都政改革本部会議(第3回)議事録

平成28年11月1日(火曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

午前10時00分開会


○司会(榎本) ただいまより、第3回都政改革本部会議を開催いたします。
 前回に引き続き、本日も多くのプレスの方に来ていただいておりますが、本日の会議の様子は、前回と同様、最初から最後まで公開しますとともに、インターネット中継も行ってまいります。
 続きまして、本日の配布資料の確認をさせていただきます。机上に置かせていただいておりますが、順に、会議次第、座席表、各局の自律改革に関する資料、内部統制プロジェクトチームの検討状況の資料、オリンピック・パラリンピック調査チームの報告書でございます。
 何か不足等があるようでしたら、事務局まで申し付けください。
 なお、本日の会議出席者につきましては、座席表の配布をもって代えさせていただきます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、知事よりご挨拶をいただきたいと思います。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 皆さん、おはようございます。
 今日から11月ですけれども、9月1日に都政改革本部を設置しまして、各調査チームの皆様方には鋭意検討を進めていただきました。本当にありがとうございます。そして、第2回の本部会議から本日までの間に、情報公開調査チームの取組として、先月中旬、まず職員目安箱を設置しました。知事室の私のパソコンに、職員の皆様方から、システムづくりの話や制度的な話、個人のこうした問題がありましたなど、様々なご意見が寄せられております。ぜひ参考にしていきたいと思っております。また、かねてから用意しておりました公益通報制度ですが、今日から新たに弁護士による外部窓口を設置しまして、都民からの通報も受けるシステムを開始するところです。こうしたご意見については、都政の透明化を進めるとともに、業務を適正化していきたいと考えております。小池都政東京大改革の基本的なインフラを整えるということでございます。
 さて、本日は、大きなテーマが三つあります。一つ目が各局の自律改革の取組についてで、各局からその取組についての報告を受けることとします。この各局の取組を、ぜひ全庁で共有することによって、改善策をみんなで共有して進めていくことにいかしていきたいと思っております。
 二つ目は、内部統制プロジェクトチームによる検討状況の報告をいただきます。このプロジェクトチームは、より適正で効率的な行政運営を行うため、都庁における内部統制のあり方について検討を行っていただいております。今回は、その中で、入札契約制度についての検討状況を報告していただくこととなっております。
 三つ目は、オリンピック・パラリンピック東京大会についてであります。前回も、このオリンピック・パラリンピック調査チームから調査報告書が提出されましたが、さらにそれに精査を加え、また、調査を行った結果、本日はまとめて報告をいただくこととなっております。また、先日のIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長との面会において設置することとなりました4者会議ですが、調査チームからの報告を踏まえた上で、都としてどのように臨んでいくのか調整してまいりたいと思います。折しも、今日からワーキンググループの会議も始まりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 限られた時間ですが、早速、それぞれから報告を受け、皆様方と議論もしていきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 1点目の議題は、「各局の自律改革について」です。
 まず、自律改革の全体の状況について、事務局から報告いたします。その後、局からの自律改革の報告として、若手職員で構成するPT(プロジェクトチーム)の設置や現場の改善運動の実施など、局を挙げた体制づくりに取り組んでいる教育庁から取組事例の報告をさせていただきます。

○事務局(小笠原) 最初に、事務局から、自律改革の取組について説明させていただきます。
 資料1の1ページをご覧ください。各局の自律改革についてですが、第1回本部会議以降、それぞれ各局で主体的に取組を進めていただいているところです。9月に全庁的に各局で自主点検を行っていただきましたところ、320項目に上る取組の提出をいただいております。ただ、その際は、事務の効率化や業務改善のレベルの取組が中心であったということで、現在はそれに加えて、政策・施策・事業の自主点検・評価を進めていただいております。
 2ページをご覧ください。そのあたりをイメージ図にしたものです。事務の効率化から順次レベルアップし、政策・施策・事業の見直しに取り組んでいただいているところです。今後は、「2020年に向けた実行プラン(仮称)」の政策展開とも連携を図って、さらなるレベルアップを進めてまいりたいと考えております。
 1ページにお戻りください。そのスケジュールですが、1ページの下の部分に「今後のスケジュール」として記載してあります。11月下旬に各局との意見交換を実施してまいります。そして、次回以降の本部会議において、特に政策・施策・事業の評価の結果を生かした各局からの取組状況を順次報告させていただきたいと考えております。
 私からは以上です。
 続いて、教育庁からご説明をお願いします。

○安部教育庁教育政策担当部長 それでは、教育庁から報告させていただきます。
 3ページをご覧ください。教育庁では、中井教育長を本部長として、本庁・事業所の部長級職員等による教育庁改革本部を設置し、既に3回実施しております。この改革本部では、業務改善の推進と都立学校の取組について、検討及び進捗管理を行っています。具体的には、業務改善として、一課一改善をはじめとする自律的な業務改善の推進を、事業所等も含めて全庁的に進めております。また、都立学校254校において、これまでの学校マネジメントサイクルの仕組みを生かした一校一改善の取組を進めています。さらに、若手職員の意見を聞く仕組みも設けております。
 5ページをご覧ください。教育庁では、自律改革を継続的に局全体で取り組むことから、「一課一改善運動」を実施しているところですが、50の所属ごとの取組をこれまで挙げております。主な取組は5ページ下段に掲げていますが、具体例として、まず6ページをご覧ください。
 「退庁時間の見える化」ということで、職員が仕事を計画的かつ勤務時間を意識しながら仕事を進め、最後には超勤を縮減していくという取組を実施しております。画面ではわかりにくいかと思いますが、赤点で丸囲みがしてありまして、職員が各自出勤後、その日の退庁時間を、定時退庁であれば青札、20時までの超勤であれば黄札、20時を過ぎる超勤であれば赤札を掲げることを行っています。
 7ページをご覧ください。会議のペーパーレス化についてです。これは、会議資料作成の簡素化や印刷コストの削減による業務の効率化を目指したものですが、事業所において、タブレット端末を活用し、そこに会議資料を保存し、紙を使わない会議運営を実施しております。
 下段をご覧ください。「都立学校の取組」として掲載しております。これまでも自律的な改善を各学校では進めてきていましたが、今回の都政改革を契機としてさらなる改革に取り組むべく、その方法の検討を進めているところです。
 8ページをご覧ください。教育庁の若手職員で構成するPTについてです。教育庁では、10月から「若手職員PT」を立ち上げ、若手職員の意見を施策形成や業務改善に取り入れるため、何が課題になっているのかを話し合っています。若手からは、自分の意見を政策に反映できる機会が少ないことや、上司によって取扱いが異なることから、組織的な取組の必要性について議論がなされております。現在、取りまとめを行い、改善に向けた提案が近日中に教育庁の改革本部に報告される予定です。
 9ページをご覧ください。「今後の取組」として主に3点掲げております。教育庁にある教育相談センターでは、10月から来所者にアンケートを行っており、サービス向上に向けた改善を行う予定です。また、教育庁のホームページの改善や中央図書館におけるデジタルサイネージを活用し、日本語のほか英語・中国語・韓国語に対応した館内案内の改善を今後図っていく予定です。
 教育庁では今後とも、局全体で自律改革に向けた組織的な取組を進めてまいります。
 説明は以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 続きまして、本日の議題の二つ目、「内部統制プロジェクトチームの検討状況について」です。
 初めに、本日の報告テーマやプロジェクトの目的などについて事務局から説明いたします。次に、検討課題を理解する上で必要となる調達・入札制度などについて、財務局から要点を説明いたします。続いて、ケーススタディをもとにした検討課題について、特別顧問からご報告していただきます。

○事務局(池上) それでは、本日の報告内容等について、まず事務局から説明いたします。
 資料2-1の1ページをご覧ください。内部統制のテーマとして様々なものがありますが、本プロジェクトチームでは、現在、契約・入札について検討しております。
 2ページをご覧ください。現在取り組んでいる「調達・入札プロジェクト」は、(1)にありますとおり、今後の調達・入札制度の適正化に向けて、新しい制度・運用のあり方を提案することを目的としております。課題は、(2)にありますとおり、制度と運用であり、具体的には、そこに記載した6点について現在議論を重ねています。当面は、(3)に掲げました五つの案件に関する調達・入札上の課題を検討した上で、制度・運用のあり方の改善・改革に資する課題に順次取り組むこととしております。
 なお、各案件個別の民事上の契約の適否や、過去における職員の刑事責任・懲罰を問うことを主目的とするものではありません。
 3ページをご覧ください。調達・入札に係る制度と運用の検討スケジュールです。9月以降、財務局、特別顧問で検討を行ってきております。本日は、財務局から制度と運用に係る現状整理について説明し、特別顧問からはケーススタディとして、本日は特に築地市場の解体工事をもとにした検討課題について説明します。今後は、ケーススタディを踏まえ、制度と運用の見直しや改善策の提案を行っていくこととしております。
 事務局からは以上です。

