都政改革アドバイザリー会議(第1回)議事録

平成30年8月9日(木曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

10時30分開会

 1.開会
○榎本総務局次長 ただいまより、第1回都政改革アドバイザリー会議を開催いたします。
 本日は、皆様、大変御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 会議の事務局を担当しております総務局次長の榎本でございます。座長が選任されるまでの間、進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、はじめに、会議の公開について御説明をいたします。本日の会議は、東京都のホームページ上でインターネット配信の予定です。また、会議資料につきましては本日、議事概要については後日、ホームページ上に公開いたします。
 なお、会議は、タブレット端末を使用して進行してまいります。会議中端末に不具合等が発生した場合は、職員までお声かけください。
 お手元には、次第と資料1「都政改革アドバイザリー会議設置要綱」、資料2「都政改革アドバイザリー会議委員名簿」、資料3「都政改革アドバイザリー会議座席表」をお配りしております。そのほかの資料は、タブレット端末で御覧いただくことになりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
 それでは、開会に当たりまして、小池知事より御挨拶を申し上げます。

 2.知事挨拶
○小池知事 皆様、おはようございます。台風の関係で、今日、この時間に開けるかどうか、昨日もやきもきしておりましたが、おかげさまで、今回の台風13号については北上しているということで、大きな被害もなく、この会議も開けることとなりました。皆様方も御心配だったと思いますけれども、こうやって、お忙しいところをお集まりいただきましたこと、まずは御礼を申し上げさせていただきます。
 都政改革アドバイザリー会議、本日が1回目の会議でございます。私は都知事に就任いたしまして、早速始めたのが都政改革でございます。そこでは、3つの柱を立てました。1つが、都民ファーストの視点で進めるということ。それから、情報公開を徹底していくこと。そして、ワイズ・スペンディング、賢い支出をすること。この3つの原則に基づいて都政を改革していこうということで、2年が既に経過したところでございます。
 そして、これまでも情報公開を進め、そして、オリンピック・パラリンピックの施設の整備費用を削減してまいりました。さらには、入札契約制度の改革など、先ほどの3つの原則をベースにしながら、改革を進めてきたところでございます。
 そして、今年の3月、お手元に紫色の表紙でございますけれども、「2020改革プラン」を策定いたしました。いよいよこれからは、その改革を実行する実践段階に入ったということで、このアドバイザリー会議の委員を皆様方にお願いしているわけでございます。
 なお、都庁側の体制といたしましては、4月からは、3人の副知事をトップといたしまして、こちらに並んでおりますけれども、それぞれが推進部会の長となって、職員がこれまでの取組で培った改革マインドを生かして、自律的な改革を精力的に進めているというのが、「Here we are.We are here.」。現時点でそうなっております。
 一方で、改革の状況を検証して、各局の更なる改革を推し進めていくという段階に入っております。PDCAサイクルを運用いたしまして、着実に進めていかなければなりません。その意味で、幅広い観点から、外部の有識者の皆様方の御意見、御助言を取り入れるということも重要でございます。
 そこで、このたび都政改革アドバイザリー会議の第1回会議を開催いたしまして、外部有識者の皆様から客観的かつ幅広い御意見、御助言を求めるという趣旨でございます。経営改革、働き方改革など、それぞれの知見、そして実績のある皆さんばかりにお集まりいただきました。本当にありがとうございます。皆様方の率直な御意見をベースにしながら、都政改革をしっかりと前へ進めていきますよう、そして改革の質を更に高めて、都民の皆さんにその改革を実感していただけるよう進めてまいりたいと考えております。皆様方の御協力に対しまして、まずはお礼を申し上げ、そしてこの首都東京が「更に良くなったね」と言っていただけるように、御助言の方をよろしくお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

3.座長選任
○榎本総務局次長 続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
 小池知事の右手側から席順で御紹介をさせていただきます。
 RIZAP グループ株式会社、代表取締役COO、松本晃委員でございます。
 株式会社タニタ、代表取締役社長、谷田千里委員でございます。
 楽天株式会社、常務執行役員、河野奈保委員でございます。
 ゴールドマン・サックス証券株式会社、副会長、キャシー・松井委員でございます。
 株式会社NTTデータ、相談役、岩本敏男委員でございます。
 弁護士、水町雅子委員でございます。
 明治大学政治経済学部、准教授、西村弥委員でございます。
 文教大学経営学部、教授・公認会計士、石田晴美委員でございます。
 なお、本会議には、東京都副知事の長谷川、猪熊、多羅尾の3名も出席させていただいております。
 続きまして、本会議の座長を選任いたします。
 座長につきましては、本会議の設置要綱第3条第2項により、委員の互選によるとされておりますが、皆様には、事前に御相談させていただきましたとおり、RIZAP グループ株式会社、代表取締役COOの松本晃様にお願いしたいと存じます。皆様、いかがでしょうか。

(異議なし)

○榎本総務局次長 ありがとうございます。
 それでは、松本様に座長をお願いしたいと存じます。
 松本座長、就任の御挨拶をお願いいたします。

○松本座長 松本晃です。直近までは、カルビーの会長兼CEOをやっていましたが、6月に降りまして、しばらく休養しようと思っていましたら、瀬戸君という社長に口説かれまして、今、RIZAPのCOOを務めています。相変わらず世間をお騒がせして申し訳ございません。
 今回のお話、実は小池知事から直接お話を頂いて、改革だということですので、とにかく、やたら何でもかんでも変革してきました私としては、大変わくわくする話で、改めまして、選んでいただきましてありがとうございます。
 これだけ立派な委員の方を選んでいただいたので、本当に良い議論をして、アクショナブルな良い提案ができればいいと思っています。是非とも皆さん、活発な議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

4.議題
○松本座長 それでは、今後は私が座長として進めていきます。本日の議題ですが、都政改革の取組、都庁における「しごと改革」というテーマでございます。
 まず、事務局より、それぞれの議事につきまして、一括して御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○小笠原総務局都政改革担当部長 それでは、事務局から、最初に資料4について御説明をさせていただきます。
 資料4の1ページを御覧ください。
 本年3月、先ほど御紹介もございましたが、「2020改革プラン」を策定しておりますが、それまでの取組を年表のような形式で整理をいたしました。
 平成28年9月に、知事を本部長といたしまして、副知事及び各局長を本部員とする都政改革本部が設置されております。同時に、各局の自律改革と情報公開の取組をスタートさせまして、また、オリンピック・パラリンピックなど重要課題に取り組むプロジェクトチームを設置いたしました。
 その後、こちらに紹介した取組を順次実施してきたわけでございますけれども、例えば、情報公開につきましては、平成28年度に、まずプロジェクトチームを設置いたしまして、各局に公文書についての原則開示の方針を徹底するという取組を行いました。
 10月には、都民の皆さんが必要な情報に迅速にアクセスできるよう、「情報公開ポータルサイト」を立ち上げまして、12月には、予算編成プロセスの透明化にも取り組んでおります。
 平成29年度には、7月に「公文書管理条例」を新たに制定いたしますとともに、「情報公開条例」を改正いたしております。条例改正によりまして、公文書の閲覧手数料を廃止いたしました。
 また、公文書情報の電子データを無料で提供するサービスも開始をいたしまして、開示手数料は、実質無料化しております。
 平成29年9月には、公金及び補助金の支出状況の公開も開始をしているところでございます。
 2ページに情報公開ポータルサイトを紹介しております。
 東京都公式ホームページから「情報公開ポータル」と書いてあるところをクリックしていただきますと、審議会等の情報や都民の声への対応、公益通報等々の都民の皆さんが知りたい情報を集約した情報公開ポータルサイトが表示をされるようになっております。
 例えば、この中で、「公金支出情報」をクリックいたしますと、3ページのように、東京都の各会計の支出情報、これが年間にしますと約70万件になるんですけれども、その一覧がこのような形で御覧いただけるようになっております。
 また、4ページのように、各局のホームページにつきまして、スマートフォン対応も含めまして、機能やデザインの統一を図っております。
 5ページ以降で、「2020改革プラン」の概要を御説明いたします。
 東京都は、新しい東京を目指し、「3つのシティ」の実現に向けて、様々な政策を展開しております。「2020改革プラン」は、そうした課題に取り組む都庁の仕事のあり方を見直し、生産性の向上と機能強化を目指すための改革プランでございます。
 基本となる3つの原則と3つの改革手法を6ページにまとめました。この3つの原則でございますが、例えば、今、各局で事業の点検を行っておりますけれども、そうした点検を行う際、あるいはその他の改革の際にも、都民ファースト、賢い支出、情報公開の原則を踏まえて点検することとしているなど、3つの原則は都政改革全体を貫く基本的な考え方でございます。
 7ページの図を御覧ください。
 改革手法を図で説明しております。下から、職員・職場のレベルから都庁の仕事のあり方を見直す「しごと改革」、各局が実施する事業を自律的に点検・評価し、見直しにつなげていく「見える化改革」、これらの改革から抽出された全庁的な制度や仕組みの課題を見直す「仕組み改革」というようになっておりますけれども、この3つを、それぞれ関連を持たせながら、同時に進めてるということを今、やっております。
 8ページが、主な取組でございます。
 このうち「しごと改革」について、後ほど更に詳しく説明をさせていただきます。
 各局が主要事業を点検する「見える化改革」につきましては、9ページのような事業の塊であります事業ユニットというものを設定いたしまして、今、点検・評価を行っております。既に22のユニットにつきまして、分析を終了させておりますけれども、現在、残りの39ユニットについて、来年度予算への反映を目指して取り組んでいるところでございます。
 10ページを御覧ください。
 今年度の主な取組とそのスケジュールを整理しております。「見える化改革」で取り組んでいる事業ユニットの分析を完成させることと、構築段階にある「仕組み改革」に取り組みまして、プランのバージョンアップに反映させていくことが、今年度の主な取組でございます。
 本アドバイザリー会議の皆様につきましては、次回は、プランのバージョンアップに向けた御助言を頂ければありがたいと考えておりまして、時期は11月頃を予定しているところでございます。
 続いて、「しごと改革」についての説明をさせていただきます。

