都政改革本部会議(第4回)議事録

平成28年11月28日(月曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

午後4時32分開会

○事務局(榎本) ただいまより、第4回都政改革本部会議を開催いたします。
 本日の会議の様子につきましては、これまでと同様、最初から最後まで公開しますとともにインターネット中継も行ってまいります。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。机上に置かせていただいた資料をご覧ください。上から順に、会議次第、座席表、各局の自律改革に関する資料、予算編成プロセスの見直し等に関する資料、内部統制プロジェクトチームの検討状況の資料、オリンピック・パラリンピックに関する資料、以上です。
 何か不足等がありましたら、お申し出ください。
 なお、本日の会議出席者につきましては、座席表の配布をもって代えさせていただきます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、知事よりご挨拶をいただきたいと思います。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 皆様、お疲れさまでございます。
 第4回都政改革本部会議となりました。「都民ファースト」を訴えてきているわけですが、そのためには着実な改革が必要ということで、この都政改革本部を設けました。
 都政の課題を解決していく、そのための情報公開、そして、都政の透明化・見える化を進めていきたいと考えております。
 本日の議題は、盛りだくさんの4本となっております。まず、各局で自律改革に取り組んでいただいておりますが、若手職員の皆様方が積極的にこの改革に取り組んでいただいていることは、大変頼もしく思うところです。そして、局一丸となって前向きな取組を進めていただいている状況です。そして、今日は、総務局、主税局から取組の状況をご報告ください。
 2点目です。先日、私が発表しました、東(あずま)都政から続いているという予算編成のプロセスの見直しです。かつ、それを全て情報公開していこうということですが、財務局から今後の取組について報告をお願いします。
 3点目は、内部統制プロジェクトチームによる調達・入札制度の検討状況の報告です。これは2回目の報告となりますが、本日は、工事の契約における総合評価方式を中心としての検討のご報告をお願いいたします。
 4点目は、オリンピック・パラリンピックについてです。準備が本格化していく中で、本日は予算管理のあり方について議論したいと思っております。限られた時間ですが、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入ります。
 一つ目の議題は「各局の自律改革の取組状況について」です。前回の本部会議では、教育庁から取組状況をご報告いただきました。各局の取組状況については、本部会議において順次報告していきたいと考えております。本日は、総務局及び主税局から報告がございます。
 それでは、総務局から報告をお願いします。

○松崎総務局企画担当部長 総務局の自律改革の取組状況について報告いたします。
 資料1の2ページをご覧ください。総務局では、「検討の経過」のとおり、9月2日の都政改革本部事務局の通知以来、各所属において、若手職員の意見も吸い上げながら、局全体で39件の取組を取りまとめました。取組の現時点での進捗状況は、右の表のとおり、取組を実施中が21件などとなっていますが、局全体として着実に取組を進めております。本日は、このうち3件の取組について紹介します。
 3ページをご覧ください。1件目は、モバイルワーク導入による業務の効率化の取組です。まず、ペーパーレス会議の展開については、11月から、総務局内の4つの部でモデル運用を開始し、利点や改善点などの洗い出しを行っております。来年2月からは、モデル運用を通じて得られた声などを踏まえ、試行職場を総務局の本庁舎内の各部へと拡大し、来年7月から全庁展開していく予定です。
 次に、タブレット端末の活用について、現在、11の局34部署に端末を配付し、出張先での業務や窓口職場等で活用の効果を検証する試行を実施しております。端末の活用例としては、写真はイメージとなりますが、出張中の職員が端末上で、大判の図面や資料を現場に持っていかないで、確認しながら業務を進めたり、あるいは、テレビ電話等の機能を利用して現場の状況を職場にいる上司と共有しながら作業を実施することができるようになるなど、業務効率化に役立てております。今後は、試行を通じて得られた成功事例や課題等を踏まえ、来年度から試行職場をさらに拡大して検証を行い、今後の全庁展開を目指してまいります。
 4ページをご覧ください。取組事例の2件目となります、図書の更なる有効活用の取組です。総務局内の法務担当部署では、法律関係の図書を約3,000冊保有しており、これまでは個別の照会があれば閲覧に応じてまいりました。この取組は、図書を一層有効に活用するため、保有する図書をデータベース化し、配架整理を行うなど、全庁に向けて閲覧や貸出を行う環境を整備する取組です。先般、庁内ポータルサイトにおいてデータベースを公開し、図書の閲覧や貸出を開始しました。今後、データベースを庁内に広く周知するとともに、利用者の意見を踏まえながら、継続的な改善に取り組んでまいります。
 5ページをご覧ください。3件目は、島内巡回に併せて移動系の防災行政無線の点検と運用訓練を実施する取組です。本事例は三宅支庁ですが、支庁においては、台風による水防対応などの際に、庁舎と巡回者の連絡手段として、移動系の防災行政無線を使用していますが、平時においては使用する機会が少ないため、操作方法の習熟機会の拡大などが課題となっていました。このため、本取組では、平時に島内施設の巡回や点検を行う際に、防災行政無線による通信を併せて実施することで、有事の際にも職員誰もが円滑に防災行政無線を使用できるようにするとともに、支庁管内の地域ごとの無線感度を把握するという取組です。今後、本取組を行う中で、職員の習熟度を高め、また、無線が通じにくいなど対応が必要な箇所が判明した場合には、改善方法を検討してまいります。
 6ページをご覧ください。総務局では、今後、局内各部で取り組んでいる自律改革の好事例等を局内に発信する取組や、若手職員の柔軟な発想を生かすための定例会などを設置する予定です。このような取組を通じて局が一体となり、組織間の情報共有を行いながら、引き続き積極的に自律改革を進めてまいります。
 説明は以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 続きまして、主税局から報告をお願いします。