○十河財務局経理部長 引き続きまして、資料2-2により、財務局から都の入札契約制度について説明しますが、時間の都合上、本PTのテーマに関連するポイントを中心に駆け足での説明となりますので、ご了承ください。
 まず1ページをお開きください。ここには、我が国の入札契約制度を定める主な法令と、そこから導かれる根本原則を記載しております。これらの原則に基づいて各自治体の制度はつくられていますが、その時々の社会・経済状況や各自治体の地域特性などによって、これらの原則のどこに力点を置くかなど、制度やその運用にそれぞれ少しずつ違いや特徴があります。
 それを踏まえていただいた上で、3ページをご覧ください。ここからは、都における入札契約制度の具体的な説明となります。契約締結権限の説明は省略させていただきます。
 5ページをお開きください。契約締結の方法です。大きく分けて、一般競争入札、指名競争入札、随意契約があります。一般競争入札は、入札参加資格さえあれば、原則として誰でも入札に参加できる最も開かれた入札方法です。現在ではこれが原則的な入札方法になっていますが、実は、国においても、自治体においても、この一般競争入札が広く行われるようになったのは平成の時代に入ってからです。それまで一貫して入札方法の中心にあったのは指名競争入札です。これは役所の側で、5者なり10者なり受注できそうな企業を選んで入札に参加してもらい、そうした指名された企業の中で競争して落札者を決める方法です。信頼できる事業者を役所の側で選んで履行の品質を確保しようという方式です。ただ、東京都の場合、こうした純粋な意味での指名競争入札は行っていませんで、希望制指名競争入札という都独自の制度で広く入札参加者をつのり、競争性を確保しています。
 7ページをご覧ください。入札・契約の流れです。都では、入札公告から落札まで全てインターネットを利用する電子調達システムで運用しております。事業者は、ネットから参加申し込みをし、他の参加者の応札金額がわからないことは当然ですが、ほかに参加者がいるかどうかもわからないシステムとなっております。落札決定後に初めて入札参加者全員の企業名と応札金額をシステム上に公表して入札経過の透明性を確保しております。
 9ページをご覧ください。競争入札における落札者の決定方法ですが、これは地方自治法や同施行令で定められています。まず、原則は、最低価格落札方式。つまり、最も低い価格で応札した者を落札者としなさいというものです。ただ、これを貫くと、不合理な低価格での債務不履行や欠陥工事による損害の発生なども考えられることから、三つの例外が定められています。1点目は最低制限価格制度で、ある一定の金額より低い金額では落札者になれないという制度です。この制度は、地方自治法独自の制度で、国の入札制度にはありません。2点目は低入札価格調査制度です。これは、ある一定の金額よりも低い金額の場合はきちんと履行できるかどうか調査した上で落札決定する制度です。3点目は総合評価方式です。価格だけではなく、技術力なども評価して、その合計点で落札者を決める制度です。2点目、3点目は、国でも自治体でも行われている制度です。
 ところで、このうち最低制限価格制度に関しては、地方自治法の文言上では、特に必要のあるときに行ってよろしいということになっています。しかし、次ページをご覧いただきますと、四角で囲われた「最低制限価格制度適用件数」の欄ですが、都においても、また、他自治体でも、工事件数の8割から9割に最低制限価格制度が適用されています。これはPTの中でも顧問団の先生方から指摘されていることですが、「原則と例外がひっくり返っているじゃないか」ということです。恐らく他の自治体でもそうでしょうけれども、都では、戦後、自治法ができてすぐのはるか昔から、工事予定価格に応じて一律に最低制限価格制度を導入しております。初めから原則と例外がひっくり返った運用がされてきたことは確かです。
 ただ、この背景には、自治体においては、中小事業者との契約が大部分であることから、ダンピングによる中小事業者の疲弊や下請重層構造の中での低価格受注による中小零細事業者へのしわ寄せ、こうしたことを防止することを自由な価格競争よりも重視すべきという考え方が根底にあります。
 13ページをご覧ください。都の入札契約制度の特徴として、工事案件の全てにおいて、平成14年から入札公告の時点で予定価格を公表しております。したがって、事業者はみんな、都の予定価格を知った上での入札の参加となります。国では、落札者が決まった後で予定価格を公表する事後公表制度となっております。事前に公表することは答えを教えているようなものではないかというご意見もあると思いますが、資料の下段の表をご覧いただきますと、実は、47都道府県のうち4割の自治体が予定価格を事前公表しています。
 なぜこういうことになっているかというと、一言で言えば、透明性を高めて不正を防止するためです。そもそも予定価格というものは全然わからないものではなく、都をはじめ多くの自治体では積算方法や資材等の標準的な価格などを公表していますので、事業者の側でも、ぴたりとはいかなくてもおおよそ予想がつくのが通例です。それでも秘密にすれば知りたくなる人もいるでしょうから、そういうことを隠して、汚職が起きやすい環境をわざわざつくるよりも、いっそのことオープンにしてしまいましょうと考える自治体が多く、都も同様の考え方です。
 「そうは言っても、事前公表などをしたら落札率が高止まりするのではないか」と思う方もいらっしゃると思いますが、実は、事前公表でも事後公表でも、一般的には落札率に差がないことがわかっています。
 次ページの資料がそれをあらわしています。各自治体の事前・事後、それぞれ公表の時期が記載してありますが、平均落札率については80%台後半から90%台になっております。「いや、そんな一般論の話ではなく、豊洲市場建設や海の森で99.9%という落札率になっているのがおかしいだろう」ということが、このPTのテーマの一つです。確かに、99.9%での落札が起こるのは、予定価格を事前公表しているからと考えています。
 ただ、この場合、二つの可能性が考えられます。一つは、この予定価格では低すぎて、もしほかに安くできる事業者がいるならばあきらめてもいいと思ってめいっぱいの価格で応札したところ、結果的にほかに参加者がいなかった場合です。もう一つは、都のシステムでは、ほかに参加者がいるかどうかわからないシステムになっていますが、何らかの理由で自分しか入札参加者がいないと確信している場合です。その場合でも、値をつり上げている場合と、やはり予定価格が低すぎる場合が考えられると思います。いずれにしても、こうした事態を回避するとしたら入札契約制度はどうあるべきか、今後このPTで検討していくテーマになっております。
 次に、16ページをお開きください。ここから22ページまでは、中小企業・下請事業者の保護・育成についてです。都では、分離分割発注の推進やJV(共同企業体)制度の活用などにより、中小企業の受注の確保を図っております。また、将来にわたって建設工事の担い手を育成し、持続可能な調達環境を確保するための取組も行っております。詳しい説明は、ここでは省略させていただきます。
 23ページをお開きください。入札環境の変化と都における制度改革についてです。バブル経済の崩壊以降二十数年間に、我が国の入札契約制度は大きく2回の劇的変化に見舞われたと思っております。これと軌を一にして都における入札契約制度においても多くの改革が行われてまいりました。
 まず、平成5年のゼネコン汚職事件は、「天の声」という言葉で記憶されていますが、これを契機に、それまで主流であった指名競争入札の弊害が指摘されました。また、WTO政府調達協定の締結などと相まって、国においても、自治体においても、一般競争入札が本格的に導入されるようになりました。これにバブル崩壊による経済の停滞、公共投資の削減、リーマンショック、デフレの進行などが加わりまして、ダンピングや低価格入札が激化しました。この時期、入札契約制度改革の中心テーマは、汚職や談合の防止と、低価格入札対策だったと言えます。こうした中、東京都では、予定価格の事前公表による透明性の強化、一般競争入札の拡大、独自の方法である希望制指名競争入札の全面実施、その一方で、ダンピングを予防し、品質を確保するための低入札価格調査制度や総合評価方式の導入を図りました。
 次の転機は東日本大震災です。これに続く復興需要、アベノミクスによる公共投資の増加、オリンピック・パラリンピック招致決定を契機にした首都圏の民間開発需要などによりまして、建設需要は高まりましたが、逆に、資材価格の高騰や長く続いた建設不況による技術者・技能者の不足、それに伴う労務単価の急上昇が起こります。こうしたことから、採算が合わない、人手が足りないという理由で、入札参加者がいない、あるいは、みんな辞退してしまうといったような、いわゆる入札不調が問題になってきます。また、不調とはならないまでも、今回このPTでテーマとなっている1者入札も急増してきます。
 25ページの下の表をご覧ください。平成27年度の都の5億円以上の競争入札の工事では、1者入札の割合が42.2%に上っています。また、0者入札(入札不調)と1者入札、2者入札を合わせると、全工事案件数の7割近くに達しています。つまり、大型工事では、少数入札が常態化しており、せいぜい2~3者が参加すればいいところというのが、残念ながら現状となっております。
 23ページに戻っていただきまして、こうした中、東京都は、入札に参加しやすい環境の整備に向けて入札契約制度のさらなる改革に取り組んでおります。積算基準や見積単価の見直し、物価スライド条項の整備など適正な予定価格の設定に努めるとともに、事業者に無理を強いることがない適正な工期工程の設定、発注時期の平準化や技術者配置要件の緩和などの取組を行っています。
 27ページをご覧ください。東京都と国の不調発生率の推移です。国では予定価格を事前に公表していないので、全体的に不調発生率が高くなっていますが、平成25年度を境にどちらも不調が急増していることがわかります。ただ、国においても、都においても、平成27年度には若干好転の兆しを見せていますが、引き続き対策の手を緩めることなく、入札に参加しやすい環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後になりますが、28ページをご覧ください。過去10年間の100億円以上の大規模工事の受注状況です。東京都では、こうした案件についてもできるだけ入札参加条件を広げて、多くの事業者の入札参加を求めていますけれども、結果的には、大手ゼネコンを中心とする受注となっております。とりわけ、今回PTで取り上げている豊洲新市場建設やオリンピック・パラリンピック施設建設などは、複数で同時発注したこと、あるいは、多数の構成員によるJVの結成をお願いしたこと、また、施工困難度の高さなどの状況が重なる中で1者入札が散見される結果となっております。こうした事態を回避するとしたら、入札契約制度はどうあるべきかが今後のPTで検討していく課題となります。
 以上で財務局からの説明を終わります。ありがとうございました。