○豊田総務局都政改革担当部長 それでは、都庁における「しごと改革」につきまして、資料5に基づいて御説明をいたします。
 3ページを御覧ください。
 こちらは、「しごと改革」の全体像を示しております。都庁におけるしごと改革につきましては、「職員」や「職場」の視点から、働き方や仕事の仕方の見直しを図り、生産性向上とライフ・ワーク・バランスの実現を目指していくという取組でございます。
 平成29年の2月に、都庁ライフ・ワーク・バランス実現プロジェクトチームを設置しまして、職員の生の声を聞くために、職員アンケートなども実施しまして、課題の整理や取組内容の検討、取りまとめを行ってまいりました。
 4ページを御覧ください。
 取組内容を整理した表になっておりますが、こちらにありますように、意識改革、働き方改革、業務改革、この大きく3つの取組で整理をしてございます。
 5ページを御覧ください。
 これまで行ってきた主な取組を時系列でまとめております。上段にありますように、28年度のイクボス宣言、また、中段にありますように、20時完全退庁といった取組から始めてまいりまして、昨年の10月からは、下段にありますように、業務改革として3つのレスの取組を開始しております。
 以上が「しごと改革」の全体像になります。
 続いて、具体的な取組内容について御説明をいたします。
 まずは、「都庁の働き方改革」の取組につきまして、総務局人事部から御説明をいたします。

○栗岡総務局人事部長 それでは、「都庁働き方改革」の取組状況について御説明申し上げます。
 7ページを御覧ください。
 これは、都庁のライフ・ワーク・バランスの全体像を示したものでございますけれども、大きく2つの柱、左側の生産性の向上と、右側の育児等と仕事との両立と、2本柱で目指してございます。
 本日、御説明申し上げるのは、このうちの赤い丸で囲んだ3つでございます。
 進めるに当たりまして、28年の9月に、まず、管理職の意識改革が必要だということで、イクボス宣言をさせていただきました。その後、毎年人事異動のたびに、春にまた新たに宣言してもらっているところでございます。
 8ページを御覧ください。
 まず、1点目の超過勤務の縮減ということで、残業削減ですけども、こちらにつきましては、小池知事就任以降、残業ゼロに取り組むということで、平成28年10月から「20時完全退庁」等の取組を行ってございます。
 その結果、右上の表を御覧いただければと思いますけども、残業時間について、これは、本庁の残業時間でございますけども、3カ年で削減してきてございます。
 しかし、中ごろの表を御覧いただければと思いますけども、昨年の上期に長時間労働面接者につきましては、28年度比で増加するという傾向が見えまして、下の欄に書いてございますように、取組を強化させていただきました。勤務間インターバルの実施ですとか、連続勤務の禁止、あとは部署別の超過勤務の状況を公表したり、あと20時完全消灯日を設けたりした結果、右下に書いてございますように、29年度の通期で、長時間労働面接対象者の数は、前年度より削減してございます。しかしながら、依然として高い水準にございますので、引き続き、楽観することなく取組を続けてまいりたいと思っております。
 9ページを御覧ください。
 柔軟で多様な働き方ということで、働き方と休み方について柔軟化してございます。「働くを見直す」の中では、時間の柔軟化ということで、時差勤務の拡大ですとか休憩時間の分散化を行ってまいりましたけれども、本庁では、現在フレックスタイム制度の導入をしたところでございます。
 場所については、テレワークの試行を行ってございまして、これは、後ほど御説明申し上げます。
 「休む」について申し上げますと、様々な充実を図っておりますけれども、時間単位の年次休暇について、今まで5日というような累計での上限があったのですけれども、それを今年から撤廃してございます。
 それでは、次のページを御覧ください。
 テレワークの試行状況でございますけれども、こちらにつきましては、2に書いてございますように、東京2020大会に向けまして、現在取組を進めているところなんですけれども、大会期間中に混雑緩和という観点も含めて、段階的に拡大をしていきたいと考えてございます。
 下のところに、取組の具体的な状況を書いてございますけれども、29年度当初、モバイル端末5台、30職場から開始いたしまして、現在、端末約130台で、全局のモデル職場で実施してございます。今年度下期になりますけれども、恐らく1月頃に、現在使用している端末をモバイル可能な端末に切りかえていくということで、3,000台切りかえる予定になってございまして、翌年度31年度ですけども、同じく32年の1月頃になるかと思いますけれども、本庁の全職員の端末をモバイルに切りかえていくということで、ICTの環境を整えていきたいと思ってございます。
 次のページを御覧ください。
 気運醸成に向けて、真ん中のあたりに書いてございますけれども、「テレワーク・デイズ」ということで、昨年からテレワークの「デイ」を設定したんですけども、今年は「デイズ」ということで、大会の開会日である7月24日を中心に何日間か取り組んでございます。これも段階的に規模を拡大していくということで、昨年の1,000人規模に対しまして、今年度は1,500人の規模で実施させていただきました。今後、ICT環境の整備とともに、拡大していく予定でございます。
 次のページを御覧ください。
 女性職員の活躍推進ということで、こちらが現状、都の職員の職員構成、男女比になってございますけども、管理職層がおおむね2割、監督職層がおおむね3割で、一般職員の層がおおむね4割ということで、全体で4割という構成になってございます。
 こちらについては、下に書いてございますように、平成32年には、管理職の割合を、女性管理職の割合を2割にしていく、平成37年には25%にしていくという目標を設定してございます。
 右側が、育児休業の取得率なんですけども、こちらは平成28年度が4.3%で、国等に比べますと伸び悩みの状況にございます。こちらについては、来年度、15%を目指して取り組んでいきたいと考えてございます。
 次のページ、13ページをお願いいたします。
 こちらが現在の取組状況でございますけども、都の場合、組織が大きいということもございまして、管理職の昇任は、基本的には試験制度による選考を大原則としてございます。この間、受験の勧奨や受験負担の軽減等の取組を行ってきた結果、グラフの一番右下の緑のラインを御覧いただければと思いますが、この5年間で女性の管理職の、試験を受ける人の数が1.5倍になってきています。当然、男性の方も勧奨をしているので、全体の割合としては、一番上のラインの11%から13%ということで、比率はそれほど上がっている状況にはないんですけども、今回、30年の2月に、対象者にアンケートをとってみたところ、約半数の人が昇任への不安を持っているということでした。様々書かれている状況が個々ばらばらな中で、個別の対応が必要かなというふうに考えてございまして、今後は、相談体制、例えばメンター制度の導入とか一人一人の職員に寄り添った形で、不安の解消を行っていきたいなというふうに考えてございます。
 下が、男性の育休の取得の関係でございますけども、公務の場合、育休とは別に出産支援休暇や育児参加休暇というのがございまして、これは2日と5日、有給で取れることになっているんですけども、こちらの取得状況はかなり上がってきており、男性の育休を取得していく環境自体は整っているのかなと思っております。
 そういった意味で、今後は、制度の周知ですとか、あと職場の方の受入体制を強化していく中で、取得者の数を増やしていきたいと考えてございます。
 以上です。