○加藤主税局総務部長 主税局です。
 8ページをご覧ください。主税局では、局長を本部長として、本庁の部長級職員による主税局自律改革本部を設置しております。また、若干、時期はずれていますが、本庁各部における主任級の若手職員で、主税局若手改革実行チームを立ち上げまして、局内の現場若手職員と連携する体制を構築しました。これまでの経過は、右の「検討経過」のとおりです。
 9ページをご覧ください。まず、主税局若手改革実行チームについてです。このチームは、日ごろから都民の方々と接する機会が多い現場の若手職員を中心に、自律改革に向けた意見、アイデアを募集しました。メンバー自らがチラシや応募用紙など、その進め方について工夫した結果、約3週間で222件の応募がありました。身近な業務改革から全庁的な課題まで、内容は様々です。現在は、応募があった案件について内容を精査し、課題の洗い出しに取り組んでいるところです。
 10ページをご覧ください。現場を多く持ち、都民と接する機会が多い主税局の特色で、やはり「都民ファースト」を視点とした意見が半数を占めております。応募があった意見のうち、例えば、下にありますように、ターゲットを絞った情報発信として、国外居住者の納税管理人設定など、個々の納税者に必要な情報を届けています。また、来庁者サービスの充実として、これまでも取り組んできたところではありますが、改めて来庁者の動線に配慮した庁内レイアウトに変更するなど、取組改革を実行しております。このほかにも、引き続き実行可能なものから取り組んでまいります。
 11ページをご覧ください。続いて、既に進めている取組について2件紹介します。これは若手意見とは別のものです。1件目は、去る11月23日に、東京都新宿住宅展示場で開催しました「住まいと税を考えるセミナー」です。これは、住宅展示場を訪れる都民の方を対象に、住宅購入時にかかる税金の手続きや軽減制度などについてわかりやすく伝える取組です。今回は国税を取り扱う新宿税務署と連携し、都税だけではなく、国税である相続税や贈与税についてもあわせて説明することができました。来場者からは、住宅を購入する際の参考になった等のご意見をいただいております。
 12ページをご覧ください。2件目は、若年層にわかりやすい広報についてです。選挙権年齢の引き下げによって、新たに有権者となる若年層を対象とした広報活動です。文京都税事務所では、多くの大学が所在する地域特性を生かして、企画段階から大学生が検討に加わった活動を行っています。そこでは、例えばアルバイトと税の関係を内容に盛り込むなど、大学生ならではのアイデアが出ております。完成したリーフレットは、来年1月9日の「文京区はたちのつどい」(成人式)で配布する予定です。
 13ページをご覧ください。最後に、今後の取組として、主に4点を挙げております。高校生向けの租税教室の取組では、国税局や税理士会のほか教育庁と連携することで効果的な広報に取り組んでまいります。また、納税者の住所変更手続きや申告手続きなど、納税手続きの利便性の向上にも努めてまいります。
 主税局では、今後も、ホームページの改善や納税通知書、チラシの内容充実など、納税者サービスの向上を図り、自律改革に向けた取組を進めてまいります。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 次に、本日の議題の二つ目、「予算編成プロセスの見直しと透明性を高める取組について」です。
 先週の知事からの発表を受けまして、予算編成プロセスの見直し及び予算編成の透明性を高める取組について、財務局から取組状況について報告をしていただきます。お願いします。

○岩瀬財務局主計部長 それでは、財務局から、「予算編成プロセスの見直しと透明性を高める取組について」の報告をさせていただきます。
 資料2の1ページをご覧ください。まず、予算編成プロセスの見直しですが、従前のスケジュールと新たな予算編成スケジュールを記載してあります。主な変更点として、平成29年度予算編成では、都民の声を最大限、予算に反映していくために、新たに各種団体等から広く意見や要望を伺う機会として、「知事に対する各種団体等要望」を実施することとしました。このほか、財務局予算査定状況の公表や、知事査定において新たに各局長が説明を行う機会を設けることとしております。こうしたプロセスをしっかりと踏み、かつ、オープンにすることで、これまで長きにわたり実施してまいりました政党復活予算の仕組みを廃止します。
 2ページをご覧ください。予算編成の透明性を高める取組です。各局の予算要求資料については、11月9日に財務局ホームページで取りまとめて公表していますが、新たに財務局による査定の状況を、12月27日に公表します。下欄に公表イメージを記載しております。財務局による査定額や査定理由を公表することとしております。このほか、予算発表資料についても、都民へのわかりやすさを最大限重視し、見直しを図っていくとともに、都議会への提出議案等のホームページでの公表などの改革を進めてまいります。
 私からは以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ここまでの二つの議題に関しまして、何かご意見、ご質問等がございますか。

○上山特別顧問 資料2の2ページ、予算編成の透明性についてです。ホームページで進捗状況を公表することは非常に良いし、他県でも実施しているところが増えていると思いますが、ここに具体的にどこまで載せるかが肝です。査定ですから、欲しい側と聞く側、結論がやりとりとして出てきますが、要旨で結構ですから、どのようなやりとりがあったのかを必ずホームページに載せるようにしていただきたいと思います。和歌山県や大阪府など進んだ府県の例なども参考にしながら、具体的な設計をお願いしたいと思います。

○岩瀬財務局主計部長 既に11月9日に各局からの要求を発表して、各局がどのような要求をしているかということについてはわかるようになっていますが、今回、プロセスを公表していくということですので、今ご指摘があったようなことも含めて工夫してまいりたいと考えております。

