があるのに、やろうとしていない。典型的には下水、水道。大阪市などは子会社をつくって外販をするというので、見本市などでも激しい営業をしている。そういう時代で、外資も日本に来て営業しています。しかし、東京都については、それ以上の実力があるにもかかわらず、都民の水を守りますとしか言っていない。それでいいのかですね。
 動物園も、全国の動物園を助けているが、お金をいただいている様子はあんまりない。都民目線に立つと、いろいろもったいないと思うというのがあります。
 それから、あとは政策面でも。各団体は、現場で日常のいろんな作業を相当されている。政策提言できるノウハウがかなりある。プロパーの社員の方もいろんな発想が豊かにあるわけです。そういうものを本庁側が吸い上げる感度が本庁側にない。あるいは都庁から行っている幹部が、そういうものを受けとめて積極的にやろうという意欲がない。ということで、企画提案能力があるんだけれども、あまりそういうものを東京都として一緒にやっていこうという気運がない。ここはちょっと残念だと思います。
 しかも全体の3分の1の10社が株式会社です。株式会社というのは利益が出ると法人税を払うわけです。成長戦略を立て株式会社で増収、増益を前提に運営するために株式会社という形式を取っているわけですから、今のように受け身で言われたことだけやりますということであれば、法人税分がもったいない。これはもっと小さな公益財団法人にしたほうがいい。これは逆説的に申し上げているんですけど、もっと頑張ってくれという意味で、株式会社である意味はないかもしれない。
 今後ですけれども、役所と民間企業、それから監理団体の役割分担が非常に大事だと思います。全部役所がやるのは非効率だし、全部民間企業に外注すると一見安上がりですけれども、ノウハウが全くたまらない。となると、やはり監理団体のような中間組織を使うのは当たり前で、日本の自動車産業はまさにトヨタとデンソーの関係のように、子会社を使いながら成長したわけですけれども、役所も同じだと思います。
 となると、強力な監理団体を持つのは当たり前だと思うのですが、その位置づけ、どの部分を任せるのか。ある事業は完全に民間に委ねたほうが安上がりだが、直営でやり続けたほうがいいものもある。これはさまざまなんですけれども、ここら辺の整理があまりされていない。設立時は整理されていた気配はあるが、その後の見直しがほとんどされていない、はっきり言って時代遅れになっている。合理的な状況にあわせて、時代の流れにあわせて見直すと、場合によっては分割、統合、廃止、あるいは財団を株式会社にする、逆に株式会社を財団にするといったような、いわゆる再編が必要になる。
 なぜ、このような状況になってしまったのか、実は行革が悪かったんじゃないかと思うんです。行革をしたから無駄や赤字が出ていないというメリットは非常に大きい。一方で無理に団体の数を減らしたために、複雑な事業形態になっちゃったとか、外から見て実態が見えにくくなってしまった。また、経営単位が大きすぎて、何でも突っ込んでしまってよくわからないとか、そういった不自然な状況が起きている可能性がある。今後も行革は引き続き必要なんですけれども、プラス成熟時代の東京に合わせた先行投資の対象として、ここで大きな見直しをするべき時期だと思います。
 それからもう一つ重要なのは、都庁と各団体の関係です。各団体は、あくまで独立した法人ですので、持続可能性を追求しなければいけない。自分の未来は自分で切り開いていくという気概を各団体が持つ。都庁が親として、それを厳しくかつ優しく支えていく環境をつくっていく必要がある。今は何となくなあなあで、どちらがどちらとも言えないような形で、運命共同体でやっている。
 特徴的なことは、退職OBの数に合わせて事業規模とか、使命を調整しているきらいがある。あるいは特命随契積算価格によって利益保証している。あるいは特定のポストが特定の役所のポストと対応してしまっていないかとか、こういったところは大幅な見直しが必要だと思います。
 ガバナンスとコンプライアンスは、よその自治体のいわゆる外郭団体に比べますと、かなり古くさい。理事とか評議員が名誉職になっていたり、あるいは理事会が年に1~2回しか開かれていない。あるいは機材納入事業者とか事業者団体が出資をしている。これは、当時はよかったと思いますが、今となっては疑問といったような問題があります。
 今後は局のあり方ということも含めて見直す必要があると思いますし、いわゆる監理団体だけじゃなくて、報告団体も含めた見直しが必要だと思います。
 一方、団体を持たないことの弊害というのもある。例えば教育庁とか交通局などは、私鉄が子会社を持つように、外部団体を活用しなければ非常に非効率だと思います。団体はむしろつくったほうがいい場合もあると思います。
 次の5ページは、今申し上げた話を図にしたものです。要は潜在能力を十分発揮していない団体が結構ある。外向けに仕事をしますと他流試合で磨かれたり、競争にさらされたりということにもなる。大いに発展的な方向性も追求していただきたい。
 そのためには人事です。6ページですけども、若い元気な職員を本庁から積極的に送り込む。それから監理団体で、中途採用で入ってこられた民間の方を本庁の例えば管理職で採用して、本庁の様子をわかった上でまた戻っていただく。それから各団体の理事長、社長など役員は、庁内から行っても当然いいわけですけれども、外からも中からも公募によって、何をするかということをきっちりと約束していただいた上で、公募制で選んでいただく方がいい。あと現役職員、現役幹部の出向も戦略的に、積極的に送り込んでいくべきではないかと思います。
 今後の改革。これは本部、総務局のほうでまた考えていくことになりますけれども、7ページですね。特に重要なのは資産ですね。資産のあり方なども含めて考えていく。財務局も加わって、各団体が持っている資産をどのように生かすのか見直していく。
 8ページは、その模式図を書いたんですけれども、団体によって改革の中身はかなり違う。タイプDというカテゴリーに入る団体は、例えば自律改革的なことを中心にやればいい。全体の1割ぐらいですけれども。全体の2割ぐらいがタイプCで、団体側の使命をもっと積極的なものに転換していくことを団体側が考えないと、局側は思いつかないというもの、これは2割です。あと局側が積極的に考え直さないといけないというものが約4割、タイプBです。それから、局の戦略そのものが、ひょっとしたらもう時代に合っていないんじゃないでしょうかと、かなり重傷なのがタイプA。これが3割ぐらいありました。
 そういうことで、局別、団体別に状況は千差万別なんですけれども、見直しが必要。
 最後のページですけれども、局との関係といったときに、出資と人の送り方は非常に大事ですが、それプラス日常という意味で言いますと、施設の指定管理の出し方と業務委託の出し方の見直しも必要です。これはアクセルとブレーキを同時に踏むような作業が必要なんですが、緩いところについては指定管理は厳しくやり、それから当然競争入札でやる。委託などについても特命随契はしない厳しさが必要です。一方では団体を育てるという意味でいうと、積極展開をすると決意をした団体については、特命随契はあってもいいし、指定管理も思い切って15年間どんと任せる。こういったいわゆるメリハリが必要になってくる。
 途中経過だし、全体をちょっと一般論でまとめておりますので、やや抽象的になりましたけれども、個別の団体、個別の局についての議論を今後また年度末に向けての会議などでやっていきたいと思います。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 ただいまの御報告等に関して、何か御質問等ございますでしょうか。