○豊田総務局都政改革担当部長 続きまして、3つのレスの取組について御説明をいたします。
 15ページを御覧ください。
 こちらは、業務改革の取組として、都庁BPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングを推進しております。
 速やかに着手する取組としては、はんこレス、ペーパーレス、キャッシュレスの3つのレスに取り組んでおります。また、この3つのレスを土台とした、中長期的な取組として、総務事務改革の取組を進めております。
 次のページを御覧ください。
 まず、はんこレスの取組でございます。給与や旅費、人事、会計など全ての組織に共通する内部管理事務を総務事務と呼んでおりますが、これらの総務事務の集約化やAI、RPAなどICT技術を活用した効率化を進めていく取組が総務事務改革でございます。
 特に、はんこレスとして、中間的な取りまとめを行う事務処理や、紙やはんこによる事務処理を取り除いていくことが重要な視点であると考えておりまして、こちらの参考の図にあるような形で、事務フローの総点検を実施しております。
 17ページを御覧ください。
 デジタルファーストや発生源入力と集中管理など、5つの改革基本方針に沿って、計画的に取組を進めていくこととしております。
 18ページを御覧ください。
 主要な取組のスケジュールとして、今年度以降の取組を記載しております。
 中段にあります発生源入力集中管理の欄に記載しておりますけれども、2020年を目途に総務事務の集約処理を行うセンターの一次開設を目指しております。
 続いて、19ページでございますが、特に、今年度から積極的に進めております電子決定の取組について、参考事例として紹介させていただいております。
 現在、12.3%である電子決定率につきまして、今年度中に30%、来年度中に60%などと目標を設定しております。今年度は、特に起案の過半数を占めております課長による決定事案につきまして、電子決定を徹底してまいります。
 続いて、20ページを御覧ください。
 ペーパーレスの取組についてでございます。今年度から平成32年度までの3年間で達成すべき全庁的な目標を設定しております。本庁でのコピー用紙使用量を20%削減、ペーパーレス会議の実施率を90%と、こちらの2つを目標としております。
 21ページを御覧ください。
 3年後の20%の削減目標達成に向けまして、今年度、また来年度時点の削減目標を局ごとに設定しております。全庁的に取りまとめたものがこちらのグラフになります。
 また、平成29年度の実績については、こちらのグラフの左から2つ目にありますように、平成28年度と比べて3.4%減少しました。これまで、25年度以降は使用量が増加傾向にございましたが、昨年からの取組の成果もありまして、今回、減少に転じたところでございます。
 22ページを御覧ください。
 削減率の数値目標のほかに、各局において、ペーパーレスを実現していくための具体的な取組を部ごとに設定しておりまして、主なものを記載してございます。これらの取組を通じまして、ペーパーレスを推進していきたいと考えております。
 23ページを御覧ください。
 こちらは、参考として、今後の都庁におけるICT環境の整備について紹介しております。テレワークやペーパーレスなど、新しい働き方を定着させていくためには、ICT環境の充実が不可欠であると考えております。現状に比べて、より一層軽量で持ち運びに適したパソコンを今年度の第4四半期に本庁管理職とモデル職場に約3,000台先行導入しまして、さらに平成31年度には、本庁の全職員に本格導入する予定となっております。
 24ページを御覧ください。
 こちらは、キャッシュレスの取組についてでございます。現金を取り扱う場面は、支出と収入の2つの面がありますけれども、それぞれについてキャッシュレス化を検討しております。
 現金を取り扱う主な支出についてでございますが、こちらにありますように、職員が出張する際などに発生する旅費と、各事業所などで少額の文房具類や日用品等を例えば近隣の商店等で購入する際の、いわゆる小口現金で支払う資金前渡がございます。また、収入につきましては、都立施設の使用料や許認可手続等の手数料がございます。これらについて、既にキャッシュレス化したものもございますけれども、順次検討を進めております。
 なお、都税事務所や都立病院、また文化施設や庭園など、都民や外国人を初めとした多くの方が利用する施設では、次のページにありますけれども、既にクレジットカードや電子マネーの導入を進めておりまして、こちらの25ページに主な導入事例を記載させていただいております。
 以上が3つのレスの取組でございます。
 しごと改革についての御説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

○松本座長 御説明ありがとうございました。
 直近の国会で、働き方改革という法案が通りまして、あの法案がこれからの大きなステップになるのか、実に中途半端な改革なのかという議論はあると思いますが、私個人的には、あんな中途半端なことをやって何になるんだと、このように思っています。
 したがって、お国がそうだったら、せめて、都だけはベンチマークになるような改革をしていって、むしろ国に大きな影響を与えるような改革ができればいいんじゃないかと思います。
 そのためには、先んじていろんな企業がいろんな取組をやっておられると思います。今日は、その働き方改革に関連して、楽天の常務執行役員の河野委員より、楽天はこんなことをやっていますよというようなお話を聞けるんじゃないかと思いますので、このあたりから始めていきたいと思います。
 それでは、河野さん、よろしくお願いします。