○坂根特別顧問 続きまして、特別顧問から検討状況について説明申し上げます。
 お手元の資料2-3をご覧ください。表紙に記載してあるとおり、ワイズ・スペンディングの観点から、顧問・特別顧問8名によって8月以降検討してきた状況について報告申し上げます。
 記載のとおり、本日は、築地市場の解体工事と豊洲新市場の一部について報告申し上げます。
 おめくりいただきまして、1ページの「構成」は、本資料の目次となっております。
 2ページ目は、先ほど事務局からもご説明がありましたとおり、本プロジェクトのチームの目的・課題設定でありまして、「(2)課題は『制度』と『運用』」として、具体的には、我々は現状分析の上で6点の課題設定をしております。①予定価格の事前公表、②一者入札、③総合評価方式の運用、④予定価格積算の妥当性、⑤最低制限価格制度、⑥特定調達(WTO協定)の運用の6点を設定しております。これら一部については既に経理部長からご説明があった制度内容です。
 これらの課題について抽象的に論じていてもわかりにくいので、(3)に挙げた五つの案件、これは200億円、300億円といった大型の工事と、都民の皆さんがよくご存じの工事を取り上げたほうがわかりやすいということで5点設定しております。具体的には、①オリンピック・パラリンピック競技施設の有明アリーナ、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、②豊洲新市場、③築地市場解体です。これらについて調査を続けております。
 3ページは、先ほど事務局から説明がありましたスケジュール過程に従って検討を続けており、本日は築地と豊洲を取り上げることになっております。
 4ページは、全て公開情報をもとに一覧表にした、今回取り上げる5案件の実績数値です。ご覧のように、予定価格500億円や400億円という案件で、列の真ん中あたりに「落札率」と記載されていますが、ここも経理部長からご説明があったとおり、高い落札率のものが頻発しているような状況です。
 5ページをご覧ください。各案件と論点を組み合わせたマトリックスになっており、左から5施設並べており、全ての課題が当てはまるオリンピック海の森水上競技場、そこから順に右側に行き、有明アリーナ、アクアティクスセンター、豊洲の主要3棟、築地となっております。本日は、築地の解体と豊洲主要3棟について、検討状況を報告します。
 これらはどのような形で検討を続けたかについては、6ページ記載のとおり、財務局をはじめ、実際の起工・計画策定を行う、中央卸売市場、オリンピック・パラリンピック準備局等の原局からインタビューを行い、そこから提出を受けた各種資料、また、同種工事を実施している国の官庁等の公表データ等を分析しています。
 当然、調達・入札は相手方と契約を結ぶことが目的ですから、相手方である業者、いわゆるスーパーゼネコンをはじめとするゼネコンにもインタビューを実施したいところですが、今のところはまだ実現できていません。これは欠かせないものと考えていますので、今後、順次実施していくものです。
 7ページ以降、まず築地について説明申し上げます。築地の解体工事については、新聞等で報道されており、ご承知のとおりですが、今年工事契約が結ばれました。市場移転が延期になっていますので、現在のところは工事に着手されていません。ここに時系列で記載しましたように、7月20日に入札が締め切られて、21日に開札しております。その結果が8ページ、9ページに記載してあります。これも全て公開情報をもとに作成しておりますので、都民の皆さんもホームページからこうした開札結果をご覧いただけます。
 築地解体工事は全体を四つに分けて発注していますので、入札についても同日に4回行われています。第1工区、第2工区が8ページ、第3工区、第4工区は9ページに記載しております。
 代表的な例として、8ページの右側の第2工区の表をご覧ください。上に書かれている「予定価格」は、中央卸売市場で積算した価格でありまして、要は、この価格以下で入札がないと落札できません。先ほど経理部長からご説明があったとおり、ここには最低制限価格が設定されていますので、予定価格以下かつ最低制限価格以上でないと落札できません。できるだけ低い価格で札を入れないと落札者になれません。この第2工区の場合、ご覧のように、下の「落札金額」と書かれている業者を含めて上5者が同額で入札しております。結局、この5者が最低制限価格を上回る中での最低の価格を入れた業者ということで、同額になりましたので、抽選で落札業者は決められております。「落札金額」の下にラインが引いてありますが、この下の3業者は最低制限価格を下回っていることから失格となっております。最低制限価格自体は非公表ですので通常は知り得ませんが、こうした公開情報をもとにするとわりと簡単に、何%が最低制限価格帯であるかは推知できるような状況になっております。
 10ページは、今申し上げたことの状況の模式図です。このような形で、予定価格と最低制限価格の間で金額を入れた中で最も低い業者が落札し、最低制限価格を下回ると失格になってしまうというのが最低制限価格制度の概要です。
 こうした最低制限価格制度の何が問題かという点を11ページ以降に記載しております。最低制限価格以下で入れてしまうと、一律に業者が失格になってしまいます。そうすると、いくら安い価格で入れても結局契約は結べませんので、東京都としては本来はもっと安く契約できたのではないかという疑問が残ってしまいます。
 12ページをご覧ください。例えば1%の違いだけでそれほど粗悪な工事をするのかという疑問が当然湧きます。例えば、先ほどの第2工区の場合、約15億円の工事ですので、仮に1%安い業者と契約できたら概算で1,500万円安く都は契約できたのではないかという疑問がどうしても残ってしまいます。また、本来、価格競争というものは、純粋にどこまでぎりぎりに自社の技術で可能かということが本来の価格競争の趣旨ですが、結局、8ページ、9ページでご覧いただくように、最低制限価格を当てに走っているのではないか、そこの予想コンテストに陥っているのではないか、本来の意味での純粋な競争が行われていないのではないかという疑念がありまして、競争性を阻害しているのではないかという問題意識があります。
 13ページ、14ページは、経理部長からもご説明があったとおり、都が最低制限価格制度を設けられる根拠、地方自治法上認められているということだと、都で、従来から原則と例外が逆転してしまっているということです。特に、13ページの下に記載してありますとおり、平成27年度ベースで申し上げると、予定価格250万円以上の工事については99%以上に最低制限価格が設定されているという状況です。
 15ページをご覧ください。最低制限価格自体は非公表ですが、先ほど申し上げたように簡単に予想されてしまいます。解体工事に関して現在実施されている最低制限価格は、平成28年度に見直しを行い、3月に国のほうでモデルが変えられたので、それに準拠するような形で都も連動して最低制限価格の見直しを行いました。5月に見直しをし、その旨をホームページで公表して6月に実施、7月に今回の解体工事が行われましたが、結局、予想コンテストのような形で、業者は恐らく、最低制限価格帯、パーセンテージは既にわかっているような状況ですので、非公表にしている制度自体の正当性、存在意義についての疑問が生じます。
 そこで、16ページですが、我々顧問のほうからとしては、東京都の規則の原則にあるとおり、個別具体的に事案ごとに、必要があるときに限って最低制限価格制度を設けるべきではないかということを提言したいと思います。
 また、WTO協定というものがありまして、これは、政府間協定、自由貿易協定に基づくものを国内法化したものですが、WTO協定が適用される事案については、法令上、最低制限価格を設定できないので、そうしたWTO協定を厳格に運用していくべきではないかということを提言したいと思います。
 17ページをご覧ください。WTO協定とは何かということについて若干解説申し上げております。これは、国内外業者を差別せずに入札に参加してもらい、そこで競争市場を用意し、より低い価格等で、より良い工事を実施してもらうものです。
 18ページ以降は若干テクニカルな話で、地方自治法では最低制限価格の設定が認められていますが、WTO協定が適用される大型プロジェクトは例外の例外ということで、原則に戻って最低制限価格は設定できないという制度設計になっています。
 それでは築地の解体工事はどうであったかということが19ページ以降に記載してあります。築地の工事は各工事、6.4億円から15億円の幅です。WTO協定の規定が適用されるのは、建設工事は24億7,000万円以上のものに限定されていますので、これだけを見れば、築地の解体工事はWTO協定が適用されない工事類型に当てはまります。
 ただし、20ページをご覧いただくとわかりますように、築地は広い市場ですが、四つの工区を合計すると42億円になります。42億円となるとWTO協定を適用して最低制限価格を設定できない工事だったのではないかという問題意識が我々のほうで生じております。
 21ページ、22ページ以降は条文解釈のテクニカルな話なので省かせていただきますが、どの範囲で分割してよいのか、まとめなければいけないのかということは、法律の条文の一連の調達に当たるか、一連かどうかの条文解釈にかかわっております。これを規定している特例の政令がありますが、この政令自体がなかなか難解な解釈を要するもので、税法のような、二重、三重に読み込まないとよくわからない条文になっております。国の解釈も明確には示されていない部分もあります。我々としては、2通りの解釈方法があるだろうと考えております。その一方を財務局で採用して、本件の工事は分割してもいい、つまり、WTO協定は適用されないという解釈をしております。
 その理由は22ページの下のほうに記載してあります。要するに、工区ごとに立っている市場の建物が鉄筋だったり、鉄骨だったりと異なっていることや、工区によってはオリンピック道路である環状2号線が通りますので、その建設順序によって、早く壊さなければいけないところとそうではないところと異なる部分があります。また、建物に含まれているアスベストの含有状況が建物によって異なるので、工区を四つに分割することは適当であるというのが財務局の解釈です。
 ただ、一方、別の解釈の仕方をとるべきではなかったかということを我々は申し上げております。もともと市場を壊すという観点では一つではないか、壊す順序や時期は多少異なっても、「壊す」という括りでは同じ工事ではないか。建物の構造が多少違っても、幾つかもの建物があるので、一つ一つを見ればそれぞれ構造は異なるでしょうけれども、壊すという点では一つの取り壊しという需要で同一であるということで、本来は分割せずに発注すべきではなかったか、仮に分割して発注するにしても、それぞれ24億円以下であってもWTO規定を適用して最低制限価格を設けるべきではなかったのではないかという解釈の余地があるのではないかということを、提言申し上げたいと思います。
 以上が築地の工事に関してです。
 25ページ以降、ケーススタディとして豊洲新市場の検討状況を途中まで報告申し上げます。
 今、WTO協定、いわゆる特定調達と呼ばれるものであれば、何か競争性が確保されているように聞こえます。しかし、実際のところ、豊洲市場は、200億円、300億円というものでしたが、当然、WTO協定が適用されて最低制限価格が設定されない中で入札されましたが、結局、99.9%という著しく高い落札率で契約が締結されています。そうしたワイズ・スペンディングの観点から、競争性が確保されていないのではないかという疑問が残されております。それが25ページに記載されておりますとおり、課題設定としては、予定価格の事前公表がされており、1者しか応札していないのが今回の豊洲新市場の工事です。
 総合評価方式の審査実態については、5ページの論点表をご覧いただくとおわかりのとおり、オリンピック・パラリンピック競技で、海の森水上競技場、有明アリーナ、アクアティクスセンターの3施設は総合評価方式を採用しており、その総合評価が適切に評価されているか、価格面と技術評価面のバランスがよくとれているかが課題になっております。5ページの表の左、特に海の森水上競技場施設の場合は全ての課題が当てはまって、さらなる検討を要する施設であると我々は考えております。
 25ページ、26ページに戻ってください。豊洲市場に関しては、26ページの下段に記載されている入札経過のとおり、平成25年9月30日に入札公告1回目をいたしまして、11月に入札・開札しました。結局、業者全て、主要3施設それぞれ、スーパーゼネコンをはじめとするジョイントベンチャーを組まれて1JVずつ入札していますが、いずれも辞退となりました。結局、予定価格が割りに合わないという理由で辞退した模様です。ですので、結局、入札は成立しなかったためにやり直しとなり、中央卸売市場で入札した業者からヒアリングを実施した上で予定価格の見直し、再積算を行い、平成25年の年末に入札公告2回目、翌平成26年2月に開札して、ご承知のとおり、99%台の高い落札率で落札されて契約を締結しているという状況で、やはり競争性が確保されているのかという疑問があります。
 28ページをご覧ください。1者入札の問題とは別に、豊洲新市場の問題は世上言われて既にご承知だと思いますが、予定価格の積算自体が適切だったのかどうかという問題も残されています。「予定価格の変遷」をご覧いただきますと、1回目の入札の後、中央卸売市場で再積算して2回目の入札が実施されるまでの間に、予定価格が約1.6倍、予算計上の関係で先送りした分もありますので、それを合わせると実質約1.9倍に予定価格が膨れ上がっています。これは恐らく、2回目は、新市場の開設時期が予定どおりいかないとまずいということで、2回目に必ず落札させなければいけないという考えが働いたのか、一気に6割も予定価格を上げています。通常は、1割、1.5割ずつ刻んだ上で入札を実施して徐々に価格を上げていかなければいけないと思いますが、一気に6割上げて2回目で決着をつけています。この6割上げた過程が、今のところ、調査の過程では、ヒアリング等を続けていますが、実質的にどのような協議がなされていたか、市場長以下部長を含めた会議の状況が今のところはまだ判然としていないので、調査を続けている状況です。
 29ページをご覧ください。WTO案件といっても99%台という高い落札率、これは一つの仮説的なものですが、1者入札と予定価格の事前公表が組み合わさって生じている相関関係が十分認められるもので、この点は経理部長からもご指摘があったとおりです。制度面・運用面でどのような改善ができるかということで、現状では、まず、都側は1者入札を事前に把握できる状況もあり得ます。例えば、入札の前に参加資格を審査するので、申し込みの段階で1者しかいなければ、この先に進んでも1者しか応札しないだろう、札を入れてこないだろうとわかりますので、その時点で、入札の延期など、他府県でも実施しているような制度運用を参考にする余地があるのではないかと思います。
 また、一応、電子入札なので業者間は横の連絡がとれない状況であればわからないと思いますが、業者側が何らかの方法で、自分のところ1社だとわかっていれば、余裕を持って99%、100%近い金額で札を入れれば工事を落とせるシステムになっています。
 中間報告の最後として若干具体的な数字を申し上げますと、もし、豊洲の3主要施設が、平成26年度の平均落札率で落札できていれば、約85億円程度節約できていたのではないかということは、ワイズ・スペンディングの観点から申し上げられると思います。
 以上です。