○事務局(榎本) では、知事からお願いします。

○小池知事 本件に関しては、これまで長年続いてきた、ある方に言わせると、都の伝統だという話を聞いたのですが、このような形をとっている道府県はほかに聞いたことがありませんでしたので、私自身、びっくりしました。
 議会との関係等、いろいろと潤滑的な役目があったと思いますが、改めて、ここで見える化することによって、「都民ファースト」と言っているのは、まさしくここの部分は肝になりますので、これまでとは勝手が違って皆さんも大変かもしれませんけれども、そこはよく心得ていただきたいと思っております。
 情報公開の仕方については、より研究して、見える化をきちんと進めていきたいと考えております。
 ちなみに、国会でも、竹下幹事長のころまではこういう形があったと聞いていますが、それ以降はないという話です。国のほうは財政がなかなか厳しい部分もこれあり、そんな場合ではないということだったと聞いております。いろいろと調べてみると、日本の政治の縮図が見えるような面もありますが、いずれにしても、都民ファーストで、そして、賢いお金の使い方をより透明化して進めていく形で、都政改革の柱になろうと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日の議題の三つ目、「内部統制プロジェクトチームの検討状況について」です。前回に続いて、調達・入札制度などについての検討状況を報告していただきます。
 本日は、都の工事契約における総合評価方式を取り上げ、まず財務局から制度を説明いたします。続いて、ケーススタディをもとにした検討課題について、特別顧問から報告をしていただきます。
 それでは、まず財務局からよろしくお願いします。

○十河財務局経理部長 それでは、資料3-1によりまして、財務局からPT(プロジェクトチーム)のテーマに関連する入札制度と運用について説明いたします。
 表紙に「工事の総合評価方式について」とありますが、初めに、その他の課題にも若干触れさせていただきながら、とはいえ時間の都合がありますので、今回も駆け足の説明となりますのでよろしくお願いいたします。
 1ページをご覧ください。「入札における競争性の確保」ということで、前回のおさらいになりますが、(1)で、予定価格の公表時期が事前でも事後でも平均落札率には差異が生じないこと。また、(2)では、一般論として、都の入札手続きにおいては、結果的に1者入札であっても潜在的な競争関係は担保されていることや、1者入札の落札率が高い理由などを述べております。
 問題は、(3)にありますように、1者入札の蓋然性が高い場合の事前公表、とりわけ本PTの検討対象である豊洲新市場建設工事のように、1者入札での不調後、再度入札を行う際の予定価格公表のあり方です。この場合、再入札の際の予定価格を事後公表にすれば、確かに、99.9%という落札率にはならなかったかもしれませんが、これより低い落札率になるとも限りません。予定価格を超えて再度不調になることもあります。どうすればワイズスペンディング(税金の有効活用)につながるか、また、都民の信頼を得られるかなど、総合的に踏まえながら競争性確保に向けた改善策を検討してまいります。
 2ページをご覧ください。「1者入札の推移と改善状況」です。前回の本部会議で報告しましたが、東日本大震災後、平成25年を境に資材価格の高騰や技術者不足などから、不調や1者入札が急増しました。そこで東京都では、左下の囲みの中にあるような様々な取組を行い、その結果、平成27年度には、不調率に若干好転の兆しがあることを前回報告しましたが、今回は、1者入札の推移について、本年度の上半期まで取りまとめたところ、1者入札の割合についても改善が進んでいることが見てとれます。引き続き、入札に参加しやすい環境の整備に向けて取り組んでまいります。
 3ページをご覧ください。平成26年9月に閣議決定された改正品確法の基本方針というものがありまして、ここでは、受注者が適正な利潤を確保できるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策などを地方に対して求めております。予定価格の設定に関しては、豊洲新市場建設工事において、1回目の入札不調の後、積算を見直し、予定価格を引き上げて再入札を行ったことについて、引き上げ幅が大きすぎるのではないかということがPTの調査対象となっております。その是非については市場からの見解に譲りますが、もう一つ、積算見直しに当たって入札参加者にヒアリングを行ったことが問題視されています。
 しかし、改正品確法の基本方針では、3ページの中ほど、「予定価格の適正な設定」の③をご覧いただきますと、不調後の再入札に当たっての予定価格の設定については、入札参加者から見積もりを聴取し、これを活用して積算するなどにより適正な価格を設定するように努めるとされておりまして、こうした考え方が現在の国の方針であることも考慮すると、ヒアリングの実施自体は、不調対応として必ずしも不合理なものとは言えないと考えられます。
 また、その下の「ダンピング対策」としては、最低制限価格等の設定に当たって国モデルに準拠するなど適切に対応するよう要請しております。