○河野委員 楽天の河野です。改めまして、本日はよろしくお願いいたします。
 今、お話があったとおり、まず、この会議は第1回目ということでございますので、私たちからこういうことをしたいという助言というよりは、まず私たち企業としてこんなこと取り組んでいますという事例紹介の場とさせていただければなと思っています。
 楽天という会社がちょうど2010年から英語化という象徴的なものをスタートし、そこからいろいろな国の人たちと一緒に働くということを、ここ何年か進めております。それに際して、いろいろな取組を、ファシリティですとかカルチャーの形成というところで行っておりましたので、本日はそこを中心に御説明をさせていただければなと思っております。
 それでは、早速ですが、進めさせていただきます。
 まず、最初に本日のアジェンダですが、このようなキーワードです。英語化しているというところもありまして、時折、資料に英語が混じっておりますが、御了承いただければと思っています。
 まず、会社のビジョン、ミッションというところを御説明させていただきたいと思いますけれども、私たちの会社は、グローバルイノベーションカンパニーといったキーワードで、とにかくイノベーションを起こす会社になりたいと思っております。
 では、このイノベーションというところなんですが、何が重要かといいますと、イノベーションをただ行うのではなくて、イノベーションを通じて結果的に人々と社会をエンパワーメントする。私たち21年前に会社を設立したときも、ミッションとして持っているのはエンパワーメント、とにかく日本を活性化したい。特に、いろいろと中小企業だったり、商店街の皆様がだんだん世の中の流れで変わっていく中、いろいろな方たちが活性化できるように、そういったところでスタートした会社ですので、今後においても、このテクノロジーイノベーションを通じて、エンパワーメントしていくというのを、今でも掲げております。
 このイノベーションなんですが、じゃあ、今日の働き方改革、しごと改革につながると思うんですが、イノベーションを生ませるために必要な要素として、弊社が考えているのは、この二つです。多様な人材がつながり合うということ。そして、つながるだけではなくて、楽しければいいんですけれども、楽しいだけではなくて、人が変化し成長する、そういったものが促進される組織でありたいと思っております。
 これに伴いまして、いくつかデータですとか、事例を御紹介させていただきます。
 まず、最初に当社が考えるダイバーシティに関してです。
 ダイバーシティの考え方なんですが、こちらを御覧ください。
 もともとは、楽天は21年前、本当に日本人だけの日本企業でした。私が入社したときも16年前なんですけれども、本当に普通の日本企業に入ったというところで、まさか自分が社内で英語でコミュニケーションをとるようになるとは、全く思っておりませんでした。そういった一般的な企業でありました。しかしその後、やはりグローバルを見据えたときに、きちんと私たちが成長し得る組織というところで、このような多様化を進めていますが、多様化という言葉の中で、私たちが考えているのは、国籍、宗教、そしてLGBTを含む性別、そして障害の有無、こういったものにかかわらず、みんながイノベーションを起こしていける組織というところでございます。
 現在なんですが、グループと書いているのが、楽天の海外子会社も含めた全世界の私たちの従業員になります。外国籍の社員の割合が何と56%。そして先ほど、朝調べたんですけれども、社員の国籍数、日本も含めて、合わせると現在今78カ国・地域ということで、本当にいろいろな国の人たちが一緒に働いているというところですので、英語が公用語になったというのは、そういった要因から言えることです。私もそうです。正直言って未だに英語がすごく苦手ですし、78カ国・地域いるということは、みんな英語で会話をしていますが、ほとんどの社員が第2外国語として英語を使っています。なので、ネイティブの英語が必要というよりは、コミュニケーションをするための本当に実用的な英語が望まれているというところになります。
 また、右側を見ていただきますと、本社楽天株式会社の数字になります。こちら日本の本社においても、22%外国籍がおりますし、新入社員に関しましては、女性の比率が47%、管理職に関しましては、現在のところ22%となっております。
 先ほど掲げられていらっしゃった目標では、37年に25%というのがありましたので、私たちもより早い形で、この25%を突破して牽引する、そんな象徴的な会社になりたいと思っています。
 産休・育休に関しましても、205人、そして男性も10名という形で実績がございます。
 私の配下には、今、産休が2回目という人もたくさんいまして、産休に入りますと言われたときに、みんなが掛ける言葉が、いってらっしゃい、頑張ってね、となっているぐらい、文化として当たり前になってきているというところでございます。
 ここから、もう少しデータをお伝えします。
 障害者の雇用率です。ここ10年間でかなり伸びてまいりまして、昨年の実績としましては2.35%、こちらは法定雇用率の2.2%は上回っておりますが、今後も促進をしていきたいと思っております。
 ここで、社内で社内向きに作っている動画ではあるんですけれども、障害者の人たちがどういうふうな働きをしているかというビデオがございまして、ちょっと尺が長いんですが、観ていただければなと思っています。
 私たち、なぜ社内で動画を作っているかというと、いろいろな国の人たちがいるので、いろいろな資料を出すよりは、本当に一見というのがとにかく重要だと思っていて、社内で動画チームをつくって、いろいろな部署の取組を動画にして、毎週何本もコミュニティに上げておりまして、その社内向けの動画でございます。そのため、英語で話をしていまして、日本語のテロップがついているというものです。
 それでは動画をお願いいたします。
(動画)
 というところで、社内のものではあったんですが、こういう形で自分たちの同じ会社の中で、こういう方が私たちの業務を支えているというのを紹介するムービーなんですが、そういうことで一体感を今作っているところでございます。
 続きまして、資料の方に戻らせていただきます。
 このような取組から、いくつかの受賞をさせていただいたりというところでございます。
 さらに、いくつかのファシリティ、そういった取組も御説明させていただきます。
 まず、社員の健康増進という名のもと、昇降デスクを全てに入れています。会議室の机もそうです。普段働くところに関しましても、立ったり下がったりがボタン一つでできます。ですので、一番多いのが、お昼が終わると、眠たくなる社員は立って、眠たくなったと言って立ってやることで業務効率が上がっていますし、逆にこれが当たり前のデスクになっているので、車イスの社員が少し下げてやることが、決してこれが特別なことではないというところの文化の形成にもなっているのではないかなと思います。
 また、沐浴のエリアですとか、礼拝ルームというのもございますので、宗教の観点でもサポートさせていただいているというところです。
 続きますが、また宗教面で制約があるのが、食べ物だと思っております。また、ベジタリアンもおります。弊社は3食、カフェテリアという社食を無料で提供しているんですが、そこにもこういったハラルやベジタリアンのものも対応させていただいています。
 また、マザーズルームというのがございまして、オフィス内で搾乳ができるというところで、いち早く社会に復帰するというママさんをサポートさせていただいています。
 また、ゴールデンキッズというところで、いわゆる託児所を会社のビルの隣のビルに設置しております。ですので、お子さんをその託児所に預けて出社し、そしてピックアップをして、お家に帰られるということを促進させていただいております。
 また、ここですと、多様な国の人たちもおりますし、スタッフも英語ネイティブがおりますので、結果的にグローバル人材が生まれるのではないかなとそんなことも思っております。
 続きまして、ファシリティについて、御説明させていただきます。
 私たちがいますメインのオフィスというのは、楽天クリムゾンハウスという名前で建てているのですが、この由縁というのは、本当に家のような環境で働けること、そして、それによってより高いパフォーマンスを出せることというふうに思っています。ですので、負担になっている部分を軽減することで質を上げていく、そんな考え方でつくられたものでございます。
 ファシリティを御紹介いたしますと、例えば、朝会会場という大きなフロアがあります。ここは、国内外の50拠点以上をビデオ会議で同時につなぐことができます。実際に週1回以上は必ず、全国、全世界をつなぎまして、一堂に会してリアルタイムでミーティングを行っています。1万人以上が参加しますし、参加できない時差があるところに関しましては、ビデオをつくり、そのビデオをe-ラーニングという形で、ウェブ上で見れる形になっています。
 小池都知事が、例えば情報公開がとても重要ですとか、あとは、本当にこういうのがあったと思うんですけれども、私たちも、とにかく情報公開でオープンな姿勢というのを目指しています。ですので、オフィスに関しましては、全く仕切りがない。これは社長がいるテーブルすら正直申し上げまして、何の壁もございません。そういう形のオープンのスペース、そして、壁に関しましては、右のところ、ちょっと光っていると思うんですが、全ての壁がホワイトボードになっています。なので、ミーティングをしたいとき本当にどこでも必ずそこで書いてできるということで、壁一面がホワイトボードになっています。
 会議室もガラス張りでオープンです。なので、どんな人たちが、どんなミーティングをしているかというのは、外から見える状態になっていますし、一部に関しましては、ショールームというのがございますが、楽天市場で扱っている実際の机とかイスとかをショールームの形に使うことで、こういったものを自分たちのサービスとして提供しているということを理解しながら働くことができます。
 先ほどもありましたように、全ての小さな会議室においても、ビデオ会議が設置されております。なので、見ていただいてわかるように、ここに紙が1枚もなくて、全員パソコンを持ち歩いて、パソコンだけでやっています。私も自分のパソコンを会議室に持っていくと、会議室とコネクトするのがワンボタンでできます。ですので、自分で作った資料を自分のパソコンに持っていき、会議に参加し、そして映写をし、それによってミーティングを行うというところになっています。
 あと、英語化というところもございますし、自己啓発も促進したいということで、語学を勉強する小さなブースですとか、ライブラリー、そして集中スペースという形で、こんなボックス状になったものとかも用意されているという形で、とにかくみんなで共有をすることの一方で、自己啓発のように個人で何かをするというところの効率を上げる部分、この両面をファシリティに入れているというところになります。
 その他、先ほどもありましたように、カフェテリアというところで、3食無償で提供させていただいているところになります。
 いろいろありますので資料が多くなっていますが、続きます。フィットネスクラブ、最近だと少し増えていると思いますが、体を動かくことでリフレッシュをしてもらうこと。あと、マッサージや鍼も就業前後で受けることができます。
 また、ネイルサロン、ヘアサロン、これがあるのは結構珍しいと思うんですけれども、お昼休みを明けると髪の毛が短くなっている人がいたりという形で、リフレッシュしながら仕事に戻ることができます。
 また、クリニックや薬局を設けておりますので、例えば、風邪をひいたというときには、いち早くクリニックに行き、そして薬をいただいた上で、仕事に戻る。薬局は社員だけではなくて、一般の方も御利用いただけるというふうになっています。
 ここからは、プロダクティビティについて、御説明をいたします。
 引き続き事例になって申し訳ございませんが、私たちは、ケチケチプロジェクトというのを、わかりやすい言葉で2008年5月に発足をしました。先ほど、3つのレスのお話があったと思います。少し通じるものがあるかなと思っています。
 私たちは、社員一人一人が経営者となった気持ちでというところで、印刷費、電気費、旅費を削減しようという形で取組をしてまいりました。
 例えば、一番面白いのが、この印刷費の削減なんですが、先ほど、都の目標がおありだったかと思います。私たちは、3年間で1人当たりの印刷枚数を79%削減いたしました。徹底して、あと強制的にではないですけれども、わかりやすい言葉で、一気に改革を進めてしまうというのが、私たちの特徴なので、印刷に関しましても、基本的に1枚1ページではなくて、こんな感じで、デフォルトを8アップといって、小さく入れるとか、あと、わかりやすく1人1日3枚までにする工夫をしようということで、3枚という言葉を叩きこまれました。なので、資料をコンパクトにまとめ、それ以外は、デジタル化するというところになります。
 セキュアプリントというのは、こういったIDカードをプリンターにピッとやったときだけ、出力ができますので、例えば、勝手にプリンターのところに資料がたまると、無駄な紙、そしてそれが場合によっては、情報漏えいのリスクになりますので、ちゃんとプリンターのところに行って初めて、プリントが出るというような仕組みで、そうすることで、誰が、どの部署が1日何枚を出力しているかというのが管理できるようになりますので、結果的には、事業部ごとの成功事例というのを、役員会等々で共有をして、徹底してまいったというところでございます。
 また、面白い取組としては、エレベーターも全ての階が停まらないんです。奇数階の月と偶数階の月というのがございまして、停止階を限定することで、もちろん電気も節電にもなりますし、あとエレベーターが毎回全部停まると、27階まであるので、27階の人は延々と時間がかかるというところなので、奇数、偶数月というのをつくりまして、半分にすると。残りの階はどうするかというと、1個上がるか下がるかなので、健康のためにも頑張りましょうというところで、今はそういう形で、私、奇数にいるんですけれども、今月は偶数月なんですよ。1カ月頑張らなければと思いながら暮らしているというところでございます。
 ミーティングのエコというところでは、次のところの方がわかりやすいと思います。ミーティングは先ほどケチケチプロジェクトで1日紙3枚とありました。ミーティングに関しましては、コスト8分の1プロジェクトというのがありました。時間を2分の1、頻度を2分の1、出席者を2分の1、掛け合わせることで、8分の1にすることができるというところです。よく見ますと、ミーティングに気づくとどんどん人が増えていって、発言していない、場合によっては、当事者意識を持っていない方もいらっしゃるというところが社内としては問題視をされておりましたので、あえて出席者を絞ることで、みんなが参加意識を持ち、その者がちゃんと議事録を残し、書面に起こすことで、広く共有ができるというふうになっているというところです。
 HRシステムを御紹介いたします。先ほどから何回もありましたように、協働することがとても重要です。その一方でカルチャーをきちんとサポートし、差別化、こうしたところも考えているという会社でございます。
 そういったところで、人事制度として、在宅の勤務、そして時短、時差勤務も取り入れております。1個ずつ御紹介いたします。
 在宅勤務に関しましては、対象が例えばここにございますけれども、オフィスと同等のパフォーマンスをパソコンで、家でもすることができますので、こういったものを導入することができております。ですので、一時的な理由があっての在宅も受け入れられますし、1年間というところで、継続的な在宅勤務というところもサポートしております。
 もう1つありますのが、時差勤務に関しましてです。今年、これは改定を行いました。以前ですと育児だけ、しかも子供の年齢が3歳までとありますが、実態を見てみますと、子供が小学生のうちはいろいろなことがあって、サポートが必要だという声もあります。また、介護を抱えている社員も多く見られてまいりましたので、最近改定をいたしまして、育児だけではなく、介護そして子供の年齢が12歳までサポートできるようにいたしました。
 という形で、まだまだ先が長いという部分もあるかもしれませんけれども、このような取組をさせていただいている企業もあるというところで御参考にしていただければなと思っております。
 ありがとうございます。