○加毛特別顧問 若干補足させていただきます。特別顧問の加毛です。
 大きな論点として2点ありますが、築地市場解体工事の入札手続の点については、WTO協定の適用があるのかどうかについては、今お話があったように、都と我々のチームとでは違っています。我々のチームでは、WTO協定の適用があると考え、その場合は最低制限価格制度は適用されません。
 ただ、これを四つの工区に分割して入札し、しかも、それをWTO協定の手続で行うことは可能です。したがって、今回もそういう手続で行った場合、例えば東京都の普通の入札手続では、78%以上の場合でないと落札できません。ところが、WTO協定の場合は、最も低い価格で入札した者が落札者となります。今回、四つの区画においても、最も低い価格は全部77%です。しかも、77%という数字は、今年の5月31日までは77%という数字でした。したがって、これを特定調達制度で入札手続をすれば、1%の金額、即ち、6,000万円近い金額が節約できたわけです。
 2番目に、豊洲市場3施設の入札手続の件ですが、やはりこれも具体的に物事を考えていく必要があると思います。まず、第1回目の入札期日は平成25年11月18日で、予定価格は事前公表されています。この日は3者とも辞退して不調になっております。したがって、どこの業者が入札に参加したかはすぐにわかります。不調によって辞退したことも。このときは、青果にしろ、水産関係2棟にしろ、全部1者の入札しかありませんでした。それに基づいて、翌日、東京都では、この3棟について、各JVの代表幹事社からヒアリングして、発注者に対して今後どのようなことを要望するか、再入札について参加する意思があるかどうか、辞退理由なども確認し、3社とも条件が合えば再入札するとなりました。そうすると、普通の考え方であれば、また同じ業者が同じグループで1社が一つずつの物件に入札するのだろうと予想はできますが、確定はできませんけれども、そういう問題が一つ出てきます。
 第2回目の入札期日は平成26年2月13日ですから3カ月弱ですね。この間に実質的に予定価格は1.6倍ではなくて1.9倍です。その理由は、第1回目の入札手続の工事部分よりも、2回目の工事部分を少し削ってます。ですからトータルでは1.6倍ですが、実際は1.9倍です。この時点で大きなゼネコンが1社ずつ入っている中において、結果的には、第2回目の入札期日において、同じJVが同じところに入札して、各自1社ずつの入札でした。したがって、結論から言うと落札率は99.7%、99.8%、99.9%になっています。ですから、このときに、業者や都の人たちがどのように考えたかはわかりませんが、私はまずこの事実を皆さん方に知っていただいた上で、今後のこの問題についての改革の一つのテーマとして検討していきたいと思っております。
 また、一つだけ言えば、東京都の調達手続は、WTO協定や国の特定調達の手続をも十分に参考にした上で、予算執行の適正化の観点から適正な運用をしていく必要があると思います。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本議題について、何かご意見、ご質問等がございますか。

○武市財務局長 いろいろとご議論をありがとうございます。入札契約制度というものは、最少の経費で最大の効果を上げるという地方自治の理念に基づいて、まずは競争性・公平性・透明性の担保が必要です。それに加えて、品質の確保も同様に重視しなければなりませんし、私ども、政策としては中小企業の保護・育成ということも踏まえなければなりませんので、そうしたものを総合的にバランスをとりながら構築していくべきものであると考えております。
 我々としては、これまで適切な運用を行ってきたと考えておりますが、もとよりその時々の状況や時代背景に応じた不断の改革が必要ですので、現在の入札契約制度がベストのものであるとは考えていません。個々の案件を見ると、制度の趣旨が生かされていなかったような場合もあったかもしれないと思っております。今後とも様々な議論をさせていただく中で、東京都の入札契約制度がさらに良いものとなっていくように、また、都民の皆様の目から見てもわかりやすいものとなっていくように努めていきたいと考えております。