 5ページをご覧ください。そもそも工事の予定価格はどのように積算されているのかということを(1)に記載しております。説明は省略しますが、ほとんど全ての自治体は国の算出方法に準拠して予定価格を積算しています。(2)では、最低制限価格の算出方法について記載しておりますが、都では、国モデルに準拠して最低制限価格を設定しております。47都道府県のうち40団体は、若干の掛け率の違いなどがあるものの、ほぼ国モデルに準拠しています。
 6ページ以下からが総合評価方式に関する説明となります。前回ご説明したとおり、自治法上の原則である最低価格落札方式の例外の一つとして、総合評価方式が設けられています。これは、価格だけではなく、技術力なども評価して落札者を決める方法です。
 7ページをご覧ください。工事案件に関する総合評価方式として、東京都では、表に記載のとおり、4種類の型を定め、案件ごとにふさわしい型を適用しています。
 それぞれの内容の説明は省略しますが、8ページをご覧いただきますと、平成13年度に技術提案型総合評価方式を創設して以来の適用実績をお示ししております。平成27年度には、総工事件数の約15%に当たる821件が総合評価方式での入札となっております。8ページの下段、番号9以降が技術提案型総合評価方式の説明となります。この方式は、技術的な工夫の余地が大きい工事において、コスト縮減、性能・機能の向上や環境配慮などの社会的要請への対応など、特定の課題に対する設計・施工上の工夫を技術提案してもらい、価格とあわせて評価して落札者を決定する方式です。PTで取り上げているオリンピック・パラリンピック施設の入札はこの方式を採用したものです。
 9ページをご覧ください。技術提案型総合評価方式の実施に当たりましては、財務局で大本の要綱を定めておりまして、これに基づいて各局が個別案件について具体的な実施要領を作成して手続きを進めてまいります。
 11ページをご覧ください。オリンピック・パラリンピック3施設における具体的な評価点の算定方式を表の左に記載しております。表の右は、国が採用している除算方式と呼ばれる算定方式で、説明は省略しますが、都が採用している方式は加算方式と呼ばれるもので、基礎点、技術点、価格点の合計点である評価値が最も高いものを落札者とします。基礎点は100点ですが、これは最低限の条件を満たすことが確認されれば全員に付与される点数であり、実質的な競争条件となるのは価格点と技術点でそれぞれ60点満点となっております。価格点と技術点の比率は1対1です。この比率をどうとるか。つまり、価格と技術の重みをどの程度の比率で考えるかということが、このPTの検討課題の一つとなっております。
 実際、有明アリーナの入札では、価格点2位のJV(ジョイントベンチャー)が、技術点を加えた評価値で価格点1位のJVを上回り落札しました。この点、技術を重視しすぎてけしからぬというご意見もあります。価格点と技術点のバランスについては、想定し得る得点につき各局でシミュレーションを行って決定することとしております。詳細説明は省きますが、例えば有明アリーナにおいては、予定価格が360億円の工事ですから、技術点1点の差を挽回するためには、金額で言えば6億円、予定価格に対する比率では1.67%低い価格である必要があります。したがって、10点の差があるとしたら、16.7%以上低い価格、つまり、競争相手の83.3%以下の入札価格であれば挽回が可能になります。これが技術偏重であるか、価格軽視であるかどうか、それが論点になっています。
 12ページをご覧ください。左上の囲みの中で、国が設置した公共工事における総合評価方式活用検討委員会が平成17年にガイドラインを示しておりまして、確かにその中では、技術提案型総合評価方式で加算方式をとる場合は、③にあるように、価格評価点と技術評価点の比率は1対0.1から1対0.3の範囲で設定すべきとしております。東京都は1対1です。
 しかし、同じ検討委員会が平成19年に出した報告書では、価格評価点と技術評価点の割合は、工事特性に応じて適切に設定すると見直しております。さらに、平成20年に国が示した地方自治体向けマニュアルでも、9対1から1対1の範囲で事例があるというサジェスチョンを自治体に対して行っています。
 その下にありますように、試みに有明アリーナのケースを、平成17年の国のガイドラインに沿って、価格点と技術点の比率を1対0.3で計算してみたところ、結果は1対1の場合と同じでした。
 13ページをご覧ください。参考までに、過去10年間における価格点1位以外の落札状況についてまとめてあります。
 14ページをご覧ください。念のため、国や他の自治体でも採用例の多い除算方式を用いて、有明アリーナとアクアティクスセンターの入札結果を算定しましたが、ここでも結果的には変わりがないということでした。
 いずれにしても、工事特性に応じた適切な価格点と技術点の設定について、引き続きPTでの議論を重ねてまいりたいと思います。
 最後に、16ページをご覧ください。技術評価の客観性を保つための学識経験者への意見聴取等について、国土交通省の制度と都の制度を比較しております。適用法令が若干違いますが、基本的には流れは同じとなっております。ただ、国では、技術提案の審査・評価については、内部職員が行いまして、学識経験者からは意見聴取をするのみですが、都においては、有明アリーナとアクアティクスセンターの技術審査において、学識経験者に審査会メンバーとして採点に加わっていただいておりまして、より外部意見が反映されるように配慮しております。
 引き続き、客観性の高い技術審査のあり方について、PTでの議論を重ねてまいりたいと思います。
 以上で財務局からの説明を終わります。