○松本座長 河野さん、ありがとうございました。
 座長の役目は、タイムキーパーもありますので、皆さんとの意見交換はあと30分です。意見交換の中で、もし御意見ございましたら、是非ともお願いいたしたいと思います。
 それで、私が3分ぐらいお話させていただいて、そのあと今日は、初めての会なので、谷田さんから始めて、1人2、3分で自己紹介も含めまして、皆さんの御意見を聞きたいと思います。
 私は、ジョンソン&ジョンソンに15年、カルビーに9年、とにかくあらゆるものを変革してまいりました。ダイバーシティはその1つです。当時の小池議員に随分背中を殴られまして、結果的には、今、管理職の割合は26.4%、それも下からやらずに上からやっていますから、執行役員14人のうち6人が女性です。そのようにして、とにかくやるしかないということでやってまいりました。
 ただ、この改革とか、変革とかと申しますが、基本的には2つの種類があって、1つは比較的難しい、1つは比較的簡単です。
 難しいのは何かと申しますと、誰かの既得権を奪うという変革は、抵抗勢力が徹底的に反対しますから、これは大変難しい。小池知事が知事になられてから、この2年間、遠くから見ていますが、小池知事が、果敢に抵抗勢力に対抗して、改革されているという姿は、見ていて本当に応援したくなるような改革です。これは簡単じゃない。
 例えば、ダイバーシティなんて、実は簡単にできそうで、そう簡単ではない。私はダイバーシティの算数とは、100+30は100だよと言うんです。30%の管理職を女性にする。しかし、今まで100人男性と足しても総数は130人にはならない、やはり100なんです。ということは、男性の30人は降ろさないといけない。抵抗勢力のある改革というのは、非常に難しい。抵抗勢力は既得権をとにかく守ろうとします。既得権とは何かというと、1つはお金ですし、2つ目は権力とか権限ですし、3つ目には地位とか身分ですから、これを剥ぎ取るのは実は難しい。
 一方で、それほど難しくない、要するに誰も損をしない、損をしても大したことはないという改革は、比較的易しい。
 したがって、これからアドバイザリーボードの中で、どういうことを変革していったらいいかということを議論しないといけませんが、例えば今、やろうとされておりますその3つのレスというやつは、考えてみれば簡単で、何でもないと私は思っております。
 ちなみに私は、この25年間、はんこはありません。はんこなんて持っていないです。キャッシュも会社の中で25年間見たことないです。ペーパーというやつは、45年前に報告書はA4、1枚にせよと言われてから、基本的にはA4、1枚だし、多くても3枚だよと。先ほど河野さんがおっしゃったように、会議も8分の1だと。2分の1は2分の1なんだけれども、もっと極端なことを言って、ノーミーティング、ノーメモなんです。これぐらい言ってもちょうどなんです。会議なんかみんなやめちまえ、と。そうすれば、資料なんか1枚も作らなくてもいい。したがって、この手のことは、それほど難しいことではないと私は思いますが、それでも、今までやっていたことに対して、固執している人たちがおられますから、そういう人たちには、しっかりわからせてあげれば、実は今までやっていたことが変だったとわかっていただけると、思います。
 私の話は以上でございます。それでは、順番に委員の方からお話を聞かせていただきたいと思います。
 では右回りで参りますので、谷田さんよろしくお願いいたします。

○谷田委員 ありがとうございます。すごい大役だったので、産業会議に出られていた三木谷さんの「競争力」という本を読んできまして、どういう感想をお持ちかなと考え、勉強してきました。私の強みは何かなと考えたので、今日伝えられれば一番いいなと思ったことが、4点ぐらいあります。弊社はやはり中小企業なので、社長に就任して一番最初に受けた印象として、社内改革ではお金を使うということを決めていてやったものは今のところないんです。おかげさまで最近良くなってきたので、やっと年度予算を組んで、これをこういうふうにやりますという形が今は増えたんですけれども、10年前に社長を引き継いだ当時はお金がないので、どうやって削ろうかと、まさにそのことをやってきたので、そこの部分をちょっとケアしないといけないなと思っています。
 その中で、やってきたことが何点かありました。当然ですけれども、ABC分析をして、一番優先度が高いところからやってきました。あと、河野さんのお話でも先ほど出ていたと思うんですけれども、イノベーションなので、どう組み合わせるかということを心がけてやってきました。
 あとは、今日、早速何か結果を出したいなと思って来ました。そういう流れで、私がこの会議に参加させていただく理由から先に言いますと、本音と建て前みたいなところですね。会社が東京都にあり、私も都民で、会社の社員も都民が多いので、年に数回この会議に参加することは、正義があると思っています。会社の仕事というよりは、都民として出てきております。そういう意味では、皆さんの名を汚さないようにやらなくてはいけないというところの義務があるのと、あとは、いろいろな視点があるので、打つ手というのはあまり言ってはいけないのかなと思うんですが、私はそういうスタンスで出ております。
 そういう意味では、この会議で、弊社が通用するかと考えたときに、先代社長の父から言われたことで一番大きかったのが、「10億円の会社があって、10%利益を上げると利益は1億円です。内部のことをやり出すと楽しいからいいんだけれども、それには限界があるよ」と。つまり、10億円の上限が決まっていると、どんなに内部改革をしても、10億円までしか改革できないということで、そういう遊びをやり始めるとだめなので、きちんと上を上げる、売り上げを上げることを考えなさいということを強く、会社を譲られるときに父から言われました。今回の都政改革で上に上げるものは何かないかなと、この話を考えてきたんです。すみません、数値が見つけられなかったので、もちろん都民を増やしますというのが、一番早い話なのかもしれませんが、そんな単純ではないと思います。私が思ったところでは、同じ売り上げを増やすという意味でいくと、登記簿で誰が登記しているかわからない土地と建物が結構あるんじゃないかなと。その率がどれぐらいなのかなと。そこをちゃんとケアすると、当然まず、収入が上がります。朝、ラッシュアワーに巻き込まれたくないので、ご夫婦で働いている方に優先的にその場所を貸してあげれば、都税が増えるだけでなく、ラッシュアワーの問題も改善できるんじゃないかな、こういう組み合わせをイノベーションというか、2個、3個の課題を一度に解決できるような形でやりたいなと思っています。優先的に収入を増やして、住む場所をつくって、ラッシュアワーを減らしつつ、最初に選ぶ人は、共働きをされている方、それでその方々にサポートを入れてあげれば、子供も持ちやすいということで、いろいろなことがつながるんじゃないかなということを考えました。「1つやったら2、3度おいしい」が私の座右の銘なのですけれども、そんな形を今考えてやっています。
 そういうことでやってきたので、1つだけ、お聞きしたかったことがあります。数年前にやはり、育児世代の社員のことをケアしたくて調べました。改善しようと思って、何が育休後に復帰できない要因なのかなと。実際に、やめてしまった人がいて復帰してほしかったので、産休・育休後、復帰しにくいんですという方にヒアリングをしたところ、やはり1年間会社から離れるので、情報がわからないというか、浦島太郎になっちゃうのが嫌ですという声が出てきました。そんなの簡単じゃないかと思うんですね。少なくとも週に2時間でもいいんですけれども、会社のことを定期的にニュースでも出すので、見てくれというような話をしました。簡単に言うとそういう体験をして、法務体系を調べていたんですけれども、所属の健保さんでは100%休んでいないと、給付金が出ないんですよね。なので、週にちょっと働くと会社が持ち出さないといけないんですよ。それでやれと言われても、大きな会社じゃないので、それだったらなということでいろいろ調べたら、社内新聞を読んでもらうというグレーゾーンに逃げている事例がありました。元の制度まで整えないと、結構、業務改革はできないと思っています。育休のところについては100%取るのが、働いていてもとれるようにしていただければ、少し風向きが変わるんじゃないかなと思っています。
すみません、長くて申し訳ありません。以上です。