○事務局(榎本) そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの議題(2)の報告を受けまして、知事よりご発言をいただきたいと思います。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 ご苦労さまでございます。
 その前に、自律改革の議題で教育庁の事例についての報告がありました。一課一改善という、これは自律改革ですので、それぞれが主体となってさらに案を出し、そして、より良い環境、より良い都政の仕事が見えるようにしていただきたいと思います。
 ただいまの内部統制プロジェクトチームの報告、都庁の現場の声を伺いました。入札契約制度というものは、それぞれの時代によって、リーマンショック後や2011年の東日本大震災後などのように、経済状況によって大きく変わることは当然のことと思います。ただ、どのようにすればワイズ・スペンディングで賢い支出ができるのか、信頼のおけるシステムになっているのかということは、これまでも議会でいろいろと議論もなされてきたと思いますが、改めて、特別顧問の様々なご指摘なども受けて、より良い方法を探ってまいりたいと思っております。
 調達・入札制度は、全ての事業の基礎となる極めて重要なものですし、また、都民ファーストの都政を実現するためにも極めて重要な課題でございます。透明性の確保はもちろんですが、十分な競争性が担保された仕組みにしていきたいと思います。
 検討状況の報告ですので、引き続き、しっかりとプロジェクトチームにおいて検討し、より良い方法を求めていきたいと考えております。ご協力、ありがとうございました。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 続きまして、本日の議題三つ目でございます。「オリンピック・パラリンピックについて」として、オリンピック・パラリンピック調査チームによる調査報告でございます。
 初めに、海の森水上競技場、アクアティクスセンター、有明アリーナの3施設について、安川特別参与、町田特別参与、本多特別調査員からそれぞれ調査内容について順次ご報告をいただきます。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○上山特別顧問 その前に上山から、今の3施設の位置づけについてお話しします。
 前回、9月末に調査チームから、今のやり方を続けていくと、2兆円あるいは3兆円を超えてしまうようなリスクがあるというお話をしました。その後、方法を変えることについては主にガバナンスの問題ということで検討してまいりました。
 今からお話しすることは、都庁自らの努力で少しでも抑制できるコストはどこにあるのかということについての検討結果です。三つのテーマは、金額がいずれも大きいこと、設計あるいは着工に入っていて見直しをするなら急がなければいけないこと、そういうことからこの三つを集中的に調査しています。残るものについても、局と一緒に、当然、コストダウンの方策を今後は考えていきます。
 この3施設は、工期が迫っているということで制約要因をかなり抱えていますので、場所を変えることも考え、実際に提案もしますが、ゼロからの検討ではありません。世の中には今から、ゼロベースでオリンピック。だから会場はどこにしようといった議論が一部にありますが、もう既にある計画を、今から変える余地があるのかどうかを調査しているということを最初に確認しておきます。
 それでは、安川特別参与、お願いします。

○安川特別参与 海の森水上競技場から説明させていただきます。資料3をご覧ください。
 前回、既に一部報告している内容も重なっていますので、ポイントを絞って説明させていただきます。
 海の森水上競技場は、都内で開催するボート、カヌースプリントの競技においては、唯一の必要水域を満たす条件の場所ですが、これまでいろいろと、コストの面、アスリートが本当にレガシーとして使うのかという点において一部で疑問が出ていましたので、再調査させていただきました。
 9ページをご覧ください。9月29日、そうした観点から、さらなるコスト縮減の可能性はないのかということと、トータルコストでのレガシーの収支の改善、そうしたものを再検討する必要があるということ。具体的に、実際にボート協会などから、需要予測の精査を行う必要があるであろうということと、まさにラスト・ラストチャンスとして代替候補地の再検討はないのかという点に絞って調査してまいりました。
 10ページをご覧ください。そうしたところ、宮城県の長沼ボート競技場が候補の一つに出てまいりまして、知事にも視察に行っていただいております。オリンピック・アジア大陸予選が既に開催されていまして、競技場としては既に整備されております。また、復興五輪の意義ということで、もともとの東京オリンピック2020の復興理念にも適合する場所です。
 12ページをご覧ください。現在、既にボート競技は可能ですが、2点の課題があります。それは、カヌースプリントの競技場にもなるので、カヌー競技に必要な修正、レーンの修正や調整などができるかどうかの検証が必要です。また、オリンピック運営上、メディアの対応やアクセス道路、観客等、様々な運用上の課題について、今、宮城県と東京都が一体となって課題解決を図っていただいております。
 13ページをご覧ください。コストの点に関してです。2014年時点で500億円弱という形で大幅に縮減されていますが、さらに徹底して、仮設レベルの設備にできないかということで、グランドスタンド棟、艇庫等を仮設レベルに、また、締切堤の上部をやや縮減するということで、ぎりぎりのコストダウンの検討をオリンピック・パラリンピック準備局等と連携しながら進めておりまして、現時点での試算で、これは今後精査が必要ですが、300億円から330億円程度に縮減できるのではないかということが見えてきております。
 14ページから15ページにかけて、海の森水上競技場と長沼ボート場をそれぞれの観点、競技者にとって、施設設備はどうか、運営の課題はどうか、選手村としてはどうかということを比較しております。まさに4者協議ということが言われていますので、IOC、IF(国際競技団体)を交えて今後精査していく予定です。
 16ページをご覧ください。レガシーに関してです。こちらについても、ボート協会やカヌー連盟、宮城県、東京都が一体となって、今後、正のレガシーの方向にどのように動かしていけるのかということを検討してまいりたいと思っております。その中の一部、35万人の来場者目標ということですが、これは今、準備局でも鋭意検討いただいていますが、大きな課題としては、ボート競技は約1万人、アマチュアも含めて多く見積もって2万人と言われていますが、国際大会等を誘致することで、この20万人という野心的な観戦者数をどのように実現していくのかということがあります。また、4万人の都民のレクリエーション利用、一般利用ということがありますが、現在の予想では、水面利用のレジャーは3,000名程度ということで、ここをもっと増やしていかなければいけないと考えています。
 また、レガシーということで言うと、毎年どのような収入と支出になるのか、現時点の設備概要で試算していますが、収入が約1億円、支出が約3億円ということで、マイナス2億円の収支となっております。これは、恒久設備を前提とした試算です。その部分の大きなところが、海の森水上競技場の特徴として、海上を利用するため、水位を一定にするための水門を運用するわけですが、その維持費をフルで見積もると年間6,000万円という支出になっていまして、ここをどの程度、どのように運用していくのかということは、競技団体も含めて、今後、どのような形でレガシーを残していくのか、ランニングコストを下げていくのかという点で検討のポイントになってくると思います。
 19ページをご覧ください。そうしたところを、ランニングコストと会場整備費を合わせたトータルコストの試算です。2014年時点では、従来の恒設施設ということでは、フルスペックレベルということで、オリンピックを招致するのに恥ずかしくないレベルで、しかも、競技施設構成上でのコスト縮減を図るということで491億円見積もられていましたが、恒設コストだけれども縮減するプラン、また、かなり仮設レベルで縮減するということで298億円から328億円ということで、整備費の縮減が試算されています。
 また、トータルコストですが、会場整備費以外に大規模な改修が定期的に必要になってまいります。特に、20年目に31億円程度の大規模改修が見込まれているので、当初のとおり進めると、トータルコストは約700億円見込まれています。恒設コストを改善した形でも530億円ということです。さらに現時点で、コストもしくはランニングコストについてぎりぎりで考えた案が「仮設レベルスマート案」でありまして、先ほどの298億円、300億円を切る初期整備費に加え、年間収支は何らかの競技団体等の希望団体参画による施設運営を行うことでランニングコストを抑え、年間収支の赤字幅を半額に抑えられないかということ。また、20年目に大幅改修費が発生する前に見直すことでトータルコストを下げることができないか、現在検討しています。大阪の浜寺漕艇場など、国内にも競技団体と自治体が一体となって連携して運用している、ボランティアの活用などで実際に行って、両者で知恵を出し合って縮減している例は既に複数例ありますので、東京都、ボート協会においてもそうしたことは今後十分オリンピック開催までに検討可能ではないかと考えております。
 私からは以上です。