○事務局(榎本) 次に、特別顧問の方よりご報告をよろしくお願いいたします。

○坂根特別顧問 それでは、特別顧問から報告申し上げます。
 資料3-2をご覧ください。「調達・入札制度の適正化に向けて」です。表紙に記載のとおり、ケーススタディとして、今回は前回に引き続いて豊洲新市場、及び今回新たにケーススタディとして海の森水上競技場及び有明アリーナのオリンピック・パラリンピック関連施設を取り上げて報告申し上げます。
 2ページが本日の報告の目次となっております。
 3ページ及び4ページは前回も掲載しました再掲のもので、3ページが内部統制PTで検討対象として取り上げている5案件です。オリンピック・パラリンピックの3施設、豊洲主要3棟を一括りとし、前回、報告申し上げました築地の解体工事を一括りとして、合計5案件として検討を続けております。
 4ページをご覧ください。これも前回ご覧いただいた図ですが、今回はグレーでハイライトしたオリンピック・パラリンピック海の森水上競技場、オリンピック・パラリンピック有明アリーナ、豊洲主要3棟について報告申し上げます。
 この表を横串的に見ていただくと、「予定価格の事前公表」については、今回の3案件とも当てはまるものでありまして、やはり99%台の落札率で落とされているのは予定価格の事前公表と関係するのではないかという問題意識で、これにかかわって2行目の「1者入札」が絡むとかなり高い確率で落札率が高くなるのではないかと推論できるところです。そして、今回新たに、3行目の「総合評価方式の運用」の適切性について検討を加えております。
 5ページは、検討状況の資料等の説明で、前回に加えるものとしては、(3)の「外部委員へのインタビュー」が新たにあります。これは、今、話題になっている総合評価方式の運用・技術点の評価にかかわってくださった外部の大学教授へのヒアリングを実施したということです。
 6ページをご覧ください。ここからは、豊洲新市場の引き続きの検討状況です。前回と同様の図でありまして、予定価格の事前公表と1者入札、この二つが合わさると競争性に疑問がある状況が出てきてしまうのではないか。その結果、高い落札率になるのではないかという推論が働いています。加えて、豊洲の場合は予定価格積算の妥当性という論点も問題視しておりまして、前回のご報告のとおり、1回目の入札不調後に2回目の入札が行われていますが、その際、予定価格は、通常は1割程度、2割程度と刻んで上げていくものですが、一挙に1.6倍、先送り工事分を含めると実質的には1.9倍の積算価格で、しかも、1者入札であることがほぼ予想されている状況下で事前に予定価格を公表したので、やはり99%台の高い落札率になっています。そういう意味で、予定価格の積算の妥当性、積算の合理性についても疑問を呈しております。
 7ページをご覧ください。若干わかりにくい話ですので、経緯を振り返ってみます。7ページ下段のほうの時系列になっている記載をご覧ください。平成25年11月18日に、主要3棟を含めた豊洲新市場関連の入札が行われました。そして、主要3棟について、そもそも参加がそれぞれ1者でしたが、それぞれ辞退して入札が成立しませんでした。そして、翌年2月13日に2回目の入札が行われ、ほぼ同じようなJV体でそれぞれ1者ずつ参加され、1者入札の状況下で、事前公表された予定価格の99%台で全て落札されております。
 ここで、新たな情報を加えておきますと、平成26年10月22日に、総務省及び国交省の通知があります。これは、この時期に限らず、従前から、国自体は予定価格の事前公表ではなくて事後公表の形にしていまして、地方は独自に事前公表しているところがあるのですが、わざわざ地方自治体に対して、もし弊害がある場合には速やかに事前公表はとりやめるようにという通知を発しております。
 しかしながら、東京都は、平成14年以降、250万円を超える予定価格の工事については事前公表を続けていまして、引き続きその運用のまま平成27年も実施しています。例えば、そこに記載したとおり、平成27年1月14日に実施された海の森水上競技場は1者入札で、落札率99.9%でした。有明アリーナは2者入札でしたが、これも同様に事前公表の予定価格です。
 8ページをご覧ください。これは再掲ですが、1者入札が予想される割合で、統計的なものです。例えば、最もボリュームの大きなものでは、9億円~20.2億円の価格帯になると半分以上が1者入札ですので、半分は1者入札になってしまうと容易に予想されてしまう状況です。
 下段の表は、入札者の数が減ってしまうと落札率も相関的に高くなってしまう状況を示しております。
 9ページをご覧ください。今回取り上げた5案件以外にどういうものがあるかということを一例として紹介します。例えば、中央防波堤内側5号線橋梁は海の森水上競技場へかける橋ですが、この工事はオリピック施設自体ではなくて関連施設ということで、予定価格300億円超えの工事です。これは1者入札となりまして、やはり高い落札率の99.3%で落とされています。ですので、この工事に関しても予定価格の事前公表プラス1者入札、競争性を阻害しているのではないかという疑問が出るとともに、この工事プラス海の森水上競技場、有明アリーナに関しては総合評価方式で入札が行われていますので、その運用上についても検討致しております。
 10ページをご覧ください。総合評価方式の運用に関する検討状況の報告です。東京都では、4種類の総合評価方式を使い分けておりまして。下段に①から④までありますが、これは、財務局の説明(資料3-1)の7ページにも詳しく解説してありますので、そちらをご覧いただきたいと思います。こうしたものを、大型の工事から小型の工事まで適用して入札を行っているというものです。
 11ページ以降は、有明アリーナ、海の森水上競技場、2施設についての具体的なケーススタディとなっております。