○松本座長 では、松井さん、お願いします。

○松井委員 私どもの会社は外資系金融会社ですから、国内系の会社と違って、何となく楽天にちょっと似たような側面のある会社で、実は私が入社した24年前のときに、全くワーキングマザーというか、数が非常に少なく、実はシニアの女性層もどんどん子供ができたらやめてしまう傾向があり、当時、アークヒルズにオフィスがあったんですけれども、六本木ヒルズに移るときに、社内の女性のネットワークが実施したアンケートで、もし専用託児所ができたら利用しますかと、これは女性向けだけではなく、全員対象のアンケートでしたのですが、ものすごい高い率で使いますという答えが出ました。大変なコスト負担とかいろいろあったんですけれども、多分、これは金融会社の中では一番リクルーティングツール、効果的なツールだと私どもは思っております。
 あと、ペーパーレスの問題もあり、同じくセキュアプリントも数年前から始め、大幅に紙の使用量も削減できました。共通点のところはこの2つかなと思いました。
 1点強調したいのは、ダイバーシティについてです。我々金融会社は皆さん御存じのとおり、ダイバーシティは日本だけではなく世界的にも非常にチャレンジングなテーマでございます。私ども、結局、その人間の行動、人間の考え方を変えるためには、ある程度、鞭のツールもありますが、インセンティブ、飴のインセンティブも必要かなと思いましていろいろ考えました。我々の会社の場合、管理職の層に年次評価が360度評価制度、部下と上司から評価をもらいます。そのときに普通の職業のいわゆるワークの評価だけではなく、ダイバーシティスコアカードというものを作りました。すなわち、自分の本業以外に、例えばマネージャークラスでしたら、自分の部下の中に、どのくらいの女性とか、LGBTQの人々の昇進があったか、あるいは、退職したかどうか、あるいは、ダイバーシティの活動にどれぐらい参加しているのかどうかがこのスコアカードの項目です。これは人事部に関しては本当に大変な作業ですけれども、これを作ってからかなり意識改革が始まったかなと思いました。これは大変な作業だと思いますけれども、検討する価値はあるかもしれません。
 あと、もう1点メンターシップについてです。いつもの問題ですけれども、女性の場合、我々の会社では、メンターシップをいくらやってもあまり効果がないと思っていたんですけれども、メンターシップ以上のスポンサーシップという言葉があります。アカウンタビリティをもってハイポテンシャルの女性の方々に、1人か2人、シニアの方をつけて、この人のキャリアに投資するというコンセプトです。スポンサーシッププログラムを実施しまして、それからは大分やめる率が少なく、そして、昇進率をかなり高めた結果が出ました。結局、組織とか会社をやめるのが、その会社とか組織をやめるのではなくて、マネージャーをやめる大体の傾向ですので、このスポンサーシッププログラムができてから、愛情をつくるというミッションが目的でしたので、パーフェクトではないにしろ大分改善しました。
 以上です。

○松本座長 ありがとうございます。
それでは、次に、岩本さん、よろしくお願いします。

○岩本委員 岩本でございます。私は2カ月前までNTTデータのCEOをやっておりまして、このアドバイザリーに入ることを大変光栄に思っているんですが、先ほどの河野さんのプレゼンにもありましたけれど、企業の場合に第一に来るのは、まずミッションですね、それから、ビジョンです。これは多分、松本座長と全く同じだと思うんですけど。
 私はそういう意味でずっとやってきましたが、データという会社はもともと電電公社ですので、先ほど事務局の方が説明したような前渡金とかの用語はよく理解ができるのでありますが、それが実は今から13年前にグローバリゼーションに出て行くことになりました。私がちょうどボードメンバーに選ばれたときでありまして、そのときのビジョンをグローバル・IT・イノベーターというふうにしました。
 今年30周年、NTTから分社して30周年になるわけですけど、トラステッド・グローバル・イノベーターというふうに変えたのでありますけれども、このミッションもビジョンもしっかり持つというのが重要で、これは冒頭、都知事がお話になった改革三つ、都民ファーストから始まって、情報公開、ワイズ・スペンディング、ですけど、こういうことを言うのは大変いいですし、数は3つ以内がいいですね。4つ、5つやるとわからなくなってしまうので、これもすばらしいことだと思います。
 それで、私も資料をもらいましたのでいろいろ見ましたけれども、この改革をするというのは、あるいは、都政そのものがある種のイノベーションを起こすということに等しいことだと思っていまして、これも河野さんのプレゼンを借りますが、シュンペーターとダーウィンが出ていましたけど、シュンペーターって100年前の経済学者ですが、彼はイノベーションの5つの原則をこう言っています。
1つは新しいサービス、商品をつくるということで当たり前なんですけど、製造技術を変えること、それから、販売チャンネルを変えること、それから、原料もしくは中間原材料を変えること、最後は組織であります。これは何かというと、組織を変えるというのは仕事のやり方を変えるということでありまして、イノベーションが生まれる100年前のことですけど、今に通じますし、一般民間企業だけじゃなくて、都政改革にも全く当てはまることだと思うんですね。
そういうミッションは変わらないものだと思いますけど、ビジョンは情勢に応じて変わらなければいけないんですが、何に変えるか、ここでダーウィンが出てくるわけでありまして、環境がどう変わっているかを的確に理解をしないとビジョンが生まれない。
私は、やや手前勝手かもしれませんが、環境変化は3つあると思っていまして、1つはインフォメーション・テクノロジーです。このインフォメーション・テクノロジーは、1980年にアルビン・トフラーがサードウェーブといったころから言われてはいましたが、今はものすごい勢いでエクスポーネンシャル・グロースをしています。都政も、国の政治もそうですけど、全てのインダストリーがそうです。
今、話題になっているスポーツとか、芸術とか、宗教に至るまで、このITの影響を受けないものはもうなくなってしまったと。このエクスポーネンシャル・グロースはまさに暴力的なので、今日は時間がありませんから詳しくはお話しませんけど、ものすごく大きな影響があるので、これを先ほどの仕事改革の中でもかなり取り込まれているのは、とっても良いことかなと思います。
もう1つは、大きく言ったら社会構造ですね。少子高齢化といってもいいですし、日本の伝統的な価値観がなくなったとか、そういう議論がありますが、諸々の意味での社会構造の変化です。
3つ目は、グローバリゼーションですね。これは日本にいても、東京都にいても、私も千代田区民でありますけども、全く避けられないものがきます。インバウンドだとか、そういうことだけではなくてですね。だから、この3つの環境変化に都政としてどう改革をしていくのか。もちろん、都民ファーストが最初にくるのが当たり前だとは思うんですけど、この環境変化をどうやって意識していくか、これが大変です。
先ほどから託児所の話なんかも出ました。私も社長のときに本社の中に託児所をつくりました。でも、これを認可保育所にするためには、本当にすごい規制がありますよね。窓は広くなきゃいけない、保育士は何人いなきゃいけないみたいなものがいっぱいあって、大変苦労しましたけれども、つくっています。
だから、このことはそうですし、我々は女性の働き方についてものすごく努力していますが、ある女性からがんと頭を殴られたようなことがありました。「岩本さん、そんなことをしているからだめなんだ」と。いや、俺は保育所も作ったし、短時間勤務もやっているし3年ぐらいは育児休職もとれるし、いいではないか、と。「そういうことをするからだめなんだよ。女性を働かせて女性がいきいきとするためには…」これは私が言った言葉じゃありませんよ、ある女性が言っている言葉ですけど、「1日も早く出産から復帰して、フルタイムで活躍するように支援してあげることなのよ。」と言われて、頭をがんと殴られた気もしましたけど、間違いないかなと思いました。
うちの娘も医者をやっていますけども、半年ぐらいはフルタイムにはならなかったかもしれませんが復帰していますから、こういう一つ一つのことを既成の考え方でやらないで、本当にそれを対象とする人が何を求めているかをしっかり考えながらやる必要があるかなと思います。
今日はしごと改革の中身でたくさんいろんなことがありました。電子決裁とか、ペーパーレスだとか。我が社では全部でき上がっていてやっていますが、1つだけ注意してほしいのは、やっぱりセキュリティですね。これから本当にITの便利性の裏側にあるのがセキュリティ。いろんな意味の、大きな意味のセキュリティがあります。別にGDPR対応とかと言うつもりはありませんけれども。なので、是非このセキュリティについても、少しこの都政改革の中では意識した議論がされると良いかなと思います。
以上です。