○町田特別参与 次に、アクアティクスセンターの調査をお伝えいたします。
 24ページをご覧ください。アクアティクスセンターの場合は、複数の選択肢の前に、そもそも設計要件となっていました、大会時2万席、大会後5,000席、仮設を入れて1万5,000席という案が大きくはなかろうかというご提案を前回差し上げました。その後、精査しましたところ、24ページの左側のグラフで、各大会では2万席という例はなかったのですが、右上の吹き出しに記載してありますように、招致の際は2万席をファイルに入れて競争し合うことが相場であったという経緯でした。ただし、その後、知事にもお話しいただきましたが、IF、NF(国内競技団体)から、コスト削減ができるのであれば1万5,000席で大丈夫ですよというお話になっていますので、まずは、2万席ではなく1万5,000席を目標にすることになっております。
 25ページをご覧ください。大会後の席数ですが、東京都水泳協会が実施する東京辰巳国際水泳場での実施状況を見ると、選手の人数、観客数、延べ利用者数で見ても、5,000席は必要であろうと考えました。実際は回転するので、この人数が同時に入っているケースはそう多くはないと思いますが、いずれにしても、溢れている大会が非常に多いことがわかってまいりましたので、通常時5,000席というのはあり得るだろうと思われます。
 26ページは、東京辰巳国際水泳場が満員になっている状況の写真です。
 27ページ以降のレガシーに関しては、後ほど本編のほうで紹介したいと思います。時間の関係で割愛させていただきます。
 28ページをご覧ください。レガシーについて一言だけ申し上げますと、水泳連盟ともしっかり話し合いながら、レガシー目的として、競技の目的、存在価値、経済性、全ての面において、アクアティクスセンターという施設だけではなく、アスリートの育成や裾野の拡大、競技の質、年齢や境遇、ハンディ、国籍にかかわらずに水泳を楽しめる環境、日本水泳文化の国内外への発信等で、相当良いレガシーがつくれる素地、ポテンシャルはあるかと思っておりますので、新規施設を設置していくのであれば、しっかりしたレガシーを設けることで納得感のあるものができると考えております。
 34ページをご覧ください。選択肢の話に移ります。前回もお見せしましたが、既存施設の活用は前回の段階で選択肢はないとさせていただきました。しかし、今回新たに、内陸部で新しく設置する案ということで都有地を調べましたが、非常に遠いところが多くて、なかなか水泳のメッカにはなりづらいということで、これはなしとなりました。また、内陸の他の施設も拡張余地がなかったり、大会要件を満たさないということで、これもなくなっております。
 東京辰巳国際水泳場に関しては、今から申し上げる限界があることが見えてきております。それが35ページです。実際に席を設置する前提で線を引いてみました。プールと既存の3,600席が既存の辰巳水泳場ですが、上の運河の上に席を置いてみたら、1万を超える席が設計上は置けることが見えてきました。しかし、最大の問題は、真ん中に大きな柱がありまして、競泳プールのスタートが全く見えない、または、一部しか見えない席が多くなりまして、全部が見える席を足すと、1万5,000席のキャパシティを確保することが難しいという問題が見えてきました。もちろん、運河の上に設置するので、そのための工費や承認の手続等を考えると、辰巳の座席数はそう多く取れないことがわかりましたので、これは案から落ちています。
 次に、36ページをご覧ください。これも前回の復習になりますが、減築部分のコストが非常に高いということで、これを行わない幾つかのオプションを検討しました。それが37ページになります。
 オリジナル案がA1で減築する案でしたが、今回検討したのは、2万席のものを設置して減築しない、または、1万5,000席のものをつくって減築しないという案です。それが38ページになります。
 38ページには、建設費、運営費、コスト削減幅、課題について記載してあります。A2の2万席の設備を設置して減築しないアイデアは、オリジナルのアイデアよりもコストがずいぶん下がりますが、大きな箱が残るので運営費が少し高くなります。一方、A3の1万5,000席を設置するものに関しては、もう少しコスト削減できる余地がありますし、運営費も少し下がります。ただし、設計が少し変わりますので、承認期間や工期の面で課題が出てきます。
 39ページをご覧ください。運営費に加えて大規模修繕費がどうなるかということを想定しました。A3とA2の案で、65年という非常に長期にわたる金額で見ていますが、A2よりもA3のほうが少し安いことが見えてきております。
 40ページには、メリット・デメリットについて整理しております。A2の案は、工期は手続の変更の分だけ厳しくなること、コスト削減幅が限定的になることが書かれています。A3案は、コスト削減はより期待できますが、事業者の認可との調整等が必要になるので、ここが課題になるかと考えております。
 それをまとめて41ページが「アクアの選択肢」です。2万席で減築しない案、1万5,000席で減築しない案について記載してあります。立地に関しては、辰巳水泳場の現在の場所または少し辰巳水泳場に寄せる案も選択肢として記載されていますが、地区調整、埋設物等のスケジュール調整の課題もありますので、早期に検討を行っていきたいと考えております。
 アクアティクスセンターについては、以上です。