○飯塚特別顧問 それでは、11ページをご覧ください。「総合評価方式の運用上の課題」ということで、まず結論から申し上げますと、運用上の課題としては2点あります。一つ目は、価格点と技術点のバランスの問題です。二つ目は、評価・採点基準が適切なのかという疑問があることです。
 海の森水上競技場は、配点は技術点160点+価格点60点です。先ほど財務局から説明がありましたように、基礎点100点は別ものです。要は、技術点のコアになるところは60点、価格点も60点。それで1対1になっております。平成17年の国の指標では、100対10~30となっています。その指標自体は、別の数字になったわけではありませんが、表現の仕方が変わっているということです。この配点に対して得点は、136点と0007点ということで、その二つを足すと136.0007点。この足し算にどういう意味があるのかという疑問があります。
 しかし、海の森水上競技場は1者入札ですので、いくらおかしな足し算であっても結論に違いはありませんが、その下の有明アリーナについては配点は60点と60点。A社の場合は、技術点が満点で160点、価格点が0.1。B社はここに記載してあるとおりです。この二つの会社の価格点の差が0.1と1.6ですから、1.5です。このわずか1.5の差は、技術点の60点と53.4、この7点で打ち消されて、結局、A社が落札しました。誰が見ても、価格点が0.6以下、1.幾つ、そういうもので、技術点が60点から50点というもの、このバランスが適切なのかということ。これは、早急に詰めなければいけないと思います。
 いくら技術点を重視するとはいえ、入札ですので、価格の要素は軽視できないと思います。
 12ページをご覧ください。なぜ0.0007が出てくるか簡単に説明しますと、ここの記載してあるような算定式があり、東京都の高額の契約は99.99ぐらいですので、予定価格分の入札価格が0.999になります。1からそれを引くので0.000幾つを60に掛けるので小さな数字になるということです。
 是非、ワイズスペンディングの観点から、この点についての合理的な研究を進めていきたいと思っております。
 13ページをご覧ください。二つ目の問題です。現在の技術評価が、公正性・透明性・信頼性が保たれているかどうかです。海の森水上競技場は、6名の審査員全員が都庁職員、有明アリーナは、5名のうち外部委員が3名、内部委員が2名。先ほど国の例をお示しになりましたが、私も別に外部委員だから良いとか、内部委員はだめだとは思っていません。誰が対応しようと合理的な判断基準があって適正性が担保されればいいと思っていますが、今回、たまたま外部の委員からご意見を伺う機会が得られました。これはなかなか得難いことですので、先生方がどのような観点でこの評価にかかわったのか調べました。
 14ページをご覧ください。これは、どのような問題が出されているかということでありまして、大きな課題が4問、技術提案が9問、こういう問題を業者に出して、その答案を採点する形です。
 15ページをご覧ください。上から3点目、委員の寸評の記録には、60点満点中60点を取ったA社の優れた点、B社の劣った点だけが記載されていましたので、私どもインタビューの際に、B社の劣った点ではなくてB社の優れた点について具体的に先生方に質問してみたところ、15ページの最下段、そのように言われると、ということで、採点当時は見落としていたポイントがあったかもしれないとおっしゃっておられました。
 あるいは、その三つ上で、まずは優れている一方を満点としておいて、つまり相対評価をしたとおっしゃる先生がいらしたり、あるいは、別の方は、都の事務方から絶対評価だと指示されているので絶対評価で対応したとおっしゃったりということで、結局、相対評価の点数と絶対評価の点数を後で足して平均値を出すようなおかしなことになってしまうということです。
 最後に、16ページをご覧ください。今申し上げた二つの問題は、アンバランスの点と、評価・採点の明確性をどう確保するかという点が私どもの疑問であり、また、財務局としても考えていく課題であると思っております。
 以上です。

○加毛特別顧問 引き続き、若干補充します。
 一つは、東京都の入札資格者の資格制限規定の問題。もう一つは、WTO政府調達協定との整合性についてです。
 まず、東京都は、豊洲新市場3施設及びオリンピック・パラリンピック3施設など、大型の建築工事の入札参加資格として、建設共同企業体、いわゆるJV方式及び東京都の施工実績など厳しい条件を課しており、そのため、JV方式の第1順位の参加資格者は、事実上、日本国内のスーパーゼネコン及びこれに準じる企業に限定されている。そのため、多くの建設業者、外国企業が新規に東京都の大型の建築工事の入札手続きに参加することが厳しい状況となっており、入札手続きにおける競争原理の機能が低下している。
 次に、WTO政府調達協定との整合性について。国は、調達手続きにおいて、会計法、予算・決算会計令及びWTO関連法規により、WTO協定との整合性を図っている。東京都は、WTO協定との整合性を図るための法令の整備が不十分である。そのため、WTO協定の適用がある予定価格以上の建築工事の調達手続き面で、国の調達手続きと東京都の調達手続きについて、例えば予定価格の事前公表制度などを含め、具体的な差異があらわれている。WTO協定は、EUやアメリカ等先進諸国等約50か国近くが締結し、国際的なルールとして定着している。東京都の予算規模はスウェーデン並みであり、世界で20位以内に入っており、国家的な規模の予算である。東京都は、少なくとも大型の建築工事の入札手続きについては、WTO協定及び国の調達制度との整合性を図り、予算について都民ファーストの立場からワイズスペンディングの観点に立って、東京都の入札手続きを見直すことが適切であると考えます。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの議題に関して、何かご意見、ご質問等がございますか。

○武市財務局長 いろいろなご意見をありがとうございます。私ども、有明アリーナについては、全てがパーフェクトに行われたとは毛頭考えていませんが、最終的な評価結果については、適切な結果を出したと考えております。
 また、外部委員の先生方につきましては、建築技術に精通された有識者の方々にお願いしておりまして、それぞれの見識に基づいて、公正・中立な立場で、それぞれ正しくご評価をいただけたと認識しております。ただ、1者入札、99%の問題など、いろいろご指摘をいただいておりますので、入札契約制度の改善に向けて、引き続き意見交換をさせていただき、改善に結び付けていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○事務局(榎本) そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの報告を受けまして、知事よりご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○小池知事 特別顧問の皆さんには大変熱心に取り組んでいただき、ありがとうございます。
 都民からすれば、いくらのお買い物なのかということは大変関心が高いところですので、曇りのないような形で、といいつつ、制度そのものへの疑義も傾けられたり、しかし、別の制度で行うと、それについてもまたクエスチョンマークがついたり、なかなか難しいところですが、是非、都民ファーストで、わかりやすい形でと思っております。みんなが納得するような方式が別になるならば、それはそれで模索してもいいかと思いますが、長年これを模索し続けて現在の形になっていると思いますので、改めてもう一度見直し、利点と欠点、問題点をあわせながら、議会でも入札制度についてはこれまでにも議論されておられると聞いていますので、そうしたことも含めて、いろいろとご指摘があった点など、改善できることがあれば、それはそれですぐに対応していただければと思っています。
 特にこの問題は、オリンピック・パラリンピックのそれぞれの会場問題につながりますので、この辺はしっかりと説明しなければならないと、私自身も思っております。
 以上です。ありがとうございました。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 続きまして、本日の議題の四つ目、「オリンピック・パラリンピックについて」です。本日は、東京2020大会の準備の加速化に向けた今後の取組について、オリンピック・パラリンピック準備局から報告していただきます。
 では、お願いします。