○松本座長 ありがとうございます。
引き続きまして、水町委員お願いします。

○水町委員 弁護士の水町と申します。私は、情報やITを中心にした弁護士活動というか、御相談対応をさせていただいております。
 会社員と国家公務員と勤務弁護士と自営業といろいろ経験いたしましたので、いろんな組織の働き方を経験しているつもりです。
 特に、国家公務員時代は内閣官房でマイナンバー法の立法担当官をやっております。その関係で、うちの事務所にいらっしゃるお客様、御相談者の中には、企業の方も多いですけれども、自治体の方も結構多いという状況で、日常的に自治体職員の方とお付き合いがあるという状況です。
 今回、資料を見せていただきまして、生産性向上というもののためには、岩本委員もおっしゃっておりましたけれども、ITの活用。手作業でやったり、また、エクセルで職員さんがグラフ化したりとか、職員さんが個別にマクロを打っているとかというケースも結構自治体さんだとまだあるんですね。セキュリティを高めるという意味でも、生産性向上という意味でも、IT化、またはAI、RPAというもので、人がやらないでいい仕事は機械にやってもらうという考え方も重要ではないかと思います。
 ただ、もっとも、機械が万能なわけでは絶対ありませんので、機械に向いている業務というのをきちんと選定するということが重要ですし、システム化は費用がかかりますので、どっちがいいか、人でやっているのと機械に任せるのと、費用対効果、その他諸々含めてどっちがいいかというのは、もちろんちゃんと考えないといけないんですが、まず、機械化ということも今後重要になってくるかなと。
 あとは、それと系統が反対向きではありますけれども、BPRのためには機械化だけではだめで、やっている事務のフローの無駄を排除していくということが、一番重要だと思います。
 資料の方で事務フローを総点検されているという資料があって、本当これ大変な作業で、本当に頭が下がる、本当に大変な作業をやられているなと思いましたけれども、資料に載っているフローは、結構これでも簡単なフローだと思うんですね、役所の中だと。
 役所のフローというのはものすごい複雑でして、隣の局の担当者としゃべるために、自分の課の総括に上げて、隣の局の総括に上げて、また課からおろして、総括におろして担当者とか、すごい重層構造なんですよ。これは皆さん御存じだと思いますけど、それが本当に要るのかということですね。その人たちの作業量は要らないですよねと。そういうことを言うと公務員の方に結構怒られるんですけど、既得権益とは違って前例なんですよね。全然、既得権益はなくて、公務員の方は幅広な情報提供というのが大好きなんですけど、それはすごく大事なんですけど、そこは別に決裁とかじゃなくて、そのメールのCCとかでもいいはずだから、わざわざそういうラインで上げていくというところとか、電子決裁も決裁系ははんこがものすごく多いですよね。そのはんこの人たち、本当、全員決裁として要りますか、そこは情報提供だけで済みませんかとか、そういうアナログなフローを改善していくことが必要かなと思います。
 あと、今日の楽天さんのプレゼンテーションは、さすが先進企業はすごいなと思いましたけれども、自治体とか国というのは昭和何十年ですかみたいな世界で動いているわけですね。そこにいきなり楽天を目指せと言われても難しいと思いますので、私が提案したいのは、民間との人事交流でして、例えば、公務員の方が3、4割はもう民間企業で2、3年はやるとか、そういうふうになってくると、ああ、いかにここは昭和なんだという、これはマインド、経験として変えていくということも重要かなと思いました。
 あと、ちょっと最後に1点だけなんですけれども、谷田委員の方から登記簿で空き家を貸すとか、都としての収入を増やすみたいな御意見がありましたが、ここは例えば登記簿にマイナンバーをつけて検索するとか、マイナンバーに限らず、自治体が持っている業務データ、これを自治体経営に使っていくというか、もちろん保護は重要なんですけれども、保護を徹底して業務データをきちんと分析して必要な課題を発見する、課題解決の方策を検討する、その結果、成果がどのぐらい出たかを検討する、EPPMプロセスとか、そういうことにもつながってきて、そのデータによる行政経営というのもやっぱり今後は重要なテーマかなと思います。
 以上です。

○松本座長 ありがとうございます。
それでは、西村委員、よろしくお願いします。

○西村委員 明治大学政治経済学部の西村でございます。専門は行政学ということで、学生からは行政学なんて何の役に立つのですかと言われているんですけど、こういうふうに役に立つんだというのを、この場で少し成果を示せればいいかなと思っております。よろしくお願い申し上げます。
 それで、今日のお話を伺っていて、さすが東京都は自治体の中のフロントランナーで、行政が抱えている様々な問題をいち早く自覚的に改善されていこうとされているんだなと思いました。
 というのは、私が学生だったころは、透明性とか、市民参加とか、官民の連携というのはこれからの課題だと言われていたわけですが、こういうところは恐らく東京都もどんどん変えられていて、新しい取組をされていると思います。
 他方、未だに行政学の教科書で変わらないのがあって、もう数十年前から言われているのは、やはり行政の今の稟議制の話と大部屋主義でございます。
 大部屋主義は、東大の大森彌先生が提唱された概念です。これはどういうことかというと、業務を個人単位にはおろさない、組織単位で様々なプロジェクト、課題に対処していくと。これは職員同士の連携で足らざるところを補い合うという意味では、非常に効果もある有効性のある働き方だと言われております。しかし、昨今取り組まれようとしている働き方改革、例えば東京都が他に先駆けて実施している行政でのテレワークとか、あるいは20時の退庁とか、これらを実施しようとなったときに、実はこの大部屋主義というのが、組織で仕事をしているということが逆にくびきになる場合が出てきます。つまり、テレワークというのは個人に仕事がおりてこないと、これは自宅に持ち帰ってやるというわけにはいきません。常に係長の顔色を窺いながらやらなきゃいけないとなると、やっぱり家でやるよりは職場に来てやった方がいいという話になってしまいますし、どこまでが自分の業務なのか、どこからが他の職員の業務なのかという切り分けが、現状ではあるんですけどない状態です。つまり、手が空いているならこれをやってみたいな形で、実は手の早い人、仕事の早い人のところに仕事が集まってきてしまう。それが実は公務員の方々の中では評価されている証だったりするのかもわかりませんけれども。とはいえ、今、目指そうとしているのは、職員個人個人の業務を明確化し、効率化していくということ。これを推進しない限りは、恐らく行政の生産性って上がっていかないのかなというふうに思っておるところです。
 何を言っているかと言いますと、つまり、公務員のジョブディスクリプションですね。職員が何を責任持って担当するのかというのをきちんと明確化していく。これは先ほどの公民連携や民間との人材交流の話もありましたが、民間企業に、こういう人に来てほしいんですというとき、「じゃあ、どういう仕事をやるんですか」と聞かれ、何となくな感じで依頼するのか、そうではなくて、こういう業務で、ここまでがこの職員業務ですという形で依頼するのか。つまり、こういう専門性を持った人材が欲しいんですというような形で依頼するのか。人材の交流一つをとっても、ジョブディスクリプションが非常に重視されるようになってきているんじゃないかと思います。
 ですので、見える化ですね、事業の見える化というのは非常に大事だと思いますし、やはり、これ自体も先進的な取組だなと思いながら伺っていたんですが、同時に、職員個人の働き方の見える化、あるいは、その職員個人が何を担当し、何をどこまでやるのかの見える化ですね、ここも同時に進めていただく。今取り組まれている20時退庁も、やっぱりみんなで仕事をやっていると、なかなか自分だけ帰りますというわけにはいかないだろうと思うんですね。ですが、自分の担当業務はこれで、これについては責任を持って終わったので退庁いたしますということが可能になります。職員個人がどこまで努力するのかも見える化されてきますし、テレワークも比較的やりやすくなるということがあろうかと思いますので、是非、大部屋主義の良いところは残しつつ、他方で最近求められているのは、職員個人の働き方をどう良くしていくかというところです。ライフ・ワーク・バランスをどう高めていくかといったときの、ワークの部分がきちんとどうなっているかということですね。ここも同時に取り組んでいただくと、より良いのかなと思います。
 私からは以上でございます。