○本多特別調査員 それでは、42ページ以降、バレーボール会場予定の有明アリーナに関して報告いたします。
 まず、49ページをご覧ください。9月の検討では、有明アリーナの評価とともに既存施設の利用の可能性を調べました。結論から申し上げますと、既存の会場は、現状設備では利用できないことがわかりました。
 50ページをご覧ください。10月の検討では、ヒアリングの結果、横浜アリーナのみが1万5,000席程度まで仮設で規模拡張の可能性があること、その他の競技条件に対して決定的なノックアウト要素がないことから検討を進めました。
 51ページをご覧ください。9月末の報告では、全仮設や一部仮設の検討を挙げました。ただ、これは短期間で限定的な評価ですが、コストに関しては1万5,000席規模を用意する場合、構造的には恒久施設と同様の多額な費用がかかる一方で、後利用としては主に体育館使用としての利用が見込めますが、スポーツ施設は江東区は他区の水準より高いことから、この選択肢はあまり適さないと判断しました。
 52ページは、これまでの検討の整理です。既存施設の設備に仮設で補強できるかに関しては横浜アリーナが候補、全仮設・一部仮設に関しては不適、恒久新設の場合は後利用、コストの章で検討を進めました。
 後利用に関しては、57ページをご覧ください。イベントプロモーターにヒアリングした結果、都心部にある類似施設の立地には劣るものの、58ページ、既存施設の稼働率の高さにかんがみると需要はある程度見込めること、59ページ、1万5,000席の規模を維持することで競争性がある程度見込めることがわかりました。
 コストに関しては62ページです。まだ大づかみの数字ですが、30~34億円程度のコストダウンが見込め、今後もさらなるコストダウンの余地を検討してまいります。
 63ページからは、候補になり得るとした横浜アリーナの検討を行っております。横浜アリーナは、新幹線駅である新横浜駅から徒歩4分の位置で、世界大会実績があります。ホテルと接続して、VIP対応など高い質を提供することが可能です。
 64ページをご覧ください。しかし、オリンピック運営に関しては、幾つかの論点があります。今回に関しては、距離の問題、工期の問題、環境の問題はありませんが、競技面、運営面で完璧にできるかどうかがまずクリアすべき論点になります。
 65ページは、その競技面・運営面の課題に関して、日本バレーボール協会、組織委員会に、考える基本的な課題をヒアリングしました。それに対して、横浜市、横浜アリーナの意向を確認の上、例えばウォームアップエリアは、既存アリーナは1面しかありませんが、それに関して近接地1分程度の場所に2面程度の仮設が可能であること、BOHと呼ばれる隣接施設は設置しなければなりませんが、この面積に関しては、近隣の市有地が検討可能であることから、基本的な課題に関してクリアできる可能性が高まりました。
 66ページが具体的な図面の案です。必要要素として、左に記載した三つの要素がありますが、横浜アリーナの施設だけではなく、近隣のホテル、近隣の市有地を使うことで複合的に開催が可能ではないかと思います。しかし、課題もあります。下に記載しましたが、適切な観客入退場のエリア、観客や関係者の動線、ブロードキャストコンパウンドと呼ばれる放送用施設、これに関してはそれぞれ、組織委員会やOBSと呼ばれるオリンピック放送協会の判断となります。
 67ページは、要求水準を記載してあります。今後は、横浜市を交え、組織委員会やIOC、OBSと個別協議が必要と考えます。
 68ページは、これまでの選択肢の評価です。場所としては、有明アリーナ、横浜アリーナを挙げましたが、有明アリーナに関しては、今後、引き続き恒久新設でコストダウンを検討していきます。横浜アリーナに関しては、これまでの検討から議論の素地に上げるべきと判断します。
 この二つの選択肢に関して個別の項目評価を69ページで行っています。有明アリーナに関しては、競技面、大会運営面ではクリアするように設計されていますが、コスト、後利用に関しては、この1か月で検討が進みました。横浜アリーナに関しては、基本的な条件をクリアする見込みではありますが、今後は、当事者を拡大して検討を行うべきと考えます。横浜アリーナに移転の場合は、大きなコストメリットが望めることが大きな利点となります。
 70ページをご覧ください。最後に、工期についてです。12月以降に有明アリーナは着工予定のため、11月中に結論を出せれば、現状の影響は出ないと考えます。
 以上が報告です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 ただいまの施設の説明を通じまして、何か補足等がございましたらお願いします。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、上山特別顧問から、今後に向けた提言についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○上山特別顧問 以上3施設の話をさせていただきましたが、いずれも、当然ながらコストの問題です。前回の9月末の報告もコストの話が中心でしたが、オリンピックの目的は当然ながら、大会を成功させ、その後に、いわゆるレガシーを実現していくことだと思います。「提言」では、そのレガシーをどのようにして実現していくのかということ、また、今日お話しした3施設以外のコストも、今後、何もしないと増え続けるだろうと前回申し上げましたが、それをどう抑えていくか、こういう全体のマネジメントについての話しをさせていただきます。
 資料4-1の3ページをおめくりください。オリンピックの大会自体をマネジメントしていく、あるいは、設定していく際の重要な観点は、言うまでもなく費用対効果になると思います。コストについては前回お話ししたとおりですが、効果についても今回は焦点を当て、どのようにして効果を最大化していくかについて考えました。
 費用についても、左端に「ソフト予算」と「ハード予算」に分けていますが、投資部分と経費部分を分けて考える必要があると思います。いわゆる4者協議でも、ハード部分とソフト部分を分け、さらに、ソフト部分の中の項目を分けてそれぞれ検討していく体制になっています。それぞれ性格が違うお金ですので、全部を足していくらになったということで一喜一憂するのではなく、どういう種類のお金が抑制され、投資と経費は分けて考える、ここが重要なポイントだと思います。
 レガシーについても、インフラなどは、設置しただけでレガシーが残ります。首都高速などが、前回のオリンピックではそうでした。その他施設についても、先ほどの例のように、恒設施設の場合は残ります。それがその後はどう使われるかということがまさにレガシーの議論になります。しかし、その他の大会を行うこと自体から生まれてくるレガシーももちろんある。アスリートが成長する、あるいは、マイナースポーツが日本で普及し始めるなどのことにも気配りしながら設計していく必要があると思います。
 その担当について、「マインドシェア」という言葉を使っています。組織委員会は、当然ながら、期間中の大会の成功の主たる責任者です。都庁は、一緒に活動する開催都市ではあるけれども、特にお金の部分については、恒設施設やインフラの部分で後に残るものに巨額の投資をする。ですから、今から大会後のことを考えなければいけないと思います。都庁にはオリンピック・パラリンピック準備局がありますが、この「準備」の意味は、大会開催準備だけではなく、大会終了後のレガシーの設計も含めて都庁の仕事と考える必要があると思います。
 今回、2か月の間作業をして、オリンピックのあり方についていろいろみました。デュビ事務局長や武藤事務総長、コーツ氏とも話をして、私がしみじみ感じたことのひとつが、オリンピックの難しさです。これについて整理しました。
 6ページの図をご覧ください。東京オリンピックの今回の準備で、エンブレムの問題や国立競技場などいろいろな問題が起きました。ある意味では、今回の見直しもそうした問題のひとつかもしれません。しかし、先進国でも、途上国でも、開催までにいろいろな見直しや変更が相次いでいます。ロンドンは成功した例と言われていますが、それでも、よく見ると、いろいろな形で会場の変更が直前の2年前まで行われています。日本で今までに起きたことは、反省すべき点も多々あると思いますが、ある意味では、オリンピックには付き物なのです。
 7ページをご覧ください。では、なぜオリンピックではいろいろな変更が相次ぎ、そんなに難しいことが多いのか。まず、ステークホルダー(利害関係者)が非常に多い。参加国が200にも及び、競技数が30にも近い数であり、ワールドカップとは比較にならない複雑さが出てきます。さらに、オリンピックは、普通の世界選手権よりも高度な運営スキルが要求され、セキュリティなども普通の国際大会とは比較にならない難しさがあります。さらに、110年の伝統があり、オリンピックの原理原則を柱に運営していく。前回、バッハ会長がいらした際に、「principle(原理、原則)」という言葉を何回も使われていましたが、原理原則を守りつつ、フィージビリティ(実行可能性)を考えなければいけない。こういう非常にアクロバティック(離れわざ的)な運営が求められるものと理解しました。
 8ページをご覧ください。さらに、昨今は、民間資金だけでは運営できない。となると税金が使われます。今回の場合も、2兆円あるいは3兆円という中で、5,000~6,000億円が民間から入るにしても、残りは公的資金です。そうなると、当然ながら、情報公開や納税者の意思を確認しながら進めていく必要があります。一方、オリンピックは政治からは中立であることが大切ですので、どうしてもプライベートに物事を決めていき、都市間契約も原則としては非公開といった原理で運営されています。そこの良さの部分と、開催都市の行政としての都合が、原理的にそもそも合わないという面があると思います。合わないけれども、年輪を重ねてずっと成功させてきていることがオリンピック・パラリンピックのすごさであると思います。
 加えて、今回の東京大会は、人口過密の巨大都市における開催です。震災リスクとテロのリスクもある中でいろいろな難しいことが起きる。そういう意味では、都民、国民の相当深い理解も必要だし、それを得るための情報公開は必須である。つまり、オリンピックというものは大変難しいものであるけれども、非常にすばらしいものである。それを成功させるためには、徹底的な情報公開がないと、いろいろな方々のサポートが得られない。そこが重要なポイントだと思いました。
 9ページをご覧ください。そういう認識のもとに今度の大会を、今度は都庁としてどうするのかということです。都庁はオリンピック・パラリンピック準備局を設置しているわけですが、開催後のレガシーの実現を目的にオリンピックを捉える必要があります。準備期間中から開催費用に見合ったレガシーは何かということを考える。施設のレガシーにプラスしてアスリート、一般都民にとってのレガシー、こうしたことを今から考えて設計していく必要がある。
 そういう意味では、オリンピックの費用に関しては、たった何日間かのためにという批判も一部ありますが、レガシーを東京に残していくと考えれば、費用というよりも投資であるし、短期間という話ではなく向こう数十年間という目線で捉えることができる。そういう意味でのマインドセット(考え方の枠組み)、つまり考え方の転換が、重要な時期に入っている。
 いろいろな方々の参画が十分かどうかということですが、9ページの下に記載したように、今回、競技団体の方々のお話を聞いて痛感したことがあります。施設が欲しいという要求に関してはかなりご熱心ですが、その施設をどのように後利用するのか、あるいは、スポーツの普及や運営にどのような責任を持って臨むかについては、従来、行政側もあまり質問してこなかった。競技団体側も、団体による差はかなりありますが、必ずしもそれが主目的ではなかった。やはりメダルの数や選手をどれだけ送り出すか及び施設のあり方、ここに関心がかなり偏っていたのではないかと思います。
 しかし、今回、施設のあり方論を契機に、後利用に焦点が当たってきました。スポーツのあり方について、都民が広く考える良い機会に結果としてなったのではないかと思います。競技団体の皆様、さらに、私たち都民も、オリンピックとスポーツ、健康増進あるいは健康寿命にまで幅を広げてオリンピックにいろいろな形で参加していくことが大事だと思いますし、それを行うことがオリンピックのレガシーだと思います。
 10ページをご覧ください。都庁の役割ですが、従来、構造上、どうしてもIOCとの折衝は一元的に組織委員会が行うことになっていましたが、実際のところ、今回の4者協議の展開を見ていてもわかるように、都庁ともダイレクトに話をしながら進めていかないとオリンピックは開催できないという認識がIOCの側に生まれてきています。前回のバッハ会長の来日以降のやり取りを見ていても、都庁と組織委員会の両方とのコミュニケーションが必要という形に急速に変わってきています。都庁の側も積極的にIOCや国際競技団体に発言していくというスタンスの変更が必要だと思いました。
 「プロセスの透明化と情報公開」は、開催都市協約というものが秘密保持協定になっており、そこに配慮していろいろなことが言えないようになっていたと思います。しかし、後で説明しますが、リオ大会やロンドン大会では公開されています。東京都は開示請求を却下していますが、今後IOCと協議して、公開する方向に方針を転換すべきだと思います。
 先ほど来申し上げているレガシーですが、11ページをご覧ください。レガシーとは何かということですが、従来、「レガシー」という言葉は、主に施設に対して使われることが多かったと思います。箱ものを整備した後、どれだけの人が来るか、収支はどうなるか、世界大会がどれだけ誘致されるか、これが中心だったと思います。これはこれで重要で、今後も追求する必要があると思いますが、先ほど申し上げたように、本来、ソフトなレガシーが、本来オリンピックが持っている力、スポーツの力を公的に使うということだろうと思います。例えば、アスリートがメダルを獲得した後、いつかは引退するわけですが、そういうアスリートがその能力を活用して、インストラクターとして第二の人生を送るとか、ご本人のセカンドライフにもなる。そうした面の支援は、従来の競技団体ではなかなか余力はない。一方、都内には、プールや体育館など多くの施設があり、稼働率が必ずしも高くない。そこにインストラクターが来れば全体の稼働率が上がる。このようなことも考えると、ソフトなレガシーを今から設計したオリンピックのつくり方を意識する必要があると思います。
 また、メッカになるような施設が欲しいという言葉が競技団体の方からよくありました。しかも海の森水上競技場も、アクアティクスセンターもそうですが、「メッカ」とは何なのか問い直す必要がある。ある意味で、博物館や巡礼の場所のようなもの、あるいは、研究・開発拠点という位置づけも必要であって、世界大会がたくさん行われることだけではないだろうと思います。
 13ページをご覧ください。もう一つの重要なポイントが情報公開についてです。情報公開の中でも、特に予算の総額、内訳についての逐次の情報公開は大変重要だと思います。ロンドン大会もいろいろな変更が相次いだわけですが、混乱は起きていません。東京とロンドンの最大の違いは、ロンドンは開催5年前から総予算をきちんと公開しています。東京はいまだに公開していません。その差は非常に大きいと思います。つまり、全体がどうなっているのか、自分のところの分担は何なのか、どこをどのようにさわるとどこで妥協しなければいけないのか、こうしたことは、お金を見つめることでわかります。しかし、東京の場合はそれが全く公開されていません。ですので、全体としてどうなのかということに関する情報が見えないわけです。その中で、皆さん、与えられた自分の領域の中の作業だけをしている。したがって、経営が不在になるのは当たり前だと思います。
 14ページをご覧ください。ロンドンの場合は、政府が内訳も含めたコストを公開し、その後、毎年、進捗報告書で増減と理由を全部情報公開して、さらに、2009年以降は四半期に1回報告書も出しています。また、第三者である監査局が、その進捗をさらにチェックしている。税金を使うことに対する心がけが非常にしっかりしていると思います。
 15ページをご覧ください。公開に関しては、ある種の文化の壁があると思います。一つは、IOCがもともと持っているプライベートな性格、そこから来る非公開という性格があると思います。もう一つは、もしかすると、日本の役所特有の、一切間違ってはならない、100%確実になるまでは一切何も外に出してはいけない、こういう無びゅう主義がある。この二つが相まってオリンピック・パラリンピックのトータル予算がいまだに公開されていない状況になっていると思います。
 しかしながら、税金を使う人々のこれからの仕事の仕方は、良い話も悪い話も速やかに情報公開する。いわゆる炎上のようなことも起きるけれども、その後のことを考えて、いろいろな人に参加していただく。コストのデータにしても、インターネットに載せれば、もっと良いコストダウンの方法があるという知恵が外から入ってきたり、あるいは、そのコストはおかしいのではないかとゼネコンOBの方が指摘されるなどのいろいろな変化が起こります。いろいろな人に参加していただくという意味でも情報公開は重要だし、特にコストの情報公開は極めて重要であると思います。
 16ページをご覧ください。具体的な提言ですが、今申し上げたレガシーの話とガバナンスの話、この二つから構成されます。まずガバナンスについてです。一つは、予算情報の開示の話。それから、前回、社長とCFO(最高財務責任者)がいないという話をさせていただきましたが、共同CFO体制を敷くべきであると思います。最終的には都庁が費用の大半を分担するわけですから、発生する前から予算の査定などに都庁も参加するべきです。具体的な方法はいろいろあると思いますが、都が共同で総予算を管理する体制をきちんと構築する必要があると思います。
 また、総予算が明確になった後は、都と各県、国の分担を早く決める必要があると思います。1年近く、協議しているけれども、決まらない状況が続いている。予算の全体情報を開示し、速やかに分担ルールを決めることが重要と思います。それが決まらないと、結局、最後は時間がなくなり、いろいろなものが高いコストについてしまい、それが全て都民の負担になってしまいます。都庁が分担すべきものは速やかに分担すると申し出、国の支援が必要ならば、各県がどこまで自分で分担するかを決め、その上で国の支援を頼む。手順を踏んだ活動を早く進めるべきと思います。
 17ページをご覧ください。調整会議というのは、オリンピック全体の準備体制には社長がいないとお話しした部分ですが、先ほどのオリンピックの利害関係者が多い現状に照らすと、調整会議の議長を一人決めて、その人がバッハ会長と話をするだけで簡単に物事が決まるわけでない。むしろ、この調整会議でしょっちゅういろいろな議論をする必要がある。今回の4者協議のようなものも頻繁に開く。こういうことでガバナンスをつくっていく必要があると思います。となると、事務局がきちんとした仕切りをしていく必要があります。
 今回の4者会議にしても、今週から準備会合があります。そこで事務局レベルできちんとした数字と案を詰めて、その上で月末の4者会合に臨む。こういう2段構えで事務局がきちんと機能して準備を進める形式になっております。それと同じような調整会議の事務局機能を充実させる必要があると思います。
 都庁と組織委員会の役割も、何となく人をたくさん出し、お金も出しとなっていると思います。これまではまだ初期ですからそれでよかったのですが、今後は、仮設の部分については、例えば都庁が分担するのであれば都庁で作業をするとか、人を出さないで、むしろこちらで対応し、協議を重ねていくなど、ものによると思いますが、人の出し方についても見直す必要があると思います。
 都市協約の公開については、19ページをご覧ください。ロンドンは、当初は非公開でしたが、市民団体からの開示請求で公開しました。リオは最初からウェブページに載っていました。東京は非開示として却下しましたが、実は、ボストンが誘致をする際に、アメリカのオリンピック委員会がIOCに頼んで、市民団体からの要求もあるからということで、そのテンプレートを公開しています。ですから、実は、日本人は日本語では読めないけれども、アメリカ人はアメリカのサイトで英語で東京の都市協約が読めるという不思議なことが起きています。ご興味がある方は、ここにあるアドレスを参照いただければと思います。
 ちなみに、都市協約の現物には、85条に政府の手続の必要がある場合は公開可能と記載してあります。これは恐らくIOCも、協議すればオーケーということになると思います。ぜひ公開すべきだと思います。
 20ページをご覧ください。レガシーの考え方ですが、具体的にレガシー追求のための財団あるいはNPOのような組織を設置する必要があると思います。図は、レガシーを縦に整理してみたものです。「アスリート/ヒト」と「施設/モノ」に分けましたが、「施設/モノ」について言うと、大会利用があり、後利用があります。「アスリート/ヒト」については、トップアスリートが上、その下が一般のアスリートですが、従来のオリンピックの準備は、左上の箱と左下の箱が主力になって、とにかく大会を成功させる。そのために必死でがんばるというのが競技団体と都庁の仕事の仕方でした。これは当然必要だと思います。しかし、「後利用」となると、一般の方がどれだけそのスポーツに興味を持って行うか、それが健康増進につながるのかということになります。また、選手は、「アフター選手ライフ」の人生を設計しなければいけません。施設は、ホワイトエレファント(厄介もの、無用の長物)にならないように、全国の小さな施設とも連携しながら特殊な役割を果たしていく。こういうことを考える必要があると思います。そういう意味では、研究開発的な機能を持つなどの必要があります。一般都民や近所の方がたくさん来ているからメッカとしてにぎわっているとは言えない。やはり普及のための拠点として、かなり力を入れた役割が要求されると思います。
 組織委員会はオリンピックが終わると解散してしまう。レガシーについては担当できません。そういう意味では、東京都がレガシーに関して準備していく体制が必要で、図の真ん中の色を塗った部分がレガシー財団の仕事になるのではないかと思います。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 ただいまの議題に関して、何かご意見、ご質問等がございますか。