○雲田オリンピック・パラリンピック準備局調整担当部長 それでは、私から、オリンピック・パラリンピック予算の管理について説明します。
 現在、大会経費については精査中ですが、本日は、経費が膨れ上がらないように、しっかりと管理していくことが重要との認識から説明させていただきます。
 資料4-1の表紙をおめくりいただきまして、1ページをご覧ください。大会に係る業務については、現在、恒久施設の整備などハード系業務につきましては既に設計・工事に入るなど事業が本格化していますが、一方、セキュリティや輸送対策などのソフト系がメインの業務については、現在、計画策定等を進めている段階にあります。このように、ハード系とソフト系とでは、経費の見積もりに必要な要件や仕様を決定する時期が異なっております。このことをイメージ図としてお示したものが左下の図です。
 施設整備などのハード系業務は、大会に間に合うように、完成に向けて比較的早い段階で仕様スペックが確定しますが、セキュリティや輸送などのソフト系の業務は、大会期間中も行われることから、その要件や仕様は大会直前に確定、または、場合によっては大会中の状況変化に応じて対応しなければいけないことも起こります。このため、下の点線の枠内ですが、現時点では一定の想定のもとで経費の見積もりが推計状態にあるものについて、業務の具体化に応じて順次精緻化し、予算に計上されるようになります。したがって、今後具体化していく大会準備全般にわたって、効率的かつ効果的な予算の執行を行うためには、それぞれの業務について、時期は異なりますが、計画の策定、予算の編成、調達などの執行のそれぞれ各段階において、適正なコスト管理の観点からチェック体制を確立・継続することが必要と考えております。
 そこで、各段階における今後の取組についてです。裏面の2ページをご覧ください。まず、計画の策定段階ですが、各事業に対しての戦略や必要性、仕様等を明らかにし、適正なものにする必要があると考えております。
 例えば、真ん中の「各段階での考え方」の左側の「計画」をご覧ください。テストイベントを例にすると、これまでは、その時期は大会1年前、規模は世界大会並みと考えていました。しかし、例えば、なるべく大会の本番に近い時期にずらすことによって、リース物件であればリース期間を短くできる、規模も競技の円滑な運営に必要なチェックができれば、それに見合った規模でいいのではないかという観点から、実施時期や規模など設定の仕方いかんによって経費が大きく増減することになりまして、まさに、最初に設定する要件や仕様の計画策定段階、まさに入り口の段階できちんとチェックして、後戻りが出ないようにすることが極めて重要と考えております。
 次に、予算編成段階ですが、計画に基づいて、目標とする予算の上限を設定し、単価や量、期間などの規模の妥当性を精査の上、経費を積み上げて積算し、総額の枠の中で管理することも必要と考えております。ロンドン大会では、公的部門において93億ポンドという枠を設定して、この中には予備費も入っています。最終的には、その予備費も取り崩しながら93億ポンドの枠の中でおさめたということを、東京大会においても参考にしながら上限となる予算額設定して、さらに、会場や事業ごとに予算の見える化を図って説明責任を果たしていきたいと考えております。
 最後に、執行(調達)の段階ですが、限られた予算の中で、例えば発注時の手法など、調達等の工夫を行うことが必要と考えております。例えば選手村を例にとりますと、都が大会期間中活用する住宅や備品などを大量一括かつ早期に発注することで、確実かつ効率的な調達を行うモデルケースとして実施してコストを縮減していきたいと考えております。これら各段階において確実に行うためには、いずれの段階においても、都、国、組織委員会等の各機関が同一歩調で取り組むことが重要と考えております。
 「今後の取組」ですが、オリンピック・パラリンピック準備局としては、関係各局はもとより、国、組織委員会等とも緊密に連携して、関連する計画、予算、執行(調達)の各段階においてモニタリングを行うなど、チェック体制を確立し、確実な予算管理を行い、大会準備に万全を期してまいります。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 引き続きまして、上山特別顧問よりご発言をお願いします。