○多羅尾総務局長 ただいま、上山特別顧問から監理団体につきまして、たくさんのアドバイスをいただきました。どうもありがとうございました。いただいたアドバイスをもとにいたしまして、総務局といたしまして、より具体的な検討項目に整理してまいりたいと思っております。
 また、都政の重点施策や2020年以降との関係におきまして、改革実施の優先順位とか、スケジュール感もより明らかにしていきたいというように思っております。監理団体も非常に多様でございますので、各団体の特性をよく見まして、また所管局ともよく連携いたしまして、またこの会議にもお諮りしつつ、3つの視点からの監理団体改革を推進してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 それでは、知事、お願いいたします。

○小池知事 数多くの監理団体のヒアリング、まずは御苦労さまでございました。
 今日は、一つ一つのヒアリングの中身についての御報告はございませんでしたけれども、それぞれ中身について、若干伺ったところなどを考慮しますと、まさしく時代とともに役割が変わってきている。そして変わらざるを得ない。だけど、そのままやっているとか、それから、もっとニーズがあるのに投資的なことを余りにも控えすぎたので、どうやって投資すればいいかということを、控えすぎてやっていないとか、本当にそれぞれ団体ごとにニーズが、成すべきことは違っているんだと思います。
 本当に、それぞれヒアリングしていただいて、一律の答えではないでしょうけれども、顧問の指摘をしっかり受けとめて、そして、それぞれ急ぎ検討していただいて、一つ一つ個別の検討と、それから全体の検討と、至急お願いをしたいと思っております。よろしくお願いします。

○事務局(榎本) ありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議題は以上でございます。
 最後に知事から、全体を通して御発言をよろしくお願いいたします。

○小池知事 ありがとうございました。
 都政改革本部、11回目ということでございますけれども、1年間は、まずは現状がどうなっているのかということで、洗い出しということの1年間だったと思います。2年目からは、これからまさしく改革に入るところをしっかりと切り込んでやっていくと。そして、切り込むだけではなくて、伸ばすところは伸ばしてやっていくと。まさしくメリハリのきいた改革を進めていっていただきたいと思います。
 今日は「しごと改革」と「見える化改革」と「仕組み改革」ということで、3本立てでございましたけれども、しっかりと一歩一歩前進していただけるようにお願いをいたします。
 基本は、自律改革だということを申し上げております。しっかりと局内でもんで、そして、先程のしごと改革にしても、5,000以上のアイデアが寄せられているということを考えると、ぜひ職員一丸となって、自分たちが変えていくんだという思いを大切にしながら、2年目しっかりと改革の実績を積み重ねていただきたいと思います。
 先ほどの監理団体のヒアリングも、本当に時代を感じさせるような中身が結構あるんですね。あっという間に時代が変わりつつあるのに、ずっとそのままでいたほうが安心だし、余計なことしなくていいし、そういったことでずっと続けている。結局それって、都民に忘れ去られてしまうということにもなりかねませんので、先ほども運命共同体というお話がありましたけれども、これは機能体としての都庁だということを改めて原点に戻って、そしてしっかり対応していただきたいと思います。
 局によって、この受けとめ方が随分、まだまだまだら模様かと思いますけれども、全庁を挙げて、改革は一歩一歩、確実に進めるんだという共通認識を改めて持っていただきたいと思っております。
 皆さんの健闘をしっかり私も見させていただきますし、その先頭に立たせていただきたいと思っております。
 途中、今日は、ラジオ体操まで入りましたけれども、これからも体を動かしながら、頭も動かしながら、しっかりと対応してくださるようお願いいたします。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 次回の会議は、10月の開催を予定しております。
 それでは、以上をもちまして、第11回都政改革本部会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。

15時26分閉会

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