○松本座長 それでは最後になりましたが、石田委員、よろしくお願いします。

○石田委員 文教大学の石田でございます。専門は公の会計です。国の行政仕分けですとか、公開プロセス等にもいくつか参加させていただき、地方自治体等の委員みたいなこともいくつかさせていただいております。
 今日の河野さんのエコミーティング1/8プロジェクト、それから、松本座長のノーミーティング・ノーメモ、やはり民間はすばらしいなと思いました。いくつかの委員を行政の方でさせていただいていつも思うのは、しごと改革はどこもやっていらっしゃると思いますが、今まで何の疑いもなくずっとやってきたことが、本当にやらなきゃいけないことなのかどうか、なくなっても大丈夫なんじゃないかというのを、是非一から見直していただきたいと思っております。
 ちょっと大変恐縮ですが、今回のこの会議参加に当たり、他の委員の皆さんもそうだと思うんですが、事前説明の日程調整があり、事前説明があり、事前説明は1時間弱。私は時間がもったいないからとこちらに伺ったんですが、他の先生方のところに行くということになると、片道30分でも往復1時間、それで2人で来ると、ミーティングと、それだけで2時間で、それで8人だと32時間ですよね。東京都の会議にはすごい有識者が入ってくる会議が多いと思うんですね。私も行政へ行くと、必ず本ミーティング、本会議の前に事前説明があり、それから本番。でも、せっかく公開でやっているのですから、最初からここでやればいいじゃないですか。そんなきれいな会議を目指す必要はないんじゃないですかと思うんですね。だけど、それっていうのは、上からなしにしようと言わない限りは、やっていらっしゃる方からはなしにはできません。
あともう1つ、今日の説明もポンチ図が非常にすばらしいですよね、このPDFのファイル、これを作るのにどれぐらい時間がかかっているんだろうと私はいつも思うんですね。なので、外に出すものはある程度の質がなければいけないですけど、もうパーフェクトを目指す必要はないですね。特に中のもので意思決定するときには、もっとレベルを下げてもいいと思うんですね。なので、そういうところを、きれいなポンチ図を作っていたら、「いい仕事をしたね」と褒めるんじゃなくて、「何だこんなのやり過ぎじゃないか。これにどれぐらい時間をかけたんだ」というふうに今までの意識を変えていかないと、やっぱり仕事はなくならない。やり始めたら仕事はどこまでも精緻になってしまいますから、どこかで区切りというのをやっぱり考えていただかないと大変かなと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。

○松本座長 大変に良い御意見をいただきまして、ありがとうございます。全く同感です。
 今日は、初顔合わせなんで、ある意味では委員同士、それと、小池知事との直接のファイトはなかったわけですが、これから次第に進めていきたいと思います。小池知事が何をやろうとしておられるか、何を改革されようとしているかということに関しては、御理解いただいたと思います。
 したがって、今後はこの軸だけは外さずにいきたいと思うわけです。小池知事の軸、すなわち都民ファーストです、情報は開示します、最後にはワイズ・スペンディングです。この軸を私たちは外さずに議論を進めていきたいと思います。今後、どういうことに具体的に何に焦点を絞って議論していくかというのは、これから知事と事務局と相談させていただきながら、進めていきたいと思います。
 本日は、本当にお忙しいところを御参加いただきまして、ありがとうございました。
 では、最後に、知事から一言お願いします。

○小池知事 まず、河野さん、ありがとうございました。すばらしいプレゼンテーションでございました。
そして、また皆さんの御意見、御紹介、ありがとうございます。途中、タブレットが不調になりまして、この会議を妨害したい誰かからのハッキングかなとちょっと心配もいたしました。また、今回、座長を松本COOにお務めいただき、大変ありがたく思います。おまけにお隣が谷田さんということで、これはもう減量のみならず、筋肉質の都政を目指すと、そういう布陣になっているかと思います。本当にありがとうございます。
都政改革アドバイザリー会議、改革はそれ自体が目的ではありません。先ほどからも3つの私どもの目標、都民ファーストの視点、それから、情報公開、クリアにしていく、そして、ワイズ・スペンディングでタックスペイヤーの皆さんに満足していただく。その目的のために3つのレスなどを進めているところでございます。
ペーパーレスについては、最初はA3だったんです。A3で長年都政はやってきたのでありますけれども、少なくともまずA4にしましょうといって、あれ一晩で変わりました。印刷のところのA3をA4に変えるだけなんですが、だけど、そこから始まって、この何を伝えるかという、そのA3からA4になることによって、よりこの伝え方、枚数が増えたら同じことかもしれませんが、そんなことから都庁の職員の方々も、これまでのやり方と違うという共通の認識は大分持ててきたのではないかなと。
ましてや、はんこをやめますなんていうと驚愕の世界ですよね、行政においては。まだまだ途中ではありますけれども、着実に都庁の職員の皆さんの協力の下で進めている最中でございます。そこに今日は企業の例を出していただきました。
企業の目的は、もちろんやはり利益が上がらないといけないということでございますけれども、都庁とすればパブリックでございますので、その利益というものは、先ほどの都民ファーストと情報公開、そして、ワイズ・スペンディングです。
ですが、こうやってだんだん筋肉質の都政にしていくと、ごぼっと国からお金を持っていかれたりして、何かディスインセンティブにつながるのはまずいなと思います。
様々な自治体がございますけれども、やはり東京は東京としての役目があって、それは国際競争力に勝つための玄関口であるということでございます。ここで東京がその役割を担わなくなるということは、すなわち、国家としての力に直接つながってくるのではないかと思うからこそ、都市間競争にも打ち勝っていきたい。そして、様々な日本の経済のその中核の部分が元気であり続けるためのエコシステムを作っていきたい。そのためには人口の半分の女性にももっと活躍していただきたい。そして、少子化で人口のピークアウトが2025年にはもうやってくると、この東京でさえピークアウトするという中において、やはり少子化、そして、超高齢社会は待ったなしでやってくる。そこの財政のバックボーンをどうやっていくのかなどなどございます。
これからも、この3つのミッションという大目的のためにも、ぜひ皆様方のアドバイスを頂戴して、それから、打合せはできるだけ、この場で集中して、でもね、中にはね、俺は聞いていないといって、大体、聞いてない攻撃というのが一番行政は辛いんですよね、企業もそうかもしれないけれども。でも、そこは柔軟にやらせていただきたいと思っております。
それから、都民の皆さんからの声も聞くということで、ガバメント2.0という、これもITなどを使ってできる方法もあります。
ですから、これまでの良き伝統を守りながら、新しいその生産性を上げる対策、皆様方のアドバイスを受けて、しっかりと実現をしてまいりたいと思っております。今回もすばらしい座長のタイムキーピングといいながら5分過ぎてしまいましたね、すみません。
これからも楽しみに、そして、お互い、良い刺激をし合うことによって、またプラス面を見出していきたいと思っております。
第1回の会議、本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

○松本座長 小池知事、ありがとうございました。
 次回以降は、対話を中心にしてやっていきたいと思います。

 5.閉会

○松本座長 本日はありがとうございました。
 それでは、最後に、事務局から連絡事項がございますので、よろしくお願いします。

○榎本総務局次長 それでは、事務局からの御連絡でございます。
本日の議事録につきましては、改めて御確認をさせていただきたいというふうに存じます。
また、次回の開催日時につきましては、11月頃を予定しておりますけれども、また、こちらにつきましても御相談させていただき、詳細は追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

12時06分閉会

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