○上山特別顧問 今のオリ・パラ局からのご説明は、全くそのとおりでありまして、我々調査チームが作業を始めたのは9月で、それ以後の問題意識に全く沿ったものだと思います。きのうはたまたま4者のテクニカルミーティングがありまして、そこでも概ね、今、局からお話があったような現状認識、方向性は確認されたとおりです。
 問題は、これをどのようにして実現するかという点です。東京都は、こういう自覚を持って、自分の問題なので進めていけばいいわけですが、東京都においては、民間企業の柔軟な調達などに学ぶ必要もあるし、先ほど来、内部統制チームから話がありましたような入札制度の改革をしないと、制度そのものが割高なものを買うようになってしまっている。ここを変えない限りは、オリンピック・パラリンピックの総費用は、我々が警告したように、3兆円を超えるような状況になってしまう可能性があるので、オリンピック・パラリンピックのためだけではありませんが、調達・入札制度は抜本的な見直しが必要だと思います。
 また、オリンピック・パラリンピックに限って申し上げると、非常に難しいのは、開催都市ですので、赤字が発生したら東京都が負担する。しかし、お金を使うのは東京都だけではないという問題です。組織委員会が運営費用を使います。また、直接使うわけではないけれども、IOCがいろいろとリクエストをしてきます。これはオリンピック特有だからということで、リーズナブルな要求も多いですが、中には、電源は二重で用意してくれとか、発展途上国ならわかるけど、日本ではそんなものは必要ないではないかといったような過剰なリクエストもあって、そうしたものに関しては、組織委員会と一緒になって、言うことはきちんと言っていくことが重要だと思います。
 報告になりますが、昨日の4者協議でも、IOCに対して日本側が日本の実態を訴えて、基準を少し見直してはどうかといったようなことで、国、組織委員会、都も一致して、若干の問題提起を行うといった動きも出ています。私は、キーワードで言いましたのは、チームワークが重要だと思います。
 IOCは、例えば国際調達をしてはどうかという問題提起をしてくれていまして、これは国内の政府系のところにとっては、良い意味での外圧になると思います。また、IOCに対して、国内の私たちは、どこの国でも同じ基準を要求しないでほしいということを言っていけばいいので、この4者でかんかんがくがくやりながら管理していく。こういう仕組みづくりが大事だと思いますし、それを進めていく中で、広い意味での都庁の国際化も進むのではないかと思います。
 お手元の資料4-2の裏面の図をご覧ください。9月29日に、何もしなければ、もしかしたら3兆円を超えてしまうのではないかという推計値を我々から出しましたが、あの数字は予算の数字ではなくて最終決算値です。最後に締めてみたとき、2020年の秋から冬くらいに、全部を足し上げてみたら3兆円を超えてしまう、このままでは大変だという問題提起をしました。
 実際それがどうなるかは、右端の「C3決算」と記載してありますが、4年たたないとわからないわけです。ここの数字について今から一喜一憂していてもしようがなくて、目の前の重要なことは、雲田さんがお話しされた、目の前の予算の積み上げです。計画段階で、無駄なものはできるだけ削っていく作業だと思います。具体的には、12月にバージョン1の組織委員会の予算が出てきますし、それに伴う周辺の投資の額も出てきて、もしかしたら、明日その数字が出る。一部報道では2兆円を超えるという話になっていますけれども、とりあえずの想定としてその数字が出てくる。しかし、それが出てきても、では2兆円なのかと我々は安心してはいけない。安心してはいけないということを言うために、私は今ここでマイクを持っています。
 この2か月、作業をした結果、都の三つの施設は、アジェンダ2020があり、局がかなりがんばって、もともとわりと精査して作成していた三つの施設ですが、これに関してもIFの国際競技連盟と直接協議したり、IOCと交渉したりすると、結果的に、有明アリーナを建てるケースの計算をしても、コストが27%下がっています。建てないケースを想定すると、50%もコストが下がる。ということは、コストが3~5割下がる可能性が秘められていたということです。
 これはかなり苦しい作業を以前一度行った上で、今回さらに、4者の枠組みなども使いながら試算してみたら下がったということですから、何でも半値になるとまでは申し上げませんが、バージョン1の予算が出てきたとしても、それが所与のものとは思わずに、都庁としてがんばり、組織委員会やIOCに対しても言うべきことは言い、対立したら4者で集まり、予算の中身に関してはチェックをし続ける仕組みが重要だと思います。
 それはBの段階ですが、さらに実際にCの段階に入ってくると、個々の施設の、椅子の調達など具体的で細かい話になってきます。さらに、実際に契約の話になり、入札の話になり、最後に執行となります。この各プロセスはいずれも予断を許しません。昨日を経て、明日で4者協議も一段落となりますが、まさに予算の管理については明日がキックオフになりますので、関係者の皆さん、がんばりましょうということを申し上げたくて、今日は少し時間をいただきました。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、ただいまの議題に関して、ご意見、ご質問等がございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの報告を受けまして、知事よりご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○小池知事 ご苦労さまでした。昨日も夜遅くまで、オリ・パラ局の皆さんにはがんばっていただきました。そして、明日4者協議を迎えるにおいて、今日は内部統制の入札問題も含めてよくチェックしたところです。そして、効率的な調達でどのようなコスト縮減を図れるかということがこれからも肝になってきます。
 企業の調達方式と行政が行う調達方式では、観点が少し違うのではないかと思ったりしますが、調達の点は企業でも肝心なことですし、ここはもう少し研ぎ澄ます必要があると思います。
 それから、豊洲新市場の例を見ても、最初は3,000億円云々と言われていましたが、最新の数字はいくらなのかわかりませんけれども、5,800億円に膨れ上がって、一生懸命にオリ・パラの会場費を削るという作業をしていたら、別のところで大きな穴があいていて、少し立ち止まって考えることが必要ではないかと、改めて、基本的なところで思います。
 都が提案していることは、まさしくIOCのアジェンダ2020が言っていることでありまして、その意味でも、IOCは、東京のいろいろな試みに対しては、むしろエールを送ってくれていると思っております。そして、持続可能なオリンピックにしていくことが東京の務めでもありますし、それこそ都民ファーストであり、一方で、お金をただ浮かすのではなくて、私もスポーツの協会の会長を務めていましたが、現場は本当に、爪に灯をともすようにして練習をしています。豪華な会場もさることながら、そうしたアスリート一人一人をどのようにして応援するかということは、私は極めて重要なことだと思います。ただコストを削るだけではなくて、そちらにも目配りすることが必要ではないかと思っております。
 ということで、本日も、皆さんがそれぞれの局でがんばっていただいた成果が、第4回都政改革本部会議の中身となりました。改革は流れを止めてはいけません。前へ進むことを続けていくことですので、改革疲れがないように、むしろ、改革することによって都政への信頼が高まって、より働きがいがあること、そういう好循環につなげていきたいと思っております。
 本日はテーマを4つも盛り込みましたが、ご苦労さまでした。そして、報告を受けただけではなく、それを迅速に実行に移していただきたいと思います。
 ご苦労さまでした。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上となります。ありがとうございました。
 最後に、事務局から2点、事務連絡をさせていただきます。
 次回第5回目の会議の開催日程ですが、年内にもう1回の開催を予定しております。皆様方のご予定を確認・調整の上、改めてお知らせさせていただきます。
 また、本日の会議の議事録ですが、準備が整い次第、都庁のホームページに掲載しますので、あらかじめご了承ください。
 以上をもちまして、第4回都政改革本部会議を閉会します。どうもありがとうございました。


午後5時43分閉会

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