○上山特別顧問 時間があまりないのですが、レガシーのイメージについて、水泳のモデルケースがありますので、簡単に町田特別参与から説明をお願いします。

○町田特別参与 資料4-2の1ページのイラストをご覧ください。
 レガシーは人やソフトであるということで、海外との接点や交流、シニアもそうですが、若い方がどういう体験をするのか、またセカンドキャリアの問題、科学技術、特に技術はこれから変わっていくので、技術を使ってスキルアップするようなことはあり得ると思います。食事やコーチング、バリアフリー、水泳文化の発信、早朝でも施設が利用できること等々がレガシーとして残っていき、再開発プランも含めて一体となったものが残るべきではないかと考えております。
 2ページは、レガシーを考えるに当たっての項目です。水泳の現状、プール、水泳の社会価値はどうで、アスリートはどういう人生キャリアなのか、辰巳やアクアがどうなるのか、レガシー戦略はどう考えるのか、復興支援や東北との関係などを書き込んでいって一つの大きなレガシープランにできればと考えております。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 そのほかにいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの議題に関して、知事からご発言をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○小池知事 第2回本部会議での報告以降も、調査チームの皆様方、特別顧問、特別参与、特別調査員の皆様には大変精力的に、また、客観的にそれぞれ分析していただき、ご報告をいただきました。
 それぞれの案の実現可能性については、関係団体とも意見交換しながら、課題も含めて率直にまとめていただいたものだと思います。今、様々な課題が投げかけられ、また、提言もいただいておりますが、この短期間のご労苦に対して感謝申し上げたいと思います。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上でございます。
 本日の結びに当たりまして、知事よりおまとめのご発言をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。

○小池知事 短時間の間に重いテーマを幾つもこなしたわけですが、第3回都政改革本部会議は、皆様それぞれにご努力いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 各局の自律改革の取組については、都政改革本部の重要な柱ですので、引き続き皆さんが参加する形で、施策、事業の見直しにも取り組んでいただきたいと思っております。そして、どこかに成功事例があれば、それを共有できるような働き方、改革を一つずつ重ねていっていただきたいと思います。
 2点目の内部統制プロジェクトチームの検討状況についてですが、現行制度に関してご紹介をいただいた後、プロジェクトチームからの課題認識をご提示いただきました。かなり突っ込んだ議論をすることもできたかと思います。財務局、特別顧問、それぞれまた相談をしながら、議論を交わしながら、より良い制度の確立はどうあるべきなのか、引き続き進めていっていただきたいと思います。
 オリンピック・パラリンピックについては、昨日も埼玉県の上田知事が、県民の皆様方の要望を届けにお越しになりました。そういう中で幾つかの選択肢を示していただきました。よく選択肢の集約を短期間で進めていただいたことに、改めてお礼を申し上げます。
 一方で、バッハ会長との会談、IFの会長ともお目にかかり、さらには、パラリンピックのクレイバン会長ともお目にかかりということで、私自身も国際団体と直接チャンネルを築くことができました。そういう中でいろいろなやり取りをしつつ、信頼関係と課題の共有も進めることができたのではないかと思っております。
 そして、IOCからは、今回、複数案で、決め打ちをせずに、ということですが、そこはできるだけみんなで協議しようということで、あえて選択肢を複数の形で、今日からワーキンググループが始まりますが、これは非常にテクニカルな部分で、実務的な部分も入ります。ここでこの複数案を提示する中で議論を重ね、そしてまた絞り込みの作業につながると思います。
 また、月末には4者協議が開かれますが、時間的な制約もありますので、その中で一つずつ確実な方向に歩みを進めていきたいと考えております。特に、今日から始まるテクニカル・ワーキンググループにおいては、複数案でしっかり調整していただきたいと思っております。
 また、費用対効果、コストと投資についても頭の中をよく整理しながら、また、最後にご提言をいただいたレガシーでも、ハードのレガシーとソフトのレガシー、また、組織委員会は4年で役目を終えるけれども、都政はその後もずっと続いていくので、このことも我々の大きな責任を改めて確認したいと思います。特に、先ほどご指摘がありました、アスリートというか、人にとってのレガシーの部分も、これから徐々に肉付けをして、そして、国民、都民の皆様方とオリンピック・パラリンピックをみんなで楽しく進める、その関係づくりを早急に進めていきたいと思っております。
 大会の運営体制など、課題はまだまだありますが、特別顧問の皆様やオリンピック・パラリンピック準備局で協力・連携しながら検討を進めていっていただきたいと思います。オリンピック・パラリンピックについては、この1か月間が極めて重要になりますので、都一丸となって進められるように、皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げます。
 以上です。ありがとうございました。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 最後に、事務局より事務的な連絡だけさせていただきます。
 次回第4回目の開催日程ですが、12月の開催を予定しております。皆様方のご予定を確認・調整させていただいた上で、改めてお知らせさせていただきます。
 また、本日の会議の議事録ですが、準備が整い次第、都庁のホームページに掲載しますので、あらかじめご了承ください。
 以上をもちまして、第3回都政改革本部会議を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。

午前11時52分閉会

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